メガソーラーや蓄電池システムを手がける千葉のエジソンパワーは、御船ホールディングス(大阪市)が鹿児島県の徳之島(大島郡天城町)に建設する2MWpのメガソーラーとリチウムイオン電池蓄電システム(出力 2MW / 電池容量 1MWh)をEPC契約により一括受注したと発表しました。2015年3月に竣工する予定だということです。EPC契約とは、建設などに係わる、設計(engineering)、調達(procurement)、建設(construction)まで一括で受注する契約です。
徳之島は九州電力管内となります。九州電力は7月に「離島の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答の保留」に関する情報を公開し、離島における再生可能エネルギーの接続が限界に近づいていると発表しました。徳之島に関しても昨年度末の接続契約申込みのかけ込み申請等もあり、既連系量と今後連系予定量の合計が、電力需給面の制約から設定される年間30日の出力抑制を踏まえた連系可能量(目安)を超過しているとのことです。これにより、これらの島に再生可能エネルギーを導入する際には、業者にも蓄電池による計画運転の実施が義務付けられるという話となっていました。蓄電池を使った調整と”捨電”システムなどが策として検討されています。
蓄電池導入のデメリットとしては、コスト増があり、さらにマイクログリッドのシステムとしての完成度を高めるための他の可能性についての議論が不足のままで蓄電池に頼りすぎているのではという指摘があります。単純に捨電するシステムとの比較などの情報が欲しいところです。
・離島の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について----九州電力、平成26年7月25日
-----image(”上-離島における再生可能エネルギーの導入状況、下-徳之島における電源設備”) : 上記リリース「説明会開催案内 徳之島 資料 PDF」より-----
徳之島には、上の資料のように10ヶ所合計30,500kWのディーゼル発電所と1基140kWの小水力発電所があります。ここに新たに導入される太陽光発電所ですが、発電は昼の日射量がある時だけです。さらに、曇天や荒天時には発電量は期待できないわけです。この変化にディーゼル発電の発電量の調整が即時にできればいいのですが、技術的な問題や機器への負担の問題も生じます。
うまく既存のディーゼルを合理的に焚き減らすことができるシステムが必要とされています。そこで、全体のシステムの中で、合理的に導入できる太陽光発電の接続限界量の試算した値が発表されています。徳之島では、既存の太陽光が2MWpあまり、今後の予定が5MWpもあり、九州電力の試算では島内需要を供給が超過する状況が生まれます。そこで、蓄電池や捨電のシステムを導入事業者が用意する(負担)する場合には、個別に接続協議を行うとしているのです。
今回のエジソンパワーのシステムは、2MWpのメガソーラーとリチウムイオン電池蓄電システム(出力 2MW / 電池容量 1MWh)。日経の記事よると、この蓄電池システムの価格は、1kWh当たり約10万円ということですから、 1MWhの容量では、1億円となります。太陽電池が仮に2MWpで7億円(離島なので高め?)とすると、約15%も割り高にる計算です。今後の離島での再生可能エネルギーの導入に関する量的なバランスを考える上で、九電管内の離島の今後に注目です。
エジソンパワーは、2MWのリチウムイオン電池蓄電システムを韓国のサムスンSDIから調達しています。同社のホームページでは、1コンテナで84KWhのコンテナ型蓄電システム「EP-ESSシリーズ」が紹介されていました。今後エジソンパワーは、日本各地にサムスンSDIの大型リチウムイオン電池蓄電システムを併設したメガソーラーを建設する体制を整備、今後5年間に20か所建設する計画だということです。
国内各社も蓄電池に力を入れる中で、コストとシステムの能力により、競争が進みそうです。
プレスリリース / エジソンパワー、2014/08/07
・リチウムイオン電池を併設した商業用メガソーラーを徳之島に建設
" 日本で初めてリチウムイオン電池蓄電システム併設した事業用メガソーラーを徳之島に建設
御船ホールディングス(大阪府大阪市)は、鹿児島県大島郡天城町(徳之島)に太陽光発電の出力変動を制御する蓄電システム(出力 2MW / 電池容量 1MWh)を併設したメガソーラー(2MW)の建設に着手します。2015年3月竣工予定で、EPC(設計・調達・建設)はエジソンパワー(千葉県木更津市)が請け負い、リチウムイオン電池蓄電システムはサムスンSDI(大韓民国 京畿道)が供給します。太陽光発電により発電した電力は固定価格買取制度に基づき九州電力に販売する予定であり、リチウムイオン電池蓄電システムを設置して事業用発電を行う日本で初めての事例となります。
また、本プロジェクトに先立ちエジソンパワーとサムスンSDIは、日本市場において大型リチウムイオン電池蓄電システムを大規模に普及させる業務について合意書を交わしました。
エジソンパワーは停電時のライフライン確保のための蓄電システムの販売だけでなく、再生可能エネルギーの普及のため、沖縄をはじめとする島嶼部や北海道など日本各地にサムスンSDIの大型リチウムイオン電池蓄電システムを併設したメガソーラーを、今後5年間に20か所建設する計画です。
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関連
・エジソンパワー : コンテナ型蓄電システム「EP-ESSシリーズ」
・Samsung SDI : ESS - Utility Solution
・サムスン、日本で大型蓄電池販売 メガソーラー向け-----日本経済新聞、2014/8/1(2014/8/1 鹿児島県徳之島に太陽光発電所建設。 サムスンSDIの大型蓄電池を導入。→日本経済新聞 掲載記事はこちら-御船ホールディングス)
".....今秋から1キロワット時当たり約10万円で、発電所の建設とあわせて販売していく。最初の大型案件として、鹿児島県徳之島に容量1000キロワット時のリチウムイオン電池の納入を決めた....."
参考エントリー
・東芝、英国シェフィールド大学の系統周波数調整実証試験向けにコンテナ型SCiB蓄電池を受注-----ソフトエネルギー、2014/06/24
・NEC、イタリア大手電力会社に欧州最大クラスの大容量 2MWhリチウムイオン蓄電システムを納入-----ソフトエネルギー、2014/04/24
・東北電力、西仙台変電所に2万kWh(20MWh)の世界最大規模のリチウムイオン蓄電設備、着工-----ソフトエネルギー、2013/11/28
・北海道電力に、国の予算で6万kWh(60MWh)レドックスフロー蓄電池の導入決定-----ソフトエネルギー、2013/08/01
・GEの蓄電池付き最新型2.5MW風力発電機の例で考えるグリッドの再エネ受け入れ可能バランスとは?-----ソフトエネルギー、2013/05/09
・NTTファシリティーズ、青森県でコンテナ型データセンターの風力発電所由来の電力利用と接外気冷房の実証実験を開始-----ソフトエネルギー、2011/12/01