日立製作所、茨城県神栖市に5MWダウンウィンド洋上風力発電機 HTW5.0-126 の実証機を建設へ
日立製作所は、2012年より開発を行ってきた、5MWダウンウィンド洋上風力発電機 HTW5.0-126 の実証機を、茨城県神栖市沿岸の陸上に建設すると発表しました。HTW5.0-126は、定格出力 5MW(5,000kW)で、三枚翼の直径は126mで、ハブまでの高さは約90mです。通常の風力発電機がノーズコーン側から風を受けるアップウィンド型であるのに対して、タワートップのナセル(発電機などを収納する部分)側から風を受けます。このダウンウィンド型は、暴風時にもローターが横風を受けない向きを保持し、風荷重を低減でき、洋上風車として展開した時には、風向追従性の高さを生かして風を効率的に捉えることができるといった効果が期待されています。
このダウンウィンド型の風力発電機は、2012年7月に富士重工業から譲渡を受けたもので、日立が開発から設計・製造・販売・保守までを一貫して対応できる体制を整えようとしています。日立は、富士重工業とこの国産風力発電機を開発する一方で、グループ会社がエネルコンの風力発電機を販売してきました。今後は、大型化する洋上風力発電機市場に、2MW機と5MW機を投入できる体制を整えつつあります。
5MW実証機のスケジュールは、2013年度末までに建設を開始、2014年上期より実証運転開始が予定されています。また、この 5MW HTW5.0-126 の販売は、2015年度より計画されています。
プレスリリース / 日立製作所、2013年11月26日
・5MWダウンウィンド洋上風力発電システムの実証機建設について
" 株式会社日立製作所(略)は、洋上風力発電システムの大型化ニーズに対応するため、2012年7月より開発に着手していた5MWダウンウィンド洋上風力発電システム「HTW5.0-126」について、茨城県神栖市沿岸の陸上に実証機を建設することを決定しました。2013年度末までに建設を開始し、2014年上期より実証運転開始を予定しています。今回実証機を建設する5MWダウンウィンド洋上風力発電システム「HTW5.0-126」は、ローターを風下側に配置する日立独自のダウンウィンド方式であり、基礎工事・浮体工事費用の低減*1やより高い安全性が期待できます。なお、「HTW5.0-126」の販売開始は、2015年度を計画しています。
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日立は、2012年7月に富士重工業株式会社から風力発電システム事業の譲渡を受け、開発から設計・製造・販売・保守までを一貫して対応できる体制を整え、事業拡大に注力してきました。これまで2MW風力発電システムHTW2.0-80を国内に多数納入しており、2012年には国内トップシェア*2となっています。また、将来の市場ニーズに対応するため、経済産業省や環境省が実施している浮体式洋上風力発電の実証事業へ参画しているほか、低風速域に対応した2MW風力発電システムの実証機の建設も開始しています。今回実証機を建設する「HTW5.0-126」は、従来製品であるHTW2.0-80と比較して、定格出力が2.5倍の5MW、ローター直径が約1.5倍の126mとなる風力発電システムです。HTW2.0-80と同様に、ローターを風下側に配置する日立独自のダウンウィンド方式であり、暴風時にもローターが横風を受けない向きを保持し、風荷重を低減できるという特長があることに加え、新開発の永久磁石同期発電機と中速増速機を組み合わせることで、システム全体の軽量化、コンパクト化、信頼性の強化を図っています。これにより、着床式洋上風力発電や浮体式洋上風力発電における基礎工事や浮体工事費用の低減と安全性の高い風力発電システムの提供が期待できます。また、浮体式洋上風力においては、ダウンウィンド方式により、風を効率的に捉えることができるため、多くの発電量が期待できます。実証機では、出力や風荷重などの検証を行う予定です。
また、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「風車部品高度実用化開発」助成金の交付を受けて、洋上風力発電システムの更なる高度化を推進していきます。
日立は、今後も拡大が見込まれる風力発電システム市場で積極的に事業を展開するとともに、社会インフラを支える電力システムの提供を通じて、低炭素社会の実現に貢献していきます。
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HTW5.0-126実証機の主な仕様型番 HTW5.0-126
定格出力 5MW(5,000kW)
ローター直径 126m
ハブ高さ 約90m
ブレード枚数 3枚
ローター位置 ダウンウィンド
ヨー制御 通常運転時 : アクティブ制御
暴風停電時 : フリーヨー
発電機種別 永久磁石同期発電機
カットイン風速 4m/s
カットアウト風速 25m/s
風速クラス IEC-Class S(年平均風速10m/s)*1設置海域の水深、地盤の状況により、採用可能な工法は異なります。
*2出典 : 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「日本における風力発電設備・導入実績の一覧表」における2012年稼働開始実績(総出力ベース) の日立製作所/富士重工業の合計値
.......... "
関連
・日立製作所 : 風力発電システム - プロダクツ
/ HTW2.0-86 - ダウンウィンドロータ
-----image : 上記サイトより
- 諸元
".....ロータ 直径 86m.....ロータ位置 ダウンウィンド.....発電機定格出力 2,000kW....."
