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昭和電線、東京理科大と広い温度領域の熱電変換モジュールを共同開発

 昭和電線と東京理科大は、広い温度領域の熱電変換モジュールの共同開発を推し進めることを発表しました。
 これまでに、昭和電線ケーブルシステムと東京理科大学は、シリサイド系素子のモジュール化に関する基礎検討を実施してきました。昭和電線ケーブルシステムでは、2006 年より 600℃以上で利用可能な酸化物系の熱電変換素子を開発してきました。そして、東京理科大学基礎工学部材料工学科西尾圭史准教授は、量産が可能な放電プラズマ焼結技術を利用した高性能なシリサイド系熱電変換素子の研究開発で多くの成果をあげています。 これまで開発してきた高温度領域(600~800℃)の熱電変換素子と新たなシリサイド系素子を組み合わせることで、より広い温度範囲で効率の良い熱電発電システムが可能になります。
 
 今回の共同研究の課題は、「300℃~600℃の排熱に適用可能な熱電発電システムの開発」で

① 大気中での耐熱性の向上
② 素子/電極接合部の信頼性向上

 が追求されます。

 この熱電変換デバイスにより、工場内の様々なプロセスで生じる排熱や自動車などから発生する排熱の多くで発生する、この中温域と呼ばれる300℃~600℃の温度域の熱エネルギーを利用して発電することが期待されます。


プレスリリース / 昭和電線ホールディングス、2013 年 2 月 6 日
広い温度領域の熱電変換モジュールを東京理科大学と共同開発

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-----image : 同リリースより

" (独)科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の課題に採択

 昭和電線ケーブルシステム株式会社(略)は、学校法人東京理科大学と共同で新しい高効率熱電変換素子を利用した発電システムを共同で開発することになりました。この材料は、シリサイド系材料と呼ばれ、300℃から 600℃の温度領域で優れた特性を持つことが特長です。この新材料とこれまで開発してきた高温度領域(600~800℃)の熱電変換素子を組み合わせることで、広い温度範囲で効率の良い熱電発電システムが可能になります。なお、本共同開発では独立行政法人科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の課題としても採択され、委託研究開発契約を 2012 年 10 月 1 日付けで締結いたしました。

 昭和電線ケーブルシステムでは、2006 年より 600℃以上で利用可能な酸化物系の熱電変換素子を開発してきました。金属系材料では利用が難しかった高温域の排熱が発生する製鉄プロセスやごみ焼却プロセスなどへの応用が期待でき、現在も三重事業所の銅荒引線製造炉を利用して発電試験を行なっています。
 一方、工場内の様々なプロセスで生じる排熱や自動車などから発生する排熱の多くは中温域と呼ばれる300℃~600℃の温度域に広く分布しています。その量は鉄鋼産業、化学工業、窯業などで年間約 4 万テラカロリー(約 17 万テラジュール)と言われています。この排熱の有効利用のひとつとして、この温度域に優れた性能を有し、環境にもやさしいシリサイド系の熱電変換素子が近年注目されています。

 昭和電線ケーブルシステムは、昨年より東京理科大学とシリサイド系素子のモジュール化に関する基礎検討を実施してきました。今回、共同開発を実施する東京理科大学基礎工学部材料工学科西尾圭史准教授は、量産が可能な放電プラズマ焼結技術を利用した高性能なシリサイド系熱電変換素子の研究開発で既に多くの成果をあげています。
 なお、この共同研究は、独立行政法人科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)にも採択され、課題「300℃~600℃の排熱に適用可能な熱電発電システムの開発」で
① 大気中での耐熱性の向上
② 素子/電極接合部の信頼性向上
について研究開発していきます。

 今後、この新しい素子とこれまで培ってきた素子・技術と組み合わせ、300℃から 800℃までの広い温度範囲の排熱をターゲットに中温度領域対応の熱電変換モジュールや高性能な熱電発電モジュールを開発し、省エネルギーや CO2 削減に貢献していきます。

用語説明
熱電変換素子 特定の物質ではその両端に温度差が与えられると、温度差に応じた起電力が発生する(ゼーベック効果)。この現象を利用し熱を直接電気に変換できる様に加工された角柱状や円柱状の材料。

