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北電初の純揚水式発電所20万kW京極発電所1号機の営業運転開始

 北海道電力は、北海道虻田郡京極町に初となる純揚水式発電所20万kW(200MW)京極発電所1号機の営業運転を開始しました。純揚水発電とは、ポンプで揚水される水量のみで発電する、上部調整池へ河川からの自然流入がない発電方式です。建設の目的は、風力発電および太陽光発電等の再生可能エネルギーの出力変動対策で、系統の周波数を一定に保つよう瞬時に入出力調整を行うシステム(可変速揚水発電システム)が採用されています。さらに北海道内の周波数が低下した場合に、自動的に発電運転を開始し周波数調整を行う機能(緊急起動機能)や、需要が低い際は電力系統の電圧調整を行う機能(調相運転機能)も付加されています。北海道電力管内の再生可能エネルギーの大量導入を支える一つの仕組みとなっています。
 さらに、京極発電所は、2015年12月と2024年度以降にさらに2基の20万kWの純揚水発電所が建設される予定で、全体で60万kW(600MW)となる予定です。

 京極発電所について詳しく見ていきましょう。上部調水池の利用水深 45.0 m、面積0.16 km2で有効貯水容量は、4,120,000 m3です。発電に係わる有効落差は、369.0 m、使用水量は、20万kW機1基あたり、190.5 m3/sです。上部調水池が満水時であれば、4,120,000 [m3]÷190.5 [m3/s]=21627.3 [s]、つまり約6時間の20万kWでの運転も可能です。しかし、実際には必要時にしか運転されることはありません。ポンプは、発電機と共通で、立軸渦巻単段フランシス型ポンプ水車です。揚水と発電が自動的に切り替わることで、商用電源の出力変動対策を実施する能力をもっています。ピークシフトを30%と考えれば、20万kW(200MW)の出力で、おそらく太陽光発電なら、600MWpから800MWpの合計出力に対応できるはずです。実際は、需給の応答と風力発電などの他の再生可能エネルギーとのかねあいもあり、どれだけの調整能力があるのか計りかねますので、その調整能力の実際と評価が気になるところです。

 2011年3月11日以前の日本では、揚水水力発電所は、出力の調整が苦手な原子力発電の夜間発電分の「貯電」でした。ポンプで揚水するのですから、揚水時のロスが発電ロスに乗じられるので総合効率は約50%となります。せっかく発電した電力も半分になってしまうのです。この欠点を押しても、今後は出力変動が天候などによって変化する再生可能エネルギーへの対応に振り向けられるようになります。そして、現在話題となっている「接続保留問題(Twilog)」により、さらに脚光を浴びることになっています。
 北海道電力管内には、新冠発電所1、2号機(所在地:新冠郡新冠町、定格出力:各10万kW、揚水式水力発電所、2014年10月3日北電発表)と高見発電所1、2号号機(所在地:日高郡新ひだか町、定格出力:各10万kW、揚水式水力発電所、2014年10月3日北電発表)があります。これらは、混合揚水式で、上部調整池へ河川からの自然流入がある方式です。
 揚水水力発電が、今後どこまで整備されていくのか? そのコストと実際の有効性について、総合的に評価する研究へとつながることを期待しています。


プレスリリース / 北海道電力、2014年10月1日
京極発電所1号機の営業運転開始について

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-----image : 上下とも同リリース「【添付資料】京極発電所について 」より-----
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" ..........北海道における電力の安定供給を確保するため、電力供給基盤の構築に取り組んでおります。  2001年9月より、ピーク供給力としての役割に加え、需要変動への対応に優れた揚水式発電所である京極発電所(所在地:虻田郡京極町、発電所最大出力:1~3号機合計60万kW)の建設を進めてまいりましたが、本日、1号機(出力:20万kW)が営業運転を開始しましたのでお知らせいたします。

 京極発電所は北海道初の純揚水式発電所※です。また、電気の周波数を一定に保つよう瞬時に入出力調整を行うシステム(可変速揚水発電システム)を採用しており、電気の品質維持に大きく寄与するものであります。

