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アサヒグループホールディングス、農研機構らの研究グループ、バイオエタノール生産による食料とエネルギーの同時増産を可能にする逆転生産プロセスを実証

 アサヒグループホールディングス、農研機構らの研究グループは、バイオエタノール生産による食料とエネルギーの同時増産を可能にする逆転生産プロセスを世界で始めて実証することに成功したと発表しました。これにより、砂糖の生産性を飛躍的に高め、かつバイオエタノールも生産する技術を開発することができるとのことです。今回開発された逆転生産プロセスは、砂糖生産の阻害物質である還元糖のみを選択的にエタノールに変換する酵母(ショ糖非資化性酵母)を用いて、還元糖を除去しつつエタノールをあらかじめ生産し、その後に砂糖の結晶化を行うことで、阻害物質である還元糖をも有効に活用することができるようになったということです。
 特に、ある種の高バイオマス量サトウキビと同程度の還元糖を含む搾汁からは、従来法の4倍の砂糖が回収できたということです。この逆転生産プロセスを活用し、食料とバイオ燃料の同時増産、さらには、需要や経済状況に応じてそれらの生産量・比率を調節することを可能になる可能性があるとのことです。貴重な耕地を活用し、農業資源を最大化する技術となる可能性があるとのことです。注目される、作物由来のバイオマス資源の活用の新たな可能性を見出せるかもしれません。
 
 世界のエネルギー問題や食料不足への懸念が増大する中で、作物由来のバイオ燃料の開発には、食料と競合するという点だけでも推進へのブレーキが必要です。豊かな国と貧しい国の格差増大は、結果的に人類全体の幸福に対してマイナスの要因となるからです。実際、作物由来のバイオ燃料への投資も減少しているようです。
 そんな中で、登場する今回のような新たな取り組みは、その効率化の比率の可能性を考えると、大きな可能性も感じます。いずれにしろ、限られた耕地と作物資源、その有効活用に道が開かれることに期待したいです。

プレスリリース / アサヒグループホールディングス、2012年10月09日
世界初、砂糖の生産性を飛躍的に高めるバイオエタノール生産技術を開発!

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-----image : 同リリースより-----
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"砂糖収量の大幅増が可能となる「逆転生産プロセス」を実証

 アサヒグループホールディングス株式会社(略)の豊かさ創造研究所※1と農研機構 九州沖縄農業研究センター※2(略)は、砂糖とエタノールの生産順序が従来と逆である「逆転生産プロセス」を世界で初めて開発しました。この「逆転生産プロセス」を用いると、バイオエタノール生産による食料とエネルギーの同時増産、さらには、需要等に応じてそれらの生産量・比率を調節することが可能となります。今後「逆転生産プロセス」の技術的な検証を実施し、2015年を目処に国内外での実用化を視野に入れ、技術を高めていくことを検討します。

<研究の概要>
 「逆転生産プロセス」では、砂糖生産の阻害物質である還元糖のみを選択的にエタノールに変換する酵母(ショ糖非資化性酵母)を用いて、還元糖を除去しつつエタノールを生産し、その後に砂糖の結晶化を行います。このプロセスを用いて実際にサトウキビ搾汁を使用した実験を行い、砂糖収率を大幅に向上できることを実証しました。特に、ある種の高バイオマス量サトウキビと同程度の還元糖を含む搾汁からは、従来法の4倍の砂糖が回収できました。
※1:豊かさ創造研究所は、アサヒグループの事業拡大および新たな事業展開につながる研究及び技術開発、例えば、酵母その他副産物を活用した農業資材商品の開発やバイオエタノール生産技術の開発を行っています。
※2:農研機構 九州沖縄農業研究センターは、九州・沖縄地域の自然条件や社会条件と調和した農業・農村の発展、消費ニーズに即した品目生産と品質向上をめざした農業における総合的生産力向上のため、農業に関わる幅広い分野で試験研究を展開しています。

<関連情報>
予  算: 本プロセスの実証試験の一部は農林水産省委託プロジェクト「地域活性化のためのバイ  オマス利用技術の開発(作物開発)(H22-23)」のサポートで実施。
特  許: 「砂糖の製造方法」(特許第4883511号、2011年12月16日登録)
<用語解説>
還元糖: 還元性を有する糖の総称で、ブドウ糖、果糖などが該当します。還元糖はショ糖の結晶化を阻害したり、加熱により褐変したりするので、その比率の少ないものが従来の製糖においては良質な搾汁とされています。
砂糖 : ショ糖を主成分とする調味料
ショ糖非資化性酵母:ショ糖をエネルギー源として発酵を行わない酵母
<研究の背景と目的>
 地球的視野での食料とエネルギーの同時増産に向けて、アサヒビール株式会社と農研機構 九州沖縄農業研究センターは、これまで品種改良による高バイオマス量サトウキビの開発と、そのサトウキビを用いた効率的な砂糖・エタノール複合生産プロセスの開発を行なってきました。サトウキビ中には、砂糖の原料になるショ糖と砂糖の原料にならない還元糖の2種類の糖分が存在します。高バイオマス量サトウキビは、単位面積あたり従来の約2倍のサトウキビが収穫できるものの、搾汁中に多量の還元糖が含まれることから、ショ糖の多くが結晶化されず、砂糖の回収率が低いことや、経済状況に応じた砂糖とエタノールの生産比率の調節ができないことが課題となっていました(図1―A)。そこで、還元糖のみを選択的にエタノールに変換する酵母(ショ糖非資化性酵母)を用い、ショ糖の結晶化を阻害する還元糖を先にエタノールへ変換し、その後砂糖を生産するプロセス(図1―B)へと発想を転換し、今回の「逆転生産プロセス」の開発に至りました。

<試験方法>
 砂糖とエタノールの生産順序が従来と逆である「逆転生産プロセス」(図1―B)を開発しました。このプロセスでは、砂糖生産の阻害物質である還元糖を先にエタノールへと変換し、その後砂糖を生産します。
 その際、従来使用していた酵母では還元糖とともにショ糖も同エタノールへ変換してしまうため、「逆転生産プロセス」では還元糖のみを選択的にエタノールに変換する酵母(ショ糖非資化性酵母)を用いて、還元糖を除去しつつエタノールを生産し、その後にショ糖の結晶化を行うことが特長です。

<試験結果>
 還元糖濃度のみを6段階に調整したサトウキビ搾汁を用いて,ショ糖非資化性酵母Saccharomyces dairenensis (NBRC0211)による発酵を行ったところ、全ての搾汁においてショ糖の分解・消費はみられず、還元糖がほぼ完全に消費され、エタノールを生成しました(図2)。発酵後の搾汁に含まれるエタノールは、結晶化工程の前にある糖液濃縮工程において90%以上が回収されました。
 続く結晶化試験では、従来法に比べて顕著な砂糖収率の向上が見られました(図3)。特に、ある種の高バイオマス量サトウキビと同程度の還元糖を含む搾汁からは、従来法の約4倍の砂糖が回収できました。以上の結果から、実際のサトウキビを原料として「逆転生産プロセス」が実証されました。

この『逆転生産プロセス』は、食料とエネルギーの同時増産、さらには、需要や経済状況に応じてそれらの生産量・比率を調節することを可能にし、バイオマス資源からの生産性の最大化を実現します。
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----image : 同リリースより
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関連
世界初、砂糖の生産性を飛躍的に高めるバイオエタノール生産技術を開発!-----農研機構 九州沖縄農業研究センター、2012年10月 9日


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週刊GreenPost 43号 - しなやかな技術研究会 2012/10/9-12日版



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