« 東芝、インドネシアの330MWサルーラ地熱発電所向けに蒸気タービンと発電機3セットを受注 | トップページ | オリックス、北海道函館市と青森県風間浦村で2MW級の地熱発電の事業化調査を開始 »

浮体式洋上風力、海流、潮流発電、そしてOTECなど、今後のわが国の海洋エネルギー開発フィールドと案件が決まった

 政府の総合海洋政策本部は、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの実証実験に使う海域の公募を行っていました。そして、平成26年7月15日、7県11海域の提案があり、新潟県、佐賀県、長崎県(3海域)、沖縄県の6海域を実証フィールドに選定したと発表しました。

 新潟県の粟島浦村沖では、海流(潮流)、波力、浮体式洋上風力が選定されました。詳細は明らかではありませんが、新潟県の発表によれば、フルスケール(実用機)での実証前に必要とされる、低リスクで着手可能な小型プロトタイプ向けの実証フィールドとして、粟島北側の沖が選ばれました。
 佐賀県の唐津市加部島沖は、潮流・浮体式洋上風力のフィールドとして選ばれました。これは、昨年10月にお披露目が予定されていた三井海洋開発の”浮体式潮流・風力ハイブリッド発電 skwíd(スクウィッド)が、トラブルで棚上げになっていたプロジェクトの継続案件です。
 振るっているのは長崎県、潮流・海流、そして浮体式洋上風力の3案件が選ばれました。五島市の椛島沖では、環境省の2MW浮体式洋上風力が、国内初の浮体式風力発電の実証地で2013年の10月から稼動中です。今回実証フィールドに”再選定”されたことで、データーなどの透明性や実用化へのヒントとなる成果があがることに期待したい案件です。
 そして、沖縄県の久米島町の海洋温度差発電。こちらは、2013年の4月から沖縄県海洋深層水研究所で、50kW海洋温度差発電プラントが稼動しています。実証を経て大型のプラントの建設が計画されています。
 さらに、下の4県5海域も気象・海象条件、関係者との調整等に関する要件には十分に適合すると認められるため、利用者の確定が確認された時点で実証フィールドに選定する予定だということです。

岩手県 釜石市沖 波力、浮体式洋上風力

和歌山県 串本町 潮岬沖 海流

鹿児島県 長島町 長島海峡 潮流
鹿児島県 十島村 口之島・中之島周辺 海流

沖縄県 石垣島沖 波力

 海洋エネルギーに関しては、2030年ころまでに実用化の目処を迎えるという目標があります。世界的にもさまざまな試みがありますが、実際のところ海洋エネルギーの利用にはまだまだ高いハードルがあります。そのためにも、実証フィールドの存在は重要となります。今後も注目していきます。
 

プレスリリース
/ 総合海洋政策本部事務局(首相官邸)、平成26年7月15日
海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定結果について

"  内閣官房総合海洋政策本部事務局
「海洋再生可能エネルギー利用促進に関する今後の取組方針」(平成24年5月25日総合海洋政策本部決定)に基づき、海洋再生可能エネルギー利用のための実験海域である「実証フィールド」を募集したところ、7県11海域の提案がありました。
 これらの海域について、有識者の意見を聴きつつ、実証フィールドの要件への適合状況を審査した結果、以下のとおり実証フィールドを選定しましたのでお知らせします。

”1. 実証フィールドに選定された海域(6海域)

都道府県 海域 エネルギーの種類
新潟県 粟島浦村沖 海流(潮流)、波力、浮体式洋上風力

佐賀県 唐津市 加部島沖 潮流、浮体式洋上風力

長崎県 五島市 久賀島沖 潮流
長崎県 五島市 椛島沖 浮体式洋上風力
長崎県 西海市 江島・平島沖 潮流

沖縄県 久米島町 海洋温度差


2. 要件への適合を確認次第、実証フィールドに選定することとする海域(5海域)以下の海域については、要件の1つである利用の見込みが未だ不確定です。
 しかしながら、気象・海象条件、関係者との調整等に関する要件には十分に適合すると認められるため、利用者の確定が確認された時点で実証フィールドに選定することとします。

都道府県 海域 エネルギーの種類
岩手県 釜石市沖 波力、浮体式洋上風力

和歌山県 串本町 潮岬沖 海流

鹿児島県 長島町 長島海峡 潮流
鹿児島県 十島村 口之島・中之島周辺 海流

沖縄県 石垣島沖 波力”-----同リリースPDFより
......... "

