JFEエンジニアリング、独Solar Power Groupとリニアフレネル型太陽熱発電技術のライセンス契約を締結
JFEエンジニアリングは、独ソーラーパワーグループ Solar Power Groupとリニアフレネル型太陽熱発電技術のライセンス契約を締結したと発表しました。リニアフレネル型とは、 独連邦経済技術省の関連サイトの説明の図をみるとわかりやすいです。
・The German Solar Thermal Power Plant Industry-----BMWi(Bundesministeriums fur Wirtschaft und Technologie 独連邦経済技術省)
集光の原理は、地上にほぼ水平に並んだ幾重ものミラーの角度を自動的に制御し、上部に位置する集光ミラーにより、採熱パイプを加熱、そして最高450度の高温蒸気の製造を可能にする技術です。単純な構造により風などの影響も受けにくい反面、他の集光方式に比べると若干効率は落ちるようです。独ソーラーパワーグループ Solar Power Groupは、2007年よりスペイン・アルメリアに800kWのデモプラントを建設して、世界で初めて同技術の実証を完了し商用化しているということです。今回の契約により、JFEエンジニアリングは、日本国内、東南アジアおよびオセアニア地域の計27ケ国における独占販売権、中国、インド、南アフリカなど6ケ国による限定的な販売権、さらにその他の地域は、ソーラーパワーグループ Solar Power Groupと協議の上での営業が可能となっているということです。
プレスリリース / JFEエンジニアリング、2011年7月19日
・リニアフレネル型太陽熱技術導入契約について-----( E-27 June 2011
JFE Engineering and Solar Power Group sign Technology Licensing Agreement for Linear Fresnel Solar Thermal Power )
-----image(”上-リニアフレネル型、下-模型写真”) : 同リリースより-----
" .....このたび、ソーラーパワーグループ社※(Solar Power Group GmbH、以下SPG社)とリニアフレネル型太陽熱技術に関する技術導入契約を締結しました。この契約により、当社は同技術を導入した設備の製造、販売およびプラントの設計・建設の実施ライセンス、さらに当社独自にスケールアップや技術改良を行うライセンスを取得しました。
上記ライセンスを得た地域については、以下の通りです。
1)当社独占 : 日本国内、東南アジアおよびオセアニア地域の計27ケ国
2)非独占 : 中国、インド、南アフリカなど6ケ国
※その他の地域は、SPG社と協議の上で実施可能【リニアフレネル型の技術的特長】
現在、太陽熱発電技術の主流はパラボラトラフ型と呼ばれる技術で、既にスペインおよびアメリカを中心に多数の設置実績があり、発電設備として稼動しています。同タイプは、集光ミラーと集熱管の距離が短く、複雑な制御を要せずに集光できるという特長を有していますが、集光ミラーの形状が放物線形状のため、風の影響を受けやすくなっています。このため、集光ミラー部を支持するフレームなどが複雑化し重構造となっています。
これに対し、リニアフレネル型は、パラボラトラフの簡易な制御にて集光できるという特長を維持しつつ、集光ミラーを平面形状とし、なおかつ、地上高2mに水平設置することにより、風の影響を減少させました。このため、フレームなどの構造がシンプルとなり、低コスト化を実現しています。
また、同技術は、最高450度の高温蒸気の製造を可能にするとともに、蒸気タービン発電以外にも、石炭火力発電設備への蒸気供給設備や海水淡水化設備などの中小規模の熱利用蒸気供給が可能です。【今後の営業展開】
当社は、本年4月より「グリーンプロジェクト本部」を立ち上げ、地熱発電、電気自動車用超急速充電器および地中熱空調などの事業を推進しております。このたびの同技術導入に伴い、太陽エネルギー発電プラントも直ちに営業に着手いたしました。
具体的には、オーストラリア・南アフリカ等のサンベルト地帯における既存の石炭火力発電プラントに対し、同技術を活用した蒸気発生設備の増設を早期に提案してまいります。当設備の増設は、短期間かつ低コストで実施できるとともに、CO2削減や燃料費(石炭)低減の効果があります。
また、同技術に当社の蒸気タービンやボイラなどを組合せた発電プラントの建設や運営、さらには海水淡水化プラントの一部である蒸気製造設備として、技術提案を進めてまいります。※ ソーラーパワーグループ社は、リニアフレネル型太陽熱技術の開発を目的として1998年にその前身となるソーラームンドが設立され、その後2004年にソーラーパワーグループとして、ドイツで設立された。2007年よりスペイン・アルメリアに800kWのデモプラントを建設して、世界で初めて同技術の実証を完了し商用化している。
..........
