2013年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、日本2.2%
2013年度の総発電電力量に占める、再生可能エネルギーの割合は2.2%だったということです。2012年度が1.6%だったので、順当なのびを示しています。ちなみに、2011年度は1.4%でした。2012年7月から開始された再生可能エネルギーの固定価格買取制度の成果ですが、今のところ大部分が太陽光発電によるものですので、今後の制度の運用と”見直し”内容が今後の動向の大きな鍵となります。
経済産業省は、平成26年6月17日に新エネルギー小委員会の第一回会合を開き、議論する上での論点整理を開始、年内にも見直しとしてまとめるようです。抜本的な解決と運用方法となることが期待されます。
・経産省、新エネルギー小委員会第一回会合を開催。再エネ導入制度の抜本的見直しとは?-----ソフトエネルギー、2014/06/17
この経産省、新エネルギー小委員会で公開される資料は必見です。第一回の公開資料からいくつか図をひろっておきます。
”2012年の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合の国際比較”では、
ドイツ 水力 3.5 % + 再生可能エネルギー(水力を除く) 18.9 % = 合計 22 %
スペイン 水力 7.0 % + 再生可能エネルギー(水力を除く) 22.5 % = 合計 30 %
イギリス 水力 1.5 % + 再生可能エネルギー(水力を除く) 4.5 % = 合計 11 %
フランス 水力 10.2 % + 再生可能エネルギー(水力を除く) 18.9 % = 合計 15 %
アメリカ 水力 6.5 % + 再生可能エネルギー(水力を除く) 5.6 % = 合計 12 %
日本 水力 8.5 % + 再生可能エネルギー(水力を除く) 2.2 % = 合計 11 %
という2012年の数字が示されていました。合計がおそろしく丸められているので根拠となる数字を、あとであたってみたいと思います。この数字に、各国の直近10年間の年度ごとの増加状況を加えると、再生可能エネルギーの各国での位置づけがよくわかりそうです。
また、欧米は風力に大きな力を注いでいます。太陽光発電と風力の発電のタイミングがずれることで、気象予報と合わせて、発電側の調整、需給応答の整備などにより、再生可能エネルギーの発電の信頼性がより高くなります。日本の人口密度など(地域ごとの産業と生活にかかる電力消費量とパターンの分析)を考えた電源としての信頼性を確保するという視点から、さまざまな再生可能エネルギーを利用できる状況の確保が急がれます。2020年までに、日本型の再生可能エネルギーの有効なパターンを生み出すことができるか? 非常に大事な時期となってきました。
-----image(”再生可能エネルギー等の導入状況”) : 経済産業省作成資料「再生可能エネルギーを巡る現状と課題[PDF、平成26年6月17日」(総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会(平成26年6月17日 第1回)‐配布資料)より
-----image(”発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合の国際比較[2012]”) : 経済産業省作成資料「再生可能エネルギーを巡る現状と課題[PDF、平成26年6月17日」(総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会(平成26年6月17日 第1回)‐配布資料)より
*【出所】日本:「電源開発の概要」等より作成 ドイツ、スペイン、イギリス、フランス、イタリア、アメリカ:2012年推計値データ、IEA, Energy Balances of OECD Countries (2013 edition)
-----image(”再生可能エネルギー等(大規模水力除く)による設備容量の推移”) : 経済産業省作成資料「再生可能エネルギーを巡る現状と課題[PDF、平成26年6月17日」(総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会(平成26年6月17日 第1回)‐配布資料)より
*【出所】日本:「電源開発の概要」等より作成 ドイツ、スペイン、イギリス、フランス、イタリア、アメリカ:2012年推計値データ、IEA, Energy Balances of OECD Countries (2013 edition)
(JPEA出荷統計、NEDOの風力発電設備実績統計、包蔵水力調査、地熱発電の現状と動向、RPS制度・固定価格買取制度認定実績等より資源エネルギー庁作成) 。※2013年度の設備容量は2014年3月末までの数字
関連エントリー
・2012年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、日本1.6%-----ソフトエネルギー、2013/07/01
・「平成25年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)」が閣議決定されました-----自然エネルギー、2014/06/18
コメント続き
2012年度の総発電電力量の記事のコメント欄でご指摘いただいているように、日本の再生可能エネルギーは、自家消費分がカウントされていないなど、過小評価されています。また、蓄電池など金のかかる安定化対策が必須とされていますが、最近のアメリカなどでの研究では、気象予報の確度をあげ、需給応答の精度を上げることで、電力の3割程度まで、電力網を不安定化させることなく再生可能エネルギーを導入できるとする研究があります。
ただ、スペインやドイツの導入量でもさまざまな蓄電池などのストレージを導入する可能性が検討されています。15-20%の導入量からそれらが検討されはじめたという感じだと考えています。
日本の電量網とそれに要求される質が、各国とは異なるという話も聞きますが、各発電ソースのリアルタイムでの把握とそのデーターの公開がなされている、スペインやドイツなどの例を見ると、開かれた電力システムの構築が、何にもまして必要だと思います。
今後の電力供給システム、需給応答の分野での進化を日本にも期待しています。
追加情報
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会(第3回)配布資料 資料4 再生可能エネルギーの導入量等に関する検討(訂正版) http://t.co/Mu73WTs4SX #renewjapan #エネルギー政策 #politicsjp #meti
— greenpost (@greenpost) September 18, 2014
・再生可能エネルギーの比率20%超へ、早くも2030年の目標に近づく-----スマートジャパン、2014年09月17日
参考エントリー
・米国立再生可能エネルギー研究所 National Renewable Energy Laboratory、電力網は従来の研究よりも不安定化の恐れなく大量の再生可能エネルギーを受け入れることができるという研究成果を発表-----ソフトエネルギー、2010/07/09
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