« 分子科学研究所、1種類の有機半導体に自由にp型、n型を形成する技術を発表 | トップページ | 日米スマートグリッドプロジェクト、ロスアラモスで設備が完成し、本格的な実証運転を開始 »

IHI、工場排水や地熱由来の温水に対応した出力20kWの小型バイナリー発電装置を開発、2013年商品化

 IHIは、工場排水や地熱由来の温水に対応した送電端最大出力20kWの小型バイナリー発電装置を開発したと発表しました。
 今回、開発してきたパッケージタイプ小型バイナリー発電装置において、70℃~90℃程度の温水から所定通りの発電が行えることを確認し、工場排水や地熱由来の100℃未満の温水で発電できるヒートリカバリー“HRシリーズ”のプロトタイプを発表、2013年度からの販売開始を目指すということです。

 バイナリー発電装置は、100℃未満の工場排水や地熱などで沸点の低い媒体を蒸発させてタービン発電機を作動させるもので、IHIの今回のモデルでは、作動媒体として、オゾン破壊係数ゼロで、地球温暖化係数が低く、安全性の高いフッ素系媒体を利用しているということです。製品はパッケージ化され、最大送電端出力20kW
(電源系統 200V系/400V系)で、商用電源に接続可能な系統連系機能を標準装備し、即系統連携可能になっています。プロトタイプ機のサイズは、W*D*H:2000×1400×1600mmと非常に小さく、配管も温水を少量のまま発電に利用することを可能する小型バイナリー発電装置となっています。温泉で、工場で手軽に利用できる手軽なサイズ、取り扱い規模という画期的な装置になっているようです。


プレスリリース / IHI、2012年9月19日
送電端最大出力20kWの小型バイナリー発電装置を開発

_1
-----image(”上-小型バイナリー発電装置「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」プロトタイプ外観、下-タービン発電機外観”) : 同リリースより-----
Ihimt2

" ~設置が容易なパッケージタイプで、系統連系も可能~

 IHIは、発電した電力を商用電源に接続可能な系統連系機能を有する送電端最大出力20kWのパッケージタイプ小型バイナリー発電装置を開発してきましたが、このたび、70℃~90℃程度の温水から所定通りの発電が行えることを確認し、商品化への目途が立ちました。

 バイナリー発電装置は、100℃未満の工場排水や地熱などで沸点の低い媒体を蒸発させてタービン発電機を作動させるものです。これまで未利用であったエネルギーを活用し、低位熱からのエネルギー回収および有効利用による“省エネ”、または再生可能エネルギーから発電することによる“創エネ”への適用が期待されています。

 当社が開発した小型バイナリー発電装置『ヒートリカバリー“HRシリーズ”』は、従来のバイナリー発電装置にはない、20kWという小型タイプで、発電に必要な温水量が少ないため、これまで熱エネルギーの回収が難しいとされてきた、工場などで分散して排出されている100℃未満の温水を、集約せずに少量のまま発電に利用することを可能にした、画期的な装置です。
 まとまった温水が排出される工場では、本装置を複数台設置し、温水を各装置に分散させて発電することも可能で、メンテナンス時には一台ずつ停止して他の装置で発電することにより、発電装置の稼働ロスを最低限に抑えることができ、効率の良い運用を可能とします。
 また、商用電源に接続可能な系統連系機能を標準装備することで、発電した電力の品質を上げ、工場の一部で使用するだけでなく、電力の用途を広げるとともに、将来、制度が整備された場合においては、余剰電力の売電にも対応可能な仕様になっています。

 バイナリー発電には必須となる、本装置の心臓部であるタービン発電機には、当社の自動車用・舶用ターボチャージャや産業用コンプレッサ事業を通じて培ったターボ機械技術と、増速機等を使用せず直接動力を伝達するダイレクトドライブ技術を融合し、高効率化の実現による発電性能の向上を図っています。

 今後、当社では、送電端最大出力20kWのバイナリー発電装置として、様々な業種の工場などに向け、2013年度からの販売開始を目指すとともに、更なるラインナップの拡充を図り、お客様の様々な省エネ・発電のニーズに対応していきます。

<小型バイナリー発電装置の概略構成>
1. 発電方式:オーガニックランキンサイクル(*1)により100℃未満の温水からの発電が可能
2. 作動媒体:オゾン破壊係数ゼロで、地球温暖化係数が低く、安全性の高いフッ素系媒体(*2)を使用
3. タービン発電機:ラジアルタービンと高速発電機を直結したダイレクトドライブ構造
4. パッケージ:バイナリー発電のシステムをワンパッケージに収め、さらに商用電源への接続を可能にする系統連系機能を標準装備

<小型バイナリー発電装置の特長>
1. 小規模・小型:幅:約2m、奥行き:約1.4m、高さ:約1.6mとコンパクト(プロトタイプ機)
2. 容易な取付け:温水出入口と冷却水出入口配管、電源系統の接続だけで非常に簡単
3. 静粛・低振動:タービン発電機は直結構造であるため騒音も少なく、装置の振動もほとんど無い
4. 操作性、起動性:タッチパネルですべての操作と内部状態の確認が可能。温水と冷却水を流して起動するだけで、自動で発電開始

