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パナソニック、約3kWpのコンテナ型独立系太陽光発電システムを開発。インドネシアの小学校へ

 パナソニック、エコソリューションズ社は、約3kWpのコンテナ型独立系太陽光発電パッケージ「パワーサプライコンテナ」を開発しました。サイズは、太陽電池をコンテナから出して展開したサイズで4780(W)×3452(L)×3486(H)、重さはおおよそ3トン。コンテナは、海上輸送用コンテナでサイズが3029(W)×2438(L)×2591(H)です。工場で組み立てて海外に運ぶことも、そして現地でのくみ上げなどにも対応しています。
 そして、今回「パワーサプライコンテナ」は、ト「中部ジャワ州カリムンジャワ島における電化促進による初等教育環境改善と貧困削減計画」として、在インドネシア日本大使館の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を活用した官民連携案件に採用され、カリムンジャワ国立第一小学校に納入されることが決まりました。
 インドネシアは、多数の島からなる島国で、特に発電設備や配電網整備がしにくい島嶼部における電化は十分ではなく、同小学校のあるカリムンジャワ地域は、夜間はディーゼル発電機による電化、日中は無電化という半電化の環境だというとです。ここで、独立系の太陽光発電システムとなっている「パワーサプライコンテナ」は、日中電気がないことによって、教育環境が十分に整わないという課題の解消に取り組むことに供されることになります。

 詳しくシステムの詳細を見てみましょう。
-太陽電池-----240Wp単結晶系ハイブリッド型太陽電池「HIT(R)240」 12枚。合計約3kWp
-充放電コントローラー-----詳細不明
-DC-ACインバーター-----最大出力3kW
-蓄電池-----ディープサイクル鉛蓄電池 12V/60Ah 24台。合計17.2kWh

 日本より日射条件は若干いいようですので、日射日平均4kWh/平方メートル・日程度はいけそうな地域ですので、日本の一般住宅用のシステム相当の比較的大きな、しかし、小学校という施設に対しては、コンパクトな太陽光発電による電源となっています。用途としてリリースに記載されているのは、照明、扇風機の学校電気設備、そしてパソコン、プロジェクター、テレビ等の視聴覚・情報用の教育ツールです。授業のある時間帯にはそれらに電力を供給し、授業の無い時間帯に発生する余剰電力は近隣のコミュニティへの供給も行い、地域の電力としての利用も行われるそうです。カリムンジャワ国立第一小学校には、今年の7月に納入される予定です。事後の報告、リリースを楽しみにしています。
 
 さらに、最も興味深かった点は、このは、量産型の製品として開発・企画されている点です。インドネシア現地法人のパナソニック・ゴーベルES製造にて製造および品質管理をおこない、日本の評価技術のノウハウをインドネシアへ技術移転されることです。今後、量産化による更なるローコストの実現も可能ということで、未電化地域の教育および生活の向上に広く、安価に普及していく可能性がある事業である点です。


プレスリリース / パナソニック、2014年3月25日
在インドネシア日本国大使館のODAを活用した官民連携案件での採用が決定 新興国無電化地域に向けた太陽光独立電源パッケージ「パワーサプライコンテナ」を開発

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-----image : 同リリースより-----
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" 新興諸国を中心に展開し、グローバルでの電力インフラ課題の解決を目指す

 パナソニック株式会社 エコソリューションズ社は、新興諸国などに多く存在する無電化地域向けの太陽光独立電源パッケージ「パワーサプライコンテナ」を開発しました。「パワーサプライコンテナ」は、太陽電池(※1)と鉛蓄電池(※2)に加え、新開発のエネルギーマネジメントシステム「パワーサプライコントロールユニット」を搭載しています。また、このたび、この「パワーサプライコンテナ」を電源とするプロジェクト「中部ジャワ州カリムンジャワ島における電化促進による初等教育環境改善と貧困削減計画」が、在インドネシア日本大使館の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を活用した官民連携案件(※3)に採用され、3月24日にインドネシア(ジャカルタ)にて署名式をおこないました。本プロジェクトでは、離島地域の教育環境改善を目的に、電源システムをカリムンジャワ国立第一小学校へ納入します。

 インドネシアは、約13,000島からなる島国であり、特に発電設備や配電網整備がしにくい島嶼部における電化は十分ではありません。このたび、太陽光独立電源パッケージを導入するカリムンジャワ地域では、夜間はディーゼル発電機による電化、日中は無電化という半電化の環境であり、日中電気がないことによって、教育環境が十分に整わないことが課題となっています。

 当社は、これらの課題を解決するために「パワーサプライコンテナ」をカリムンジャワ国立第一小学校に導入し、照明、扇風機の学校電気設備やパソコン、プロジェクター、テレビ等の教育ツールに対する電源を供給することで、施設環境、教育環境の改善を図ります。2014年7月頃からの運用を目指し、導入を進めます。
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-----image : 同リリースより
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関連
・パナソニック エコソリューションズ社 : ニュース


参考
-----Googleで関連サイトを検索 : パナソニック-----

・Twilog : @greenpost - #panasonic(パナソニックに関するツィート)

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住友電工、集光型太陽光発電装置(CPV)を製品化。2基約30kWpのシステムを宮崎大学に設置

 住友電工は、かねてから実証運転中だった集光型太陽光発電装置(CPV)を製品化したと発表しました。今回開発されたモジュールは、厚み約100mm、重量10kg未満の薄型軽量で、これを複数組み合わせることで、1基約15kWpの発電ユニットを実現しています。(1ユニット64モジュール構成とのことなので、1モジュールがおおよそ234Wp程度)

 同社は、28基で200kWpの集光型太陽光発電装置(CPV)、および世界最大規模のレドックスフロー電池5MWhを開発し、横浜製作所において実証システム実証運転を2012年7月より行ってきました。この集光型太陽光発電装置(CPV)は、発電素子にレンズで集光させた高密度の太陽光を入射させることによって、小面積の発電素子でエネルギー変換をする太陽光発電装置です。発電素子は、化合物系の太陽電池を用いています。その発電効率は、市販のシリコンパネルに比べておおよそ2倍です。架台は、追尾式で効率よく太陽光を捉えることができます。
 今回宮崎大学に設置された2基約30kWpの1基には、全面に同大学のロゴマークが描かれ、看板としての役割も担います。ユニークなサインボードです!

 
プレスリリース / 住友電工、2014年3月27日
集光型太陽光発電装置(CPV)を製品化

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-----image[上-"図1)システムおよびモジュール構造"、下-”図2)発電出力比較(モロッコにおける社内実証データーより)”] : 同リリースより-----
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" 次世代太陽光発電システムとして、宮崎大学に設置、運転開始

 当社は、次世代の発電システムとして期待される集光型太陽光発電装置(以下、CPV)を製品化し、このたび国立大学法人 宮崎大学の木花キャンパス内に設置頂き、発電を開始しました。
 CPVは、高日射環境において結晶シリコン太陽電池など従来型の太陽光発電システムに比べ、優れた発電能力を発揮します。当社は、2010年より「薄型」でかつ「軽量」を特長とするモジュールの開発に着手し、2012年から社内でシステム実証運転をしてまいりました(写真1)。今回宮崎大学には、当社のこれまでの開発成果を評価頂き、2014年3月19日より当社CPVを将来有望な次世代型太陽光発電システムと位置付けた研究設備として活用頂いております。
 この設置したCPVは、64モジュール搭載システム 2基となり、2基を合計したモジュール定格出力は15kW以上(測定条件CSTC*1)となります。また、当社のCPVモジュールは、発電出力を落とすことなく「絵」や「文字」をモジュールに映し出すことが可能で、1基には全面に大学ロゴマークを表示しています(写真2)。
 今後も当社CPVの優れた特長を活かしながら、よりコストパフォーマンスの高い製品開発を推し進め、高日射環境の国々や地域を中心に、新しい発電システムとして拡販してまいります。

【当社CPVの特長】
1.高効率、高出力でかつ高温度環境に優れた発電システム
 CPVは、発電効率が極めて高い化合物半導体の発電素子を用い、太陽を正確に追尾しながらレンズで直達日射光を集め発電する仕組みになっています(図1)。発電効率は標準的な結晶シリコン太陽電池に比べて約2倍で(図2)、また発電素子の温度依存性がほとんどないことから、CPV は直達日射量が多く気温が高い地域で有効な発電システムとして期待されています。

2.薄型で軽量なモジュール
 集光型太陽光発電装置業界でトップレベルとなる、厚み約100mm、重量10kg未満の薄型軽量モジュールを開発しました。薄型で軽量なモジュールは、輸送時のモジュール積載効率の向上や現地設置作業効率の向上、また、太陽を追尾する架台に多く搭載できるなどのメリットがあり、発電システムのトータルコスト低減に貢献できると考えています。

3.設置エリアの有効活用
 太陽を追尾する架台の上にCPVモジュールを設置する構造のため、モジュール下のスペースを駐車場、花壇、農地等として活用することが可能です。
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-----image : 同リリースより
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関連エントリー
住友電工、200kWpの集光型太陽光発電装置(CPV)および5MWhの大型蓄電池などの実証運転を開始-----ソフトエネルギー、2012/07/30

住友電工、横浜製作所において200kWpの集光型太陽光発電装置(CPV)および5MWhの大型蓄電池などのEMSの実証運転へ-----ソフトエネルギー、2012/04/19


追加情報
住友電気工業:太陽追いかける発電システム 中東で展開へ----毎日新聞、2014年12月09日

"住友電気工業は8日、今年度中にも中東地域の太陽光発電設備市場に本格参入する方針を明らかにした。太陽の光の向きに合わせて自動でパネルの向きを変える電力変換効率が高い発電システムをサウジアラビアなどに売り込む。
..........現在、大阪府内に最新鋭の太陽光発電システムの製造ラインを構築中.........."


