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産総研、ナノ粒子吸着材を利用し植物系放射性セシウム汚染物を除染・減容するバイオマス発電実証試験プラントを開発中

 産業技術総合研究所( 産総研 )の研究グループは、東電環境エンジニアリングと共同で、ナノ粒子吸着材を利用し植物系放射性セシウム汚染物を除染・減容するバイオマス発電実証試験プラントを開発中であることを発表しました。バイオマス資源を”植物系放射性セシウム汚染物”と表現すると、この国と福島県の被災地が置かれた現実を、否が応でも認識させられる。

 産総研の研究グループは、東電環境エンジニアリングが実施主体となり、福島県双葉郡川内村に設置された実験用プラントにおいて、数トンの植物系放射性セシウム汚染物を試験的に焼却し、焼却灰を除染する予定だということです。川内村のサイトには、将来建設される予定のバイオマスプラントの規模は、5,000kW程度との記載があります。現在は、数十キロ単位の植物系放射性セシウム汚染物(草や木の葉、樹皮や稲わらなど)での実証試験が実施されている模様です。

 焼却灰から85 %以上の放射性セシウムを抽出した後、ほぼ全てをナノ粒子吸着材で回収することが可能で、仮置き場や中間貯蔵施設の必要容積低減や焼却熱利用によるバイオマス発電推進などが期待されています。


プレスリリース / 産業技術総合研究所( 産総研 )、2012年11月12日
植物系放射性セシウム汚染物を除染・減容するための実証試験プラント

Fig5
-----image(”図5 今回の実証試験プラントの位置づけと熱利用”) : 同リリースより

"ナノ粒子吸着材を利用し汚染物を1000分の1に減容することを目指す

ポイント
数トンの植物系放射性セシウム汚染物を試験的に焼却し、焼却灰を除染する予定
焼却灰から85 %以上の放射性セシウムを抽出した後、ほぼ全てをナノ粒子吸着材で回収
仮置き場や中間貯蔵施設の必要容積低減や焼却熱利用によるバイオマス発電推進などに期待

概要
 独立行政法人 産業技術総合研究所【略】グリーンテクノロジー研究グループ 川本 徹 研究グループ長、伯田 幸也 主任研究員、田中 寿 主任研究員、小川 浩 主任研究員、南 公隆 産総研特別研究員、北島 明子 産総研特別研究員らは、東電環境エンジニアリング株式会社【略】(以下「東電環境」という)と共同で、植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、生じた焼却灰を除染した後、抽出された放射性セシウムをプルシアンブルー(以下PBと略記)ナノ粒子吸着材で回収する技術を開発し、東電環境が実施主体となりその実証試験プラントを福島県双葉郡川内村に設置した。

 今回、開発した技術の実証とプラントの運転条件最適化を目的として、実証試験を開始する。この試験では、数トンの植物系放射性セシウム汚染物を試験的に焼却し、汚染物の1000分の1の量のPBナノ粒子吸着材で放射性セシウムを回収することを目指す。これによって、今後設置される除染廃棄物用の中間貯蔵施設における必要容積の低減が期待される。また、汚染物焼却時の燃焼熱を利用してバイオマス発電を進める場合の基盤技術となることも期待される。

Photo

-----image(”実証試験プラントの一部である放射性セシウム除染回収装置”) : 同リリースより

開発の社会的背景
 2011年3月11日の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質漏えい事故以来、福島県を中心とした除染の推進が国家的課題として進められている。しかし、除染により生じた放射性物質を含んだ廃棄物を貯蔵・保管する施設については、現時点ではその設置場所の決定には至っておらず、貯蔵や保管に十分な規模の施設を確保できるかどうか不透明な状況にある。そのため、除染により生じる廃棄物を減容する技術の確立が喫緊の課題となっている。

 減容すべき廃棄物の一つに植物系放射性セシウム汚染物がある。住宅などの周辺を除染した際に生じる草や木の葉などに加え、農林業で生じる樹皮、堆肥なども放射性セシウムで汚染されているものもあるが、最終処分を含めた解決には至っていない。また、環境省が設置した環境回復検討会では、森林除染についても、必要な調査研究を推進し検討を進めることとする、という議論がなされている。

 植物系放射性セシウム汚染廃棄物を焼却した場合、放射性セシウムを高濃度に含む灰が排出されるため、その管理方法が課題となる。特に、焼却炉に残る主灰より、ろ過集じん装置のバグフィルターで捕捉される飛灰は、特に放射性セシウム濃度が高く、加えて、水との接触により放射性セシウムが溶出することが知られており、処理・管理方法の確立が課題となっている。

研究の経緯
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研究の内容
 今回開発した実証試験プラントは燃焼・熱回収装置と、放射性セシウム除染回収装置からなる。このプラントで行う放射性セシウム汚染物の除染減容工程のフローを図1に示す。燃焼・熱回収装置では、植物系放射性セシウム汚染物を燃焼し、灰化により減容するとともに、熱交換器を用いて温水を生成する。この装置を利用する実験の目的は、焼却材の種類や、焼却温度、添加物の有無による灰の性状への影響評価である。具体的には灰の放射性セシウムの濃度と水への溶出性を分析し、その理由を明らかにしていく。また、熱交換器をもつ焼却炉から生じる焼却灰の放射性セシウムに関する性状の確認も目的の一つである。

 熱交換器のない焼却炉では、燃焼後の焼却炉内に残る主灰に比べ、ろ過集じん装置のバグフィルターで捕捉される飛灰の方が放射性セシウム濃度が高く、水へのセシウム溶出量も多いことが分かっている。これは、加熱後に放射性セシウムが冷却される温度経過の結果、水に溶ける塩の形でバグフィルターに補足されるためと考えられる。熱交換器がある場合は、温度分布が熱交換器のない燃焼炉とは異なるため、その影響を検証する。

Fig1

-----image(”図1 開発した実証試験プラントの工程図 燃焼・熱回収装置により植物系放射性セシウム汚染物を焼却、減容するとともに、温水を作る。生じた灰は放射性セシウム除染回収装置にてセシウム(Cs)抽出処理を行い、除染または不溶出化される。抽出された放射性セシウムはPBナノ粒子吸着材により回収される。”) : 同リリースより
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今後の予定
 東電環境が実施主体となり、福島県双葉郡川内村の実証試験プラントで試験を進め、評価を行った上で適宜結果を報告する。また、装置の改良なども含めてさらに効率的な除染方法を検討、提案していく。結果を基に、関連機関の協力の下、さまざまな企業と連携し実用プラントの開発を行い、植物系放射性セシウム廃棄物の減容などを実現するとともに、都市ごみなど他の可燃物の焼却灰に関する除染の推進に貢献することを目指す。
.......... "

関連
福島県 : 川内村
/  [2012年06月22日] 「総合計画等の策定に伴う企画提案書の募集」に係る質問事項に対する回答について

"・「木質バイオマス発電」に関する事項

○発電施設は、どの程度の規模(何kW程度)を想定していますでしょうか。

回答)5,000kW程度を想定しておりますが、今後の計画策定において採算性を考慮した場合の適正規模が何kWとなるのかを判断していきたいと考えております。"


東電環境エンジニアリング


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