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今こそ読み返す、ブルームバーグNEFからの2011年6月の日本のエネルギー政策への7つの提言

 今こそ読み返す、ブルームバーグNEFからの2011年6月のエネルギー政策への7つの提言。よく読もう。


プレスリリース / ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス、 2011 06:25
フクシマ後の日本のエネルギー戦略に向けた7項目の提言

" 福島第一原発の危機により急激な電力不足が発生した今、日本は将来の電力源構築のために7項目の大胆な行動を検討すべきではないでしょうか。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの研究によれば、日本には化石燃料発電への依存を単純に高める以外の優れた選択肢が存在しています。

 日本は福島原発の事故で原子力発電による電力供給の20パーセントを失いました。2010年には原子力発電で300テラワット時の電力が生産され、3月の津波以前は、2019年までに生産量を50パーセント近く増加させて447テラワット時にする計画でした。炭素排出量の削減に積極的に取り組んできた日本は、再生可能エネルギーへの広範な目標を掲げつつも、その取り組みは新たな原子力発電所の計画に大きく依存していたことが現実でした。菅直人首相が5月に発表した計画も棚上げされる見通しです。日本は供給不足に対処するだけでなく、新たなエネルギー政策を早急にゼロから構築する必要に迫られています。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス最高責任者のマイケル・リーブライクは、次のように述べています。「日本の将来のエネルギー戦略に向けて、当社のアナリストが7項目の計画を作成しました。私たちは、この計画が日本経済の再活性化、十分なエネルギーの確保、炭素排出量削減目標の達成に貢献するものと考えています。」

以下が7項目の概略です:

1.省エネルギーでの世界のリーダーを目指す。
 日本は前世紀に起きた石油ショックの脅威に積極的に対応しました。その結果、1990年までは電池、ヒートポンプ、燃料電池、大量輸送、太陽光発電を含むいくつもの主要クリーンエネルギー技術で世界をリードしていました。2000年以来、日本はドイツ、デンマーク、スペイン、中国、分野によっては米国に首位の座を明け渡しています。

 日本は今こそ、産業・商業・住宅向けの緊急の省エネ計画を開始するべきです。LED活用、オートメーション・システム、スマートグリッド、その他の省エネ技術の大規模な導入には供給側を支援する仕組みが必要なため、日本企業は大規模な輸出国として設備投資を支えることができます。特に、需要を平準化することで新たな発電所建設の必要性を減らすことができる「ピークシェービング」技術を最優先すべきであり、日本は他のG20諸国に先駆けて本当のスマートグリッドへの完全接続を目指すべきです。

2.正確な費用データを入手する。
 日本の新たなエネルギー戦略の立案者は、クリーンエネルギー・ソリューションの現在の実際の費用と将来の進展を考慮することが不可欠です。太陽光発電が通常の電力小売価格と比べて十分な競争力を持っている市場がいくつか存在し、2015年までにさらに多くの市場で競争力を持つようになるという現実は、あまり知られていません。今年の最新鋭の風力発電所では補助金を含めずに1メガワット時の電力を68ドルで生産できますが、この価格は、設備投資費用と適正な環境対策費用を考慮した場合、新設の石炭火力発電所と競争できる価格です。これまで当然視されてきた集中的発電設備、ベースロードの必要性、送電網の多重化、再生可能エネルギーの高コスト体質といった先入観は捨てる必要があります。

3.固定価格買い取り法案を通過させる。
 日本では現在、電力供給の速やかな回復が急務です。固定価格買い取り制度は、政策決定者がクリーンエネルギー導入に弾みを付けるための格好の手段です。住宅用太陽光発電は電力買い取り制度と設置補助金の後押しを受け、昨年の日本での年間設置数は倍に増えました。しかし、昨年ドイツでの太陽光発電設備の新設が7.5ギガワットに達した一方、日本の新設量は1ギガワットに届きませんでした。国会では固定価格買い取り法案がすでに審議中です。この法案は、住宅用太陽光発電はもちろん、バイオマス、小水力、地熱、商業用太陽光、風力も対象としています。法案には、2年間で失効する時限措置、総量制限、販売権入札のような方式を組み入れることが望ましいでしょう。しかし、最も重要なことは素早い行動です。

4.クリーンエネルギー導入への障壁を排除する。
 迅速なクリーンエネルギー導入への障壁は取り除かねばなりません。リスクの低減、立法・計画のボトルネックの排除、公共部門での調達を通じた素早い市場創出が非常に重要です。日本の計画過程は極めて煩雑で、特に地熱・風力部門の発展を阻害しています。今が改革を行う良い機会でしょう。何らかのクリーンエネルギー技術の日本でのコストが他国より高かったり何らかのプロジェクトの実行が他国より困難であったりするのであれば、その理由を突き止め、利害関係者を結集して問題を解決するべきです。

 日本の地熱部門の大きな可能性と直面する障害については、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスが6月2日にお客さま向けに発行したインサイト・ノート「Could The Answer to Japan’s Energy Gap Lie Right Under Its Feet?(日本の電力不足への答えは足下にあり?)」で検討しています。

5.電力市場を再構築する。
 自由化については盛んに議論されていますが、日本の電力市場は他のほとんどの地域と比べて硬直しています。問題の深刻さを考えれば、問題解決への革新性・柔軟性・報償が優先されるべきですが、現在のシステムは現状の擁護に偏っています。特に、世界最大級の民間公益企業で2400万戸の顧客を有する東京電力は莫大な債務を抱え、政府の全面的な支援を必要としています。今がエネルギーについての広範な改革を進める好機であり、そうすることが日本の産業や経済の状況に波及効果をもたらすでしょう。具体的には、供給の規制緩和、新規参入者への奨励措置、ネットメータリング、新技術使用への資金援助、マイクログリッドやオフグリッド生活への支援、需要管理を奨励する創造的な仕組み、地域の大規模な再生可能エネルギー資源の活用が考えられます。

6.原子力発電への信頼の再構築を始める。
 防護マスクを装備した検査官から放射線チェックを受ける日本の幼児のイメージを消し去るのは難しいでしょう。しかし、工学的見地からは、原子力発電が大規模でさらに拡大を続ける日本のエネルギー需要を満たせない理由はありません。リスク管理の科学を実質的に築いてきたのは原子力産業であり、原子力産業はリスクの把握と管理を現場で徹底的に行うために必要な技術を持っています。求められているのは、日本の原子力産業の安全文化の徹底的な見直しです。排除すべきは、排他的な空気、政治家との癒着、ずさんさに対する許容、言い逃れ、無能力、隠蔽です。望まれるのは、独立性と透明性であり、内部告発、処分、訴追もあるべきです。

7.不足を補うために天然ガス発電を拡大する。
再生可能エネルギーを強化し、原子力発電への信頼を再構築するには間違いなく何年もかかるでしょう。短期的には、60ギガワットをわずかに上回る程度だった2010年の実績を超えるべく、日本は天然ガスの輸入とガス火力発電の能力を早急に高める必要があります。炭素排出量削減目標の観点から見れば、日本の電力不足を解消するためには石炭・石油火力発電を増やすよりもガス火力発電を拡大するほうが理にかなっています。
.......... "

[ bnef.com/assets/pdfs/press-releases/
BNEF_press_release_6_8_2011_JP.pdf ]

関連
Bloomberg New Energy Finance
- 2030 Market Outlook

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