コメント続き
 集光型太陽光発電装置( Concentrator Photovoltaic : CPV)は、住友電工のリリースにもある通り、発電素子の温度依存性がほとんどないことから、CPV は直達日射量が多く気温が高い地域で有効な発電システム、主に赤道付近の高日射環境の国々や地域を中心に導入が検討されています。日本のような緯度の地域では、日射量も少なく、コスト高となるCPVは競争力をもたないと考えられています。
 住友電工は、実際アフリカ向けの展示会でCPVを提案しています。

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-----image : 住友電工 : Exhibitions 2014より「The Solar Show Africa 2014」情報

 ところで、お値段。知りたいですねぇ。是非、できるものなら今後の参考のために宮崎大学の設置予算を知りたいです。

関連エントリー
集光型太陽光発電 CPV / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/07/15より更新中

参考
住友電工、世界初となる新型、溶融塩電解液電池電池の開発に成功-----しなやかな技術研究会、2011/03/07

・Twilog : #CPV(世界の集光型太陽光発電 CPVの情報)

・Twilog : #CPV #renewjapan(日本の集光型太陽光発電 CPVの情報)

-----Googleで関連サイトを検索 : 住友電工-----

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沖縄電力、本島大宜味村に 2MW2基による蓄電池併設型風力発電所を完成

 沖縄電力は、沖縄本島大宜味村で計画していた、沖縄本島初となる2MW風力発電機2基による蓄電池併設型のた大宜味風力発電実証研究設備を日竣工させ、運転を開始しました。

沖縄電力、沖縄本島大宜味村で、2MW2基による蓄電池併設型風力発電の実証実験を開始すると発表しました-----ソフトエネルギー、2011/05/18

 これは、政府、沖縄県が進める沖縄スマートエネルギーアイランド基盤構築事業(2011年度の内閣府沖縄担当部局予算)を利用し、風力発電設備が沖縄本島電力系統に大量導入した場合の実系統へ与える影響を把握するとともに、蓄電池併設型風力発電設備の出力安定化技術に関する実証研究を行うものです。設置された風車の直径は82mで定格は風力13m/sの時に出力2MW(2,000kW)となっています。設置される鉛蓄電池の容量は、4.5MWh(4,500kWh)となっています。システムの詳細は、これから実証実験が行われるということでおいおい把握していきたいと思います。


プレスリリース / 沖縄電力、H26.03.24
プレスリリース / 大宜味風力発電実証研究設備の運転開始について(PDF)

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-----image : 同リリース「別紙:大宜味風力発電実証研究設備の設備外観・位置図 」より-----
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" 低炭素社会の実現に向けた取り組みとして建設を進めておりました大宜味風力発電実証研究設備が本日竣工し、運転を開始しましたのでお知らせいたします。  同設備は、沖縄県の沖縄スマートエネルギーアイランド基盤構築事業を活用し、建設しております。  同設備を用いて、風力発電設備が沖縄本島電力系統に大量導入した場合の実系統へ与える影響を把握するとともに、蓄電池併設型風力発電設備の出力安定化技術に関する実証研究に取り組んでいきます。

【設備概要】
・設備名称: 大宜味風力発電実証研究設備
・所在地: 沖縄県国頭郡大宜味村字根路銘2268-1
・発電出力: 4,000kW (2,000kW×2基)
・蓄電池の容量: 4,500kWh(鉛蓄電池)
・年間想定発電電力量: 約800万kWh
(一般家庭約2,200世帯分の電力使用量に相当)
・CО2排出削減量: 約7,000t-CО2/年
・運転開始: 平成26年3月24日
・風力発電設備の高さ:
タワーの高さ 70m
ブレードの最高到達点を含めた風車の高さ 111m
.......... "

関連
Okinawa_oogimi_wind_turbins
-----image : Googleマップで大宜味風力発電実証研究設備(付近)を見る


参考
・Twilog : #沖縄(沖縄の再生可能エネルギーの話題)

・Twilog : #renewwind #renewjapan(日本の風力発電に関する話題)

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経産省、再生可能エネルギーの平成26年度の買取価格および賦課金を決定

 経済産業省は、3月7日に経済産業省の審議会、第15回調達価格等算定委員会が開催され、平成26年度(2014)調達価格及び調達期間についての案が提示されたことを受けて、3月25日に正式に再生可能エネルギーの平成26年度の買取価格および電気料金への賦課金を決定しました。

平成26年度(2014)の再エネ、買い取り価格の審議会案が出揃う。太陽光引き下げ、洋上風力、改修水力新設-----ソフトエネルギー、2014/03/10

 案どおりの決定でした。注目の太陽光発電は、

 太陽光発電(10kW未満) 平成25年度(2013) 38円/kWhから、37円/kWhへ減額
 太陽光発電(10kW以上) 平成25年度(2013) 36円/kWhから、32円/kWhへ減額

 陸上の風力が据え置かれた[陸上風力(20kW未満) 55円/kWh 据え置き、陸上風力(20kW以上) 22円/kWh 据え置き]に対して、新設の洋上風力発電は、36円/kWhとなりました。
 水力に関しては、既に設置している導水路を活用して、電気設備と水圧鉄管を更新する、「既設導水路活用中小水力」枠が新設となりました。

 また、平成26年5月検針分の電気料金から平成27年4月検針分の電気料金に賦課され徴収される平成26年度の賦課金単価は、1kWh 当たり0.75円[標準家庭(月の電力使用量が300kWh)で月額225円]と決定されました。


プレスリリース / 経済産業省、平成26年3月25日
再生可能エネルギーの平成26年度の買取価格・賦課金を決定しました

" 本件の概要
経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の平成26年度の新規参入者向け買取価格及び平成26年度の賦課金を決定しました。

1.平成26年度の新規参入者向け買取価格及び買取期間

3月7日に公表しました、調達価格等算定委員会の「平成26年度調達価格及び調達期間に関する意見」を尊重し、以下のとおり最終的に決定しました。

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-----image : 同リリースよりキャプチャー画像

2.平成26年度の賦課金

1.の買取価格等を踏まえて算定した結果、平成26年度の賦課金単価は、1kWh 当たり0.75円(標準家庭(月の電力使用量が300kWh)で月額225円)と決定しました(注)。

 なお、平成26年度の賦課金は、平成26年5月検針分の電気料金から平成27年4月検針分の電気料金まで適用されます。
.......... "

関連
再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25年12月末時点)-----経済産業省、平成26年3月20日
Fitjapan_2013matsu_dounyu
-----image : 上記サイト、キャプチャー画像

買取制度運用ワーキンググループの検討結果を公表します-----経済産業省、平成26年3月25日

" 本件の概要
経済産業省では、平成26年2月から、総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会の下部組織として「買取制度運用ワーキンググループ」を設置し、「固定価格 買取制度」における(1)回避可能費用の算定方法、(2)認定制度の在り方について検討を行ってまいりました。今般、その検討結果と対応について公表します。
.......... "

・資源エネルギー庁 : なっとく!再生可能エネルギー / 固定価格買取制度

経産省、買取価格を決定、回避可能費用の新算定方法も公表、新電力のプレミア買取に影響も-----TechOn!,2014/03/26


関連エントリー
経産省、平成26年度の固定価格買取制度の調達価格等の改正についてのパブコメを実施-----自然エネルギー、2014/03/12

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九州電力、長崎県の対馬、鹿児島県の種子島と奄美大島に再エネ+のリチウムイオン蓄電池等実証試験設備を設置

 九州電力は、長崎県の対馬、鹿児島県の種子島、および奄美大島に再生可能エネルギーと組み合わせたリチウムイオン蓄電池等実証試験設備を設置し、平成28年度までの3年間、系統周波数変動を蓄電池により抑制する最適制御手法の検討などの実証試験を実施します。これは、環境省が公募した「平成24年度再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業」の採択を受けて実施される実証試験です。
 それぞれのリチウムイオン蓄電池の容量は、以下です。

・長崎県 対馬 リチウムイオン蓄電池容量 1,430kW(1.43MW) 豊玉変電所構内 出力3,500kW(3.5MW)

・鹿児島県 種子島 リチウムイオン蓄電池容量 1,161kW(1.161MW) 中種子変電所構内 東芝製 出力3,000kW(3.0MW)

・鹿児島県 奄美大島 リチウムイオン蓄電池容量  774kW(0.774MW) 竜郷変電所構内 東芝製 出力2,000kW(2.0MW)

 鹿児島県の種子島と奄美大島の設備は、東芝製で、蓄電池はリチウムイオン二次電池 SCiB(TM)と昇圧用変圧器、蓄電池用パワーコンディショナーなどが設置済みです。対馬のメーカーは、GSユアサでしょうか? 現時点ではっきりしていません。

 九州電力管内の離島では、経産省のプロジェクトも実施され蓄電池の導入が進んでいます。
 ただ、肝心の再生可能エネルギーのほうの設備は、それほど進んでいないようで、実施に問題がでないか不安です。各島の再生可能エネルギーの導入状況については、順次調べてみたいと思います。


プレスリリース / 九州電力、平成26年3月13日
離島における再生可能エネルギー導入拡大に向けた 蓄電池制御実証試験の開始について

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-----image : 資料「(別紙)リチウムイオン電池の概要」PDFより種子島のシステム-----
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" ...........国の補助事業※1の採択を受け、太陽光・風力の系統連系量拡大を図るため、長崎県の対馬、鹿児島県の種子島・奄美大島で、蓄電池等実証試験設備の設置工事を進めてまいりました※2が、社内検査を終了し、実証試験を開始しましたのでお知らせします。  今後、平成28年度までの3年間、系統周波数変動を蓄電池により抑制する最適制御手法の検討等の実証試験を実施します。 ※1 平成24年度再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業(環境省) ※2 平成25年3月29日「離島における再生可能エネルギー導入拡大に向けた蓄電池制御実証事業の実施について」お知らせ済 1 工事概要   設置設備  社内検査終了日  実施場所 長崎県対馬 リチウムイオン電池 (出力3,500kW、容量1,430kWh) 平成26年2月26日 当社豊玉変電所構内(長崎県対馬市豊玉町)

鹿児島県
種子島 リチウムイオン電池 (出力3,000kW、容量1,161kWh) 平成26年3月13日 当社中種子変電所構内(鹿児島県熊毛郡中種子町)

鹿児島県
奄美大島 リチウムイオン電池(出力2,000kW、容量774kWh) 平成26年3月6日 当社竜郷変電所構内(鹿児島県大島郡龍郷町)

2実証試験の概要
 離島では、系統規模が九州本土と比べて小さいため、出力変動が大きい太陽光・風力が連系されると、系統周波数変動が大きくなり、系統の安定性に影響を与えやすくなるという特徴があります。
 当社は、離島においても、太陽光・風力の導入拡大を図りつつ、電力の安定供給を維持するため、離島の系統へ蓄電池を設置し、太陽光・風力による周波数変動を抑制する実証試験を実施するものです。

(1)実証試験の期間
・平成25年度~平成28年度まで
(2)主な試験内容
・離島の需要規模や系統構成、再生可能エネルギーの設置状況等に応じた効果的な蓄電池制御手法と蓄電池容量等を検証

(3) その他
・対馬については、太陽光・風力発電事業者の本実証事業への協力申込みの受付量が当初計画に達しておりませんので、受付期間を延長します。
..........
添付ファイル PDFファイル 離島における再生可能エネルギー導入拡大に向けた蓄電池制御実証試験の開始について(印刷用) (17KB)
PDFファイル (別紙)リチウムイオン電池の概要 (202KB)
.......... "


関連
九州電力株式会社に系統周波数変動抑制のための蓄電池システムを納入-----東芝、2014年03月13日

".....今回納入した蓄電池システムは、種子島では最大出力3000kW、容量1161kWh、奄美大島では最大出力2000kW、容量774kWhで、約1万回以上の充放電が可能な長寿命、高い安全性、高入出力などの優れた特性を持つ当社製リチウムイオン二次電池「SCiBTM」を搭載....."

