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「永続地帯2012年版報告書」の確報版が公表されました

 千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所がまとめた「永続地帯2012年版報告書」(確報版)が公開されました。
 永続地帯(Sustainable Zone)」とは、倉阪秀史教(千葉大学人文社会科学研究科授)が提唱する概念で、ある区域において分散的に得られる資源によって、その区域におけるエネルギー需要と食糧需要のすべてを賄うことができる区域、とのことです。この区域内で産出されるエネルギー及び食糧が数値の上で需要量を上回っていればよく、完全に区域内で消費(自給自足)している必要はないとのことです。
 今回の2012年版永続地帯報告書は、2008年と2010年版に続く3回目のものです。

 今回の報告書では、域内の民生・農水用エネルギー需要(地域的エネルギー需要)を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村、つまり100%エネルギー永続地帯は、2010年3月(再集計)の54から、2011年3月は52に減少しました。これは、地熱発電量の減少や地域的エネルギー需要量の増加(日本全体で3.8%増)の影響だとのことです。日本全体での、地域的エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの割合(再生可能エネルギー自給率)は、エネルギー消費量の増大にかかわらず、3.52%から3.54%に微増したとのことです。
 この間の再生可能エネルギーの普及を地域ごとにみていくことで、暮らしの周囲に存在する再生可能エネルギーの活用という本来の文脈が際立ちます。再生可能エネルギーの原点ともいえる、今を垣間見せてくれる貴重なさまざまなデーターも付録されています。労作です。


プレスリリース / 永続地帯 - Sustainable Zone(千葉大学倉阪研究室 + 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所)、2012年12月28日

Sustainablezone2012_part
-----image : 「永続地帯 2012 年版報告書」p.12表6 都道府県別供給密度ランキング(2011 年 3 月末時点)、部分
「永続地帯2012年版報告書」(確報版)の公表について

"..........今般「永続地帯」研究の最新結果(2011年3月現在)を「永続地帯2012年版報告書」としてとりまとめました。確報版では、10月15日に公表した速報版の内容を精査しました。その結果、域内の地域的エネルギー需要(民生・農林水産業用エネルギー需要)を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(「100%エネルギー永続地帯」)は、2011年3月段階で52市町村あることがわかりました。  また、2009年11月に太陽光発電にかかる余剰電力の固定価格買取制度を導入したことにより、2010年度に太陽光発電が42%増加した一方、再生可能エネルギー供給量全体の増加率は4.1%にとどまっていることがわかりました。増加傾向にない再生可能エネルギー種(小水力、地熱、太陽熱)が、日本の再生可能エネルギー供給の65%を占めることがわかりました。  また、今年から、全市区町村について食料自給率を試算しました。100%エネルギー永続地帯である市町村の中で、27の市町村が、食糧自給率でも100%を超えていることがわかりました。これらの市町村は、住み続けるために必要なエネルギーと食糧を地域で生み出すことができる市町村であり、「永続地帯」市町村といえます。

(1) 再生可能エネルギーの全体供給量は2010年度に4.9%増加し、とくに太陽光発電は同期間に42%増加
 2010年3月から2011年3月にかけて太陽光発電は42%の伸びを示しましたが、国内の再生可能エネルギー供給の総量は4.1%の伸びにとどまりました(表1)。太陽光発電の伸びは、2009年11月に導入された家庭用太陽光発電の余剰電力固定価格買取制度の効果といえます。
(2) 再生可能エネルギー電力は6.7%増加したものの、再生可能エネルギー熱供給は5.4%減少
 太陽光発電、風力発電、小水力発電、地熱発電、バイオマス発電からなる、再生可能エネルギー電力は、地熱発電量の低下(-9.9%)、小水力発電の伸び悩みにもかかわらず、全体として6.7%増加しました。一方、太陽熱利用、地熱利用(温泉熱、地中熱)、バイオマス熱利用からなる、再生可能エネルギー熱供給は、バイオマス熱利用の伸び(+4.6%)にもかかわらず、太陽熱利用、地熱利用の減少により、全体として5.4%減少しました。

(3) 100%エネルギー永続地帯市区町村は、2カ所減少して52市町村に
 域内の民生・農水用エネルギー需要(地域的エネルギー需要)を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(100%エネルギー永続地帯)は、2010年3月(再集計)の54から、2011年3月は52に減少しました。これは、地熱発電量の減少や地域的エネルギー需要量の増加(日本全体で3.8%増)の影響と言えます。日本全体での、地域的エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの割合(再生可能エネルギー自給率)は、エネルギー消費量の増大にかかわらず、3.52%から3.54%に微増しました。

(4) 増加傾向にない再生可能エネルギー種(小水力、地熱、太陽熱)が再生可能エネルギー供給の65%を占める
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(5) 8県で再生可能エネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超えている
..........
(6) 100%エネルギー永続地帯である52市町村のうち、27市町村が食料自給率でも100%を超えている。
..........
☆ 速報版(2012年10月15日公表)と確報版(2012年12月28日公表)との違い
1)事業用太陽光の運転開始年度の再確認を行いました。
2)太陽熱給湯器について、震災による損壊率をかけて設備量を減少させました(太陽光発電については速報版で同様の処理を行っています)。
3)食糧自給率とのマッチングを実施しました。

※ なお、本報告書には、以下の個別調査結果を含んでいます。第7章をご覧ください。
固定価格買取制度の現状 松原弘直(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所)
国内外の太陽光発電の動向(2011年度)  松原弘直(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所)
国内外の風力発電の動向(2011年度) 松原弘直(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所)
地方自治体における再生可能エネルギー政策の状況 馬上丈司(千葉大学法経学部特任講師)
3万kW未満の水力発電まで試算対象とした場合のランキング 永続地帯研究会
食料自給率とエネルギー自給率の関係について 倉阪秀史(千葉大学人文社会科学研究科)
食料自給率計算の検証 泉浩二(環境カウンセラー)


詳細は、以下の資料をご参照下さい。

永続地帯2012年版報告書.pdf
永続地帯報告書2012都道府県別分析表.pdf
.......... "

関連
【プレスリリース】「永続地帯2012年版報告書」(確報版)の公表について-----環境エネルギー政策研究所、2012/12/28

倉阪環境研究室
- 倉阪環境研究室-nifty別館

千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所、2011年版「エネルギー永続地帯」試算結果(速報版)を公表-----ソフトエネルギー、2011/10/18


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