« 経済産業省、10月16日に第一回系統ワーキンググループを開催。”接続保留問題”を議論 | トップページ | 経済産業省、10月16日開催の第一回系統ワーキンググループ、会合の録画を公開 »

エナリス、10kW東芝SCiBバッテリーシステムを10,000台注文。DR運用へ

 新電力としての展開など再生可能エネルギー関連事業に取り組むエナリスは、東芝のSCiBバッテリーシステムを10,000台注文し、今後数年かけて需要家(公共機関や事業者向け。同社の電力代理購入サービスのユーザーを対象)にバッテリーマネジメントを提供するということです。東芝SCiBバッテリーシステム1基あたりの容量は、定格出力容量が10kW、蓄電池容量は9.9kWhとなります。これが1万基、単純に考えると、合計100MWhの蓄電池システムが分散配置されることになります。
 これらの蓄電池は、需要家(ユーザー)に格段に安価な初期費用で設置提供され、遠隔で充放電制御されます。エナリスは、需給応答サービスの調整役としての蓄電池運用事業に早期に取り組むことで、新電力の需給管理代行業務の新規事業の裾野を広げるとともに、最近問題となっている電力会社における接続保留問題に端を発した、再生可能エネルギーの固定価格買取制度、ならびに導入計画の見直し議論に向けて、エネルギー関連事業者としての解法を模索することになります。

 エナリスが考えるバッテリーマネージメントシステムは、
アグリゲータが、 WHO
蓄電池を需要家に設置し、遠隔で充放電の管理を行うことで HOW
太陽光発電により春夏の発電量>需要量となるときや、通勤時間帯や帰宅ラッシュ時などの需給バランスが不安定なときに WHEN
需要側において WHERE
エネルギー需要を最適化すること WHAT
 とリリースで表現しています。1万基がどのような状況でどこに配置されるのかなど不明な点が多いですが、合計100MWhの蓄電池システムによる、有効な再生可能エネルギーのピークシフト効果を発揮し、かつ補填をする需給応答サービスの実験は意義のあるものです。

 スマートジャパンの記事によると、1万台に投じられるのは250億円。そして、需要家は数千円の月額料金で、蓄電池を導入でき、拠点あたり、3~5%の電気料金を節減できると予想しているとのことです。全体のビジネスとして、どのように成立するのか? 投資回収のノウハウも含めて、運用が成功しなければ利益はでないはずです。いろいろな意味で、タイミングも含めて興味深い試みです。

 なお、東芝のSCiB(TM)は、安全性に優れた二次電池です。カーボンの代わりに、酸化物系新材料の採用し、外力などで内部短絡が生じても熱暴走を起こしにくい構造となっています。 また、充放電10000回以上の長寿命、6分間での急速充電、キャパシタ並みの入出力密度、-30℃の低温での動作等、優れた諸特性があります。
 再生可能エネルギーの大量導入前に数パーセントの導入量でつまづいたわが国の再エネ導入ですが、一桁上を狙うためには、蓄電池だけでなく、それ以外の総合的な技術の向上や投資が必要になります。とはいえ、蓄電池は日本の重要な産業として花開ける分野でもあります。バッテリーマネージメントシステムの有効性の証明、ビジネスの成果に注目です。


プレスリリース / エナリス、2014年10月09日
エナリスが新たなバッテリーマネジメントサービスを開始

20141009_01_1
-----image : 上下とも同リリースより-----
20141009_03

" 東芝ITコントロールシステムから蓄電池を大量調達

 株式会社エナリス(本社:東京都千代田区 略、以下「エナリス」)は新電力の需給管理代行業務で得た電力需要予測の高い技術を生かし、当社の電力代理購入サービスのユーザー様を対象に新しいバッテリーマネジメントサービスを開始します。エナリスが東芝ITコントロール システム株式会社(本社:東京都新宿区 略 以下「東芝ITC」)から大量調達した蓄電池を、ユーザー様に格段に安価な初期費用で設置提供して、遠隔で充放電制御するものです。蓄電池の設置台数は目標1万台となります。再生可能エネルギー買取の新規契約中断を一部の電気事業者が発表するなど、固定価格買取制度の課題が指摘される中、バッテリーマネジメントは再生可能エネルギー普及にむけた突破口になると考えています。

■エナリスの需給管理ノウハウと「バッテリーマネジメント」
 エナリスは、エネルギー情報業の先駆者として、新電力の需給管理代行業務などを通じて培った需要予測や気象予報士による発電予測(エナリスは、気象庁から予報業務の許可を受けています)など、 エネルギーの流通情報に関する独自の技術と経験を持っています。すでに当社が管理する電力規模は約200万kWに達し、エネルギーマネジメントシステム(以下、「EMS」という)の販売実績は約1万件の実績を有しています。それらの管理実績を生かして実用化されたのが当社のバッテリーマネジメントサービスです。
..........
バッテリーマネジメントサービスとは、以下を指します。

WHO アグリゲータが
HOW 蓄電池を需要家に設置し、遠隔で充放電の管理を行うことで
WHEN 太陽光発電により春夏の発電量>需要量となるときや、通勤時間帯や帰宅ラッシュ時などの需給バランスが不安定なときに
WHERE 需要側において
WHAT エネルギー需要を最適化すること

■電力代理購入サービスと組み合わせたバッテリーマネジメントサービス
 本サービスでは、電力代理購入サービスと組み合わせて、エナリスが大量調達した蓄電池を需要家様に提供することで、初期費用を格段に抑えます。また、エナリスの需給管理ノウハウを生かし、蓄電池の充放電を遠隔で効果的に制御することで、通常の代理購入サービスに加えてさらに電気料金の割引を受けられます。