環境省、平成24年度再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業6件を採択-----ソフトエネルギー、2013/04/02


参考エントリー
GSユアサの、九電の壱岐の風力発電等の系統連系量拡大実証試験に参加、1,600kWhリチウムイオン蓄電池。稼動中!-----ソフトエネルギー、2013/11/25

経済産業省、10離島で太陽光発電のための次世代送配電ネットワーク、マイクログリッドの実証事業を開始-----ソフトエネルギー、2009/07/06

".....黒島、竹島、中之島、諏訪之瀬島、宝島、小宝島(鹿児島県、以上九州電力)と宮古島、多良間島、北大東島、与那国島(沖縄県、以上沖縄電力)....."

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ファーストソーラー、CdTe カドテル太陽電池のモジュールベースで変換効率17%を達成

 下の記事をご覧ください。

ファーストソーラー、CdTe カドテル太陽電池のモジュールベースで変換効率17%を達成-----自然エネルギー、2014/03/21

参考エントリー
ファーストソーラー First Solar、CdTe化合物系薄膜太陽電池の最高、20.4%の変換効率を達成。日本でメガソーラー・デビューも-----ソフトエネルギー、2014/03/18

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住友電工、電力線通信(PLC)によるリアルタイムメガソーラー監視システムの実用化に成功

 住友電工は、大規模太陽光発電システム、メガソーラー規模の発電施設において、電力線通信(PLC)によるリアルタイム監視システムの実用化に成功しました。通常発電量の監視や数値の把握には、電力線以外の通信線を敷設する必要がありましたが、電力線を利用することで簡略化しローコスト化、さらにはメンテナンスの簡単さなどを実現することができます。
 電力線通信 PLC(Power Line Communication)は、身近なシステムとしては、監視カメラなどに利用される通信用のイーサネットケーブルで電力も供給できるシステムなどがあります。確かに、電源コンセントや電線を別途必要としないこうしたシステムは非常に便利です。今回のメガソーラーにおけるPLCは、600V~1kV以上の直流高電圧電力ケーブルをそのまま通信媒体として利用するものです。高い直流電圧や大きな電力ノイズ環境下で実用化に成功したということです。具体的には、センサーから得た電流や電圧などの情報は、10から450kHzの信号として、発電電力を送る電線を通り、データーとして回収することが可能です。そのデーターをもとに、巨大なメガソーラーシステムにおいて、発電状況の異常を即時に発見することが可能です。
 このシステムの最大のメリットは、既存のメガソーラーに、あとからより手軽にセンサー、通信、データー分析の機能をもたせることができる点です。具体的なコストは、書かれていませんが、よりコストも安価であることが期待できそうです。
 

プレスリリース / 住友電気工業、2014年3月12日
電力線通信(PLC)によるリアルタイムメガソーラー監視システムの実用化に成功

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-----image : 同リリースより
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".....メガソーラーで使われる600V~1kV以上の直流高電圧電力ケーブルを、そのまま通信媒体として活用する電力線通信(PLC)技術を用いた、メガソーラー監視システムの実用化に成功しました。今後2014年7月から販売を開始する予定です。

1. 開発の背景と開発成果概要
 近年、メガソーラーの建設が進む中、大量に導入されるソーラーパネルの初期の設置不良、長期劣化や故障が発生すると発電電力が低下し、売電量が低減してしまいます。現状のメガソーラーは、数万枚~数十万枚の多数のパネルから構成されているため、どのパネルが劣化しているかを総発電量の低下から検知することは困難です。このため、パネルの発電量を正確にリアルタイム監視ができ、かつ装置の取り付けが手軽にできる安価な監視システムが求められています。
 このたび当社は、通常のメガソーラーで使われる600V~1kV以上の直流高電圧電力ケーブルをそのまま通信媒体として活用するとともに、メガソーラー特有の大容量パワーコンディショナー(パワコン)が発生する大きなノイズ環境でも問題なく正確に情報伝達できる独自方式の電力線通信(PLC (Power Line Communication*1)、10kHz~450kHzの周波数帯を利用)技術を開発し、それを活用したメガソーラー監視システムの実用化に成功しました。
 PLC技術の基本原理自体は既に公知であり、いわゆる情報通信技術の分野でも使われているものですが、メガソーラー発電システムのように高い直流電圧や大きな電力ノイズ環境下では実用化されておらず、当社が今般初めて実用化に成功したものです。
なお、本システムの実証にあたって、株式会社ユアテック殿のご協力を頂きました。

2. 技術内容
 今般開発に成功した監視システムでは、メガソーラーの構成単位である14~18枚直列の発電パネル群(以下ストリングと呼ぶ)ごとに発電電力を正確かつリアルタイムに計測し、電力ケーブルそのものを通信媒体として、その情報をモニター装置(通常はパソコン)に転送し、専用ソフトによって発電異常の有無を判断します (図1、写真1)。
 通常のメガソーラーには、各ストリングからの電力を集約する接続箱が設置されています。本監視システムは、図1に示すように、この既設接続箱内部に設置される電流センサと、当該センサ情報を電力ケーブルに重畳させて情報伝達するPLC子機および子機からの情報を集約する親機で構成されます。このため、専用の通信ケーブルあるいは無線通信設備等は一切不要です。
 1台の子機は、最大16ストリングまで発電情報を集めることができ、親機は、メガソーラーの発電規模に応じて必要な数の子機を連係することができます。
..........
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-----image : 同リリースより
3. 特長
①通信のための新規配線不要
既に利用されている同種のストリング監視システムでは、情報の伝送に専用通信線(RS485 *2)を使用しており、電力ケーブルとは別に通信線を布設する必要があります。また、接続箱に設置される端末装置は、別途AC電源が必要なものが多く、AC電源線の布設も必要となります。当社は、接続箱内にPLCを活用した子機を設置し、ストリングごとに計測した電流やソーラーの電圧情報を、ソーラーが発電した電気を送る既存の電源線を使い、PLCで親の監視装置まで伝送するため、新規の信号線が不要で、子機の動作に必要な電力もソーラーの電源線から取れるため、AC電源線も不要です。
②新設だけでなく、既設のメガソーラーにも適用可能
電流センサとして、従来用いられる貫通型だけでなく、クランプ型電流センサにも対応しているため、既設のメガソーラー設備(例えば接続箱の結線等)を変更することなく、後付け的にセンサや子機、親機を設置することが容易です。
③ノイズや雷サージに強い
当社が長年培ってきたPLCの経験に基づき、電源ノイズに対して高い通信性能を有しているとともに、雷サージなどから機器を守る対策も十分に施しており、信頼性の高いシステムです。
④他方式に比べて低コスト化が可能
PLCを活用することで、新たな通信線の布設が不要であり、動作電源もソーラーの電力線から取るため専用のAC電源線の布設も不要です。装置自身もコンパクトなため、既存の接続箱の中に収めることができ、外置きの別収納箱も不要で、設置も容易にできます。子機の外形寸法は、長さ160mm、幅130mm、高さ50mmで重さも500gと接続箱内に設置できるよう小型化しました。また、親機は、取り付け場所や方法に依存しますが、さらに小型化が可能です。さらに、既設及び新設を問わず、装置を簡単に設置することができるため設置費用も低減できます。このような特長により安価なシステムの構築が可能です。
*1 PLC(Power Line Communication:電力線通信):
既存の電力線を通信回線として利用する技術で、新たに通信線を布設することなく、データ伝送が行える技術(図2に原理を示す)。
*2 RS485通信:
2線の専用線を使い各機器間のデータ伝送を行う規格
..... "


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日立、日立ウィンドパワーを設立。2MWダウンウィンド型風力発電システム HTW2.0-86 初号機を新潟県胎内市に設置

 日立製作所と日立キャピタルは、2014年1月31日に共同出資により日立ウィンドパワー社を設立しました。出資比率は、日立が14.9%、日立キャピタルが85.1%となっています。
 そして、この日立ウィンドパワー社の初の風力発電所となる中条風力発電所を、新潟県胎内市の日立産機システム中条事業所の所内に竣工させました。これにより、まもなく運用が開始される、茨城県神栖市に5MWダウンウィンド洋上風力発電機 HTW5.0-126 の実証機と合わせて、日本における風力発電の開発が進むものと期待されます。

日立製作所、茨城県神栖市に5MWダウンウィンド洋上風力発電機 HTW5.0-126 の実証機を建設へ-----ソフトエネルギー、2013/11/27

 日立は、2012年7月に富士重工業から共同開発してきた風力発電システム事業の譲渡を受け、2MW風力発電システムHTW2.0-80を国内に多数納入(130基以上)してきた実績の上に、新たにこのダウンウィンド型の国内向け風車の新たな開発に取り組んでいます。
 今回、新潟県胎内市の中条風力発電所に建設された2MWダウンウィンド型風力発電システム HTW2.0-86は、従来機の HTW2.0-80 と比較してローターの直径を6m大きくし、直径86mとすることで、低風速域での発電量が増加する設計となっているということです。さらに、冬季雷にも対応できる耐雷システムや遠隔制御監視システム(SCADA)を備えています。今後は、実証運転で各種データの採取・保守を通じ、性能の確認や品質・信頼性の向上に取り組むということです。


プレスリリース / 日立製作所、2014年3月13日
低風速域対応2MWダウンウィンド型風力発電システム「HTW2.0-86」の初号機が
新潟県胎内市で竣工

0313b
-----image(”2MWダウンウィンド型風力発電システムHTW2.0-86”) : 同リリースより

" 日立キャピタル株式会社
株式会社日立製作所

日立ウィンドパワー株式会社を設立し、風力発電市場で新たなエネルギーソリューションを提供

 日立キャピタル株式会社(略)と株式会社日立製作所(略)の共同出資により設立した日立ウィンドパワー株式会社(略)は、このたび、低風速域対応2MWダウンウィンド型風力発電システム「HTW2.0-86」を、株式会社日立産機システム中条事業所(新潟県胎内市)内の中条風力発電所にて竣工しました。本格的な商用運転開始は2014年4月を予定しています。
 「HTW2.0-86」は、風況のよい立地が減少している日本において、新たな市場を開拓する機種として日立が開発したもので、今回竣工したものが初号機となります。また、中条風力発電所は、日立ウィンドパワーが保有する初の発電所となります。

