東芝と神戸製鋼、南淡路市において風力と太陽熱発電、そしてバイオマス発電のハイブリッドシステムを稼動
東芝と神戸製鋼、南淡路市において、環境省の補助事業「地球温暖化対策技術開発・実証研究事業」として進めてきた、風力と太陽熱と木質バイオマスのバイナリー発電のハイブリッドシステムを稼動させました。これは、兵庫県などが進めるあわじ環境未来島構想にそったプロジェクトです。
今回稼働を開始したシステムは、再生可能エネルギーである風力・太陽熱・バイオマスを熱エネルギー源として組み合わせ、沸点の低い熱媒体を加熱し、蒸発させて生成する蒸気でタービンを回すことにより発電します。自然条件の変化にかかわらず、安定した電力に加え、温水の供給を可能にするもので、バイナリー発電機の発電出力は70kW。今後、2014年度末まで実証試験が行われます。
システムの概念図は、計画発表時の下の図のほうが具体的でわかりやすいです。
・東芝、神戸製鋼、慶大らは、南淡路市において風力と太陽熱と木質バイオマスのバイナリー発電のハイブリッドシステムの実証へ-----ソフトエネルギー、2012/09/12
-----image : 東芝、2012年09月11日発表より
構成機器をみてみましょう。
・風力発電機-----南淡路市の既存の1.5MWの南淡風力発電所。[ 南淡路市 : 南淡風力(事業概要・風車仕様) ]
・集光型太陽熱発電(CSP) -----リリースによると、太陽熱集熱装置(大型1列:6台、小型4列:64台)。出力の記載がないので、かってにGoogleマップで見たサイズから計算すると、小型のパラボラミックトラフ式の太陽熱発電装置の水平受光面積を1500平方メートルとし、発電効率を15%とすると、75kW。大型は、500平方メートルで、約25kW。つまり、両方で出力100kWと見ておきます。
・バイナリー発電機-----神戸製鋼所のマイクロバイナリー。70kWモデル(MB-70H)。
・バイオマスボイラ(木質ペレット焚ボイラ1基、竹チップ焚ボイラ1基、九州オリンピア工業製)-----バランスからみると、ボイラ2基で100kWと勝手に予測。
両社の役割分担は、東芝は、太陽熱集熱装置および太陽熱発電システム全体を制御するシステムの開発に加え、設備建設とデジタル制御装置一式(太陽熱、風力余剰電力制御)などを利用した試験の全体取りまとめを担当。
神戸製鋼は、太陽熱集熱装置と木質バイオマスボイラで生成した蒸気を熱源とするバイナリー発電システムの開発を担当。
気になるのは、実証試験が終わったあとの運用です。風もそれほど強くないようですし、東芝の集光型太陽熱発電(CSP) の情報がまったくないので、継続した情報の発表を望みたいです。
プレスリリース / 神戸製鋼所、2014年8月22日
・風力・太陽熱・バイオマスを組み合わせたバイナリー発電設備が稼働を開始
-----image(”システムのイメージ”) : 同リリースより
" 株式会社東芝(以下 東芝)と株式会社神戸製鋼所(以下 神戸製鋼)は、環境省の補助事業注として建設を進めていた風力・太陽熱・バイオマスを熱源とするバイナリー発電システムの実験設備を完成させ、この度、実証試験を開始しました。今回稼働を開始したシステムは、再生可能エネルギーである風力・太陽熱・バイオマスを熱エネルギー源として組み合わせ、沸点の低い熱媒体を加熱し、蒸発させて生成する蒸気でタービンを回すことにより発電します。自然条件の変化にかかわらず、安定した電力に加え、温水の供給を可能にするもので、発電出力は70kWです。 今後、2014年度末まで実証試験を行う計画です。
なお、本システムは、兵庫県が中心となって推進する「あわじ環境未来島構想」の一環として、県および地元南あわじ市の協力を得て建設しました。実証試験では、南あわじ市が出資する株式会社南淡風力エネルギー開発が建設した出力1.5MWの風力発電設備の電力を使用します。東芝は、太陽熱集熱装置および太陽熱発電システム全体を制御するシステムの開発に加え、設備建設と試験の全体取りまとめを担当しています。
太陽熱集熱装置は、大型集熱器と小型集熱器で熱を回収します。回収した熱はバイナリー発電および温水供給の熱源として活用します。実証試験において、小規模施設などで経済的に使える電気・熱供給源としての太陽熱集熱装置の実現性を検証します。
