三菱重工、7MW級の最新型の風力発電機開発に向けて、世界初の油圧ドライブトレインを開発
三菱重工業は、最新鋭の7MW級の風力発電機の開発に向けて、世界初の油圧ドライブトレイン搭載の風力発電機を 横浜製作所内でお披露目しました。
この風力発電機は、横浜製作所内にすでにあった、ギア式のギア式風力発電設備(MWT102/2.4MW)のナセル部分を油圧ドライブトレインに換装した「MWT100H」です。油圧ドライブトレインは、ブレードの回転速度(15rpm)を発電機の回転速度(1,000rpm)に増速する動力伝達機構として、これまでのギア式増速機に代えてデジタル可変による制御を可能にするもので、今回世界で初めて採用されたものです。
今回の実証機は、2011年9月から独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めている洋上風車用新型油圧ドライブトレインの開発の一環で、2010年に三菱重工が買収した、英国のベンチャー企業、アルテミス社(Artemis Intelligent Power, Ltd.)の持つ優れた油圧デジタル制御技術をベースに共同開発されたものです。
油圧ドライブトレインを採用した風力発電設備は、大型化の課題となっていた増速機やインバーターが不要で、高い効率性と信頼性を実現します。また汎用性の高い油圧機器や材料、比較的低廉な同期発電機などで構成されるため、コスト競争力に優れるなど、数々の利点を持っています。
三菱重工は、7MWクラス(7,000kW級)の洋上風力発電設備の開発を行っていて、2013年に英国において陸上での実証機の据付・運転を開始する予定です。
この世界の他社でも開発中の大型機と肩を並べる巨大な風力発電機は、2015年の市場投入を目指しています。この風力発電機は、ローターの直径が165mを超え、ギアドライブに代えて、今回お披露目された油圧ドライブトレインを搭載予定です。
欧州市場、そして日本の洋上風力発電機の市場への登場、その姿を早くみたいものです。
-----image : 2011年11月に公開された「三菱重工の洋上風力発電設備イメージ図」
"新型洋上風力発電設備の主な仕様
出力 7,000kWクラス
ローター径 165m超
Wind class IEC-Class S
ドライブシステム 油圧トランスミッション
発電機 ブラシレス同期発電機
インバーター 不要"
プレスリリース / 三菱重工業、2013年1月24日
・世界初 油圧ドライブトレインを採用した大型風力発電設備の試験運転を開始 横浜製作所内で
-----image(”上-世界初の油圧ドライブを搭載した三菱重工風車、下-世界初の油圧ドライブを搭載した三菱重工風車ナセル”) : 同リリースより-----
"三菱重工業は、横浜製作所(横浜市金沢区)内で、これまでのギアドライブに代えて油圧ドライブトレインを採用した大型風力発電設備の試験運転を開始しました。2011年9月から独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めている洋上風車用新型油圧ドライブトレインの開発の一環で、デジタル可変容量制御※を行う油圧ドライブトレインを持った大型風力発電設備の運転は世界で初めてです。当社はこの成果を踏まえ、7,000kW級の洋上風力発電設備の開発を加速し、2013年に英国において陸上での実証機の据付・運転を開始する計画であり、2015年の市場投入を目指していきます。
【世界初の油圧ドライブを搭載した三菱重工風車】
今回試験運転を開始したのは、横浜製作所内で運転中であったギア式風力発電設備(MWT100)のナセル部分を油圧ドライブトレインに換装した「MWT100H」です。具体的には、ブレードの回転速度(15rpm)を発電機の回転速度(1,000rpm)に増速する動力伝達機構として、これまでのギア式増速機に代えてデジタル可変制御方式による油圧ドライブトレインを採用しました。新型油圧ドライブトレインについては、当社が2010年に買収した英国のベンチャー企業、アルテミス社(Artemis Intelligent Power, Ltd.)の持つ優れた油圧デジタル制御技術をベースに、同社と共同で開発しました。
油圧ドライブトレインを採用した風力発電設備は、大型化の課題となっていた増速機やインバーターが不要で、高い効率性と信頼性を実現します。また汎用性の高い油圧機器や材料、比較的低廉な同期発電機などで構成されるため、コスト競争力に優れるなど、数々の利点を持っています。
.......... "
関連
・油圧ドライブトレインを採用した世界初の大型風車を実用化―世界最大級7MWの超大型風力発電設備実現へ―-----新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2013年1月24日
-----image(”油圧ドライブトレインを採用した風車の概略図”) : 上記リリースより
"独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援により、三菱重工業株式会社は新型の洋上風車として、世界初となるデジタル制御の油圧ドライブトレインを採用した大型風力発電設備を開発いたしました。
風車の大型化は世界的に開発が進められていますが、従来方式では増速機や周辺機器等の信頼性が課題となっており、これらを解決する本方式の実用化は、風車の大型化に向けて大きな一歩となります。
NEDOはこの成果を踏まえ、7MW級の新型洋上風力発電設備の開発についても実施する予定であり、NEDOが風力発電事業を実施する国内2拠点(銚子、北九州)の成果を合わせることで、再生可能エネルギーの導入普及の観点のみならず、経済成長や雇用創出等の点からも、大きな効果が期待されます。
.......... "
・Artemis Intelligent Power / Our Technology
-----image : 上記サイトより
/ BROCHURES
"November 2011 - High-performance hydrostatic power-transmission for wind turbines.The Artemis Digital Displacement® transmission is ready to challenge gearbox and direct-drive transmissions on weight, cost and performance...
DOWNLOAD NOW"
・大型風力発電設備を「デジタル化」 三菱重工、試験運転を開始 -----日本経済新聞、2013/1/24
関連エントリー
・三菱重工業、7MWの巨大洋上風力発電機開発のタイムテーブルを発表-----ソフトエネルギー、2011/12/02
・三菱重工、英国のベンチャーアルテミス社を買収。活発化する超大型洋上風車開発 Round 3 Project への足がかり-----ソフトエネルギー、2011/01/07
追加情報
・三菱重工業とヴェスタス、洋上風力発電設備専業の新合弁会社を設立-----ソフトエネルギー、2013/10/01
・Mitsubishi Power Systems Europe : SeaAngel
"...........
Technical Specification
Rated Output: 7MW Class
RotorDiameter: Over 165m
Wind Class: IEC-Class S
Drive System: Hydraulic transmission system
Generator: Brushless synchronous generator
Inverter: Not required
..........
”.....
Key testing milestones:
2011 DDT function test at 1.6MW test rig in Edinburgh
2012 First offshore wind turbine off the coast of Choshi, Japan
DDT driven wind turbine demonstration onshore in Yokohama, Japan
2013 7MW SeaAngel onshore demonstration in Scotland
2014 7MW floating offshore turbine Fukushima Bay, Japan
7MW offshore at European sites under investigation
.....”-----「SeaAngelBrochure (6.1Mb download/PDF)」より
.......... "
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