 風力発電システムは、国内では、低炭素社会の実現を目指した固定価格買取制度が2012年7月より導入され、市場の拡大が推進されています。2013年11月末までで合計901MWの風力発電設備が経済産業省より設備認定されています。一方で、日本では風力発電の普及に伴い、風況のよい立地が減少しており、風の比較的弱い場所でも発電量が確保できる機種のニーズが高まっています。また、多数の風力発電事業者の参入により、売電契約・系統協議・ファイナンスの組成なども含めた総合的なエネルギーソリューションの提案が求められてきています。
..........
 中条風力発電所は、新潟県胎内市の株式会社日立産機システム中条事業所内に2MW風力発電システム1基を建設したもので、一般家庭約1,300世帯分の電力を賄うことができます。発電した電力は固定価格買取制度により、全量、東北電力株式会社に売電します。

 日立キャピタルは、2015年度中期経営計画において、再生可能エネルギー事業を累計320MWまで拡大させる目標を掲げており、日立キャピタルの金融ソリューションに日立グループの高性能で信頼性の高い発電システムを組み合わせ、"One Hitachi"としてソリューションを一括提供しています。今後も成長が見込まれる風力発電事業のノウハウを蓄積し、既に事業を開始している太陽光発電事業とあわせ、環境・再生可能エネルギー事業をさらに積極的に推進してまいります。なお、日立キャピタルの再生可能エネルギー事業は累計192MW(2014年3月末)となる見込みです。

 日立は、ローターをナセルの風下側に配置する独自の2MWダウンウィンド型風力発電システム「HTW2.0-80」でこれまで130基以上の受注実績を有しており、その信頼性や経済性が高く評価されています。今回竣工した2MW低風速域対応ダウンウィンド型風力発電システム「HTW2.0-86」は、従来機「HTW2.0-80」と比較してローターの直径を6m大きくすることで、低風速域での発電量が増加する設計となっています。今後は、各種データの採取・保守を通じ、性能の確認や品質・信頼性の向上に取り組んでいきます。
..........
中条風力発電所概要
 事業者 日立ウィンドパワー株式会社
 所在地 新潟県胎内市富岡46-1 株式会社日立産機システム 中条事業所内
 発電容量 2MW(1,990kW)×1基

HTW2.0-86(初号機)の主な仕様
 型番 HTW2.0-86
 定格出力 2MW(2,000kW)
 ローター直径 86m
 ハブ高さ 78m
 ブレード枚数 3枚
 ローター位置 ダウンウィンド
 ヨー制御 通常運転時:アクティブ制御
 暴風停電時:フリーヨー
 発電方式 交流励磁同期発電方式
 カットイン風速 4m/s
 カットアウト風速 24m/s
 風速クラス IEC-ClassⅡA+(ただし、極地風速はClassⅠ)
.......... "

関連
・日立 : 風力発電システム HTW2.0-86
P18_01_1
-----image[”出力曲線(計画値)”] : 性能より
1_p19_01
-----image(”外観図 [78mタワー仕様]”) : 諸元より

・日立 : HTW5.0-126


参考エントリー
古河電工とビスキャス、福島沖2MW浮体式洋上風車と変電所の連結に新技術を開発-----ソフトエネルギー、2013/10/07

GE、日本の風況に最適な、2.85MW風力発電機2.85-103を発表----ソフトエネルギー、2014/02/28

三菱重工業とヴェスタス、洋上風力発電設備専業の新合弁会社を設立----ソフトエネルギー、2013/10/01

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ファーストソーラー First Solar、CdTe化合物系薄膜太陽電池の最高、20.4%の変換効率を達成。日本でメガソーラー・デビューも

 ファーストソーラー First SolarのCdTe(カドミウムテルル)太陽電池を使った1.3MWp(当初の発表では、1.4MWp)のメガソーラー施設が北九州に完成した。施設の写真などは公開されていないが、これをもって薄膜化合物系太陽電池の雄である、同社が日本に本格的に足跡を記した。

ファーストソーラーがやってくる! 北九州で2014年にCdTe薄膜採用、1.4MWpのメガソーラー建設へ-----ソフトエネルギー、2013/11/26

 そして、この2月には、ファーストソーラー First Solarは、このCdTe化合物系薄膜太陽電池の最高、20.4%の変換効率を達成したと発表しました。コスト面での強さから拡大してきた同社の販売力を、今度はその変換効率が強化する形になると考えられます。結晶系に追いついた、ファーストソーラーがそのコストと性能をひっさげて、この日本でどこまで健闘するのか? 興味のつきないところです。


プレスリリース / First Solar, February 25, 2014
FIRST SOLAR SETS WORLD RECORD FOR CDTE SOLAR CELL EFFICIENCY

" ・20.4 Percent Research Cell Certified at Newport Lab and Confirmed at NREL
 ・Achievement capitalizes on First Solar/GE technology partnership
 ・Performance matches long-standing mSi record

First Solar, Inc. (Nasdaq: FSLR) today announced it has set a world record for cadmium-telluride (CdTe) photovoltaic (PV) solar cell conversion efficiency, achieving 20.4 percent conversion efficiency certified at the Newport Corporation's Technology and Applications Center (TAC) PV Lab and confirmed by the U.S. Department of Energy's National Renewable Energy Laboratory (NREL). The record-setting cell was constructed at the company's Perrysburg, Ohio factory and Research & Development Center.

This certified result bests the previous record of 19.6 percent conversion efficiency set by GE Global Research in 2013. Last April, First Solar and GE announced a solar technology partnership in which First Solar acquired GE's CdTe solar intellectual property and secured a collaborative research partnership with GE's R&D team. The partnership was formed to accelerate innovation in PV technology and accelerate solar module performance at manufacturing scale.
.......... "

関連
First Solar surpasses GE’s CdTe cell efficiency record-----PV-Tech,25 February 2014

追加情報
ファーストソーラー、CdTe カドテル太陽電池のモジュールベースで変換効率17%を達成-----自然エネルギー、2014/03/21


参考エントリー
ファーストソーラーがやってくる! JX日鉱日石エネルギーが販売する契約を締結-----ソフトエネルギー、2013/11/16

2012年の太陽光発電のNo.1 EPC(設計·調達·建設)業者は、ファーストソーラー - IMS Research-----ソフトエネルギー、2013/03/29

ファーストソーラー First Solar、カリフォルニアで 550MWpの大規模太陽光発電所 Topaz Solar Farmの建設中-----ソフトエネルギー、2012/05/10

ファーストソーラー First Solar のリサイクルシステムと同社のCdTe太陽電池の展開。2009年度1GWp越えNo.1の実績-----ソフトエネルギー、2010/06/08

2012 太陽電池メーカーシェア / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2013/02/01

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大阪ガス関連、中山名古屋共同発電は愛知県に11万kWバイオマス混焼型石炭火力発電所を建設する

 大阪ガスグループの関連会社である、中山名古屋共同発電は、愛知県知多郡武豊町の14.9万kWの石炭火力発電所である既設の名古屋発電所に隣接した用地に、11万kWバイオマス混焼型石炭火力発電所を建設するすると発表しました。このバイオマス燃料混焼方式は、ベースとなる石炭燃料に木質系バイオマス燃料を30%混焼するものです。バイオマス資源の調達場所や方法等は、リリースに書かれていません。詳しく知りたいところです。
 運転開始は、2016年の下記が予定されています。


プレスリリース / 大阪ガス、2014年3月13日
名古屋発電所の隣接地における石炭火力発電所の新設について

1
-----image(”上-発電施設の計画概要、下-発電所位置図”) : 同リリースより-----
2

" 中山名古屋共同発電株式会社 株式会社ガスアンドパワー 大阪ガス株式会社

 大阪ガス株式会社(略)の100%子会社である株式会社ガスアンドパワー(略)が発行済み株式数の95%を保有している中山名古屋共同発電株式会社(略)は、現在操業している名古屋発電所(発電容量14.9万kW、石炭火力、愛知県知多郡武豊町)の隣接地に、発電容量11万kWのバイオマス混焼*1石炭火力発電所を新設します。

 当発電所は、以下の2点の特徴があり、高い環境性と経済性を両立しています。
(1)既設発電所の活用
 現在中山名古屋が操業している名古屋発電所の隣接地に建設することで、既設発電所の知見、ノウハウ等を活用した効率的な操業が可能になります。

(2)バイオマス燃料混焼方式
 ベースとなる石炭燃料に木質系バイオマス燃料を30%混焼することにより、CO2排出量を大きく抑制できます。
..........
*1 バイオマス混焼: 木質などのバイオマスを石炭に混ぜて発電燃料に利用すること。このバイオマスは有機物であることから、燃焼させエネルギー利用を行った場合には CO2が発生するが、植物は生長する過程でCO2を吸収しているので、全体で見るとCO2の量が増加しない「カーボンニュートラル」という特性を持っている。
.......... "

関連
ガスアンドパワー / 再生可能エネルギー発電


参考
・Twilog : #renewjapan #renewbiomass(日本のバイオマス資源関連の情報)

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鉄道総合技術研究所と古河電工、次世代フライホイール蓄電装置向け高温超電導マグネットの開発に成功

 鉄道総合技術研究所と古河電工は、次世代フライホイール向け高温超電導マグネットの開発に成功したと発表しました。フライホィールの蓄電装置は、電力をフライホィールの回転力(慣性力)におきかえることで、電力を”蓄電”することができる装置で、国内外ですでに開発例があります。この技術においては、回転時のロスをいかに抑えるかが大きな技術開発のポイントです。今回の成功により、フライホィールの蓄電装置において、より効率的な電力エネルギーの貯蔵が可能になります。

 今回の古河電工の子会社のスーパーパワー社が製造した大型フライホイール用の高温超電導マグネットは、イットリウムを用いた第2世代高温超電導線材を利用した強力なものです。このマグネットを50K(マイナス223℃)まで冷却して高磁場を発生させることにより、2トンを超える荷重 を非接触で支持できることが実証されました。そして、開発中の超電導磁気軸受では、1組の軸受で約4トンの円盤を浮上させることを目標としています。従来の20K(マイナス253℃)まで冷却する高温超電導コイルより大幅に高い温度である50K(マイナス 223℃)の温度で運転することが可能となり、冷却コストを低減するめどが立ったとのことです。

