福島県沖の浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の2015年までの内容と実施体制が発表されました
国(経済産業省)からの委託事業として、福島県沖で実施される浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の内容と実施体制が発表されました。3月中にも開始される、第1期実証研究事業では、2MWのダウンウィンド型浮体式洋上風力発電設備1基と、世界初となる66kV 浮体式洋上サブステーションおよび、海底ケーブルを設置するということです。2014年度から2015年度にかけて行う第2期実証研究事業では、7MW級浮体式洋上風力発電設備2基を追加設置するということです。
設置されるのは、岸からの距離が20~40kmの水深100~150mの福島県沖の海洋上で、年平均風速は7.0m/s以上ということです。
世界で主流となっている着床式の洋上風力発電では、年間平均風速9.0m/s以上という非常に風の強い地域も対象となるようになっています。コストは常識的に考えて、浮体式のほうが着床式に比べて大きいと考えられます。特に、日本で本格的な着床式も含めた洋上風車の経験は皆無ですので、技術的にもハードルが高いこの技術に、日本の有力企業が顔を並べたこの事業で、日本が洋上風力発電の世界に打って出る契機となるのか? 世界からも注目される事業になりそうです。
気になったのは、3コラム型セミサブというのが、下で紹介したヴェスタス Vestas、初の浮体式プラットフォームとして使った WindFloatとアイディアがよく似ている点です。あちらが実証実験的にもかなり先行しているので、なにかと比較されそうですよね。また、Vestasのプロジェクトの進行状況も見てみます。
・ヴェスタス Vestas、初の浮体式プラットフォーム WindFloat を建設中-----ソフトエネルギー、2011/10/17
なんにせよ、できてきたら、実際に海の上から是非ながめてみたいですね! 見学希望!
プレスリリース / IHI、2012年3月6日
・福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業について
-----image(”図1 完成予想図”) : 同リリースより
" 丸紅株式会社をプロジェクトインテグレータとする、東京大学、三菱商事株式会社、三菱重工業株式会社、株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド、三井造船株式会社、新日本製鐵株式会社、株式会社日立製作所、古河電気工業株式会社、清水建設株式会社および、みずほ情報総研株式会社からなるコンソーシアム(以下、「コンソーシアム」という)は、経済産業省からの委託事業である浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業に採択されました。本実証研究事業は、福島県沖の海域に、浮体式風力発電機3基と洋上サブステーション1基を建設して行います。2011年度中に開始する第1期実証研究事業では、2MWのダウンウィンド型浮体式洋上風力発電設備1基と、世界初となる66kV 浮体式洋上サブステーションおよび、海底ケーブルを設置します。2013年度から2015年度にかけて行う第2期実証研究事業では、7MW級浮体式洋上風力発電設備2基を追加設置します。
福島県では、東日本大震災の被害からの復興に向けて、再生可能エネルギーを中心とした新たな産業の集積・雇用の創出に大きな期待を寄せており、本実証研究事業を契機に、風車産業の一大集積地となることを目指しています。本実証研究事業は、“漁業と浮体式洋上ウィンドファーム事業の共存”を大きな一つのテーマとしており、周辺海域の漁業関係者との対話・協議を通じ、将来の事業化を模索していきます。
また、本実証研究事業を行うことで浮体式洋上風力発電のビジネスモデルを確立することは、大規模浮体式洋上ウィンドファームの事業展開を実現させることに大きく寄与するものと考えています。更には、世界で初めての浮体式洋上ウィンドファームのノウハウを蓄積し、海外プロジェクトに展開することによって、日本の主要な輸出産業の一つに育成することにも繋がると考えています。
-----image(”表1 本実証研究事業の設備仕様”) : 同リリースより
-----image(”表2 コンソーシアムメンバーの役割”) : 同リリースより表3 本実証研究事業実施海域の特徴
水深 100~150m
年平均風速 7.0m/s以上
最大有義波高(*) 10~15m
離岸距離 20~40km(*)有義波高・・・ある地点で一定時間に観測される波のうち、高いほうから順に1/3の個数までの波について平均した波高
.......... "
関連
・福島洋上風力コンソーシアム / プロジェクト概要
・福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業について-----丸紅、2012年3月6日
・新日鉄 「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に参加-----新日鉄、2012/03/06
".....浮体式洋上風力発電の建設・メンテナンスコスト低減に資する先進の鋼材・ソリューションを世界に先駆けて適用し、実証研究を通じてその安全性・信頼性・経済性を検証します。また、洋上という厳しい環境条件での実証研究を通じて取得したノウハウやデータを国際標準作成などの基盤整備に役立てることで、日本で開発し発展させた技術を世界へ発信していきます..... "
・Fukushima hopes "world's first floating offshore wind farm" will spark post-tsunami recovery-----BusinessGreen,07 Mar 2012
".....The UK is also pursuing plans to deploy a prototype floating turbine as part of a £25m Energy Technologies Institute project that aims to have a device in waters off the UK coast by 2016......"
追加情報
・古河電工とビスキャス、福島沖2MW浮体式洋上風車と変電所の連結に新技術を開発-----ソフトエネルギー、2013/10/07
・福島の洋上風車、設置工事が完了 丸紅など受託-----日本経済新聞、2013/10/4
・『浮体式洋上超大型風力発電設備設置実証研究事業 環境影響評価準備書』縦覧を開始-----福島洋上風力コンソーシアム、2013.09.06
・福島県沖2MW浮体式洋上風力発電機、10月稼動に向けて準備が進んでいます-----ソフトエネルギー、2013/06/26
・風力発電:福島県沖に建設計画 漁業の妨げに-----毎日新聞、2012年3月14日
".....6日には東京大学と丸紅など民間企業10社による産学連合に事業を委託した。場所は水深100~150メートル、岸から20~40キロの海域で、いわき市沖が最有力という。.....今回の発電機は高さ200メートル程度になるとみられ、海底ケーブルも設置される。県漁連の新妻芳弘専務理事は「メーンの底引き網漁ができなくなる恐れがある。浮体式発電機の安全性も不明で、簡単には協力できない」と話している。....."
参考エントリー
・アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド IHIMUと日本製鋼所の浮体式洋上風力発電システム-----自然エネルギー、2012/03/01
・国は、第3次補正予算案に、いわき沖の浮体風力発電所など、再生可能エネルギー関連予算を復興策として盛り込む方針-----ソフトエネルギー、2011/09/20
・アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド IHIMU、低動揺型洋上風力発電浮体を開発。2.5MWクラス洋上風車、フローティングシステム対応-----ソフトエネルギー、2011/04/20
・IHIグループ、2015年の実用化をめざし浮体式洋上風力発電の開発へ-----ソフトエネルギー、2011/04/12
・浮体式洋上風力発電 Floating Wind Turbine / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/12/24
・NEDO、東京電力に洋上風力発電システム実証研究の委託先を決定、銚子沖で洋上風力発電の実証実験を開始-----ソフトエネルギー、2010/5/24
・東大・東電共同研究 関東沖50キロ内で洋上風力発電 国内電力の1割供給可 / クリッピング FujiSankei Business i.-----ソフトエネルギー、2006/11/23
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