大成建設と三菱化学、発電する壁をもつZEBの実現にむけて「有機薄膜太陽電池外壁ユニット」の実証試験を開始
大成建設と三菱化学は、発電する壁をもつZEBの実現にむけて「有機薄膜太陽電池外壁ユニット」の実証試験を開始する。ZEBとは、ゼロエネルギービル(Zero Energy Building)のことで、熱と電気のエネルギーの需給バランスが一個の建物としてトータルゼロになるように設計されたもののことです。実際には、年間の消費エネルギーを限りなくゼロにするように配慮され、設計されたビルです。
大成建設は、横浜市戸塚区に『ZEB実証棟』を建設中で、三菱化学と共同開発した『有機薄膜太陽電池外壁ユニット』を導入し、実用化に向けた実証を進めるとのことです。
この太陽電池は、フレキシブル性や軽量性、また、建物の長寿命化に伴う機器更新の容易さなどを備え、ビルの外壁への取り付けに対応しています。さらに、サイズや色など建物に求められるデザインにも柔軟に対応できます。太陽電池は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「有機系太陽電池実用化先導技術開発」助成事業で開発中の三菱化学の有機薄膜太陽電池を利用、さらに建物外装に関する設計・施工において多くの実績とノウハウを有する大成建設の技術を加えることで、外壁ユニットに組み込むことができる太陽電池モジュールを開発しました。
ちなみに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、この三菱化学のプロジェクトを含む、有機系太陽電池の特徴の早期実用化を目的とした実証プロジェクトを5つ採択、2010年代後半の実用化を目指した製品用途開拓を行っています。結晶系の太陽電池や化合物系とは一味違った、太陽電池の用途開発に適した、有機薄膜太陽電池のこれからの進化に期待がもたれています。
プレスリリース / 大成建設、2014年3月24日
・ZEBに対応した『有機薄膜太陽電池外壁ユニット』の開発と導入〜 「都市型ZEB」を目指し実証試験開始
" 大成建設株式会社(略)は、三菱化学株式会社(略)と共に、世界で初めて有機薄膜太陽電池を用いた発電する建物外壁ユニットを開発し、大成建設が都市型ゼロエネルギービル(Zero Energy Building:ZEB)の実現に向け建設を進めている建物へ導入し、実証試験を開始することとしました。三菱化学は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」に採択され有機薄膜太陽電池の実証実験を進めてきました。近年、建物の省エネや災害時における機能維持に関する要求が高まっており、快適性を損なわずに消費エネルギー量を削減し、その上で必要なエネルギーを再生可能エネルギー等で賄うことで年間の消費エネルギーを限りなくゼロにする“ZEB”の実現へ向けた取り組みが加速しています。
太陽光発電は、その要素技術において日本が世界をリードする再生可能エネルギーですが、パネルの設置面積が限られる都市部の建物においては、より多くの発電量を確保するために、屋根や屋上面への設置に加え壁や窓などの側面を有効活用することが必須となります。しかし、建物の外壁へ設置するためには、サイズや色など建物に求められるデザインに対応できるフレキシブル性や軽量性、また、建物の長寿命化に伴う機器更新の容易さなどが必要となり、本格的な建物の外壁対応型太陽光発電パネルは今まで実用化されていませんでした。
このたび両社で開発した『有機薄膜太陽電池外壁ユニット』は、上記の課題を解決するために、薄くて軽く、色の自由度を持ち合わせ意匠性が高い三菱化学の有機薄膜太陽電池(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「有機系太陽電池実用化先導技術開発」助成事業で開発中)を使用し、建物外装に関する設計・施工において多くの実績とノウハウを有する大成建設の技術を用いる事で、クリーンで持続可能なエネルギーを供給しつつ、建物の多様な階高やスパンへの適応、多様な色の選定が可能な意匠性、軽量性、将来の機器更新の容易性、等を併せ持つ本格的な発電する外壁ユニットです。
両社は今後、大成建設が技術センター(横浜市戸塚区)内に建設中の『ZEB実証棟』へ、今般共同開発した『有機薄膜太陽電池外壁ユニット』を導入し、実用化に向けた実証を進めていきます。
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【ゼロエネルギービルとは】
経済産業省の研究会により2009年に「建築物や設備機器の省エネルギー性能の向上、エネルギーの面的利用、敷地内での再生可能エネルギーの活用などにより、建築物における年間の1次エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロまたはおおむねゼロとする建築物」と提唱されています。
世界的にも、気候環境が良くエネルギー負荷の比較的少ない地域で屋根面積を大きく取り太陽光パネルによる発電量を確保出来る建物での事例が多く、都市の建物における実現は難易度が高いとされています。
-----image : 同リリースより
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関連
・ZEBに対応した『有機薄膜太陽電池外壁ユニット』の開発と導入-----三菱化学、2014年3月24日
・三菱化学 : 有機太陽電池
".....世界最高のエネルギー変換効率11.7%を実現....."
- 要素技術 塗布
- 要素技術 分子設計
・NEDO : 有機系太陽電池実用化先導技術開発
- 平成24年7月9日 平成24年度「有機系太陽電池実用化先導技術開発」に係る実施体制の決定について
".....有機薄膜太陽電池の生産プロセス技術開発および実証化検討 三菱化学株式会社 ....."
追加情報
・ZEB実証棟が技術センターに完成-----大成建設、2014年6月16日
#ZEB 実証棟が技術センターに完成-----大成建設 http://t.co/tYuagVvLpv #ecobldg #renewjapan #energysaving 参考 http://t.co/21yiMI2z5R pic.twitter.com/W37xrJniDI
— greenpost (@greenpost) June 16, 2014
参考
・Wikipedia : Zero-energy building
・NEDO、有機系太陽電池の実証試験を開始-----ソフトエネルギー、2013/07/22
・NEDO、有機系太陽電池の実証5プロジェクトを採択。2010年代後半の実用化を目指した実証研究へ-----ソフトエネルギー、2012/07/10
・三菱化学、4月から屋根用防水シート型太陽電池、ジオアシートPVを発売。さらに外壁用太陽電池なども開発中-----ソフトエネルギー、2010/03/16
・東京大学中村栄一教授らのチーム、新型有機薄膜太陽電池の開発に成功-----ソフトエネルギー、2009/11/05
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