経済産業省、10月16日に第一回系統ワーキンググループを開催。”接続保留問題”を議論
経済産業省は、再生可能エネルギー発電設備に係る電力会社の接続可能量の検証、接続可能量の拡大方策等について検討・審議を行う「系統ワーキンググループ」の第一回会合を10月16日(木)に開催すると発表しました。同WGは、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会の下部組織として設置されるものです。
このワーキング・グループ(WG)では、2030年に設定された再生可能エネルギーを大量導入時代を迎えるために必要、かつ可能な系統インフラ(系統設備、系統運用)が整備についての議論、そして電力会社の接続可能量の検証などが行われる予定です。
問題は、このWGの議論が国民や再生可能エネルギー関連の事業者に対して、広く共有できる形で実施されるかということになります。安倍政権になってから、エネルギー問題に関するWGなどの議論の内容の把握が著しく困難になっています。個々の発言者の意見の内容はもとより、議論の方向性さえ見えなくなっています。日本のエネルギー政策上でも重要なこれらの議論の公開性とその方法、また透明性の確保を強く希望します。
接続保留問題(経緯はTwilog : #接続保留問題をご覧ください。)とは、9月24日に九州電力が発表したリリース「九州本土の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について」により始まり、瞬く間に北海道、東北、四国の各電力会社にも広がった再生可能エネルギーの接続申し込み保留を指します。これにより2012年7月から運用が開始された、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の見直し議論が一機に開始されることとなりました。
国の再生可能エネルギーの導入目標は、2030年の総電力値に占める再生可能エネルギーの割合を20%台、現在の憶測では20%台前半へと設定しようとしています。これは、現状(2013年度実績)の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合をである11%[ 水力 8.5 % + 再生可能エネルギー(水力を除く) 2.2 % の合計 ]の倍程度に相当する数値となっています。
以前から買い取り価格が高すぎる、総量または時限などの規制や目標の設定を早めに行い細かく調整する必要があると指摘されてきた太陽光発電の昨今の認定量は確かに問題があります。事態への対処がここまで遅れた理由を明らかにし、太陽光発電の大量導入がもたらす弊害を具体的な数値や研究をもとに議論が進むことはもちろん、導入の規制が他の風力、小水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーの導入に悪い影響を与えないことを期待したいです。30日までは電力を受け入れないことが許される枠を拡大するといった大雑把な太陽光発電抑制策だけでなく、ピーク時の単純捨電や解列などを需給応答システムにより可能とするシステムなどの細かな議論を期待しています。
プレスリリース / 経済産業省、平成26年10月10日
・「系統ワーキンググループ」を開催します
" 本件の概要
経済産業省は、再生可能エネルギー発電設備に係る電力会社の接続可能量の検証、接続可能量の拡大方策等について検討・審議を行うため、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会の下部組織として「系統ワーキンググループ」を設置することとしました。
第1回会合は10月16日(木)に経済産業省にて開催します。背景と概要
2030年に向けて再生可能エネルギーを最大限導入するためには、この受け入れが可能となるような系統インフラ(系統設備、系統運用)が整備されていることが必要です。
他方、固定価格買取制度の導入以降、太陽光発電の急速な導入拡大に伴い、現状における電力会社の系統設備の容量や電力会社管内全体の需給調整力の限界等から、再生可能エネルギー発電設備を追加的に受け入れることが困難となる事例が発生しつつある状況です。
こうした接続問題は、今後の再生可能エネルギーの最大限導入に大きな制約となるおそれがあることから、電力会社が再生可能エネルギー発電設備を系統に受け入れるために現時点で十分な措置を講じているかしっかりと精査し、早急に対策を検討する必要があります。
このため、中立的な専門家により、電力会社の接続可能量の検証、接続可能量の拡大方策等について審議を行うため、系統ワーキンググループ(WG)を設置することとしました。
委員については、技術的かつ専門性が高いテーマであることから、本分野に詳しい有識者で構成することとしました。なお、関係業界に対しては、オブザーバーでの参加を要請しています。(座長)
荻本 和彦 東京大学生産技術研究所エネルギー工学連携研究センター特任教授
(委員)※五十音順、敬称略
岩船由美子 東京大学生産技術研究所エネルギー工学連携研究センター准教授
大山 力 横浜国立大学大学院工学研究院 知的構造の創生部門教授
馬場 旬平 東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授
松村 敏弘 東京大学社会科学研究所教授
なお、本ワーキンググループは、年内に3~4回程度開催し、一定の結論を得ることを想定しています。【第1回会合の開催予定】
日時:平成26年10月16日(木)13:00~15:00
場所:経済産業省本館17階第1共用会議室
(参考)固定価格買取制度について
.........."
