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分子科学研究所らの研究グループ、有機太陽電池をシリコン太陽電池と 同じドーピングのみで製作することに初めて成功

分子科学研究所と総合研究大学院大学の研究グループは、有機太陽電池をシリコン太陽電池と 同じドーピング(微量な不純物の添加)のみで製作することに初めて成功したと発表しました。シリコン無機太陽電池では、微量の不純物添加による光起電力層の形成が可能ですが、安価で薄膜の塗膜により窓や壁などで太陽光発電を手軽に利用できることが期待される、有機太陽電池では、それができませんでした。今回の成果、「2つの有機半導体から成る、均一な共蒸着膜を、ドーピングのみによって、有機太陽電池を作製した世界初の例」により、様々な有機半導体を組み合わせた共蒸着膜の形成が可能となり、効率の飛躍的向上が期待できます。

 有機太陽電池は、次世代型太陽光発電システムを担うことを期待され、2010年代後半の実用化を目指した研究が加速しています。今回の研究により、有機太陽電池に実用化レベルの10-15%の効率が可能となれば、低コストで、軽く、フレキシブルでカラフルといった、有機薄膜太陽電池による太陽光発電により、これまで考えられなかった手軽さと用途での利用が可能になるかもしれません。

 なお、本研究成果は、欧州の有機エレクトロニクス専門の科学誌「Organic Electronics」の5月8日付け(オンライン版)に掲載されました。

プレスリリース / 自然科学研究機構 分子科学研究所、2013/05/13
有機太陽電池をシリコン太陽電池と同じドーピングのみで製作することに初めて成功

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-----image : 同リリースより

”図1 今回作製したタンデムセルの構造。有機薄膜はすべて、フラーレン(C60)とセキシチオフェン(6T)の2種類の有機半導体を共蒸着した均一な膜でできている。このC60:6T共蒸着膜にドーピングのみでセルを作り込んだ。1つのセルは、p+in+構造を持ち、フロントセルとバックセルの2つのセルは、n+p+トンネルオーミック中間層で電気的に接続されている。下は、作製した有機太陽電池の写真。”

"[ポイント] ●有機太陽電池は、商品化が直近ですが、現在のシリコン太陽電池のように、微量な不純物の添加(ドーピング)のみで自由に設計製作できない技術的に未熟な点がありました。

●今回、有機太陽電池に必ず用いられる共蒸着膜中に、シリコンと同じドーピングのみで、有機太陽電池を作り込むことに、世界で初めて成功しました。

●これは、シリコン太陽電池のレベルに、有機太陽電池がようやく達したことを意味し、今後、様々な有機半導体共蒸着膜に適用して効率の飛躍的向上が期待できます。

[概要]
自然科学研究機構分子科学研究所の平本昌宏教授、総合研究大学院大学物理科学研究科博士課程学生の石山仁大氏らは、シリコン太陽電池と同様の、不純物の微量添加(ドーピング)のみによって有機太陽電池を作製することに世界で初めて成功しました。
従来の有機太陽電池は、電池内部のエネルギー構造を自由に設計製作する技術が未熟で、シリコンのように、ドーピングのみによって、セルのエネルギー構造を設計する方法の開発が望まれていました。
本研究グループは、有機太陽電池に必ず用いられる、2つの有機半導体を混合した共蒸着膜中に、ドーピングのみで、電気出力発生のもととなるエネルギー構造を自由に設計して作り込む方法を開発し、この方法で作製した2つの有機太陽電池を連結したタンデム型電池が、実際に高い変換効率を示すことを、世界で初めて示しました。
これは、シリコン太陽電池のレベルに、有機太陽電池が達したことを意味し、様々な共蒸着膜材料に適用すれば効率の飛躍的向上が期待されます。
本研究は、JSTの戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の一環として行われました。
本研究成果は、欧州の有機エレクトロニクス専門の科学誌「Organic Electronics」の5月8日付け(オンライン版)に掲載されました。
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関連
有機太陽電池をシリコン太陽電池と同じドーピングのみで製作することに初めて成功-----総合研究大学院大学、2013/05/16

"シリコン太陽電池と同様の、不純物の微量添加(ドーピング)のみによって有機太陽電池を作製することに世界で初めて成功しました。今回の結果は、2つの有機半導体から成る、均一な共蒸着膜を、ドーピングのみによって、有機太陽電池を作製した世界初の例です。これは、ドーピングのみで作られるシリコン太陽電池のレベルに、有機太陽電池がようやく肩を並べたことを意味します。有機半導体は、2つの有機半導体を混合した膜を必ず用いるため、今後、様々な有機半導体を組み合わせた共蒸着膜へ、今回開発した方法を適用していけば、効率の飛躍的向上が期待できます。今後、実用化レベルの10-15%の効率を目指します。
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Tandem organic solar cells formed in co-deposited films by doping-----Organic Electronics Volume 14, Issue 7, July 2013, Pages 1793–1796

分子科学研究所と総合研究大学院大学の開発チームは、ドーピング技術により、有機薄膜太陽電池の共蒸着膜の特性を、n型、絶縁体型、p型と自在に制御することに成功-----ソフトエネルギー、2011/09/21


参考
有機系太陽電池の実証プロジェクトをスタート ― 次世代型太陽光発電システムの実用化を加速―-----新エネルギー・産業技術総合開発機構、2012年7月9日

理化学研究所研究報告2010 : 太陽電池の実用化に弾みをつける静電気を利用した有機薄膜形成法


参考エントリー
NEDO、有機系太陽電池の実証5プロジェクトを採択。2010年代後半の実用化を目指した実証研究へ-----ソフトエネルギー、2012/07/10

[ カテゴリー : 太陽電池 ]


おすすめエントリー
世界最大の洋上風力発電所での救助訓練のようす - シーメンス / YouTubeから-----ソフトエネルギー、2013/05/21





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