 今後、実規模のフライホイールの浮上試験を行い、平成24年度から26年度にかけて開発を進めている大容量超電導フライホイール蓄電装置の中に組み込み、平成27年に山梨県米倉山において新たに建設するメガソーラーとの連系試験が予定されています。

プレスリリース / 古河電工、2014年3月10日
次世代フライホイール向け高温超電導マグネットの開発に成功

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-----image[”上-開発した高温超電導マグネットに用いるコイル、下-次世代フライホイール蓄電システム(イメージ図)”]: 同リリースより-----
Kenkai_140310_photo02

" ~メガソーラー等との連携により、効率的な電力エネルギーの貯蔵が可能に~

公益財団法人鉄道総合技術研究所
古河電気工業株式会社
クボテック株式会社
株式会社ミラプロ
山梨県企業局

 公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下「鉄道総研」)と古河電気工業株式会社(以下「古河電工」)は、古河電工の子会社のスーパーパワー社が製造した第2世代高温超電導線材を用いた大型フライホイール用の高温超電導マグネットの開発に世界で初めて成功しました。(注1)

 本開発は、クボテック株式会社、株式会社ミラプロ、山梨県企業局と共同で、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」プロジェクトの中で実施しているものです。

開発成果概要
 イットリウムを用いた第2世代高温超電導線材(注2)で高強度な高温超電導マグネットの開発に成功しまし た。
 このマグネットを50K(マイナス223℃)まで冷却して高磁場を発生させることにより、2トンを超える荷重 を非接触で支持できることを実証しました。
従来の20K(マイナス253℃)まで冷却する高温超電導コイルより大幅に高い温度である50K(マイナス 223℃)の温度で運転することが可能となり、冷却コストを低減するめどが立ちました。

開発品の内容
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開発体制
..........
今後の予定
 本マグネットは平成24年度から26年度にかけて開発を進めている大容量超電導フライホイール蓄電装置の中に組み込み、平成27年に山梨県米倉山において新たに建設するメガソーラー(注4)との連系試 験を開始する予定です。

用語解説
(注1)超電導フライホイール蓄電システム:
 フライホイールは、電気エネルギーを高速回転体の運動エネルギーに変換して貯蔵する装置で、電力の入出力を高速かつ繰返して行うことができる装置です。従来は、回転体の機械的軸受損失が大きく、かつ軸受の摩耗により長期間の運転が困難でしたが、超電導マグネットと超電導バルクを用いることで回転体を非接触で浮上させる軸受が可能となり、低損失でメンテナンスフリーの電力貯蔵装置を実現しました。日本語:本文に戻る
(注2)第2世代高温超電導線材:
 クロム・ニッケル基合金などのテープ状金属基板上に中間層を成膜し、希土類元素(イットリウムなど)、バリウム、銅等からなる酸化物超電導材料を結晶合成させながら成膜した超電導線材です。液体窒素温度(マイナス196℃)において超電導状態となり、電流密度が高く、磁場中でも特性低下、交流損失が少なく、実用化された高温超電導線材の中で最も性能の高い材料です。本文に戻る
(注3)よろいコイル技術:
 中部電力株式会社殿が開発した高温超電導マグネットの磁場を飛躍的に向上させる技術です。超電導線材に作用する電磁力を、超電導線材に接するコイル側板で支える方法で、液状樹脂を用いた絶縁被覆技術と組み合わせることによって、従来のイットリウム系超電導コイルの2倍、金属系超電導コイルの6 倍という、世界最高強度の電磁力に耐える超電導コイルを実現させます。本文に戻る
(注4)山梨県米倉山メガソーラー:
 全国有数の日射量を有する山梨県では、地球温暖化対策実行計画の中核として、山梨県甲府市に東京電力殿と共同で「米倉山太陽光発電所」を建設しました。44.7haの広大な用地の中、高台に約8万枚の太陽光パネルが設置され、一般家庭約3,400軒分の電力量に相当する年間1,200万kWhを発電しています。山梨県では、超電導フライホイールとの組み合わせによる系統連系試験用に、1,000kWの太陽光発電所を建設中であり、運転開始後は、実証試験に向けた基礎データの取得を開始する予定です。
.......... "

関連
次世代フライホイール向け高温超電導マグネットの開発に成功-----鉄道総合研究所、平成26年 3月10日

・鉄道総合研究所 : 超電導磁気軸受を用いた鉄道用フライホイール蓄電装置の研究・開発

追加情報
クボテック、次世代蓄電システム向け約100kWの大径CFRP製フライホイール蓄電ユニットを完成-----ソフトエネルギー、2015/02/09


参考
IEEE、スマートグリッドにおける二次電池やフライホィールなどのエネルギー貯蔵技術に関するガイドラインの検討を本格化-----ソフトエネルギー、2010/11/05

フライホィール”蓄電”のBeacon Power、復活ののろし。ペンシルバニアで20MWのプラント建設へ-----ソフトエネルギー、2013/08/05

・Twilog : #flywheel(フライホィールに関する情報)

・Twilog : #storage #renewbattery(蓄電に関する情報)

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東京汽船、福島洋上風力向けアクセス専用双胴船”JCAT ONE (56t)”を運航

 東京汽船は、福島洋上風力向けアクセス専用船 ”JCAT ONE”の供用運航を開始中と発表しました。人員の送迎を行う専用船で、オランダのVekaグループの造船所で建造された全長21.3m、54総トンの双胴船(カタマラン)を採用しています。浮体式洋上風力発電所の計画書での位置は、緯度37度18分39秒 経度141度14分24秒(正確には浮体式変電所の位置)です。JCAT ONEは、小名浜港と、そこからおおよそ50kmの距離にある、東京電力広野火力発電所の沖約20kmに位置する浮体式洋上風力発電所施設を結び人員などを運ぶことになります。

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-----image : Googleマップで福島県沖の浮体式洋上ウィンドファームを見る

 JCAT ONEは、オランダのVekaグループの造船所で建造された新造船で、欧州における標準的なWind Farm Support Vessel(洋上風力発電支援船=洋上風力発電への要員送迎を主目的に設計された船舶)です。東京汽船は、購入後に日本で改修工事を施しNK(日本海事協会)の船級を取得しました。日本初のWind Farm Support Vesselとなります。最大速力27.2ノットは、km時速にして約43.5km/hです。高波浪状況下でも安全かつ速やかに要員の施設への乗降を実現させることができるそうです。


プレスリリース / 東京汽船、2014年1月24日
洋上風力発電アクセス専用船 ”JCAT ONE”の供用

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-----image : 同リリースより

" 当社は、「福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」(経済産業省資源エネルギー庁所管の浮体式洋上風力発電実証実験)を受託している「福島洋上風力コンソーシアム」に対して、去る2013年12月5日から、洋上風力発電施設へのアクセス専用船(送迎・乗降用交通船)“JCAT ONE”(ジェーキャットワン)を供用しております。

JCAT ONEは、福島県・小名浜港と福島県沖に設置されている洋上風力発電施設(風力発電浮体およびサブステーション)との間で、同施設のO&M(オペレーション・維持管理)要員を安全に送迎・乗降させる業務に携わっております。

JCAT ONEは、オランダの造船所Veka Shipbuilding B.V.が建造した新造船で、欧州における標準的なWind Farm Support Vessel(洋上風力発電支援船=洋上風力発電への要員送迎を主目的に設計された船舶)の仕様を持つアルミ合金製の双胴船(Catamaran)です。当社は、購入後に日本で改修工事を施しNK(日本海事協会)の船級を取得しました。日本で初めて就航するWind Farm Support Vesselとなります。

JCAT ONE(全長21.3m、54総トン)は、高速性(最大速力27.2ノット)と洋上風力発電施設への接舷性能に優れ、高波浪状況下でも安全かつ速やかにO&M要員の施設への乗降を実現させる特長を備えています。

当社は、本体およびグループでの既存事業の一つとして交通船事業に携わっておりますが、洋上風力発電アクセス専用船事業を新規事業と位置づけており、今後、研究開発と事業展開に取り組み、洋上風力発電オペレーション支援分野での貢献をして行きたいと考えます。
.......... "

関連
VEKA(en) / Offshore Support

'Animal' Multipurpose Catamaran - VEKA Group

(VEKA Group,2013/03/22)

"The first 'Animal' Multipurpose Catamaran was launched December 2012, the first ship in a series of high speed crafts. With this highly innovative support vessel for the offshore industry, VEKA Group has developed a very powerful workboat, specialized in transporting technical personnel and working material to and from wind farms. Every ship of this new "Animal" line will get an animal name and the first one is baptized "Whale of the Waves'. A second catamaran is under construction and will soon be delivered.

A unique and specialized ship with a wide range of technical innovations developed for a more efficient maintenance of wind turbines. The new hull shape provides high stability in heavy weather and pushes the boundaries of the ship. The strong and lightweight aluminum construction ensures safety, high speed and high performance of this catamaran.

Technical Specifications

Length Overall : 19,40 M / 63,65 Ft
Length Hull : 18,70 M / 61,35 Ft
Length Waterline : 17,60 M / 57,75 Ft
Beam Overall : 7,00 M / 22,97 Ft
Draught (Base to DWL) : 1,00 M / 57,75 Ft
Displacement (lightship) : 45.000 Kg
Total Fuel Capacity : 6.000 L
Number passengers + Crew : 12 Pax + 3 Crew
Drying Room suits & gear : 1
Signif. working wave height : 2 M H/s
Engines : 2x MTU 8V2000 M72 / 979 HP
Waterjets : Hamilton Jet
Service Speed : 23 Kts.
Sprint Speed : 27 Kts.
Design : BMT / Nigel Gee
Cargo : 73 m2 deck space 10 mt
Container(s) : 3x 10 feet (2x bow, 1x aft.)"

