JX日鉱日石エネルギーら、オールジャパン体制で微細藻燃料開発推進協議会を設立
JX日鉱日石エネルギー、IHI、およびデンソーの3社が発起人となり、微細藻燃料開発推進協議会を設立されました。
藻からバイオ燃料を生み出す技術の実用化にあたっては、培養、油分の抽出、燃料化といった各工程の技術開発の課題を解決し、一貫生産システムの構築を行うことが必要と判断し、産官学のオールジャパンでの取り組みとして同協議会が設立されました。世界的に藻などのプランクトンからバイオ燃料を効率的に生産する技術の確立に向けて、研究開発が行われてます。日本は、この分野にも強みを発揮できる可能性があることは、以前から指摘されていましたが、同協議会の設立により、いっそうの具体的成果が得られることが期待されます。
プレスリリース / JX日鉱日石エネルギー、2012年6月27日
・微細藻燃料開発推進協議会の設立について
"JX日鉱日石エネルギー株式会社(略)、株式会社IHI(略)および株式会社デンソー(略)は、3社が発起人となり、微細藻燃料開発推進協議会を設立しましたのでお知らせいたします。
温室効果ガスによる地球温暖化問題への対応が喫緊の課題となっている中、再生可能なエネルギー資源であるバイオマスを利用した微細藻燃料は、運輸部門のCO2削減策として期待されており、世界的に開発が進められています。
微細藻燃料は、エネルギー資源の乏しい日本においては、エネルギー資源の多様化や、エネルギー自給率の向上に貢献でき、また、既存の石油製品と同等に扱えるため、新たな燃料供給インフラの投資も不要です。
加えて、既存のバイオ燃料において懸念されている食料との競合を回避するのみならず、抽出残さは飼料等としての利用が期待できるため、食料生産に貢献できる可能性もあります。
微細藻燃料にはこれら多くの利点が期待されており、これまで発起人3社は、それぞれのアライアンスによる技術開発に取り組んでおりました。しかしながら、実用化にあたっては、培養、油分の抽出、燃料化といった各工程の技術開発の課題を解決し、一貫生産システムの構築を行うことが必要であり、そのためには、各企業のアライアンスにとどまらず、産官学のオールジャパンでの取り組みとすべく、本協議会を設立することを決定いたしました。
本協議会は、本日、設立総会を開催し、民間企業10社を主体としてスタートしました。
今後は、学識経験者や関係行政のアドバイスもいただきながら、微細藻燃料製造の技術開発における共通の課題抽出や解決策の検討、必要な施策の提言等を行い、2020年度までに微細藻燃料の一貫生産システムの確立を目標に取り組んでまいります。
【微細藻燃料開発推進協議会の概要】
(1)会 長:斎藤 健一郎 (JX日鉱日石エネルギー株式会社 研究開発本部 研究開発企画部長)
(2)所在地 : 東京都千代田区大手町二丁目6番3号
(JX日鉱日石エネルギー株式会社 研究開発本部 研究開発企画部内)
(3)設立日 : 2012年5月25日 (設立総会を6月27日に実施)
(4)活動内容 : 微細藻燃料の技術開発の推進、技術開発に必要な施策の提言
(5)参画企業※ : JX日鉱日石エネルギー株式会社、株式会社IHI、株式会社デンソー、株式会社日立プラントテクノロジー、三菱商事株式会社、出光興産株式会社、株式会社ユーグレナ、株式会社ネオ・モルガン研究所、いであ株式会社、ヤンマー株式会社
※6月27日現在
........... "
関連
・微細藻燃料開発推進協議会の設立について-----IHI、2012年6月27日
・微細藻燃料開発推進協議会の設立について-----デンソー、2012年06月27日
- 微細藻類を使ったCO2吸収・バイオ燃料化の研究 - シュードコリシスチス
*まだホームページはないようです。Googleに”微細藻燃料開発推進協議会”で張り込みしときます。
参考
・緑藻からバイオ燃料 / YouTubeから-----とびっきりの未来 Project 50/2050、2012.06.29
・IHI ら、神戸大学 榎本 平教授らの高効率藻類バイオ燃料の開発技術を活用した新会社 IHI NeoG Algae の設立へ-----ソフトエネルギー、2011/07/13 - 榎本藻(えのもとも : ボツリオコッカスの一種)
・デンソー、緑藻「シュードコリシスチス」にCO2吸収、バイオ燃料も生成 / クリッピング-----自然エネルギー、2008/09/19
・藻からのバイオ燃料。未来を救うか? 藻、緑藻情報 / おまとめサイト-----自然エネルギー、2011/07/14
・高等植物の3~40倍の「収穫」が可能 最強のバイオ燃料、藻(1)-----日本経済新聞、2010/6/15
・後処理せず、そのまま油が採れる 最強のバイオ燃料、藻(2)-----日本経済新聞、2010/6/22
・シュード、ボトリオで決まりなのか? 最強のバイオ燃料、藻(3) -----日本経済新聞、2010/6/29
おすすめエントリー
・GreenPost - しなやかな技術研究会 2012/6/28-7/2日版(Naverまとめ利用)
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コメント
日立金属さんはプロテリアルに社名変更されましたね。耐荷重能は2500MPaではなくボーロオンディスク試験では数十MPaと報告されています。しかしそれでもハイテン成形の時は倍以上もの臨界焼付き荷重を示しプレスのストロークスピードをあげるとさらに従来鋼との性能差は開くとも。そのメカニズムはCCSCモデルと言うんだそうです。
投稿: アグリDXテクノロジー関係 | 2023/07/06 18:04
先日、その高性能工具鋼の自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。そのメカニズムをひらたくいえば世界初の本格的ナノマシンであるボールベアリング状の分子性結晶が表面に自己組織化されて、滑りが良くなるということらしい。
投稿: ファインマンに憧れている物理屋 | 2013/06/03 17:59
先月の、「プレス技術」を読みましたが、高性能冷間工具鋼、SLD-MAGICのトライボロジー特性は凄いですね。微量の油をぬったセミドライ状態で、摩擦させるとまるで先端技術のDLCのような自己潤滑性が出るなんて。コーティング費用分コストパフォーマンスが良く、耐荷重能も2500MPaぐらいに高強度でいろんな転動・摩擦・摺動部品にも使えそうだ。
投稿: 金型屋 | 2013/02/03 11:49
そういえば日立金属さんの新型の工具鋼でS-MAGICって材料は自己潤滑性があって、植物油を潤滑油として使っても極圧性能が発揮されるというノーベル賞級の発明。しかも高強度なので機械設計に幅が広がるとおもう。
投稿: グリーンスチール | 2012/10/10 18:49