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東大とオーストリア・ヨハネスケプラー大学のグループ、世界最薄かつ最軽量の有機太陽電池の実現に成功

 東京大学、電気系工学専攻 染谷隆夫教授、関谷毅准教授およびオーストリア・ヨハネスケプラー大学の共同研究チームは、厚さ1.4μmという極薄の高分子フィルム上の上に、有機溶剤にp型半導体とn型半導体をブレンドして溶解したインクを用いて有機半導体薄膜を均一に形成するプロセス技術を確立、高効率な有機太陽電池を作製することに成功しました。この成果は、Nature Communications誌のオンライン版で公開されました。

Ultrathin and lightweight organic solar cells with high flexibility-----Nature Communications,03 April 2012

 この有機太陽電池は、自在に曲げることも、ゴム基板上へ貼り付けることで、伸縮自在な太陽電池を作ることも可能です。
曲げ半径35ミクロンに折り曲げても、エネルギー変換効率 4.2%を維持しつつ機械的にも壊れないということです。実際に人間の髪の毛(半径は100ミクロン程度)に巻きつけることもできるといいます。300%伸縮させても電気的・機械的な特性が劣化しない伸縮自在な太陽電池が実際に作られました。ここから、薄いフィルム状の太陽電池が私たちの身近なところで活躍し、または宇宙空間で折りたたんだ太陽電池膜を展開し宇宙船などで利用するなど、その画期的な製品としての特長を生かした未来も想起できます。

 この有機太陽電池1gあたりの発電量は10Wに相当し、この値はあらゆる太陽電池と比較しても最軽量、最薄、最柔軟な太陽電池だということですから、太陽電池が直面する材料の資源的な制約にも解決の目処がたつ可能性もあります。
 当面の実用化は、その特性から携帯や小型機器の電源などのエネルギーハーベストの分野での実用化が図られていくのでしょう。そして、その先の未来には、次世代の太陽電池を利用した新しい暮らし方も待っている可能性もあります。期待しましょう。
 
プレスリリース / 東京大学大学院工学系研究科 、科学技術振興機構 、2012/04/04
世界最薄かつ最軽量の有機太陽電池の実現に成功:電気系工学専攻 染谷隆夫教授、関谷毅准教授 / 世界最薄かつ最軽量の有機太陽電池の実現に成功(PDF)

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-----image(”独自に開発した有機薄膜成膜技術を用いることで極薄プラスティックフィルム(厚み 1.4 マイクロメートル)上に高効率な有機太陽電池を作製することに成功しました。薄く柔らかいため、ゴム基板上へ貼り付けることも可能です。その結果、伸縮自在な太陽電池を実現できました。(a)太陽電池の断面模式図。(b)細さ 35 マイクロメートルの直径を持つ髪の毛に有機太陽電池を巻き付けた写真。(c)有機太陽電池を伸縮自在なゴム基板上に貼り付けて、圧縮歪みをかけた写真。(d)ゴム基板上においた有機太陽電池を先の細いガラスパイプで下から引き延ばした写真。(e)ゴム基板上においた有機太陽電池の電子顕微鏡写真。”) : 同リリースより

" 研究成果の概要 有機半導体を用いた太陽電池は、印刷手法など液体プロセスによって高分子フィルムの上に容易に製造できるため、大面積・低コスト・軽量性を同時に実現できると期待されています。しかし、ガラス基板上と同程度の高エネルギー変換効率を有する有機太陽電池を柔軟性に富む薄膜の高分子フィルム上に液体プロセスを用いて作製することは困難であり、その解決策が求められていました。 東京大学大学院工学系研究科の染谷教授や関谷准教授らは、有機溶剤に p型半導体とn型半導体をブレンドして溶解したインクを用いて、厚さ 1.4 マイクロメートルという極薄の高分子フィルムに、有機半導体薄膜を均一に形成するプロセス技術を開発し、世界で最薄かつ最軽量の有機太陽電池を高分子フィルム上に作製することに成功しました(図1)。この有機太陽電池 1g あたりの発電量は 10W に相当し、この値はあらゆる太陽電池と比較しても最軽量、最薄、最柔軟な太陽電池です(図2)。また、この超薄型の有機太陽電池は、曲げ半径35ミクロンに折り曲げても、エネルギー変換効率 4.2%を維持しつつ 機械的にも壊れません。さらに、この薄型有機太陽電池を応用して、300%伸縮させても電気的・機械的な特性が劣化しない伸縮自在な太陽電池を実現しました。 太陽電池の超軽量化・超薄型化に達成されたことにより、今後、太陽電池の携帯用情報通信機器への応用や、身に着けても重さを感じさせないヘルスケアや医療用デバイス用の電力供給源など新たな用途が拡大するものと期待されます。本成果は、4月4日午前0時(日本時間)に Nature Communications 誌のオンライン版で公開されました。 .......... 今後の展開  太陽電池の超軽量化・超薄型化に達成されたことにより、今後、太陽電池の携帯用情報通信機器への応用が促進されると期待されます。また、このような軽量・薄型の有機太陽電池をコンパクトに詰め込み、宇宙に打ち上げてから大きく広げて使う電力供給源、身に着けても重さを感じさせないヘルスケアや医療用デバイス用の電力供給源など新たな用途が拡大するものと期待されます。

(参考) 本研究は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(ERATO)の研究領域「染谷生体調和エレクトロニクス」(研究総括:染谷隆夫 東京大学 教授、バイオ印刷グループリーダー関谷毅 東京大学 准教授)、ヨハネスケプラー大学リンツ校(Martin Kaltenbrunner 博士、Siegfried Bauer 教授、Niyazi Serdar Sariciftci 教授)との共同研究として行われました。

120404_someya_solarcells2
-----image : 同リリースより
.......... "

関連
東京大学工学系研究科 電気電子工学専攻 物理工学専攻染谷・関谷研究室

科学技術振興機構(JST)

JKU-Forscher entwickeln leichteste Solarzellen der Welt-----Johannes Kepler Universitat,04.04.2012

東大、世界最薄/最軽量級の有機薄膜太陽電池の開発に成功-----マイナビニュース、2012/04/06

Ultrathin Solar Cells for Stretchable Applications-----Photonics.com, April 6, 2012

参考
世界初、滅菌できる柔らかい有機トランジスタの作製に成功-----東京大学、科学技術振興機構、平成24年3月7日

"体内に埋め込めるデバイス開発に道
研究成果の概要
国立大学法人 東京大学(総長 濱田 純一)大学院工学系研究科の染谷 隆夫 教授[付記1]と関谷 毅 准教授を中心とした研究チームは、独立行政法人 科学技術振興機構(理事長 中村 道治)の課題達成型基礎研究の一環として、高温の滅菌プロセスに耐え得る柔らかい有機トランジスタ注1)を高分子フィルム上に作製することに世界で初めて成功しました。
.......... "

東京大学 工学部ガイド : 染谷隆夫教授 電気電子工学科



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