・Vimeo : VEKA 19m Multipurpose Catamaran-----VEKA Group,June 6, 2013

福島洋上風力コンソーシアム
Fukushima_floating_wind_2014_3_flye
-----image :3月4日 に公開されたばかりの「福島復興浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業-第1期実証研究事業-パンフレット」より

追加情報



参考エントリー
1/4コスト削減を目指す、福島県沖浮体式洋上風力発電機開発-----自然エネルギー、2013/12/09

環境省、福島県沖の浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の7MW機2基建設に関する意見書を提出-----ソフトエネルギー、2013/12/09

Fukushima_floating_wind_7mw_2_map_1
-----image : 上記記事より、「環境省、平成25年12月5日 浮体式洋上超大型風力発電機設置実証事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について、添付資料(参考)対象事業実施区域の位置[PDF 295KB]」より-----
Fukushima_floating_wind_7mw_2_map_2

福島、浮体式ウィンドファーム実証研究事業(第1期)の今後の予定。順調なら11月運転開始-----ソフトエネルギー、2013/10/21

福島県沖2MW浮体式洋上風力発電機、10月稼動に向けて準備が進んでいます-----ソフトエネルギー、2013/06/26

国土交通省は、浮体式洋上風力発電施設の安全確保のため技術基準を制定。福島県沖計画にも適用-----ソフトエネルギー、2012/04/26

福島県沖の浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の2015年までの内容と実施体制が発表されました-----ソフトエネルギー、2012/03/07

古河電工とビスキャス、福島沖2MW浮体式洋上風車と変電所の連結に新技術を開発-----ソフトエネルギー、2013/10/07

環境省、福島県沖の浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の7MW機2基建設に関する意見書を提出-----ソフトエネルギー、2013/12/09

浮体式洋上風力発電 Floating Wind Turbine 再生可能エネルギーまめ知識


コメント続き

 折りしも現在行われている、平成26年度の固定価格買取制度の調達価格等の改正についてのパブコメにおいては、洋上風力発電枠が新たに新設される予定であり、その案においては、1kWあたり36円という地上風車枠[陸上風力(20kW以上) 22円/kWh 据え置き]よりはるかに高い金額が設定される予定であることが明らかになっています。

 これがある程度(どの程度の期間政策として継続するのか?)後押しをするのかわかりませんが、すでに浮体式洋上風力発電の世界では、世界をリードする規模で実証実験を行っているのですから、なんとしても”役立てて”いきたいところです。

経産省、平成26年度の固定価格買取制度の調達価格等の改正についてのパブコメを実施-----自然エネルギー、2014/03/12


参考エントリー
平成26年度(2014)の再エネ、買い取り価格の審議会案が出揃う。太陽光引き下げ、洋上風力、改修水力新設-----ソフトエネルギー、2014/03/10


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3月11日。日本人にとって特別な日になった。再確認! 原発再稼動に反対する

 3月11日は、日本人にとって特別な日になった。2011年の3月11日、午後三時まではいつものように過ごしていた。

 ツィッターを使い始めた時、これはかねてから必要を感じていたソーシャルブックマークとして使えるのではないかと思った。つぶやきの道具としての可能性は、私には二次的なものだった。だが、3年前のその日のつぶやきも、まだちゃんと残っている。これは、たいしたモノだと思う。タイムランをみると、記憶が行間を勝手にうめるから、その日の記憶がよみがえり、様子が浮かぶ。
 ツィッターを今でも使い続ける理由のひとつが、イベントの記憶としての役割なのだ。

 あの時、あの地震と津波の被害が刻々とライブでテレビに映し出される中で、私は家族や仕事上の連絡に追われていた。だから、あまり画面を見ることはできず、景色は断面的な記憶にとどまっている。ただ、その番組を食い入るように見る、23才の大学生の息子の顔の表情の変化に、この震災の被害の大きさを知り、3年たった今でもその表情の変化の記憶として、深く刻まれている。尋常でない、日本列島を襲う地殻変動の力。

 9.11以降の世界は、戦争と騒乱を悲しみと憎悪とともにこの世界にもたらした。イラクに大量破壊兵器がなかったことがわかっても、後の祭りだ。

 では、3.11は、何をもたらしたのか?

 東京電力と、当時の、そしてそれまでの為政者にとって幸運なことに、怒りや憎しみを表現することが不得手な国民故、その事故の影響も無主物も、それが原因で罪を問われることはなかった。これは、あくまでも天災であり、以前から警告されていた地震による原子力発電所の苛酷事故であってさえ、その責任は宙に浮いたままになっている。
 
 とはいえ、私たち日本人は3月11日のことを忘れない。この豊かで美しい大地と海が割れることを知ってしまったからだ。多くの日本人が、この圧倒的な地殻変動リスクを目の当たりにして、できるかぎりすみやかに、原子力発電の利用をやめることを望んでいる。

 想像するしかないが、昨年末から年明けの休み中を含む不適切な時期に実施された、エネルギー基本政策に関するパブリックコメントも、数的には同じような内容であったのではないかと考えています。総数(到達件数)は、18,663件で、128件についてはコメント付きの”問答集”が発表されただけで、全体の傾向は”ぬぁんと”無視されたままなのです。

 その上で、原発の安全をすべて規制委員会にまかせ、唯一の正当な事故調査たる国会事故調査委員会の報告による、検証委員会すら内閣府に設置しない手抜き状態が継続しています。

 そして、安倍首相は昨日の会見で、すべての下駄を体よく規制委員会におしつけ、国としての責任(ここでは、国会事故調査委員会の報告書、継続検討委員会の設置など)を放棄したままです。規制委員会の独立うんぬんは当たり前。それとは別に、福島第一原子力発電所苛酷事故を踏まえての原子力政策、原子力行政、原子力予算の見直しのための礎を作る責任が国にはあります。

”.......... (記者)  幹事社から2問目です。テレビ朝日の足立と申します。  東日本大震災をきっかけに止まっている全国の原子力発電所についてお伺いします。  原発の再稼働については、東京都知事選でも争点となったように反対論が根強くあります。安倍総理は先ほどの委員会でも再稼働の必要性を強調されていましたが、政権として原発の再稼働にどう対応される考えか、また、具体的なスケジュール感も含めてお聞かせください。

(安倍総理)
 福島の事故を経験いたしまして、国民の皆様が原発の安全性に不安を持つのは当然のことだと思います。福島の事故の教訓を踏まえて安全を確保していくことが大前提であります。その前提のもと、独立した原子力規制委員会が、世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な審査を行い、これに適合すると認められた原発について再稼働を進めていく方針であります。
 スケジュールにつきましては、原子力規制委員会で安全審査中でありますことから、私から予断をもって申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
.......... ”-----首相官邸、平成26年3月10日安倍内閣総理大臣記者会見より

 苛酷事故の検証を継続し、廃炉の安全を確保することは、本来最低線の国としての義務ですが、言葉をすり替え、責任をあいまいにする姿勢をつらぬく安倍政権では、迫り来る震災、そして原発震災を防ぎ、被害を少なくすることはできないのです。すべき想定をせず、再び次の震災による被害を拡大させ、また再び原子力発電所の事故を引き起こすことは、許されません。問題を問題として認識できる”国民に開かれた”行政、国のシステムが必要です。

 また、私たち市民も原発問題を通して、それを暮らしの選択の問題として強く認識する必要があります。それを考える過程で、国内だけでなく、この地球の上に生きるためのライフスタイルと哲学も見えてきます。


 おりしも、本日岩波書店から、原発震災を警告してきた石橋克彦さんの本が出版されました。

 注文します。
 そして、迫り来る未曾有の大震災。本日、再び肝に銘じます。

参考
国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調) / 注目の調査!-----しなやかな技術研究会、2012/05/15

国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)報告 ダイジェスト版 (pdf 0.8MB)-----とびっきりの未来 Project 50/2050、2012.07.05

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平成26年度(2014)の再エネ、買い取り価格の審議会案が出揃う。太陽光引き下げ、洋上風力、改修水力新設

 3月7日に経済産業省の審議会、第15回調達価格等算定委員会が開催され、平成26年度(2014)調達価格及び調達期間についての案が提示されました。これは、2012年7月から実施されている、再生可能エネルギーに関する固定価格買取制度における、電力会社への売電価格を決めるもので、賦課金でまかなわれます。国民の負担をあおぎ、再生可能エネルギーの普及拡大を図るための肝となる数字です。高すぎるとの指摘が開始当初から指摘され続けている10kW以上の太陽光発電の買い取り価格がどうなるかなど、大きな関心事です。

・平成25年度(2013)の価格に据え置かれたのは、陸上風力、地熱、小水力(新設)、バイオマスの以下のような再生可能エネルギー源です。

 陸上風力(20kW未満) 55円/kWh 据え置き
 陸上風力(20kW以上) 22円/kWh 据え置き
 地熱(1.5万kW未満)  40円/kWh 据え置き(15MW未満)
 地熱(1.5万kW以上)  26円/kWh 据え置き(15MW以上)
 中・小水力新設(3区分)24-34円/kWh 据え置き
 バイオマス(5区分)   13-39円/kWh 据え置き

 調達価格、期間などの詳細は、資源エネルギー庁の買取価格・期間等のページで、今後の決定後の内容と合わせて比較できます。

 さて、注目の太陽光などの変更部分です。

 太陽光発電(10kW未満) 平成25年度(2013) 38円/kWhから、37円/kWhへ減額
 太陽光発電(10kW以上) 平成25年度(2013) 36円/kWhから、32円/kWhへ減額

 さらに、風力では洋上、小水力では改修というカテゴリーが新たに生まれ(発電規模により3区分)、提示されました。
 
 洋上風力          36円/kWh
 中・小水力新設(3区分) 14-25円/kWh

 今後、経済産業省は関係省庁の意見を聴取し、今月中に買い取り価格を正式に決定するとのことです。
 議論の詳細など、これから見てみますが、価格決定に際して、もう少していねいな関係者からの意見聴取の上での協議を期待していたので、価格決定のプロセスがわかりにくかったように思います。
 

関連
経済産業省 調達価格等算定委員会 / 平成26年3月7日 第15回 配布資料

".........
議事次第(PDF形式:100KB)PDFファイル
配布資料一覧(PDF形式:143KB)PDFファイル
資料1 調達価格等算定委員会委員名簿(PDF形式:148KB)PDFファイル
資料2 前回のご指摘事項について(PDF形式:459KB)PDFファイル
資料3 平成26年度調達価格及び調達期間に関する意見(案) (PDF形式:1,144KB)PDFファイル
資料4 平成26年度調達価格及び調達期間についての委員長案(PDF形式:211KB)PDFファイル
参考資料1 本委員会が審議に際して前提する必要のある再生可能エネルギー特措法で規定されている(含 国会審議の中で確認されている)主な事項について (PDF形式:577KB)PDFファイル
参考資料2 第12回調達価格等算定委員会配布資料 「最近の再生可能エネルギー市場の動向について」 (PDF形式:2,644KB)PDFファイル
(ZIP形式:2,462KB)ダウンロードファイル
参考資料3 第13回調達価格等算定委員会配布資料 「最近の太陽光発電市場の動向及び前回のご指摘事項について」 (PDF形式:2,292KB)PDFファイル
参考資料4 第14回調達価格等算定委員会配布資料 「前回のご指摘事項について」(PDF形式:2,292KB)
.......... "

