経済産業省、沖縄本島における太陽光発電の接続容量の限界を57MWpと発表。蓄電など対応策も示した
経済産業省は、4月の北海道に続き、沖縄でにおける大規模太陽光発電の接続についての対応を発表しました。
発表によると、固定価格買取制度の施行により、大規模太陽光発電の設置、そして計画が増え、接続申込量が50MW程度あるとのことです。これにより、早ければ12月中にも、経済産業省が接続限界の目安であるとする57MWに達するとのことです。接続限界を越えると、発電における変化が大きな太陽光発電により、電力網全体の安定性が脅かされるということですので、なんらかの対策が必要とされています。
今回、経済産業省が当面の手当てとして発表した対応策は二つです。
一つ目は、大型蓄電池の設置による接続可能量の拡大。沖縄電力の系統実証施設に、大型蓄電池を設置(沖縄県と沖縄電力にて取り組み)。具体的には、2MW の鉛蓄電池を設置し、1~2年の設置実証を経て実用化、これにより1割弱程度の接続可能量の拡大につながる可能性がある。
二つ目は、接続可能量拡大に向けた送電網実証事業。経済産業省は、平成26年度概算要求に44億円を計上。気候変動予測、大型蓄電池制御、出力抑制等を組み合わせた、新たな送電網の制御・管理技術について実証事業を行うとのことです。また、島嶼部での系統管理も行う予定で、沖縄本島での接続可能量の拡大を追求するとのことです。
いずれにしろ、この対策ではさらに大幅な太陽光発電の拡大枠は確保できません。結果、今後は300kW以上の大型太陽光発電は、受け入れ難しとのことになりそうです。
今回、北海道に続き、沖縄で、太陽光発電の接続限界がアナウンスされたことで、国の考える系統保護策における、電力の需給バランスが理解できそうです。ぼちぼち時間があるときに資料を調べていきたいと思います。
プレスリリース / 経済産業省、平成25年12月3日
・沖縄本島における太陽光発電の接続についての対応を公表します
"本件の概要
経済産業省は、本日、沖縄本島における太陽光発電の接続についての対応を取りまとめましたので、お知らせします。1.背景・経緯
固定価格買取制度の施行後、太陽光発電の導入が急速に進んでおりま す。その中で、沖縄本島はもともとの系統規模が小さいことに加え、系統線が他の地域とつながっていない独立系統である等の要因から、再生可能エネルギーの接続量に限界が生じやすい地域となっております。そのため、太陽光発電(300kW以上)は、現状の設備・接続条件を前提とすると、接続限界に近づきつつある状況です。このような状況を踏まえ、本年 4月17日に公表しました「北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応」の中で、沖縄本島(沖縄電力)においても太陽光発電の接続可能量の限界に達する可能性がある ことを注意喚起するとともに、沖縄電力へ対応策の検討を指示することとしました。
その後、資源エネルギー庁と沖縄電力で、対応策の検討を続けてまいり ましたが、今般、対応策がまとまりましたので公表いたします。
2.対応策の概要
※詳細については別紙をご参照ください。
(1)大型蓄電池の設置による接続可能量の拡大
(2)接続可能量拡大に向けた送電網実証事業
..........