*1 オーガニックランキンサイクル:沸点の低い有機媒体を作動媒体として用い、蒸発/液化のサイクルを繰り返し、蒸発した作動媒体でタービン発電機を作動させるもので、低位熱からのエネルギー回収に有効な手法です。

*2 作動媒体については、電気事業法の小型バイナリー発電設備の更なる規制緩和が期待されていますが、現在の規制緩和対象であるか否かに関わらず、最も環境にやさしく、安全と考えられる媒体を採用していく予定です。
.......... "

関連
IHI小型バイナリー発電装置“HRシリーズ”
Idx_fig_02
-----image(”IHI小型バイナリー発電装置『ヒートリカバリー〝HRシリーズ″』のサイクルシステム図”) : 上記サイトより

".....主な仕様
方式 オーガニックランキンサイクル
対応熱源 温水(100℃未満)
作動媒体 フッ素系媒体*
最大送電端出力 20kW
電源系統 200V系/400V系 (系統連携可能)
寸法(プロトタイプ機)
W:2000×D:1400×H:1600

*作動媒体については、電気事業法の小型バイナリー発電設備の更なる規制緩和が期待されていますが、現在の規制緩和対象であるか否かに関わらず、最も環境にやさしく、安全と考えられる媒体を採用していく予定です......"

追加情報
IHI、最大送電端発電出力20kWのパッケージタイプ小型バイナリー発電装置を発売-----ソフトエネルギー、2013/07/30

地熱発電(廃棄熱発電等用)小型バイナリー発電ユニット カタログ 発行!-----自然エネルギー、2013/05/29

地熱発電(廃棄熱発電等用)小型バイナリー発電ユニット カタログ


参考エントリー
神戸製鋼所の小型バイナリー発電システム、別府と湯布院の温泉に導入へ-----ソフトエネルギー、2012/07/13

JFEエンジニアリング、福島県土湯温泉における温泉バイナリー発電の事業化調査に着手-----ソフトエネルギー、2012/02/07

2/22まで 環境省、温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)案に対する意見を募集-----自然エネルギー、2012/02/07

環境省、松之山温泉における87kWバイナリー温泉発電設備の実証施設の開所式を実施-----ソフトエネルギー、2011/12/19

川崎重工と九州電力、250KW小規模地熱バイナリー発電設備実証試験を開始-----ソフトエネルギー、2011/09/01

岩手県八幡平市と日本重化学工業、地熱エンジニアリング、JFEエンジニアリング、八幡平で地熱発電事業化に関する協定を締結-----ソフトエネルギー、2011/07/19

新潟県松之山温泉でバイナリー地熱発電の実証研究が行われます-----ソフトエネルギー、2010/04/23

環境省、平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果を公表-----ソフトエネルギー、2011/04/22

[ 温泉、地熱、地中熱 ]


おすすめエントリー
週刊GreenPost 40号 - しなやかな技術研究会 2012/9/18-21日版

JAXAとNSIDC、北極海海氷の面積が観測史上最小記録を更新と発表-----自然エネルギー、2012/9/21

ヤマハ発動機、10%バッテリー容量増の電動アシスト自転車 PAS Brace L と PAS VIENTA 発売-----しなやかな技術研究会、2012/09/20

ヤマハ発動機、車椅子を電動アシストする新型パワーユニット JWX-2 を発表-----しなやかな技術研究会、2012/09/20

原子力規制委員会が発足しました NRA=Nuclear Regulation Authority(Naverまとめ)

分子科学研究所、1種類の有機半導体に自由にp型、n型を形成する技術を発表-----ソフトエネルギー、2012/09/20

野田総理は、エネルギー・環境会議に出席。「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を第一の柱とする「革新的エネルギー・環境戦略」 を決定-----自然エネルギー、2012/09/19

政府は「革新的エネルギー・環境戦略」を発表しましたが、、え! 「参考文書」に降格ってどういうこと!?-----ソフトエネルギー、2012/9/19

2012/9/14 政府は「革新的エネルギー・環境戦略」を発表 再生可能エネルギー豆知識

洋上風力発電所の作り方 Seajacks社自己推進式ジャッキアップ船 Leviathan篇-----自然エネルギー、2012/09/18

洋上風力発電所で活躍する自己推進式ジャッキアップ船Seajacks Zaratanの姿-----ソフトエネルギー、2012/09/18




ブログランキング・にほんブログ村へ

ブログ村ランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。





greenpost(@greenpost) - Twilog-----twitter : greenpost
---しなやかな技術研究会のGoogleマップ2-----しなやかな技術研究会 まとめ

[PR]

|

« 分子科学研究所、1種類の有機半導体に自由にp型、n型を形成する技術を発表 | トップページ | 日米スマートグリッドプロジェクト、ロスアラモスで設備が完成し、本格的な実証運転を開始 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: IHI、工場排水や地熱由来の温水に対応した出力20kWの小型バイナリー発電装置を開発、2013年商品化:

« 分子科学研究所、1種類の有機半導体に自由にp型、n型を形成する技術を発表 | トップページ | 日米スマートグリッドプロジェクト、ロスアラモスで設備が完成し、本格的な実証運転を開始 »