----- Ustream : 動画公開 / 第15回調達価格等算定委員会(1)2014/03/07

追加情報
経産省、平成26年度の固定価格買取制度の調達価格等の改正についてのパブコメを実施-----自然エネルギー、2014/03/12


参考
経産省、太陽光発電の買取価格、出力規模別の設定は見送りの方向-----Tech On!、2014/03/04

追加情報
経産省、再生可能エネルギーの平成26年度の買取価格および賦課金を決定-----ソフトエネルギー、2014/03/25


関連エントリー
どのように進む、買い取り(調達)価格の改定。注目は、太陽光と洋上風力----ソフトエネルギー、2014/01/09

固定価格買取制度の平成25年度の買取価格案が示されました。太陽光のみ引き下げへ----ソフトエネルギー、2013/03/12

経産省、再生可能エネルギーの固定価格買取制度について調達価格及び賦課金単価を含む制度の詳細を発表----ソフトエネルギー、2012/06/20

再生可能エネルギーの固定価格買取制度、議論まとまる。委員会報告書作成へ2----ソフトエネルギー、2012/04/27

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スマートソーラーインターナショナル、追加情報

 2月に倒産したスマートソーラーインターナショナルの情報へのアクセスが以前多い状況が続いています。
 サイトが早々と閉鎖されたこともあり、基本的な情報を知りたいという問い合わせも数件ありました。ネットで公開されていた以上の情報をもっているわけではありませんが、以下に新しい情報が見つかり次第、アップしていくつもりです。

スマートソーラーインターナショナル、この2月に5億円の負債を負って倒産-----自然エネルギー、2014/03/05

関連エントリー
東大発ベンチャー:スマートソーラーインターナショナル、追尾型の太陽光発電・熱利用システムを開発。まずは被災地へ-----ソフトエネルギー、2011/06/06

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大阪ガスのエナジーバンクジャパン、神戸垂水処理場で太陽光2MWpとバイオガス発電350kWの"こうべWエコ発電プロジェクト"を始動

 大阪ガスの100%子会社であるエナジーバンクジャパンは、神戸市との共同事業として、神戸垂水処理場で太陽光2MWpとバイオガス発電350kWの"こうべWエコ発電プロジェクト"を始動したと発表しました。1月の神戸市の発表時にはバイオガス発電350kWとだけ発表されていましたが、今回は発電と同時に熱をも利用し、泥消化タンクの加熱に利用する点を強調し、発電と熱利用ということで「バイオガスコージェネ設備(350kW)」という発表となっています。

神戸市、太陽光2MWpとバイオガス発電350kWの"こうべWエコ発電プロジェクト"を3月から始動-----ソフトエネルギー、2014/01/29

 また、神戸市では今回の神戸垂水処理場以外の市内の全処理場で発電事業を実施した場合には、全体で太陽光発電は約5MWp(約5,000kWp)で年間にすると約550万kWhの発電量が、バイオバス発電は、約2.3MW(約2,300kW)で、年間にして約1,800万kWhの発電量が将来見込めるとの推計も発表しています。下水処理場の施設上部空間と下水道固有の資源であるバイオガスを活用した、太陽光発電とバイオマス発電による、ダブル発電として、「こうべWエコ発電プロジェクト」をアピールしています。

プレスリリース / 大阪ガス、エナジーバンクジャパン 2014年3月5日
神戸垂水処理場における「こうべWエコ発電プロジェクト」の事業開始について ~2つの再生可能エネルギー(太陽光発電・バイオガスコージェネ)を同時導入

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-----image(上-太陽光発電設備とバイオガスコージェネ設備、下-事業概要) : 同リリースより-----
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" 大阪ガス株式会社(略)の100%子会社であるエナジーバンクジャパン株式会社(略)は、神戸市(略)と共同で、垂水下水処理場の施設上部空間と下水道固有の資源を活用した、日本初の太陽光発電とバイオガスコージェネによる発電事業「こうべWエコ発電プロジェクト」(以下、「本プロジェクト」)に取組んできました。この度、太陽光発電設備(約2,000kW)及びのバイオガスコージェネ設備(350kW)の設置工事が竣工しましたので、本日より売電事業を開始いたします。

 バイオガスとは、下水汚泥や食品残渣などの有機物が発酵して発生するメタンを主成分とする可燃性ガスで、未利用の再生可能エネルギー源であることから地球温暖化対策の一つとしてその有効利用が期待されています。
 神戸市では、平成22年度に日本初のバイオガス都市ガス導管注入実証事業※1を開始するなど、下水道バイオガスの有効活用に積極的に取組んでおられます。
 一方、大阪ガスでは、平成22年4月にEBJを設立し、お客さまが初期投資を行わず、再生可能エネルギーを利用した発電設備を設置できるサービス※2を提供しています。EBJでは、本サービスをベースに発電設備の技術評価・エンジニアリング・保守メンテナンスまでをパッケージ化したスキームを構築し、自治体などと共同で発電事業を実施しており、平成25年12月末までに、約26MWの太陽光発電の設置契約を締結しています。

 本プロジェクトでは、EBJが独自のファイナンス技術を活用してスキームを構築し、資金調達、発電設備の設置・運営などを行い、神戸市は事業用地の提供、バイオガスの供給などを行います。固定価格買取制度に基づく売電契約はEBJが締結し、EBJが売電により得た収益から神戸市へ売電量に応じた対価を支払います。
 なお、バイオガスコージェネの排熱は、汚泥消化タンク※3の加熱に利用します。
..........
※1  神戸市、株式会社神鋼環境ソリューション、大阪ガス株式会社による共同事業。
神戸市東灘処理場で発生するバイオガスを都市ガスと同等の水準に精製し、都市ガス導管へ注入する事業。
※2  ビジネスモデル特許登録済みの大阪ガスの金融スキーム
※3 下水汚泥中の有機物をバイオガスと水に分解し、汚泥の量を少なくするとともに、汚泥を安定化させる設備
.......... "

関連
公民連携 垂水処理場「こうべWエコ発電プロジェクト」-----神戸市、平成25年3月26日

"日本初 下水道資源を活用した太陽光・バイオガスのWエコ発電

公民連携による再生可能エネルギーの拡大と固定価格買取制度の活用
事業スキーム(事業の特長)
・メガソーラーとバイオガスの安定したダブル発電事業
・公民連携による「共同事業方式」を採用
・本市が資源と空間を提供し、民間資金を活用して再生可能エネルギーを創出
・国の再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用した20年間の事業

(役割分担)
・神戸市 設置場所の提供、「こうべバイオガス」の供給、発電時の排熱の利用等
・EBJ 関西電力株式会社との契約、発電設備設置・運営、発電時の排熱を神戸市に供給等

垂水処理場における事業計画
事業計画(太陽光発電)
・水処理施設の上部約2haに太陽光パネル(縦約1m、横2m)を約8,000枚設置(約2,000kW)
(バイオガス発電)
・小型発電装置(25kW)を14台設置(計350kW)
(年間発電量)
・約450万kWh(一般家庭の約1,300世帯分)
内訳 太陽光:約200万kWh
    バイオガス:約250万kWh
・年間約1億7,000万円(見込み)
 上記の2割程度が市の収入
(スケジュール)
・着工  今年9月頃
・発電開始  同年12月頃
......... "

・大阪ガス : エナジーバンクジャパン


参考エントリー
神戸市、東灘処理場で汚泥と洋菓子残渣+木質系でバイオガス「KOBEグリーン・スイーツプロジェクト」実証実験開始-----ソフトエネルギー、2011/08/02

神戸市、大阪ガス、神鋼環境ソリューション、日本初のバイオガス都市ガス導管注入実証事業を開始-----ソフトエネルギー、2010/10/14


参考
・Twilog : #biogas(世界のバイオガスに関する情報)

・Twilog : #biogas #renewjapan(国内のバイオガスに関する情報)

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米Stion、タンデムジャンクション方式のCIGS太陽電池で変換効率23.2%を達成

 結晶系に並ぶ性能とより安価なコストを実現している化合物系薄膜太陽電池に新たな企業が加わった。米Stionは、タンデムジャンクション方式のCIGS太陽電池で変換効率23.2%を達成したと発表した。同社は、20×20cmサイズのプロトタイプモジュールにおいて、20.0%以上の効率を、さらに65×165cmの量産モジュールの生産につながる実証モジュールにおいて、20 - 22%の変換効率の実現に目処をつけているということです。

 化合物系薄膜太陽電池といえば、CdTeのファーストソーラー、そしてCIGSの日本のソーラーフロンティアが結晶系に伍し、それをコストで凌駕しつつある。ここにきて、今回のStion社以外にも頭角を現しつつある企業が複数でてきました。
 太陽光発電が化石燃料にコストでならびつつある現在、その動向が注目されます。

 とはいえ、結晶系もこの競争によく生き残っているという気もします。それぞれの、生産、発電の上での性能や性格の差が今後どうなるのか? なかなか面白い状況です。


プレスリリース / Stion, February 27, 2014
Stion Demonstrates 23.2% Efficiency Thin Film With Simply Better™ Tandem Technology

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-----image : 上下(”Stacked Tandem Graphic”)とも同リリースより-----
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"Stion, a leading US-based manufacturer of high efficiency thin-film solar modules, announced that it has produced a 23.2% efficiency thin-film cell based on its proprietary tandem junction technology. Stion has already scaled this technology at or above 20.0% efficiency on a prototype module (20 cm x 20 cm) and expects to soon scale to monolithic modules (65 cm x 165 cm) in the 20-22% efficiency range.

A pioneer in tandem module technology, Stion is the first to demonstrate fully integrated thin film devices at such high conversion efficiencies using scalable commercial processes. Stion will continue to implement the key technical innovations behind the 23.2% cell on its pilot production line in San Jose, CA in preparation for the commercialization of thin-film modules with >20% efficiency.