".....ロータ 直径 80m.....ロータ位置 ダウンウィンド.....発電機定格出力 2,000kW....."
・日立パワーソリューションズ : 風力発電システム(ENERCON社 OEM)
追加情報
5MWダウンウィンド風力発電システム「HTW5.0-126」初号機の建設が完了-----日立製作所(2015/3/24) http://t.co/hkJBiMbQfl #renewjapan #renewwind #hitachi pic.twitter.com/aN27Mr35wn
— greenpost (@greenpost) September 1, 2015
参考
・富士重工業の風力発電システム事業を日立に事業譲渡-----富士重工業、2012年3月30日
"..........
日立と富士重工業は、2003年に2,000kW級ダウンウィンド型風力発電システムを共同開発し、2005年12月に、茨城県神栖市波崎に試験機を設置して以降、国内の6箇所で累計25基の風力発電システムを納入しています。ダウンウィンド型風車は、ローターをタワーの風下に配置した風車で、丘陵や洋上において、効率的に風を受けて発電することができます。日立は発電機や電力制御部分の設計・製造、および風力システムの販売と据付を担当し、富士重工業は風車本体のナセル、ブレード、タワーの設計・製造を担当することで、これまで緊密に協業関係を構築し、事業展開してきました。今回、風力発電システムの市場拡大や、主流が現在の2,000kW級からさらに大型化することが予想される中で、日立は、富士重工業からの風力発電システム事業の譲渡により、両社のリソースを集約し、大型化に向けた設計・開発力を強化するとともに、製販一体化により、今後の市場ニーズに迅速に対応する「マーケットイン」の体制を強化します。今後、日立の電力制御技術や系統連系・安定化技術と、富士重工業のダウンウィンド型風車技術を融合し、製造・販売から保守サービス・系統連系・安定化を組み合わせたトータルソリューションの提供を推進していくことで、再生可能エネルギー市場におけるさらなる事業拡大を図ります。
一方、富士重工業は、本事業譲渡により、自動車をはじめとした他事業への経営資源の集中を図ります。
.......... "
参考エントリー
・長崎県五島沖に世界初の2MW Hybrid Spar型浮体式洋上風力発電機が登場!-----ソフトエネルギー、2013/11/06
".....姿を現した2MW機は、一番深いところから風車翼の先端までの全長が172m、三枚翼のダウンウィンド型風車の直径やおおよそ80mです。海面上に浮いて見える部分の高さは、96m。浮体の一番下部から海底までの距離は、おおよそ20mということです。この浮体式洋上風力発電機は、ハイブリットスパー Hybrid Spar型です。....."
・福島県沖2MW浮体式洋上風力発電機、10月稼動に向けて準備が進んでいます-----ソフトエネルギー、2013/06/26
".....2MW浮体式洋上風力発電機.....ダウンウィンド型風力発電機と....."
・京大、戸田建設ら、環境省の五島沖の浮体式風力発電実証試験の第一段階100kW基によるテストを開始-----ソフトエネルギー、2012/06/14
".....ダウンウィンド..100kW....."
・関西電力、2MW機6基構成の12MW淡路風力発電所の営業運転を開始-----ソフトエネルギー、2012/12/28
".....スバルブランドで納品される最後の風力発電機となりました。.....富士重工の2MW機のSUBARU 80/2.0....."
・富士重工業と日立製作所、中部電力御前崎風力発電所で2MWのSUBARU80/2.0 11基を本格稼働-----ソフトエネルギー、2011/02/09
・富士重工業と日立製作所、国内初の港湾外洋上風力発電施設「ウィンド・パワー・かみす風力発電所」で2MW風力発電機 SUBARU80/2.0、7基を稼働-----ソフトエネルギー、2010/07/22
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