20141009_02

-----image : 同リリースより

■需要家様のメリット
 ピークカット制御により契約電力を削減することで、電力料金を削減できる
 安価な夜間電力を蓄電し昼間に放電することで、電力料金を削減できる
 これらにより蓄電池導入の採算性を大幅に改善し、需要家の蓄電池活用の裾野を広げることのできる画期的サービスです。また、災害時をはじめ、停電時のバックアップ電源として使用できます。

■電力会社のメリット
 電力会社にとっては、蓄電池の充放電制御により、再生可能エネルギーの出力変動や気温上昇によって生じる電力の需要と発電の誤差(インバランス)を軽減でき、需給バランスの安定や非効率な発電所の稼働低減、不足時の補給費用の削減が可能となります。

■本事業の社会的意義
 太陽光や風力などの再生可能エネルギーを大量に導入するには、発電量の自然変動に対応して安定供給を実現できる『蓄電池』が必要です。エナリスは、バッテリーマネジメントサービサーとして、蓄電池を市場に大量インストールすることで、再生可能エネルギーの普及促進につなげます。特に、複数の電力会社が再生エネルギー買取の新規契約を見合わせている昨今の状況は、蓄電池が普及していない現在の電力システムのもとで出力変動の大きい自然エネルギーが増加したことにより、冷暖房の使用が少ない春や秋の晴天時などには、昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れることが大きな原因の一つといえます。蓄電池の普及は再生可能エネルギーの本格的普及のための必要な条件であるともいえます。

■当社にとっての意義
 エナリスは、本事業により下記の効果を見込みます。
 蓄電池10,000台(10kW・9.9kWh)の市場インストール
 代理購入事業における、契約件数の拡大
 代理購入事業の利益率向上
 エナリスは蓄電池を需要家側に設置してバッテリーマネジメントを行うことで、これまでの電力流通の仕組みを変え、新たなエネルギーインフラを創ることを目指しています。 エナリスは、再生可能エネルギーが大量に系統接続される未来社会にむけて、電力系統の安定化に資するサービスを構築したいと考えています。電力システム改革の将来を見据え、今後も様々な取り組みを進めてまいります。

■東芝ITCの蓄電池システム
 東芝ITCの蓄電池システムには、東芝製リチウムイオン二次電池「SCiB™」が搭載されており、約1万回以上の充放電が可能な長寿命、高い安全性、低温動作などの優れた特性を評価し、採用に至りました。

【蓄電池システムの概要】
......... "

関連
株式会社エナリス向けに蓄電池システムを10,000台受注-----東芝、2014年10月09日
Enaris
-----image(”蓄電池システムのイメージ”) : 上記リリースより

"..........
蓄電池システムの概要

定格出力容量
10kW
定格出力電圧
AC 202V
定格出力周波数
50/60Hz(自動判別)
蓄電池容量
9.9kWh
蓄電池種類
SCiBTM20Ahセル
電気方式
単相3線式
外形寸法(mm)
W950×H1600×D550(チャンネルベース除く)
質量
約511kg
......... "

東芝 SCiB(TM)二次電池

" 東芝のSCiB(TM)は、安全性に優れた二次電池です。
酸化物系新材料の採用などにより、外力などで内部短絡が生じても熱暴走を起こしにくい構造です。
また、充放電10000回以上の長寿命、6分間での急速充電、キャパシタ並みの入出力密度、-30℃の低温での動作等、優れた諸特性があります。"

1万台の蓄電池――遠隔制御で電力の「あふれ」なく、電気料金も削減-----スマートジャパン、2014年10月15日

".....250億円を投じて、公共機関や大規模店舗、オフィスビルなど電力を消費する需要家側に合計1万台の蓄電池を取り付ける。....."


参考エントリー
エナリス、大分県佐伯市で2.5MWのバイオマス発電+ウナギ養殖事業。新たな展開!-----ソフトエネルギー、2014/07/28

エナリス、群馬で食品残渣等を利用する420kWバイオガス発電プロジェクトを実施へ-----ソフトエネルギー、2013/11/07

東芝、英国シェフィールド大学の系統周波数調整実証試験向けにコンテナ型SCiB蓄電池を受注-----ソフトエネルギー、2014/06/24

東北電力、西仙台変電所に2万kWh(20MWh)の世界最大規模のリチウムイオン蓄電設備、着工-----ソフトエネルギー、2013/11/28

新型二次電池「SCiB(TM)」の事業化について / プレスリリース 東芝-----しなやかな技術研究会、2007/12/27



ブログランキング・にほんブログ村へ

ブログ村ランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。





greenpost(@greenpost) - Twilog-----twitter : greenpost
---しなやかな技術研究会のGoogleマップ2-----しなやかな技術研究会 まとめ

[PR]

|

« 経済産業省、10月16日に第一回系統ワーキンググループを開催。”接続保留問題”を議論 | トップページ | 経済産業省、10月16日開催の第一回系統ワーキンググループ、会合の録画を公開 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: エナリス、10kW東芝SCiBバッテリーシステムを10,000台注文。DR運用へ:

« 経済産業省、10月16日に第一回系統ワーキンググループを開催。”接続保留問題”を議論 | トップページ | 経済産業省、10月16日開催の第一回系統ワーキンググループ、会合の録画を公開 »