 当社は引き続き、2号機(出力:20万kW)の営業運転開始(2015年12月予定)に向けて建設工事に鋭意取り組んでまいります。

※ 純揚水式発電所
揚水式発電所とは、発電所の上部と下部に大きな池(調整池)を持ち、電力需要の少ない時に下部調整池から上部調整池へ水をくみ上げておき、電力需要の多いピーク時に発電する方式で、純揚水式と混合揚水式に分けられる。
純揚水式は、上部調整池へ河川からの自然流入がなく下部調整池からの揚水分のみで発電する方式であり、混合揚水式は上部調整池へ河川からの自然流入がある方式。

”..........
 京極発電所は、虻田郡京極町北部の台地に上部調整池を、尻別川支流のペーペナイ川および美比内川の合流部に下部調整池である京極ダムを新設し、上部調整池から京極ダムまでの落差約 400mを利用して、3 台の水車・発電機により発電を行う北海道初の純揚水式発電所です。

所在地 北海道虻田郡京極町
河川の名称 (京極ダム) 尻別川水系ペーペナイ川および美比内川
発電方式 水力・純揚水式
最大使用水量 190.50 m3/s
有効落差 369.00 m
最大出力 60万kW
 1号機 20万kW
 2号機 20万kW
 3号機 20万kW
水車型式・台数 立軸渦巻単段フランシス型ポンプ水車 3台
着 工 2001年9月
営業運転開始時期
 1号機 2014年10月
 2号機 2015年12月(予定)
 3号機 2024年度以降

2.特徴
系統の周波数を一定に保つよう瞬時に入出力調整を行うシステム(可変速揚水発電システム)の採用により、需要変動、風力発電および太陽光発電等の再生可能エネルギーが連系拡大した際の出力変動等への対応が可能となり、電気の品質維持に大きく寄与します。
 北海道内の周波数が低下した場合に、自動的に発電運転を開始し周波数調整を行う機能(緊急起動機能)や、需要が低い際は電力系統の電圧調整を行う機能(調相運転機能)も付加しています。

3.主要な経緯
1999 年 1 月 地元京極町および北海道に建設申入れ
2000 年 3 月 国および北海道に環境影響評価書提出
京極水力発電所建設所を設置
7 月 京極発電所の設置に伴う電気工作物等の変更届出
(電気事業法第 9 条届出)
2001 年 9 月 京極発電所の工事計画を届出(電気事業法第 48 条届出)
2002 年 2 月 工事着手
2013 年 11 月 京極ダム湛水開始
2014 年 2 月 初揚水、有水試験開始(試運転)
10 月 1 号機営業運転開始
..........


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.......... ”-----【添付資料】京極発電所について [PDF:1039KB]より
.......... "


関連
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-----image : Googleマップで京極ダム 付近を表示

・北海道電力 : 水力発電所について
/ 京極発電所建設計画
Section_zoom
-----image : 上記サイトより「発電所断面」
/ 発電所の主要設備

追加情報
京極発電所2号機の営業運転開始について
-----北海道電力、2015年11月1日


コメント続き

 再生可能エネルギーの大量導入時代を成功裏に迎えるためには、蓄電や揚水などの電力調整能力をもった機能を的確に運用する仕組みが必要になります。より賢い電力網の創造です。しかし、賢いといっても、だれにとって賢いのか? まだ日本の仕組みと技術はそれを明確にしていません。電力会社は、電力の発電、送電、給電から利益を上げるのは当然のことです。ただ、電力の消費者たる企業や私たちにとっても、電力を正確な情報のもとに判断し、そのリスクを評価し選ぶ義務と権利があります。電力という事業が、国の姿に大きな影響を与える公益性の高いものであるからです。揚水水力発電についても、それが実際にどういうものなのかを今後考えていきたいと思います。
 
参考
・エレクトリカルジャパン : 北海道電力

東京電力、40万kW揚水水力発電所、葛野川発電所4号機を運転開始-----ソフトエネルギー、2014/06/11

独RWE Innogy社、揚水発電所に風力発電所を併設する複合発電施設の開発検討を開始-----ソフトエネルギー、2010/11/29




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