« 富士経済、2030年の世界の発電・蓄電・給電・変換技術市場を予測するリポートを公開 | トップページ | パナソニック、植物並み高効率0.2%の人工光合成をシステムを開発 »

住友電工、200kWpの集光型太陽光発電装置(CPV)および5MWhの大型蓄電池などの実証運転を開始

 住友電工は、同社横浜製作所において、世界最大規模のレドックスフロー電池によるメガワット級大規模蓄発電システム(容量1MW×5時間)を完成させたと発表しました。これにより、同所内に建設されていた集光型太陽光発電装置(CPV)(28基、最大発電量200kW)と、さらに既設のガスエンジン発電機を組み合わせて、横浜製作所全体の電気エネルギーの最適運転を行うFEMS(ファクトリーエネルギーマネージメントシステム)の実証も開始するとのことです。

住友電工、横浜製作所において200kWpの集光型太陽光発電装置(CPV)および5MWhの大型蓄電池などのEMSの実証運転へ-----ソフトエネルギー、2012/04/19

 このシステムは、外部の商用電力系統とも連系し、本システムのCPV発電量、レドックスフロー電池の蓄電量および消費量は、エネルギーマネージメントシステム(EMS)によって監視され、計測データはEMSサーバで一括管理されます。レドックスフロー電池は、大容量の蓄電池システムとしてメリットがあるとのことで、その性能の実証運転が注目されます。

 発表された実証運転の内容・狙いは、

(1)横浜製作所におけるピークカット対応

(2)天候に左右される太陽光発電をレドックスフロー電池と組み合わせ、計画的な発電を行う。

(3)あらかじめ設定したデマンドスケジュールとなるよう電力負荷に応じた放電量を調整。

(4)太陽光発電の激しい出力変動をレドックスフロー電池の充放電で補償することで、出力を平滑化します。これにより、火力発電所の調整負荷が軽減され、系統へ連系できる太陽光発電の規模が拡大します。


プレスリリース / 住友電気工業、2012年7月24日
横浜製作所においてメガワット級大規模蓄発電システムの実証運転を開始

Prs069_2
-----image(”竣工したメガワット級蓄発電実証システム”) : 同リリースより

" .....横浜製作所(横浜市栄区田谷町1)において建設を進めてきた、世界最大規模のレドックスフロー電池と国内最大規模の集光型太陽光発電装置(CPV)等から構成されるメガワット級大規模蓄発電システムがこのほど完成し、本日より実証運転を開始しました。
 本システムの開発に当たっては、日新電機株式会社、住友電設株式会社、および株式会社明電舎とそれぞれと連携して推進しました。
 本システムは、夜間電力や太陽光発電電力を貯蔵するレドックスフロー電池(容量1MW×5時間)と再生可能エネルギー源としてのCPV(28基、最大発電量200kW)(注1)、から構成され、外部の商用電力系統とも連系します。また、本システムのCPV発電量、レドックスフロー電池の蓄電量および消費量は、エネルギーマネージメントシステム(EMS)によって監視され、計測データはEMSサーバで一括管理されます。

 今回の実証運転の内容と狙いは下記の通りです。

<実証運転の内容・狙い>
(1)
横浜製作所におけるピークカット運用(最大1MWのデマンド抑制)を行います。これにより、国内で喫緊の課題である電力不足問題の軽減に貢献します。

(2)
天候に左右される太陽光発電をレドックスフロー電池と組み合わせ、計画的な発電を行います。これにより、太陽光発電の価値を高め、導入を促進します。

(3)
あらかじめ設定したデマンドスケジュールとなるよう電力負荷に応じた放電量を調整します。電力消費のレベルを安定化させることで、必要な発電所の規模を低減します。

(4)
太陽光発電の激しい出力変動をレドックスフロー電池の充放電で補償することで、出力を平滑化します。これにより、火力発電所の調整負荷が軽減され、系統へ連系できる太陽光発電の規模が拡大します。

太陽光発電や風力発電に代表される不安定な再生可能エネルギーの導入に対し、レドックスフロー電池を駆使することで電力の安定化を実現すると共に、電力不足の問題の軽減に貢献します。
また、レドックスフロー電池とCPVに既設のガスエンジン発電機を組み合わせて、横浜製作所全体の電気エネルギーの最適運転を行うFEMS(ファクトリーエネルギーマネージメントシステム)の実証も開始します。本実証は、経済産業省「平成24年度次世代エネルギー・社会システム実証事業」として、「横浜スマートシティプロジェクト」の中で株式会社明電舎と共同で行います。FEMS実証は、本プロジェクトでは初めてのことです。

 今後、再生可能エネルギーの導入やエネルギーの効率的運用を一層促進すべく、特に工場や商業施設などの大規模需要家でのニーズに合わせて、本システムの実用化を進めてまいります。また、本実証運転と並行して、事業化に向けた更なる低コスト化等を推し進め、2013年度中には事業を開始する計画です。

