ゼネシス、IHIプラント、横河電機、沖縄県で海洋温度差発電の実証事業を開始
ゼネシス、IHIプラント、横河電機は、沖縄県の「海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」に採択され、久米島の沖縄県海洋深層水研究所で海洋温度差発電の実証事業を開始するということです。この事業は、取水する海洋深層水及び表層水の一部を利用して行うもので、海洋深層水の複合的利用の一環と位置づけられているということです。ゼネシスのサイトの淡水化・深層水の多目的利用を見ると海洋温度差発電では、取水した海洋深層水を発電だけでなく、多目的に利用できるとあり、その可能性が述べられています。なかなか興味深いです。
海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion : OTEC)は、海洋表層水と深層水の温度差を利用し、アンモニアなどの熱媒により、タービンを回転させて発電します。アンモニア(低沸点媒体)は、熱交換ユニットを経由して繰り返し発電に利用されます。この動作原理は、開発者である佐賀大学の上原春男教授の名をとり、上原サイクル(海洋温度差発電推進機構)として知られ、この分野では日本は世界的な技術を保有しています。しかし、国内での本格的な実験はこれまで行われていないため、今回の成果が期待されます。
今回の実証試験では、2013年3月までに小型の実証設備を設置し、稼働させるということです。そして、将来の海洋温度差発電システムの実用化に向けて、発電コストを低減させる方法や沖縄県海域に洋上型システム設置の可能性を検討する予定であるとのことです。IHIプラント建設は、実証設備全体の設計と建設を、ゼネシスは発電ユニットと熱交換ユニットの設計・製造を、横河電機は、発電ユニットの監視制御システム及び系統連系等の電気関係の設計・製造を担当するとのことです。
久米島町が実施した調査によれば、当初は100kW級で実証試験を計画、将来的にはMWクラスの海洋温度差発電の導入を目指すということです。
プレスリリース / ゼネシス、2012年7月10日
・沖縄県から「海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」を受託しました。
-----image(”図 海洋温度差発電の原理”) : 同リリースより
"IHIプラント建設株式会社(略)、株式会社ゼネシス(略)、および横河電機株式会社(略)は、沖縄県の「平成24年度海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」に共同で応募し、この程採択されましたのでお知らせします。
本事業は、沖縄県海洋深層水研究所(久米島町)において、同研究所が取水する海洋深層水及び表層水の一部を利用して行うもので、海洋深層水の複合的利用の一環と位置づけられています。海洋温度差発電は、海洋表層水と深層水の温度差を利用してアンモニアなど低沸点媒体を気化、その蒸気でタービンを回転させて発電する仕組みです。低沸点媒体は、熱交換ユニットを経由して繰り返し発電に利用されます。この発電方式は、海洋に蓄えられた熱エネルギーを有効活用する再生可能エネルギー技術として注目されています。特に、表層水の温度が高い熱帯・亜熱帯地域に適しています。
今回の実証試験では、2013年3月までに小型の実証設備を設置し、稼働させます。将来の海洋温度差発電システムの実用化に向けて、発電コストを低減させる方法や沖縄県海域に洋上型システム設置の可能性を検討します。IHIプラント建設は、実証設備全体の設計と建設を、ゼネシスは発電ユニットと熱交換ユニットの設計・製造を、横河電機は、発電ユニットの監視制御システム及び系統連系※等の電気関係の設計・製造を担当します。
IHIプラント建設のプラントエンジニアリングに関する豊富な実績、ゼネシスの海洋温度差発電分野に関する世界有数の知見、および横河電機の監視制御システムに関する高信頼の技術を結集して共同で本事業に取り組み、再生可能エネルギー利用による持続可能な社会の実現に貢献します。
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関連
・沖縄県海洋深層水研究所(沖縄県海洋深層水総合利用推進会議)
"この調査は総務省の「緑の分権改革推進事業」を活用して行いました。
海洋深層水を利用した海洋温度差発電でのエネルギーの確保と、海洋深層水の複合利用についての報告書となっています。久米島海洋深層水複合利用基本調査 概要版
久米島海洋深層水複合利用基本調査 概要版 (567KB)
久米島海洋深層水複合利用基本調査 概要版【図表集】
久米島海洋深層水複合利用基本調査 概要版【図表集】 (約2.1MB)"
・沖縄県から「海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」を受託 ~海洋温度差発電の実証試験を実施~-----IHI、2012年7月9日(IHIプラント)
・沖縄県から「海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」を受託 ~海洋温度差発電の実証試験を実施~-----横河電機、2012年7月9日(海洋温度差発電)
・ゼネシス : 海洋温度差発電 (OTEC:Ocean Thermal Energy Conversion)
- 淡水化・深層水の多目的利用
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追加情報
・浮体式洋上風力、海流、潮流発電、そしてOTECなど、今後のわが国の海洋エネルギー開発フィールドと案件が決まった-----ソフトエネルギー、2014/07/22
・久米島の沖縄県海洋深層水研究所で、50kW海洋温度差発電プラントが稼動-----ソフトエネルギー、2013/05/01
・沖縄県、海洋温度差発電を実験 久米島で-----日本経済新聞、2013/4/3
"沖縄県は2日、年間を通じて水温の変動が小さい海洋深層水を使った海洋温度差発電の実証実験を15日に始めると発表した。
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海洋温度差発電は「熱媒体」という特殊な液体を、セ氏25~30度と温かい沖縄の海水で気化させ、蒸気タービン発電機を駆動させる。熱媒体は水深600メートルから取水した同8~10度の冷たい深層水で冷却し、再び液体に戻す。熱媒体は代替フロンを加圧し、沸点を同約24度に調整したものを使う。
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3月までに出力50キロワットの発電機を沖縄県海洋深層水研究所(同県久米島町)の敷地内に設置し、3月30日に試運転した。
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[ カテゴリー : 海洋エネルギー-OTEC ]
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