分子科学研究所と総合研究大学院大学の開発チームは、ドーピング技術により、有機薄膜太陽電池の共蒸着膜の特性を、n型、絶縁体型、p型と自在に制御することに成功
自然科学研究機構 分子科学研究所と総合研究大学院大学の開発チームは、ドーピング技術により、世界で始めて、有機薄膜太陽電池の共蒸着膜の特性を、n型、絶縁体型、p型と自在に制御することに成功したと発表しました。
有機太陽電池において、共蒸着膜において直接pn制御することが必要だということです。今回、ドーピング技術により、共蒸着膜の特性を、n型、絶縁体型、p型と自在に制御できることを世界で初めて示したことで、今後の有機薄膜太陽電池の技術的な確立において、大きな成果となりそうです。
「共蒸着膜を直接pn制御する今回の成果は、有機太陽電池の設計・制御可能な製造のための決定的な基盤技術であり、今後様々な物質への適用による電池効率の飛躍的向上が期待されます。」-----リリースより
結晶系の太陽電池同様、有機薄膜太陽電池においてもPN結合により光起電力効果を発揮し、光のエネルギーで電気を作るkとができます。結晶系との違いは、結晶系が焼き物のようなセラミックス構造にP型、N型を形成するのに大して、有機薄膜は、文字通り薄膜上でそれを形成、実現させる必要性があることです。今回の成果により、まるで印刷するように太陽電池を作るという人類の夢へとまた一歩近づきそうです。
プレスリリース / 自然科学研究機構 分子科学研究所 科学技術振興機構(JST)、平成23年9月16日
・高変換効率の有機薄膜太陽電池の設計に道を拓く 100万分の1精度の三元ドーピングにより、薄膜のエネルギー構造を自在に制御
-----image(”図1 三元蒸着によるモリブデン酸化物(MoO3)のドーピング”) :
" 自然科学研究機構分子科学研究所の平本昌宏教授と総合研究大学院大学物理科学研究科博士課程学生の石山仁大氏らの研究グループは、ドーピング技術により、有機薄膜太陽電池の共蒸着膜の特性を、n型、絶縁体型、p型と自在に制御することに成功しました。
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このppmドーピング技術により、n型を示すC60と6Tの共蒸着膜に、MoO3ドープすることにより、共蒸着膜そのものの太陽電池特性(エネルギー構造)を、n型、絶縁体型、p型と自由自在に制御することに世界で初めて成功しました。現代の有機太陽電池では、必ず共蒸着膜が使われます。そのため、共蒸着膜を直接pn制御する今回の成果は、有機太陽電池の設計・制御可能な製造のための決定的な基盤技術であり、今後様々な物質への適用による電池効率の飛躍的向上が期待されます。
本成果は、JSTの戦略的創造研究推進事業(CREST)の研究領域「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」の一環として行われ、アメリカ物理学協会の発行する応用物理学の専門速報誌『Applied Physics Letters』のオンライン版に近く掲載される予定です。
[研究の背景]
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[研究の成果]
研究グループは、n型の有機半導体であるフラーレン分子(C60)と、流れる光電流を劇的に増加させることが知られているアルファセキチオフェン(α-6T、または単に6T)の共蒸着膜に対して、ドーパントとしてモリブデン酸化物(MoO3)を同時に蒸着する三元蒸着(図1)により、ドープされた共蒸着薄膜を作製しました。
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-----image(”図4 様々なMoO3ドープ濃度での蒸着薄膜の特性”) : 同リリースより
0ppmと400ppmのときはn型、
600ppmのときは絶縁体類似型、
1100ppmと4300ppmのときはp型
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<論文情報>
掲載誌:Applied Physics Letters(アプライドフィジックスレターズ)
(アメリカ物理学協会の発行する応用物理学の専門速報誌)
論文タイトル:Doping-based control of the energetic structure of photovoltaic co-deposited films
(共蒸着薄膜太陽電池のエネルギー構造のドーピングによる制御)
著者:Norihiro Ishiyama, Masayuki Kubo, Toshihiko Kaji, Masahiro Hiramoto
掲載日:2011年9月 近日中にオンライン版掲載予定
<研究グループ>
本研究は自然科学研究機構分子科学研究所・平本グループ(平本 昌宏 教授)により行われました。
<研究サポート>
本研究は、JSTのCREST(研究領域「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」、研究総括:山口 真史(豊田工業大学 大学院工学研究科 主担当教授))における、研究課題「有機太陽電池のためのバンドギャップサイエンス」(研究代表者:平本 昌宏 教授)の一環として行われました。
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・分子科学研究所、真空蒸着法の新手法を開発。より効率よい有機薄膜太陽電池と有機トランジスタの開発に道-----ソフトエネルギー、2011/06/17
追加情報
・分子科学研究所らの研究グループ、有機太陽電池をシリコン太陽電池と 同じドーピングのみで製作することに初めて成功-----ソフトエネルギー、2013/05/21
コメント続き
次世代の太陽光発電。より安く安定した効率の第三世代太陽電池の登場も期待されています。有機薄膜太陽電池の変換効率も年々あがり、2009年には5%前後だった値が、現在では10%前後になってきています。耐久性や寿命といった課題もあるようですが、あと10年ではなく、5年が勝負という話もよく見聞きします。実際に手にして使える状態にならないと、なんともわからない新技術の開発ですが、開発研究の速度は世界的に加速しているのは確実です。期待して、この数年を見守りたいところです。(2t)
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