関連
海洋再生可能エネルギー実証フィールドに、新潟県粟島浦村沖が選定されました。-----新潟県、2014年07月15日

佐賀県海域が国の海洋再生可能エネルギー「実証フィールド」に指定されました-----佐賀県、2014年7月15日

唐津市加部島沖で世界初の潮流・風力ハイブリッド発電実証計画進行中-----唐津市、2014/3/24

海洋再生可能エネルギー実証フィールドの候補地選定等について-----長崎県、2013年9月4日

海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定結果について-----沖縄県、2014年7月16日

首相官邸 政策会議 : 総合海洋政策本部 / 海洋再生可能エネルギー利用促進に関する取組について

政府、2014からの海洋エネルギーの実証実験に使う海域の公募を開始-----ソフトエネルギー、2013/03/13

参考エントリー
 新潟県 粟島浦村沖 海流(潮流)、波力、浮体式洋上風力
新潟県、粟島沖で日大理工学部の小型プロトタイプ潮流発電機の実証実験を共同実施-----ソフトエネルギー、2014/11/11

 沖縄県久米島の海洋温度差発電
ゼネシス、IHIプラント、横河電機、沖縄県で海洋温度差発電の実証事業を開始-----ソフトエネルギー、2012/07/11

久米島の沖縄県海洋深層水研究所で、50kW海洋温度差発電プラントが稼動-----ソフトエネルギー、2013/05/01

神戸製鋼所、久米島の海洋温度差発電実証事業に高伝熱チタン板を供給-----ソフトエネルギー、2013/06/17

 佐賀県唐津市加部島沖で実施される潮流・風力ハイブリッド発電実証計画関連
佐賀県、三井海洋開発、“世界初” 浮体式潮流・風力ハイブリッド発電[skwíd](スクウィッド)発表-----自然エネルギー、2013/05/16

佐賀の浮体式潮流・風力ハイブリッド発電装置 skwíd スクウィッド、運搬中に事故。水車部分が水中に落下-----ソフトエネルギー、2013/10/16

 長崎県五島市椛島沖浮体式風力発電
環境省、国内初の浮体式風力発電の実証地として五島沖を選定、実証実験へ。2016年の実用化を目指す-----ソフトエネルギー、2010/12/24

長崎県五島沖に世界初の2MW Hybrid Spar型浮体式洋上風力発電機が登場!-----ソフトエネルギー、2013/11/06


コメント続き
 環境省から、平成26年度潮流発電技術実用化推進事業の選定結果が発表されました。

代表事業者 実証場所 期間 東亜建設工業株式会社 長崎県五島市沖 平成26~30年度(予定)

三菱重工業株式会社 兵庫県淡路市岩屋沖 平成26~30年度(予定)


プレスリリース
/ 環境省、平成26年7月15日
平成26年度潮流発電技術実用化推進事業の公募結果について

" 平成26年5月14日から6月13日まで事業実施者の公募を行った「平成26年度潮流発電技術実用化推進事業」について、この度、採択案件を決定したのでお知らせします。
1.事業の概要

再生可能エネルギーの導入量の拡大と温室効果ガスの削減を更に進めるため、国内の海域に適し、普及可能性が高く、環境影響も小さい潮流発電の開発及び実証を行います。 

2.審査方法

 外部専門家から構成される審査委員会においてヒアリングを行い、以下の観点から採否等について審査を実施しました。

a)開発・実証の妥当性:本事業の目的、趣旨と合致しているか。

b)技術的意義:採用する技術・システムに実用性、先導性、発展性があるか。

c)社会的意義:地球温暖化対策を推進する上での社会的・経済的・行政的な必要性が高いか。

d)実施体制・実施計画:事業実施体制・実施計画が妥当であるか。

e)目標設定・達成可能性:事業の成果及びCO2削減効果の目標の設定は妥当かつ十分であるか。また、目標の達成が見込まれるか。

f)事業化・普及の見込み:早期の事業化、普及が見込まれるか。

g)経費の妥当性:事業の目標を達成するために経費は十分であるか、過剰に計上していないか。

3.審査の結果

 本事業の公募に対し5件の応募があり、審査の結果下記の2事業者を採択しました。

代表事業者 実証場所 期間
東亜建設工業株式会社 長崎県五島市沖 平成26~30年度(予定)※

三菱重工業株式会社 兵庫県淡路市岩屋沖 平成26~30年度(予定)※

※毎年度中間審査を行い、経費・事業計画の見直しの要否や事業継続可否の判断をします。
.......... "

関連
淡路市岩屋沖における潮流発電の実用化に向けた実証実験に着手(あわじ環境未来島構想のプロジェクトが「潮流発電技術実用化推進事業」(環境省)に採択)-----兵庫県、2014年7月16日