“Achieving 23.2% cell efficiency and 20% mini-module efficiency on this state-of-the-art technology clearly demonstrates Stion’s commitment to technology differentiation and its deep IP portfolio,” said Howard Lee, Stion’s Chief Technology Officer, Founder and Sr. Vice President of Technology. “Showing initial results of 20%+ is a strong validation of scalability, and our ability to provide Simply Better™ solutions to our customers using this technology. We expect the technology to keep improving with production experience”
.......... "

関連
Stion achieves 23.2% solar PV cell efficiency using tandem CIGS technology-----Solar Server,2014-03-05

参考
・Wikipedia : Multijunction photovoltaic cell

・Twilog : 化合物系

・Twilog : CIGS

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IEA、再エネへの転換によるエネルギー革命を予測。課題は電力システムの"進化"

IEAは、「The Power of Transformation - Wind, Sun and the Economics of Flexible Power Systems」(”エネルギーの転換”)と題したリポートを発表、再生可能エネルギーへの転換を進める国々、世界の姿を描くことでエネルギー革命を予測。化石燃料代替の盟主は、原子力から再生可能エネルギーになる。
 IEA(国際エネルギー機関 International Energy Agency)の予想は、これまでそれほど当たらないとの指摘もあるが、今回のリポートでは、”当たる”といわれるBPのリポートの内容を踏襲する形で、再生可能エネルギーの利用が進む世界の姿を描き出したように思います。

 梗概を読んだ印象だと、他の研究と同じく、再エネ30%までの導入はなんとか大きな手直しが必要ないかもしれません。数パーセントの日本が蓄電池やスマート化にお金をかけるのは結構ですが、世界の状況は数割導入し、その先の課題にどう取り組むかという段階に入っているということです。化石燃料依存を下げる必要があるわが国で、このような”躊躇”が起きている原因、その克服については、早急に他国との比較、打開策を考える必要があります。
 
プレスリリース / IEA,26 February 2014
Any country can reach high shares of wind, solar power cost-effectively, study shows
Thepoweroftransformationcoverwithte
-----image : 同リリースより「The Power of Transformation - Wind, Sun and the Economics of Flexible Power Systems」カバー

" Transformation of power systems is necessary to guarantee flexibility over long term, but this will be more difficult in some markets than in others

Wind power and solar photovoltaics (PV) are crucial to meeting future energy needs while decarbonising the power sector. Deployment of both technologies has expanded rapidly in recent years – one of the few bright spots in an otherwise-bleak picture of clean energy progress – and IEA scenarios indicate that this trend will continue for decades. However, the inherent variability of wind power and solar PV is raising concerns: Can power systems remain reliable and cost-effective while supporting high shares of variable renewable energy (VRE)? And if so, how?

A landmark study released today by the International Energy Agency addresses these concerns and confirms that integrating high shares – i.e., 30 percent of annual electricity production or more – of wind and solar PV in power systems can come at little additional cost in the long term. However, costs depend on how flexible the system currently is and what strategy is adopted to develop system flexibility over the long term. Managing this transition will be more difficult for some countries or power systems than others, the study says.

“Integrating high shares of variable renewables is really about transforming our power systems,” IEA Executive Director Maria van der Hoeven said as she launched The Power of Transformation - Wind, Sun and the Economics of Flexible Power Systems, the latest in a series of IEA reports shedding light on the challenges and opportunities of integrating VRE into power systems globally.
.......... "

関連
・「The Power of Transformation - Wind, Sun and the Economics of Flexible Power Systems」-----the executive summary(PDF)

追加情報
国際エネルギー機関、再生可能エネルギーの拡大は可能とする調査結果を公表-----EICネット,2014.02.26

".....出力変動型再生可能エネルギー(VRE)による世界の年間発電量を現在の約3%から30%超に低コストで転換するには、現行の電力システムの柔軟性拡大や長期的施策が鍵.....このうち、5~10%のVRE発電の導入であれば、送電網の安定化措置、効率的なVRE予測データの利用等を条件に、どの国でも既存システム内で技術的・経済的に問題なく行えるが、30%超の導入には、最先端技術の利用、変動調整機能追加のための投資等による、電力システム全体の転換が必要になるとしている....."

キーワード
・Wikipedia : Variable renewable energy(出力変動型再生可能エネルギー)


コメント続き
 現状、日本の再生可能エネルギーのシェアは、1.6%(”ちゃんと”計算すると3.6%)です。各国の電力に占める再生可能エネルギーの割合は、今回の報告書では以下のような形で描かれています。

Iea_2014_energy_transformation
-----image(”Figure 3.1 Generation mix of case study power systems, 2012 : Overview of GIVAR III case study power system properties”) : IEA : The Power of Transformation - Illustrationsより

 より大きな再生可能エネルギーの拡大利用を考える上で、蓄電池などのストレージ関連の技術は不可欠ですが、時間と資金のかかるストレージ以前に取り組める拡大策があります。数パーセントのわが国がすべきは、先進国にきちんと頭をたれて教えを請うことです。そして共同研究。そこから、次代が見えてきます。


参考
BP Energy Outlook 2035 リリース。”化石”依存と限界を背景に、再生可能エネルギーは拡大せざるをえない-----ソフトエネルギー、2014/01/20

米国立再生可能エネルギー研究所 National Renewable Energy Laboratory、電力網は従来の研究よりも不安定化の恐れなく大量の再生可能エネルギーを受け入れることができるという研究成果を発表-----ソフトエネルギー、2010/07/09

・環境省 : 低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言

"低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言(平成25年3月)
(2050年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証検討)
(低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及拡大方策等検討会)"

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富士経済、2030年の世界の海洋エネルギーなどの海洋ビジネスの市場規模を分析

 富士経済は、世界の海洋ビジネス市場を調査・分析し、海洋エネルギー市場、メタンハイドレート市場、藻類バイオ燃料市場、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)市場、バラスト水管理システム市場の各分野における、2030年の市場規模を現在と比較し発表しました。
 
 洋上風力発電を含む、潮流・海流発電、波力発電、海洋温度差発電、浸透圧発電(塩分濃度差発電)、浮体式太陽光発電の海洋エネルギー市場は、2030年には、9兆1,500億円に達するとの予測を発表しました。
 現在(2013年集計予測値)においては、海洋エネルギー全体の市場規模は、1兆1,134億円ですが、そのほとんどが洋上風力発電によるもの(1兆1,080億円) です。世界的にも海洋エネルギーの開発は、これからの課題ということです。そして、今回の富士経済の予測では、2030年には全体で9兆1,500億円に達し、その内訳は、洋上風力発電が4兆3,500億円、その他が約4兆8,000億円にも達するとしています。海洋エネルギー利用の分野で、洋上風力発電以外のどの発電方式がのびるのか? どの国、地域でのびるのかなど、その実現に期待したいところです。
 わが国は、2013年4月に新たな「海洋基本計画」を策定しています。海洋国家としての今後の姿を指し示す内容として、その具体化に資することができるのか、注意深く見守り、育てる必要があります。
 潮流・海流発電、波力発電、海洋温度差発電、浸透圧発電(塩分濃度差発電)、浮体式太陽光発電などの情報ももっと多く見られるようになるはずですから、そのことにも注目します。

 海洋エネルギー以外の分野では、藻類バイオ燃料市場が現在はほとんど市場など存在しない状況から、2030年予測では、なんと4兆5,000億円まで拡大すると予測されています。んー、ちょっとこの数字の実現はにわかに信じられないのですが、、、、

 何はともあれ、海洋国家であるわが国が食料、資源、そしてエネルギー開発と大きな力を注ぐ価値のある海洋に目を向ける必要が大いにあると考えています。


プレスリリース / 富士経済、2014/01/22
世界の海洋ビジネス市場の最前線を調査・分析-2030年 海洋エネルギー市場は9兆1,500億円

" 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(略)は、2013年9月から11月にかけて、新規産業の創出や市場拡大が期待される海洋ビジネス市場とその最前線を調査した。その結果を報告書「海洋ビジネスの最前線と将来展望 2014」にまとめた。

◆海洋ビジネスの概要
 2013年4月、日本政府が新たな「海洋基本計画」を策定した。海洋の安全保障と共に、これまで以上に海洋エネルギーや資源開発を加速させる方針が盛り込まれている。元々日本は四方を海に囲まれた地理的特徴から造船業や海運業などが発達しており、広大な領海及び排他的経済水域を有している。そこにはエネルギー資源や鉱物資源、生物資源が豊富に存在することが確認されているが、技術的な理由や採算性の問題から商用化に至らず、いまだ多くの資源が手つかずとなっている。

海外に目を向ければ、欧米には海底油田・ガス田の開発で蓄積した技術やノウハウを持つ企業が多く、海底資源の発見が相次ぐアフリカ、南米、東南アジア、オーストラリアなどの開発プロジェクトを主導している。また、中国、韓国、シンガポールのアジア勢は日本が得意としてきた造船などの分野で市場を席巻している。

世界では様々な海洋ビジネスが確立されており、特に海底化石資源や再生可能エネルギーといったエネルギー分野での市場拡大が予想される。資源開発が進めば日本は一躍資源大国になる可能性もあり、ポテンシャルの大きさから関心度は年々高まっている。日本では新たな「海洋基本計画」の策定を皮切りに、海洋産業の振興や新規ビジネスの創出が期待される。

◆注目市場

1.海洋エネルギー市場

           2013年見込 2030年予測 12年比
海洋エネルギー 1兆1,134億円 9兆1,500億円 14.6倍
(洋上風力発電) 1兆1,080億円 4兆3,500億円 7.0倍
※洋上風力発電は海洋エネルギーの内数です

 海洋エネルギーは、洋上風力発電、潮流・海流発電、波力発電、海洋温度差発電、浸透圧発電(塩分濃度差発電)、浮体式太陽光発電を対象としている。 現状で市場を本格形成しているのは着床式の洋上風力発電のみであるが、これ以外の海洋エネルギーでも2011年頃から欧州での開発が加速しており、多くの実証実験が行われている。技術開発が順調に進めば、2020年頃までに商用化、2030年までに市場は本格形成するとみられ、2030年には9兆1,500億円が予測される。 洋上風力発電は、イギリスを中心に市場が拡大している。イギリス以外でもドイツ、ベルギー、デンマークなどが導入に積極的で2013年には1兆円を突破すると見込まれる。2020年までは欧州北部、中国、米国、日本を中心に普及し、それ以降は韓国、台湾、インドなどのアジアで導入が進むことで2030年には4兆3,500億円に拡大すると予測される。

2.メタンハイドレート市場
..........
3.藻類バイオ燃料市場
..........
4.FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)市場
..........
5.バラスト水管理システム市場
.......... "

関連
・富士経済 : 「海洋ビジネスの最前線と将来展望 2014」


参考エントリー
政府は、洋上風力発電や海洋エネルギーの産業振興計画を含む新たな海洋基本計画を閣議決定しました-----ソフトエネルギー、2013/04/29

参考ツィート
・Twilog : #renewjapan #renewmarine(日本の海洋エネrぎーに関する話題)

・Twilog : #renewmarine(世界の海洋エネルギーの話題)

続きを読む "富士経済、2030年の世界の海洋エネルギーなどの海洋ビジネスの市場規模を分析"

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