NEDO、インドの工業団地で6MWの太陽光発電システムを導入。既存発電設備との協調、マイクログリッドの実証試験
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、インドの工業団地で6MWの太陽光発電システムと発電設備、そしてマイクログリッドの実証試験を実施することで、インド財務省、新・再生可能エネルギー省(MNRE)およびデリー・ムンバイ産業大動脈開発公社(DMICDC)と合意に達したと発表しました。
具体的なシステムの委託先は、日立製作所、伊藤忠商事、日立プラントテクノロジー、日立システムズで、薄膜CIS化合物系の太陽電池5MWpと多結晶太陽電池1MWp、合計6MWpの日本製太陽電池が導入され、既存のディーゼル発電、そして系統内での挙動などの協調、マイクログリッドの実証実験が行われるということです。
日本に限らず、世界中から注目されるインドですが、一時の注目度も正直若干薄れてきた感もあります。インドが2008年に発表した、ジャワハルラール・ネルー太陽エネルギー開発総合プロジェクト Jawaharlal Nehru National Solar Mission(June 30,2008)では、太陽光と太陽熱利用合わせて、2010年から以下のようなプロジェクト期間を決めて、太陽エネルギー利用の導入推進を行うことを発表しています。
第一期 2010-2013 (1GW)
第二期 2013-2017 (3GW)
第三期 2017-2023 (20GW)
この中には、1-2 GWpの系統と独立した電源が含まれている点が、インドの電力事情を表していて、興味深い計画です。
しかし、この予定はすでに遅れていると言われ、太陽エネルギー利用大国へと突き進もうという方向性を支える資金を心配する声もあるようです。
とはいえ、まだはじまったばかりの計画です。どこの国でもスタート時は、反発も多いものです。今後の展開を見守ることにしましょう。
先日紹介した、アレバ AREVAのアジア最大規模250MWの太陽熱発電所(CSP)建設計画のような巨大プロジェクトもいくつかあり、予定は多少遅れても、インドが太陽エネルギー利用を積極的に進める方向である点は間違いないようです。
この記事をピックアップするために、若干下調べをしてつけた付け焼刃の知識ですが、今後はこのアジアの大国の再生可能エネルギーの情報も、もう少し積極的に集めていこうと考えている次第です。
プレスリリース / 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2012年5月1日
・インドでメガソーラーの技術実証
-----image(”図:ラジャスタン州ニムラナ工業団地における技術実証事業のイメージ”) : 同リリースより
" NEDOとインド財務省、新・再生可能エネルギー省(MNRE)およびデリー・ムンバイ産業大動脈開発公社(DMICDC)は、4月30日、同国ラジャスタン州ニムラナ工業団地で大規模太陽光発電システムを利用した技術実証事業を行うことで合意、覚書(MOU)を締結しました。
デリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)地域の総合開発を共同で進めることで合意していますが、このプロジェクトは初の技術実証事業となります。大規模太陽光発電等によるマイクログリッドシステムを構築、再生可能エネルギーの供給を実現するとともに、現状の不安定な電力供給の改善を目指します。
なおMOUは、インド・ニューデリーにおいて開催された第2回日印官民政策対話の中でNEDOから報告し、また、枝野経済産業大臣とシャルマ商工大臣の立ち会いの下、NEDO古川理事長とDMICDCカント総裁が調印しました。1.事業概要
インドでは、経済発展に伴い電力供給不足が顕著となっており、その電力需要は2030年には2005年の約3倍に増加すると予測されています。インド政府は再生可能エネルギーの導入促進計画として、2009年末にJawaharlal Nehru National Solar Mission (JNNSM)を発表しました。この計画は、2022年までに20GWの太陽光発電を導入するために有効な政策を構築するとしており、今後10年にわたり大規模な太陽光発電市場が形成されることが期待されています。他方、インドの工業団地に入居する企業においては、工場の安定操業に適した安定電力のニーズが増しています。
こうした背景の中、本事業ではラジャスタン州ニムラナ工業団地に6MWの太陽光発電システムを設置し、さらに太陽光発電システムと複数のディーゼル発電機とを連携したマイクログリッドシステムを構築し、工業団地に入居企業および電力系統に対してクリーンでかつ安定した電力を供給するシステムの技術実証を行います。これにより、我が国のマイクログリッド技術の有効性を実証し、同国での普及を目指します。
なお、この事業は、MNREが進める太陽エネルギー普及政策においても特別プログラムとして認定されており、両政府の支援を得つつ本事業を実施していくこととなります。
事業期間(予定):2012年度~2014年度
予算規模:約41億円(内、NEDO負担: 28億円以内)
委託先:日立製作所、伊藤忠商事、日立プラントテクノロジー、日立システムズ実証項目:
(1) クリーンかつ経済的な電力安定供給を行う事による技術的・経済的有効性
(2) マイクログリッド制御技術による省エネ
(3) 日本の最新の太陽電池パネルの有効性
..........
2.今後の予定この事業の建設工事は約18カ月を見込んでおり、2013年度末までに設備を完成、2014年度上期中に実証運転によるデータの評価、検証を実施する予定です。同時に、普及セミナー等を通じてインド国内、特にDMIC地域の工業団地に対して本技術の普及を目指します。
.......... "
関連
・Ministry of New and Renewable Energy
- Jawaharlal Nehru National Solar Mission - Minister's Statement
" http://www.mnre.gov.in/file-manager/UserFiles/mission_document_JNNSM.pdf "
・Wikipedia : Jawaharlal Nehru National Solar Mission
・UNT Digital Library : Jawaharlal Nehru National Solar Mission - All Pages
参考エントリー
・アレバ AREVA、インドにアジア最大規模250MWの太陽熱発電所(CSP)を建設-----ソフトエネルギー、2012/05/16
・世界資源研究所 WRI 、インドの貧しい地域において再生可能エネルギー関連技術の普及に関するリポート「Power to the People」を公開-----しなやかな技術研究会、2010/10/13
-----Google GreenPost関連サイト横断検索 : インド-----
[ カテゴリー : インド ]
追加情報
・India Targets Doubling Of Renewable-Energy Installations To 2017-----Bloomberg,May 22, 2012
"..India plans to more than double its amount of clean power generation capacity to almost 53,000 megawatts by 2017 under the latest five year plan.."
おすすめエントリー
・太陽光発電協会、一般住宅用の太陽光発電システムが累計100万件を突破したと発表-----再生可能エネルギー GreenPost、2012/5/18
・メガソーラー 大規模太陽光発電所の世界 / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2012/05/18
・日本の海洋エネルギー開発すすむ。川崎重工の動き、イギリスで、そして沖縄で実証試験へ-----再生可能エネルギー GreenPost、2012/5/17
・GreenPost - しなやかな技術研究会 2012/5/17 - 18日版(Naverまとめ利用)
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投稿: Anthony | 2021/12/25 19:40