関連
・経済産業省 : 総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会 系統ワーキンググループ 開催状況
- 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会 系統ワーキンググループ(第1回)‐配布資料
"配布資料一覧(PDF形式:134KB)PDFファイル
議事次第(PDF形式:131KB)PDFファイル
委員等名簿(PDF形式:181KB)PDFファイル
資料1 系統ワーキンググループの設置について(PDF形式:176KB)PDFファイル
資料2 議事の取扱い等について(案)(PDF形式:248KB)PDFファイル
資料3 再生可能エネルギーの状況について(PDF形式:1,080KB)PDFファイル
資料4 地域間連系線の運用ルール等の現状について(PDF形式:686KB)PDFファイル
資料5 再生可能エネルギーの接続可能量の算定方法に関する基本的考え方について(案)(PDF形式:496KB)PDFファイル"
・経済産業省 : 総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会 開催状況[第三回と四回の議事録がまだ公開されていません]
- 経済産業省 総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会[第5回 2014年10月15日(水) 10時00分~12時30分]-開催通知
・再生可能エネルギー買い取り 余地ないか検証-----NHK、10月12日
" 経済産業省は再生可能エネルギーで発電した電力の買い取りを制限している電力会社に対し、買い取り余地が本当にないのか詳しく検証したうえで、九州電力については発電量が需要を上回るおそれがあるとして、電力会社が契約上買い取りを制限できる期間を拡大する方向で検討を始めていることが分かりました。
..........九州電力については発電量が需要を上回り、電力の安定供給に支障がでるおそれがあるとして、契約上、金銭で補償しなくても買い取り制限できる期間を、現在の年間30日から拡大する方向で検討を始めていることが分かりました。
期間を拡大すれば、電力会社は需要が少ない時期に出力が不安定な太陽光による発電を受けなくてもよくなりますが、事業者はこの期間売り先がなくなることになり、議論を呼びそうです。.........."
追加情報
・経済産業省、10月16日開催の第一回系統ワーキンググループ、会合の録画を公開----ソフトエネルギー、2014/10/16
・小渕経済産業大臣の閣議後記者会見の概要-----経済産業省、平成26年10月14日
"...........
固定価格買取制度Q: 再生可能エネルギーの固定価格買取制度についてなのですけれども、今週新エネルギー小委員会と系統ワーキンググループが予定されていますけれども、経済産業省が太陽光発電の認定を凍結という一部報道もありますけれども、議論の方向性とスケジュール感をまずお願いいたします。
A: 再生可能エネルギーに関しましては、毎回申し上げておりますけれども、最大限導入をしていくというこの政府の方針は、何ら変わっておりません。
この固定価格買取制度につきましては、さまざまな御意見がありまして、更に導入に向けて、しっかりやっていくべきという方もおられますし、少し制度を見直して抑制をしていけばいいのではないかというようなことをおっしゃる方もおられます。
そうしたさまざまな御指摘というものを踏まえて、新エネルギー小委員会の方で検討が進められていくと承知をしていますので、今の段階で経済産業省において、何か具体的な措置を検討するですとか、ましてや何かを決めたというようなことではありません。時期的なものにつきましては、年内をめどに、今後その検討を深めていくものと考えています。
..........
Q: 再エネの問題なのですけれども、先ほど大臣は年内をめどに議論を深めるという御発言がありましたけれども、認定のタイミングなど、内容によっては条例の改正とか法律の改正が必要となるものもあるかと思うのですけれども、これも年内に方向性を取りまとめられるお考えでしょうか。A: 経済産業省による認定のことについては、これはいつも申し上げているように、あくまでも発電事業者の能力をしっかり見ていくというための認定でありまして、これと実際発電事業者が発電できるための電力会社による承諾というものとは、違うという状況にあるわけであります。
現段階において、特にこの認定を変えていくですとか、そうしたということは現段階では考えておりません。Q: 法律の改正が必要な方向性の制度の見直しとかというのも、年内をめどに結論を出されるお考えについて。
A: そこを含めまして、現在では考えておりません。
.......... "
参考
・九州本土の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について-----九州電力、平成26年9月24日
九州本土の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について-九州電力 http://t.co/8v8qPR1CMy "..近い将来..接続量は約1,260万kWにも.." #renewjapan #fitjapan #kyuden #electricity #要調査
— greenpost (@greenpost) September 24, 2014
・2013年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、日本2.2%-----ソフトエネルギー、2014/06/30
・Twilog @greenpost : #接続保留問題
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