"..........三菱重工業(株)が淡路島岩屋漁業協同組合、淡路市などの関係機関の協力を得て、明石海峡の速い潮流を生かした発電の実用化に向けて検討を進めてきたところですが、この度、環境省が公募した事業について、三菱重工業(株)を中心とする共同企業体が採択され、淡路市岩屋沖をフィールドに事業化実証を行うことになりました。本年度は、まず潮流発電設備(500kW級)の基本計画を実施し、併せて淡路市岩屋沖における潮流実測など対象海域における環境影響基礎調査を実施..........
1 採択された事業
 潮流発電技術実用化推進事業(環境省委託事業) ※26年度新規事業
2 代表事業者
 三菱重工業株式会社
 ※ 県地域振興課、県立工業技術センター、淡路市、関西電力(株)がアドバイザーとして参画。
3 事業期間
 5年間(平成26~30年度)の予定
4 平成26年度受託額
 約97百万円(調整中)
※ 27年度以降の受託額については毎年度環境省と協議のうえ決定
5 事業実施場所
 淡路市岩屋沖(今後、海底地形の調査や長期間にわたる海況実測結果を踏まえ、最終的に設置場所を選定する予定)
.......... "

・兵庫県 : あわじ環境未来島構想

"..........
(ア)エネルギーの持続
・身近な地域資源を活用した多様な再生可能エネルギーのベストミックス
 複合的なバイオマス利用、太陽熱発電とその排熱利用型バイナリー発電の高効率ハイブリッド実証、日本有数の潮流を活用した潮流発電の検討、良好な風況を生かした洋上・陸上風力発電の検討、大規模な土取り跡地等の未利用地を活用した太陽光発電所の整備、事業所・家庭での太陽光発電の導入促進
・エネルギーと地域をつなぐ「あわじ環境市民ファンド」の創設
・多様な主体の創意工夫を生かすエネルギー消費の最適化
.......... "


 さらに、NEDOからは、平成26年度「海洋エネルギー技術研究開発」に係る実施体制の決定が発表されました。

プレスリリース
/ NEDO、平成26年7月16日
平成26年度「海洋エネルギー技術研究開発」に係る実施体制の決定について

".........
詳細

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)では、平成26年4月30日から平成26年5月30日まで「海洋エネルギー技術研究開発」に係る公募を実施し、厳正な審査の結果、別紙1のとおり4件の採択予定先を決定いたしました。

1.事業概要
 本事業では、波力、潮流、海流等を対象として以下の研究を行います。

海洋エネルギー発電システム実証研究
 事業化時の試算で発電コスト40円/kWh以下の実現を目標とした実海域における海洋エネルギー発電システムの実証研究を行います。

次世代海洋エネルギー発電技術研究開発
 平成32年以降の事業化時に発電コスト20円/kWh以下の実現に向け、次世代海洋エネルギー発電の発電性能や信頼性向上等に資する要素技術の開発を行います。

海洋エネルギー発電技術共通基盤研究
 欧州を中心とした海洋エネルギーの先進地域における産業政策、技術開発や市場動向等、先進情報を収集・分析、海洋エネルギー発電技術に係る性能試験・評価方法や手順に関する指針、国内市場のポテンシャルや導入に必要な条件等、海洋エネルギー発電技術開発を推進する情報基盤を整理する。

2.審査状況
 ご提案いただいた4件の研究開発テーマについて、外部有識者による採択審査委員会(別紙2)及びNEDO内の厳正な審査を経て、採択予定先を決定いたしました。

” 海洋エネルギー技術研究開発採択予定先一覧

海洋エネルギー発電システム実証研究共同研究予定先
 ジャパン マリンユナイテッド株式会社 国立大学法人佐賀大学

次世代海洋エネルギー発電技術研究開発委託予定先
 川崎重工業株式会社 国立大学法人九州大学

海洋エネルギー発電技術共通基盤研究委託予定先
 みずほ情報総研株式会社 国立大学法人九州大学 国立大学法人鹿児島大学

海洋エネルギー発電技術共通基盤研究委託予定先
 国立大学法人東京大学独立行政法人海洋研究開発機構
.......... ”-----資料「別紙1 採択予定先(PDF)」より "


 海洋にぐるりと囲まれた海洋国家として、どこまで真剣に海洋エネルギーの利用に取り組めるのは? 非常に大きな課題です。是非成果を!

参考
・Twilog @greenpost : #renewjapan #renewmarine(国内の海洋エネルギー関連情報)


追加情報

・2012 NEDO




ブログランキング・にほんブログ村へ

ブログ村ランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。





greenpost(@greenpost) - Twilog-----twitter : greenpost
---しなやかな技術研究会のGoogleマップ2-----しなやかな技術研究会 まとめ

[PR]

|

« 東芝、インドネシアの330MWサルーラ地熱発電所向けに蒸気タービンと発電機3セットを受注 | トップページ | オリックス、北海道函館市と青森県風間浦村で2MW級の地熱発電の事業化調査を開始 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 浮体式洋上風力、海流、潮流発電、そしてOTECなど、今後のわが国の海洋エネルギー開発フィールドと案件が決まった:

« 東芝、インドネシアの330MWサルーラ地熱発電所向けに蒸気タービンと発電機3セットを受注 | トップページ | オリックス、北海道函館市と青森県風間浦村で2MW級の地熱発電の事業化調査を開始 »