千代田化工、伊Archimede Solar Energyと共同で、溶融塩トラフ型太陽熱発電デモンストレーションプラントを建設
千代田化工は、イタリアのArchimede Solar Energyと共同で、溶融塩トラフ型太陽熱発電デモンストレーションプラントを建設していました。それがこのほど完成したとのことです。7月3日に、現地イタリアのマッサマルタナで、デモプラントの開所式が行われ、実証運転が開始されました。
これまでの一般的な溶融塩を使って熱の管理や蓄熱を行う発電所の場合には、いったん太陽熱で油を熱し、それを熱交換し、溶融塩の熱ループを稼動させるものでした。しかし、今回は直接溶融塩を熱することで、全システムを溶融塩のみで動かすことにより熱交換器が不要となり、プラントをよりシンプルに構成でき、より高い温度で蒸気発生器を加温することが可能になります。
出力規模が千代田化工、Archimede Solar Energyのリリースに記載されていないのですが、見つけしだい詳細を追加したいと思います。
日本では、見込みのない太陽熱利用の発電方式ですが、赤道付近の国にとっては、とてもおおきな潜在力をもった発電方法です。イタリアやスペイン、北西アフリカなどが適地とされています。今後は、アジア、南北アメリカ大陸でも発展しそうです。
パラボラミックトラフ式の太陽熱発電と集熱チューブについては、過去の記事をご覧ください。
パラボラミックトラフ式の太陽熱発電は、レンズ集光型の太陽熱発電などと同じ、集光型太陽熱発電(CSP : Concentrating Solar Power)に分類されます。今回のでもプラントは、溶融塩を利用した熱循環および蓄熱システムを擁する、溶融塩トラフ型太陽熱発電(MSPT-CSP : Molten Salt Parabolic Trough – Concentrated Solar Power)と表現されています。
プレスリリース / 千代田化工、2013年7月4日
・溶融塩トラフ型太陽熱発電デモンストレーションプラント完成
" 当社が、イタリアのアルキメデ・ソーラー・エナジー(ASE)社と共同で進めてきました溶融塩トラフ型太陽熱発電(MSPT-CSP*)のデモンストレーションプラント(デモプラント:実証装置)が完成、7月3日イタリアのマッサ・マルタナにて盛大に開所式が執り行われ、実証運転を開始することになりましたのでお知らせいたします。本デモプラントは、イタリアの集熱管製造技術と日本のエンジニアリング技術の融合により生まれた、太陽熱発電における新システムを世界に紹介する場であると共に、更なる技術革新に向けた技術開発の拠点ともなります。
当社とASE社は、実証運転を通じ、溶融塩のハンドリング技術の確立とともに、技術的・経済的に最適化されたプラントシステムの構築により、夜間も含めた安定的なグリーン電力の供給を目指します。
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関連
・ Archimede Solar Energy : On July the 3rd 2013 Archimede Solar Energy (ASE) and Chiyoda Corporation ground break the most advanced concentrated solar power installation with thermal energy storage
・千代田化工 : 太陽熱発電所
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溶融塩・トラフ型太陽熱発電千代田が技術開発を進める「溶融塩・トラフ型太陽熱発電」は、熱媒を合成オイルから溶融塩に変えることにより、運転温度を550℃まで上げることができるようになります。溶融塩を熱媒として使用する主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
熱媒を合成オイルから溶融塩に変更することで、従来型より高温のスチームを供給することができる。これによって、発電効率の上昇と発電コストの削減が期待できる。
従来型と比べ、溶融塩を熱媒として使用したシステムでは蓄熱タンクの容量をより小さくすることができる。
従来型(熱媒:合成オイル)は、蓄熱媒体として溶融塩を使用しているため、合成オイルと溶融塩の熱交換が必要であったが、全システムを溶融塩のみで動かすことにより熱交換器が不要となり、プラントをよりシンプルに構成することができるようになる。
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-----image : 上記サイトより
・再生可能エネルギーの問題を解決する「溶融塩太陽熱発電」が稼働開始!-----Wired,2013.7.17
"..コストは非常に優れていて、kWhあたり8〜10セント.."
ENEA WebTV - Archimede Solar Energy celebra il primo impianto a sali fusi
(ENEANEWS,2013/07/11)
関連エントリー
・千代田化工建設、イタリアの太陽熱受容チューブメーカーのArchimede Solar Energyに15%出資-----ソフトエネルギー、2012/10/19
・イタリアのEnel エネル、太陽熱発電施設とガス-コンバインドサイクルの複合発電所、アルキメデス ARCHIMEDE をシチリアに完成-----ソフトエネルギー、2010/07/27
コメント続き
・IEA、太陽電池(PV)と集光型太陽光発電システム(CSP)により、2050年には世界の20-25%の電力を得ることができるという試算を公開-----ソフトエネルギー、2010/06/23
集光型太陽光発電システム(CSP)については、大きな潜在力が指摘され、赤道付近の国にとっては、大きな希望になっています。とはいえ、大きな投資が必要ということで、その普及にはクエスチョンがついた時期もありました。とはいえ、最近また注目されるようになっている印象もあります。
参考
・集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP) / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2011/01/29
・太陽熱発電 / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/12/15
-----Google GreenPost関連サイト内検索 : CSP-----
[ カテゴリー : 太陽熱利用 ]
・Wikipedia : Parabolic trough
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