制御システムでは、変動が大きい風力発電設備の発電出力から短期の変動電力を分離し、分離した電力を熱に変換し、熱媒体で吸収します。これにより、電力系統へ接続する風力発電設備からの電力を平準・安定化します。神戸製鋼は、太陽熱集熱装置と木質バイオマスボイラで生成した蒸気を熱源とするバイナリー発電システムの開発を担当します。
バイナリー発電システムには、補助熱源として木質ペレットと淡路島の竹のチップを燃料とするバイオマスボイラを設置しています。実証試験では、コンパクトかつ高効率のパッケージ型バイナリー発電装置を検証します。東芝と神戸製鋼は、本実証設備で得た技術をもとに、地域に密着した電気・熱エネルギー供給設備の開発を進め、災害時を考慮した地産地消のエネルギー源として活用するなど、再生可能エネルギーの利用拡大に貢献します。
注 環境省 地球温暖化対策技術開発・実証研究事業(競争的資金)
実証実験設備の概要
実験期間 2014年度末まで(予定)
建設地 兵庫県南あわじ市阿万西町大谷 1061番
設置設備 太陽熱集熱装置(大型1列:6台、小型4列:64台)
バイナリー発電機(1台)
バイオマスボイラ(木質ペレット焚ボイラ1基、竹チップ焚ボイラ1基、九州オリンピア工業製)
デジタル制御装置一式(太陽熱、風力余剰電力制御)
.......... "
関連
・風力・太陽熱・バイオマスを組み合わせたバイナリー発電設備が稼働を開始-----東芝、2014年08月22日
・神戸製鋼所 : バイナリー発電システム マイクロバイナリー
・兵庫県 : あわじ環境未来島構想
参考
・九州オリンピア工業 : 木質ペレット焚燃焼装置
"平成25年1月1日からの累計
(平成25年12月末現在)
発電電力量累計 2,089,189 Kwh"
コメント続き
東芝のCSPシステムと思われる施設がGoogleマップに写っていました。
-----image :
Googleマップで、淡路の東芝のCSPと思われる施設を表示。上下とも-----
下は、南淡路市の既存の1.5MWの南淡風力発電の同じくGoogleマップでの鳥瞰写真。
-----image : Googleマップで1.5MWの南淡路市 南淡風力を表示。下は、このあたりから見た景色-----
参考2
「.....火力発電の給水系統に付加することで日中の発電量が増加するため、日照条件の優れた地域では魅力的..........火力発電所の熱効率向上に向けた太陽熱付加システムの経済性評価のため、(株)神戸製鋼所及び慶応義塾大学と共同で、環境省の「風力・太陽熱・バイオマスボイラを組み合わせたバイナリー発電に関する技術開発」で、淡路島に試験設備を建設中である。今後この実証データーを基に、太陽熱システムの最適化を図り、市場の拡大を目指している。.....」
-----引用 : 東芝レビュー / バックナンバー 2013
"2013 vol.68 No.6再生可能エネルギーを活用した多様な発電システム"より
[ www.toshiba.co.jp/tech/review/
2013/06/68_06pdf/a02.pdf ]
参考エントリー
・モロッコで、160 MWのNoor 1集光型太陽熱発電(CSP) の建設が開始されました-----ソフトエネルギー、2013/05/22
・集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP) / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2011/01/29
・長崎県の小浜温泉で神戸製鋼所の地熱発電、マイクロバイナリー60kW 3台が稼動開始-----ソフトエネルギー、2013/04/12
・神戸製鋼所、125kWのバイナリー発電システム、マイクロバイナリー MB-125Sの販売を開始-----ソフトエネルギー、2013/07/25
ブログ村ランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。
greenpost(@greenpost) - Twilog-----twitter : greenpost
---しなやかな技術研究会のGoogleマップ2-----しなやかな技術研究会 まとめ
[PR]
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント