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アネスト岩田、温泉水や工場排水で利用できる 5.5kW小型バイナリ―発電装置を開発

 横浜市のコンプレッサーや塗装機器の専門メーカー、アネスト岩田は、温泉水や工場排水で利用できる 5.5kW「超」小型バイナリ―発電装置を開発したと発表しました。バイナリ―発電とは、温泉などの熱源から得た熱で直接蒸気を作るのではなく、沸点の低い媒体(今回は作動媒体 HFC245fa)に熱を移し、それを熱循環させることで発電するシステムです。温泉水を加熱源と媒体系統の2つの熱循環を利用することから、バイナリー(二元)といわれます。

 現在、再生可能エネルギーの固定価格買取制度のもとで普及が期待される地熱・温泉利用の現場では、より簡単に小規模に比較的低温な熱源を利用して発電できるバイナリー発電は高い注目と期待を集めています。
 今回アネスト岩田が開発した小型バイナリ―発電装置は、100℃未満の低温温水から発電可能で、少ない温水量に対応(送電端最大出力 5.5kW モデルの場合 190L/min)でき、非常に小型で軽量(おおよそ1.3*1.3*H 1.64m,850kg)です。これまでは、100kW以下のバイナリー発電機であれば、十分に小型と表現できましたが、同社の今回のシステムは、まさに超小型、お湯の量にして、毎分風呂桶一杯ほどの湯量に対応できるということです。温水量が少ない温泉地や中小の工場での普及型発電装置としての活躍が期待されます。
 さらに低出力でも高効率を維持しつつ、低速、低振動、低騒音を実現したとのことで、まさに小規模な事業や施設に最適な仕様になっています。

 今後、同社では、さまざまな熱源への利用拡大を検証しながら、送電端最大出力 5.5kW モデルを2013年度からの販売開始を目指し、報道によれば、今年1月から大分県別府市での実証実験を行っているとのことです。経過をみて、さらに送電端最大出力11kWモデルも開発予定だということです。5.5kWモデルの価格は、設置込みで1千万円以下を目指しているとのことです。ソロバンは、関連に挙げた報道内容を参照してください。なかなかいいソロバン勘定です。

 温泉地では、バイナリー発電で温泉の温度がさがり、ちょうど入浴に最適な温度に下げることができれば、無駄がなく、日本中の温泉地の新たな収益となれば、ちょっとしたブレークスルーになります。


プレスリリース / アネスト岩田、2013.01.21
ホームページ /  小型バイナリ―発電装置の開発

Iwatabinary5_5kw
-----image : 同リリースより

"アネスト岩田株式会社(略)は、温泉水や工場排水を熱源とし、沸点の低い媒体を蒸発させて膨張機を作動させることで発電するバイナリー発電装置を開発しました。

 本年1月には大分県別府市で同装置の実証試験を計画しています。

 バイナリー発電装置の心臓部である膨張機には、当社が空気圧縮機市場や真空ポンプ市場でリードし培ってきたスクロール技術を応用した専用機を採用し、低出力でも高効率を維持しつつ、低速、低振動、低騒音を実現しました。
 今後、当社では、さまざまな熱源への利用拡大を検証しながら、送電端最大出力 5.5kW モデルを2013年度からの販売開始を目指すとともに、送電端最大出力11kWモデルも開発します。
..........
■概要
 電気事業法で定めるボイラ・タービン主任技術者の選任などを不要とする電気事業法小型バイナリー発電設備の規制が平成 24 年 4 月より緩和されたことにより、バイナリー発電技術は、エネルギー自給率を高め、地球温暖化対策としても役立つと期待されています。 また、温泉水など再生可能エネルギーの普及・拡大は、地球環境に対して負荷が少ないばかりではなく、日本の未来の産業を育てることになると期待されていることから、平成 24 年 7 月 1 日から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が始まりました。
 アネスト岩田株式会社は、世界初のオイルフリースクロール圧縮機やオイルフリースクロール真空ポンプを開発した経験に加え、培ってきた同技術をバイナリー発電装置の心臓部である膨張機を採用し、独自の小型バイナリー発電装置を開発しました。
 従来のバイナリー発電装置は小型と言っても発電端出力が数十キロワットが主流であり、導入費用が高く、大量の熱源を必要とするために用途は限定的と見られていました。 当社は、スクロール機構が持つ小型で高効率という特長を活かして専用のスクロール膨張機を開発し、バイナリー発電装置の小型化に成功しました。本装置は送電端最大出力が 5.5kW であり、1 分間あたり 190 リッター(一般的なバスタブ程度)の温水で発電できることから、温水量が少ない温泉地や中小の工場での普及型発電装置として期待されます。

■特長
100℃未満の低温温水から発電可能
少ない温水量で発電可能(送電端最大出力 5.5kW モデルの場合 190L/min)
自社開発の国産スクロール膨張機により低速化を実現(約 3,000rpm)
汎用フォークリフトで運べる重量 850kg(送電端最大出力 5.5kW モデル)
系統連系機能を標準搭載
電気事業法・小型バイナリー発電の規制緩和の対象仕様に合致
温泉スケールが多い場所にはメンテナンスが容易な間接式熱交換器を用意(オプション)

■仕様(5.5kW 試作機)
送電端最大出力 5.5kW
方式 オーガニックランキンサイクル *1
作動媒体 HFC245fa *2
発電機型式 永久磁石式 三相交流
概略寸法 幅 1.3m 奥行 1.3m 高さ 1.64m
概略重量 850kg

*1 スチームタービンの動作を表すサイクルに作動媒体として有機媒体を用いた方式。
*2 オゾン係数(ODP)がゼロで環境負荷が少ない不燃性不活性ガス。小型バイナリー発電の規制緩和の対象媒体。
.......... "

関連
アネスト岩田、温泉利用の小型発電機を開発-----日本経済新聞、2013/1/22

"コンプレッサー大手のアネスト岩田は、セ氏90度以上の温水で発電できる温泉施設向けの小型発電機を開発した。装置の出力を5キロワットに抑えることで価格を1000万円(工事費込み)に引き下げた。再生可能エネルギーの全量買い取り制度を利用すれば、6年間程度で初期投資を回収できる見込み。2016年3月期に200台の販売を計画している。
.........."

少量の温水利用で発電、横浜のメーカーが装置開発/神奈川-----カナコロ、2013年1月22日

".........今回開発した装置は、送電端最大出力5・5キロワットで、1分当たり190リットルと一般的なバスタブ程度の量の温水(90度)で発電できるため、温水量が少ない温泉地や中小工場での導入が期待できるという。..........今秋からトライアル販売を開始。2014年秋には送電端最大出力11キロワットモデルも販売するといい、小型バイナリー発電の年間売上額は約20億円が見込まれる。今年1月から大分県別府市での実証実験を行っており、開発担当者は「箱根の温泉でも利用は可能」と話している。"


初出
週刊GreenPost 57号 2013/1/21-25日版 しなやかな技術研究会 P.3


参考エントリー
神戸製鋼所の小型バイナリー発電システム、別府と湯布院の温泉に導入へ-----ソフトエネルギー、2012/07/13

コメント-別府の案件は、神戸製鋼所からアネスト岩田に”移った”ということなのでしょうか?


おすすめエントリー
週刊GreenPost 59号 2013/2/4-8日版 しなやかな技術研究会





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