シリサイド シリコンと金属元素から成る化合物。熱電変換材料としてはマグネシウム元素との化合物であるマグネシウムシリサイド、マンガン元素との化合物であるマンガンシリサイド、鉄元素との化合物である鉄シリサイドなどが知られている。

排熱 利用されずに捨てられてしまっている熱エネルギー。動力以外に摩擦熱として消費している熱や工場の製造プロセスにおいてダクトから捨てられている熱、自動車エンジンから排気ガスとして捨てられる熱など排熱は様々な場所で発生している。

放電プラズマ焼結技術 DC パルス電流を試料に通電しながら行う加圧焼結技術。自己発熱により急速昇温が可能であり、焼結サイクルを通常の加圧焼結よりも大幅に短縮できる。また、組織制御や反応焼結が可能である。

モジュール 熱電変換素子を基板上に複数配列し、電極材料で接合したデバイス。モジュールの片面を排熱源に接触させて基板上の素子に温度差が生じると起電力が発生する。これにより熱エネルギーを直接電気エネルギーとして取り出すことが出来る。

研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)  A-STEP は、独立行政法人科学技術振興機構が行なっている国民経済上重要な科学技術に関する大学・公的研究機関等で生まれた研究成果を基にした実用化を目指すための研究開発フェーズを対象とした技術移転支援プログラム。

テラカロリー カロリーやジュールはエネルギーを表す単位で、テラカロリーは10の12乗カロリーに相当する。1 カロリーは 4.18 ジュールに等しい。
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関連
東京理科大学 : 基礎工学部 材料工学科 西尾研究室
- 2011/10/18 本学教員の「熱電発電装置」に関する研究成果を日経産業新聞が紹介

"基礎工学部 材料工学科 西尾圭史准教授と飯田努准教授の「熱電発電装置」に関する研究成果が日経産業新聞で紹介されました。

熱電発電は金属や半導体の片端を加熱し、もう一端との間に温度差を与えることで電力を生み出すことができるシステムです。今回開発された熱電発電装置は、500から700℃程度の中・高温域の排熱を利用でき、自動車エンジンや工場から出る排熱などを電気に変換することができるものです。

研究グループが試作したp形セラミックス半導体素子とn型Mg2Si半導体素子の二種類の半導体を組み合わせた13×13×10mm3の一対のπ型モジュールは、温度差を500度とすることで約120ミリワットの出力が得られたことから、1平米当たり500W以上の出力が期待でき、実用化に向けてさらに研究を進めています。

■掲載紙
『日経産業新聞』 2011年10月18日付 "

参考
・Wikipedia : ゼーベック効果

・Wikipedia : 熱電対

昭和電線ホールディングス / 2012.11.09 熱電変換効率を10倍に高めた熱電発電デバイスの開発に成功
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-----image : 上記リリースより

"昭和電線ケーブルシステム株式会社(略)は、高温域 (600~800℃) 対応の酸化物熱電変換素子に低温域(300℃以下)対応の熱電変換素子を組み合わせることで、熱電変換効率を 10 倍(注)に高めた熱電発電デバイスの開発に成功いたしました。このデバイスを使用した実証試験を年内に三重事業所の工業炉にて行ないます。
(注)2011 年昭和電線ケーブルシステム㈱三重事業所での実証試験との比較値

① 高効率熱電発電デバイスの開発
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コメント続き
 久しぶりに熱を利用して発電する素子(熱電対)の話題をアップした気がします。これまでに記事にした過去の記事をいくつか参考までにあげておきます。

参考エントリー
NECと東北大、身近な熱源から発電できる新原理の熱電変換素子コーティングを開発-----ソフトエネルギー、2012/06/21

パナソニック、温泉の送湯管自体が発電する、傾斜積層構造を用いた熱発電チューブを開発-----ソフトエネルギー、2011/06/24

コマツ(KOMATSU)は、世界最高効率の熱電発電モジュールを開発、販売-----しなやかな技術研究会、2009/02/12


おすすめエントリー
週刊GreenPost 60号 2013/2/12-15日版 しなやかな技術研究会

三菱商事、オランダの洋上風力発電に現地企業と提携し参入-----自然エネルギー、2013/02/14





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