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産総研、フレキシブルなフィルム基板上に印刷して作る熱電変換素子を開発

 産業技術総合研究所(産総研)は、印刷によりフレキシブルなフィルム基板上に、熱を電力にエネルギー変換をする熱電変換素子を形成する技術を開発したことを発表しました。このフレキシブルな熱電変換素子は、携帯電子通信機器、センサーネットワーク端末機器、パーソナルメディカル・ヘルスケア機器などへの、充電や電池交換を必要としない局所電源として、広く普及活用することが期待される通信および小型の自動デバイスの電源として活躍することが期待されています。開発が進み、印刷による製造プロセスの低コスト化、省資源化が可能となれば、身近な環境エネルギーの利用としての「熱エネルギーの回収」がより身近な技術になりそうです。
 今回試作された、フレキシブルなフィルム状の熱電変換素子は、曲率半径5mm程度に折り曲げても機械的な損傷は見られず、曲面・球面形状への設置に対する高い適応性をもち、室温(25℃)と体温(36℃)程度の温度差でも、良好な温度差発電動作を示したとのことです。これにより、身近な環境エネルギーを利用して、効率的な熱電変換素子が製造可能になり、日常生活で利用されるさまざまな機器や物品に電源=「熱エネルギー回収装置」として利用される時代まで、そう長くはなさそうです。

プレスリリース / 産業技術総合研究所、2011年9月30日
印刷して作る柔らかい熱電変換素子

Phot
-----image(”印刷により作製したフィルム状熱電変換素子”) : 同リリースより

" 身の回りのわずかな温度差を電力に変換
ポイント
・印刷によりフレキシブルなフィルム基板上に熱電変換素子を形成する
・高い柔軟性をもつので、さまざまな形状の設置箇所に適用可能
・熱電変換素子のフレキシブル化、低コスト化で環境発電の普及促進に期待

概要
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)フレキシブルエレクトロニクス研究センター【研究センター長 鎌田 俊英】表示機能デバイスチーム 星野 聰 研究チーム長、末森 浩司 研究員は、プラスチックフィルムや紙などのフレキシブル基板上に、熱電変換素子を印刷で形成する技術の開発に成功した。本技術は、熱電変換素子をフィルム状素子とし高い柔軟性を付与することで、設置箇所の形状に制約されずに設置できるようにするものである。また、印刷による製造プロセスの低コスト化、省資源化が可能となる。

 熱エネルギーを電力に変換する熱電変換素子の利用を促進するためには、高変換効率化、低コスト化とともに、さまざまな形状の廃熱部へも設置できるように利便性を向上させることが必要となる。産総研では、低コスト製造プロセスである印刷法を用いて、フレキシブルな熱電変換素子を形成する技術の開発に取り組んできた結果、炭素材料を樹脂マトリックス中にナノレベルで分散させた複合材料が、印刷可能な材料としては従来よりも1.5倍以上高い発電能力を示すことを見出した。またこの材料溶液をインクとしてフィルム基板上に印刷素子形成すると、良好な温度差発電動作を示すフィルム状熱電変換素子が形成できることを見出した。今回開発したフィルム状熱電変換素子により、機器や設備からの廃熱や体温などをエネルギー源として電力に変換するエネルギーハーベスティング(環境発電)の利用普及が促進され、安全な電力供給に貢献することが期待される。

 この技術の詳細は、2011年10月13、14日につくば市で開催される産総研オープンラボ2011にて紹介する予定である
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開発の社会的背景
 熱・振動・電磁波などさまざまな形で環境中に存在するエネルギーを電力に変換して活用するエネルギーハーベスティング技術は、日常生活の中の身近なエネルギー源を効率的かつ安全に電力エネルギーに変換して活用する技術であり、携帯電子通信機器、センサーネットワーク端末機器、パーソナルメディカル・ヘルスケア機器などへの、充電や電池交換を必要としない局所電源として、広く普及活用することが期待されている。
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研究の内容
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高い変換効率を示す熱電変換素子を得るためには、構成材料の熱伝導率を低く保ちつつ電気伝導率を高くすることが重要である。今回は、乾燥焼成過程の制御などを通じて、CNT-高分子複合材料中の微細構造を制御することで高性能化を図った。高電気伝導性と低熱伝導性を両立できた結果、本材料は、従来法で作製したCNT-高分子複合材料よりも50%以上高い熱電変換性能(性能指数≒0.03)を示した。これは印刷で形成可能な熱電変換材料としては現時点の世界最高値である。

 上記のCNT-高分子複合材料のインクを用いて、厚さ20マイクロメートル(μm)のプラスチックフィルム基板上にステンシル印刷法でCNT-高分子複合材料のパターンを形成した後、乾燥焼成させることで、フレキシブルな熱電変換素子を作成した(図2)。今回試作した、フレキシブル熱電変換フィルムは幅0.5mm×長さ0.8mm×厚さ0.3mmの素子を1000段、直列に接続した構造を有する。試作した熱電変換フィルムは曲率半径5mm程度に折り曲げても機械的な損傷は見られず、曲面・球面形状への設置に対する高い適応性が確認された。また、室温(25℃)と体温(36℃)程度の温度差でも、良好な温度差発電動作を示し、効率的な熱電変換素子が製造可能なことを実証した。

Fig3Fig4

-----image(”図2 印刷法により作製したフレキシブル熱電変換フィルム(左)とその発電能力(右) 約10℃のプレート上に設置した試作素子に、手を置くことで温度差を加えた結果、108.9mVの電圧が発生している。”) : 同リリースより
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コメント続き

 エネルギーハーベスティング技術。熱、振動、太陽光や照明からエネルギーを取り出し、小型省電力化された高機能なセンサー、メモリー、スイッチ、ICチップ、ICタグ関連の技術などが組み合わされ、小型なデバイスを作ることがすでに実現されています。あとは、価格や信頼性の向上が課題のようです。これら外部電源を必要としないさまざまな小型高性能な機器がもたらすのは、便利さと個人情報やデーターが知らない間に収集され、蓄積分析される、便利でも困ったことも懸念される世界です。
 高性能化にはびっくりしますが、時代を管理監視が強化された住みにくい社会にしないことが、まずは一番の課題です。

 新たに、カテゴリー「 熱利用・熱回収/廃熱・余熱 」を作りました。熱の利用は、ソフトエネルギー的には、温泉や地中熱などが考えられます。今後は、さらに廃棄物を利用した火力発電なども注目されていますので、熱に関する情報が増えそうです。(2t)



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