以上

(注1) 実証運転開始時点では、CPV15基、最大発電量約100kW。本年度末にCPV28基、最大発電量200kWとなる予定。

【補足資料】

Prs069_1
-----image (”1.実証運転の概念図”) : 同リリースより

2.本システムを構成する機器・装置等について
(1)レドックスフロー電池(容量1MW×5時間)
 レドックスフロー電池は、バナジウム等のイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池であり、充放電を行う入出力部と金属イオン電解液を蓄えるタンクから構成されます。
 充放電を頻繁に繰り返しても電極や電解液の劣化は殆どないため長寿命であり、正極と負極の電解液が同じ物質であることから、メンテナンスが容易で、発火性の材料を用いていないことや常温運転が可能なことから安全性も高い蓄電池です。不規則で変動の激しい充放電運転に適し、貯蔵電力量の正確な監視・制御が可能なことから、夜間の余剰電力の活用に加え、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの有効活用に適した蓄電池と言えます。

(2)CPV(合計28基、最大発電量200kW)
 CPVは、発電素子にレンズ等で集光させた高密度の太陽光を入射させることによって、小面積の発電素子でエネルギー変換をする太陽光発電装置です。発電素子に特殊な化合物半導体材料を用いていることから、発電効率が市販のシリコンパネルに比べて約2倍であり、また集光パネルを地面から高い位置に設置する構造であり、パネル下のスペースも活用できるなど、次世代の太陽光発電装置として期待されています。

(3)エネルギーマネジメントシステム(EMS)
 EMSは本システムにおいてCPV28基の発電量を監視するほか、商用電力系統、CPV、レドックスフロー電池、事務所・工場間の電力フローを監視する役割を担います。必要な情報は光通信ネットワークによって収集されEMSサーバに集中管理されます。更に、今後、既設のガスエンジンとレドックスフロー電池、CPVを組み合わせて所内ピークカット運用やデマンドスケジュール運転にも対応し、省エネだけではなく横浜製作所の電気エネルギーの最適制御ができるFEMSを実証していく予定です。
........... "

関連
住友電気工業 : パワーシステム研究所

Img03
-----image(”集光型太陽光発電装置”) : 上記サイトより

”集光型太陽光発電装置(CPV)は、発電素子に特殊な化合物半導体材料を用いていることから、発電効率が市販のシリコンパネルに比べて約2倍であり、また集光パネルを地面から高い位置に設置する構造であり、パネル下のスペースも活用できるなど、次世代の太陽光発電装置として期待されています。今回開発したCPV(出力1kW)では、従来のCPVに比べ、パネルの薄型化・軽量化を実現しました。”

Img04
-----image(”レドックスフロー電池”) : 上記サイトより

”再生可能エネルギー発電を利用する電力系統では、その発電量の変動に応じて電力を貯蔵・放出する蓄電池の役割が特に重要になります。レドックスフロー電池は、不規則で変動の激しい充放電運転に適し、貯蔵電力量の正確な監視・制御が可能なことから、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの有効活用を目指すスマートグリッドに最適な蓄電池と考えています。市場投入実績を持つレドックスフロー電池について、本格的な実用化を目指し、製品開発を進めています。”

・Wikipedia : レドックス・フロー電池

住友電工、世界初となる新型、溶融塩電解液電池電池の開発に成功-----しなやかな技術研究会、2011/03/07

追加情報
住友電工、集光型太陽光発電装置(CPV)を製品化。2基約30kWpのシステムを宮崎大学に設置-----ソフトエネルギー、2014/03/27


参考エントリー
集光型太陽光発電 CPV / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/07/15より更新中


おすすめエントリー
GreenPost - しなやかな技術研究会 2012/7/30-日版

ソーラーインパルス Solar Impulse、大陸間テスト飛行を終えスイス基地に帰還-----再生可能エネルギー GreenPost、2012/7/27

富士経済、2030年の世界の発電・蓄電・給電・変換技術市場を予測するリポートを公開-----ソフトエネルギー、2012/07/27

エネルギー政策の三択問題を解く 国の8月12日までのパブコメ対応-----ソフトエネルギー、2012/07/12
-エネルギー政策の三択問題を解く 国の8月12日までのパブコメ対応(Naverまとめ利用)

自然エネルギー関連情報 / 2012 - 7月 GreenPost




ブログランキング・にほんブログ村へ

ブログ村ランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。





greenpost(@greenpost) - Twilog-----twitter : greenpost
---しなやかな技術研究会のGoogleマップ2-----しなやかな技術研究会 まとめ

[PR]

|

« 富士経済、2030年の世界の発電・蓄電・給電・変換技術市場を予測するリポートを公開 | トップページ | パナソニック、植物並み高効率0.2%の人工光合成をシステムを開発 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 住友電工、200kWpの集光型太陽光発電装置(CPV)および5MWhの大型蓄電池などの実証運転を開始:

« 富士経済、2030年の世界の発電・蓄電・給電・変換技術市場を予測するリポートを公開 | トップページ | パナソニック、植物並み高効率0.2%の人工光合成をシステムを開発 »