”別紙 沖縄本島における太陽光発電の接続についての対応 平成25年12月3日
資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部沖縄本島においては、固定価格買取制度の施行後、太陽光発電(300kW 以上)の接続申込量が50MW 程度となっており、早ければ12月中にも接続限界の目安である57MW 程度に達する見込みです。接続量が接続限界に達した場合、太陽光発電(300kW 以上)は、新たに接続することができなくなります。
類似の問題が先行して発生した北海道については、本年4月17日に「北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応」を公表しましたが、その際、沖縄本島(沖縄電力)についても、太陽光発電の接続限界に達する可能性があることを発表し、当該状況について発電事業者に注意喚起を行うとともに、沖縄電力に対応
策の検討を指示し、省エネルギー・新エネルギー部とともに検討を行ってまいりました。今般、下記の2つを対応策としてとりまとめましたので、公表いたします。
対応策1:大型蓄電池の設置による接続可能量の拡大
沖縄電力の系統実証施設に、大型蓄電池を設置(沖縄県と沖縄電力にて取り組み)。具体的には、2MW の鉛蓄電池を設置し、1~2年の設置実証を経て実用に供すれば、1割弱程度の接続可能量の拡大につながる可能性がある。
対応策2:接続可能量拡大に向けた送電網実証事業
経済産業省は、気候変動予測、大型蓄電池制御、出力抑制等を組み合わせた、新たな送電網の制御・管理技術について実証事業を行うべく、平成26年度概算要求に44億円を計上。島嶼部での系統管理も行う予定で、沖縄本島での接続可能量の拡大に寄与する可能性がある。接続量が接続限界に達した場合は、当省から沖縄電力に対し、当該事情について各接続希望者に丁寧に説明するよう求めることといたします。なお、そうした場合であっても、発電事業者が自らの負担で必要とされる規模の蓄電池を設置する場合は、引き続き接続することが可能です。なお、北海道及び沖縄以外の各地域では、当面、接続可能量が限界に達する見通しはありません。
当省としては、大型太陽光発電については、引き続き発電事業者に対して、当面接続可能量に余裕が残っているとみられる北海道及び沖縄以外での立地を検討するように呼び掛けてまいります。
.......... ”-----沖縄本島における太陽光発電の接続についての対応を公表します(PDF)より
.......... "
関連
・沖縄電力 : お知らせ / (H25.12.03) 太陽光発電についての経済産業省からの公表に対する今後の対応について(PDF)
・北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応を公表します-----経済産業省、平成25年4月17日
参考
・沖縄電力 : 電力需要実績(詳細)
コメント続き
本日のところは、あくまで概算。
沖縄電力のH24年の電力需要規模は、7,313,787000kWh/年。7,313,787MWh/年です。乱暴に時間あたりに直すとおおよその需給量がわかります。約835MWです。本島9割といわれているので、約752MWぐらいでしょうか。沖縄電力全体のピーク電力は、夏場に1500,000kW(1500MW)程度です。固定負荷が約8%として約60MW。
これで、だいたいの感じが掴めました。夏場のピーク日における変動幅が、60~1500MW。平均が752MW。積算でおおよそ18048MWh/日。
一方、50MWpの太陽電池の発電量は、夜や荒天時にはゼロ。広域に散るのでありえないですが、全体がマックスに同時に発電したとして、最大発電量にしてもせいぜい42.5MW。夏場は、これが最大需要時と重なるわけですから、十分に吸収できると考えます。蓄電なしに、捨電だけで、平均が752MWに対して、少なくとも15%ぐらいは対応できると思います。ここから逆算すると、132MWp程度、経済産業省が考える限界50MWpの2倍以上の値です。さらに、需給応答、捨電、揚水、夜氷などを組み合わせるとさらに、接続可能量は増えます。これは、乱暴な値から導いた感じな話です。需給を細かく把握できるシステム、気象データーから発電量を予測するシステムがあれば、対応した発電システムの整備により、”その地域の自然エネルギーのパターンに合わせた”、化石燃料を当面主軸とする電力網の設計が可能だと考えています。需給を細かく把握できる電力システムの実現は、市場の可能性をも広げます。
本や資料を個人的に読み解いた結果ですが、日本の系統の需給容量に対する再生可能エネルギーの設備容量の上限は小さすぎると考えています。それを、検証できる仕組みを作り、よりよい送電網と発電設備の配置や運用を模索すべきだと思っています。
そのために、日本でもアメリカのNRELのESIF( Energy Systems Integration Facility)のような再エネと送電網の統合に関するテストができる施設を早期に作るべきだと考えています。
参考エントリー
・東北電力、西仙台変電所に2万kWh(20MWh)の世界最大規模のリチウムイオン蓄電設備、着工-----ソフトエネルギー、2013/11/28
・アメリカエネルギー省とNRELは、再エネと送電網の統合をめざし、新たな研究センター ESIF を開設-----ソフトエネルギー、2013/07/03
・米国立再生可能エネルギー研究所 National Renewable Energy Laboratory、電力網は従来の研究よりも不安定化の恐れなく大量の再生可能エネルギーを受け入れることができるという研究成果を発表-----ソフトエネルギー、2010/07/09
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