日立造船、サウジアラビアでフレネル式太陽光集光式太陽熱発電用実証プラントの運用開始
日立造船は、サウジアラビアでフレネル式太陽光集光式太陽熱発電用実証プラントの運用を開始しました。
日立造船はサウジアラビアにおいて、2012年11月~2013年10月の間、太陽光を集光して得たエネルギーを熱源にして、海水を蒸発させる太陽熱発電・造水の実証試験を行ってきました。その技術を応用し、複数の太陽を追尾する反射鏡を使って太陽光を集熱管に集めて熱し、高温蒸気を作って発電するフレネル式太陽光集光・集熱式太陽熱発電の実証実験を開始したということです。
同社は、この装置を超低設置フレネル式太陽光集光装置(Hitz Super Low Profile Fresnel CSP、以下HSLPF)と呼んでいます。世界には、鏡面を使ったさまざまな集光・集熱装置があります。 これらは、集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP) という分類の太陽エネルギーを利用した発電装置です。今回利用された装置は、太陽の位置に応じて適切に集光できるように、鏡面そのものの角度と曲面が制御可能な反射鏡が用いられ、集光倍率を大幅に向上させることに成功したということです。
この超低設置フレネル式太陽光集光集熱装置の仕様は、集光装置設置エリアの大きさが、東西幅12.7m×南北長さ103m。反射鏡の総面積が662平方メートル(1フレーム W1.2m×L4.0m×H1.2mを6列×23段設置)。集熱管の高さは、3.8mで、集光倍率は、80倍。計画熱回収量、定格出力の見当となる値は、390kWthとなっています。実証実験は、平成25年3月から平成26年3月までの1年が予定されています。
あまり情報がないのですが、同社のサイトにヒントになる情報がありました。
-----image : 日立造船: 太陽熱発電より
-----image : 日立造船「第115期経営のあゆみ」より
日立造船は、今回の実証実験の結果を生かし、今後、太陽熱発電プラントの建設だけでなく、ガスタービンコンバインドサイクルを併用した太陽熱複合発電プラントや太陽熱海水淡水化プラントの建設を目指すとのことです。
実験場所は、このあたりのようです。
プレスリリース / 日立造船、2013年04月17日
・サウジアラビアでの太陽熱発電用実証プラントの試験開始
-----image(”太陽熱発電用実証プラント”) : 同リリースより
"Hitz日立造船株式会社は、Saline Water Conversion Corporation(SWCC:サウジアラビア海水淡水化公団)の協力のもと、当社が開発した超低設置フレネル式太陽光集光装置(Hitz Super Low Profile Fresnel CSP、以下HSLPF)を用いた太陽熱発電用実証プラントの建設を進めていましたが、このほど完成し、実証試験を開始しました。本実証試験では、HSLPFの基本性能、日射変動による運転ノウハウ、設備の耐久性などを確認していき、太陽熱発電プラントの建設に向けて基礎データの収集を行います。
太陽熱発電は、再生可能エネルギーの一つとして注目されており、太陽光を反射鏡により集熱管に集めて熱源とし、高温蒸気を生成して発電します。太陽熱発電の集光方式には、当社が採用しているフレネル式の他にトラフ式、タワー式等があります。
なお、当社が世界に先駆けて開発したHSLPFには以下の特長があります。
①従来のフレネル式は平面または固定曲面形状の反射鏡を用いていますが、HSLPFは太陽の位置に応じて適切に集光できるように角度と曲面が制御可能な反射鏡を用いており、フレネル式の課題である集光倍率が50倍以下であるのをトラフ式と同等の70倍以上に向上させました。
※集光倍率:受光面に集光された反射鏡面積/集熱管の受光面積
②集熱管を設置するのに必要な高さを大幅に低く抑えたことにより、フレネル式の利点である耐風強度や メンテナンス性をさらに向上させました。
また、当社は、今後、太陽熱発電プラントの建設だけでなく、ガスタービンコンバインドサイクルを併用した太陽熱複合発電プラントや太陽熱海水淡水化プラントの建設を目指していきます。
なお、今回完成した実証プラントの概要は以下のとおりです。1.所 在 地:Al-Jubail 31951, Kingdom of Saudi Arabia
2.実証期間:平成25年3月~平成26年3月
3.主な仕様:超低設置フレネル式太陽光集光集熱装置
・集光装置設置エリア:東西幅12.7m×南北長さ103m
・反射鏡総面積:662m2(1フレーム W1.2m×L4.0m×H1.2mを6列×23段設置)
・集熱管高さ:3.8m
・計画集光倍率:80倍
・計画熱回収量:390kWth.......... "
関連
・日立造船:サウジで太陽熱発電の試験運転-----毎日新聞、2013年04月17日
".....鏡自体の曲面の形状も調整可能なため、集光能力が高いのが特徴。従来型と比べ、集光能力は1.4倍以上になるという。同社は大阪市大正区の築港工場で集光装置の研究を進めていた。....."
追加情報
・太陽熱発電プラント用太陽光集光・集熱装置を初受注-----日立造船、2014年10月16日
" Hitz日立造船株式会社は、サウジアラビアにおいてHitz超低設置フレネル式太陽光集光装置(Hitz Super Low Profile Fresnel CSP、以下HSLPF)の実証実験を行っていましたが、このたび、三菱日立パワーシステムズ株式会社(神奈川県横浜市、西澤 隆人社長、以下MHPS)より太陽熱発電プラント用HSLPFを初めて受注しました。MHPSは、環境省より「平成26年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」を受託し、同社横浜工場(神奈川県横浜市)内にて低温型フレネル蒸発器と小型タワー過熱器を組合せた集光・集熱システム全体を検証します。当社は同システムの蒸発器部分におけるHSLPFと集熱装置の製造を請負ったものであり、2015年3月に納入します。
従来のフレネル式は平面または固定曲面形状の反射鏡を用いていますが、HSLPFは太陽の位置に応じて適切に集光できるように角度と曲面が制御可能な反射鏡を用いており、集光倍率を大幅に向上させました。さらに集熱管を設置するのに必要な高さを大幅に低く抑え、フレネル式の利点である耐風強度やメンテナンス性をさらに向上させました。
..........
[超低設置フレネル式太陽光集光装置 HSLPF ] "
参考エントリー
・集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP) / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2011/01/29
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