-----image[”パラボラトラフ型(参考)”] : 同リリースより【(参考)当社の太陽熱発電事業について】
.....このたびライセンスを取得し商用化したリニアフレネル型に加え、集光タワー型太陽熱発電の技術開発も行っています。今年度、当社は鶴見製作所構内において、リニアフレネル型と集光タワー型の両方のパイロットプラントを建設し、実証試験やデモンストレーションを進める予定です。
当社は、太陽熱分野において、両タイプの技術ラインナップにより、発電出力や設置箇所などの多様なニーズに応えるエンジニアリング提案を行ってまいります。
関連
・Solar Power Group / 27/06/2011 JFE ENGINEERING AND SOLAR POWER GROUP SIGN TECHNOLOGY LICENSING AGREEMENT FOR LINEAR FRESNEL SOLAR THERMAL POWER
・BMWi : Solar Power Group GmbH(Bundesministeriums fur Wirtschaft und Technologie 独連邦経済技術省-BMWi)
コメント続き
ドイツ国内では、なかなか利用できないと思われる太陽熱利用の発電方式ですが、ドイツ企業は積極的に海外での展開を視野に活動しています。冒頭でも紹介した、以下のサイトによると、7社が活動しているようです。
・The German Solar Thermal Power Plant Industry-----BMWi(Bundesministeriums fur Wirtschaft und Technologie 独連邦経済技術省)
"Full-line provider
Ferrostaal AG
Flagsol GmbH
M+W Group
Mithras Holding GmbH & Co. KG
Solar Millennium AG
Solar Power Group GmbH
Solarlite GmbH "
ソーラーミレニアム Solar Millennium社については、以下の記事でも紹介したことがります。アメリカのモハベ砂漠での1ギガワットの集光型太陽熱発電プロジェクトです。
・独ソーラーミレニアム Solar Millennium、カリフォルニアで1ギガワットの集光型太陽熱発電(CSP)Blythe power plantsの建設認可を受け、2013年の完成をめざす-----ソフトエネルギー、2010/10/29
このように、自国ドイツでの展開はむずかしくとも、技術力で海外で実績あげるという方向性は、同じく国内ではむずかしい太陽熱でも、総合的なモノづくりの技術を生かしての展開が日本の企業にも可能だと思います。
以下のGreen World Investorの記事は、世界の太陽熱/集光型太陽熱発電(CSP)の企業のトップに関する記事です。
・List of Top Solar Thermal/Concentrated Solar Power(CSP) Companies ? Under Threat from Solar PV-----Green World Investor,March 1, 2011
記事でリストアップされた企業は、
・Brightsource Energy(アメリカ)
・Solar Millennium(ドイツ)
・Abengoa(スペイン)
・AREVA Solar(フランス-----Ausra)
・Siemens : Concentrated Solar Power(ドイツ *記事ではインドでのシーメンスのインドでの展開を紹介。)
・Acciona-----Acciona site Google serch : solar thermal(スペイン)
・eSolar(アメリカ)
・SolarReserve(アメリカ)
・Schott / Concentrated Solar Power(ドイツ)
以上の9つ。SolarReserve以外は当ソフトエネルギーで関連情報をアップしたことがありました。参考エントリーにピックアップしておきます。
9つの内訳は、アメリカが3、ドイツが3、スペインが2、そしてフランスがのこりの1つ。再生可能エネルギーの世界でも、これまでは先進国が独占してきたのですね。ここになんらかの形で割って入りそうなのが、中国とインドの企業です。世界の大型太陽熱発電の事情が少し見えてくるリストになりました。(2t)
参考エントリー
・Google、建設中のBrightSource Energyのミラー集光式392MW太陽熱発電所 Ivanpah Solar に1億6800万ドルを投資-----ソフトエネルギー、2011/04/13
・スペインのパナボナ型太陽熱発電ステーションアンダソルl号 - Andasol 1が、稼動。さらに2号、3号へと続く-----ソフトエネルギー、2009/07/14
" SolarMillennium "
・アベンゴア Abengoa、メキシコ Agua Prieta に12MWの太陽熱発電所(CSP)を含むガス火力発電の複合発電 ISCC 建設へ-----ソフトエネルギー、2011/06/20-----[ GreenPostサイト横断検索 : Abengoa ]
・オーストラリアは、世界最大規模の250MW太陽熱発電所と150MW太陽光発電所建設プログラムに着手-----ソフトエネルギー、2011/06/30
" Areva Solar主体のSolar Dawn consortiumが250MWのトラフ式太陽熱発電所を建設 "
・サイエンティフィック・アメリカン誌が選ぶ世界10大再生可能エネルギープロジェクト その1-----ソフトエネルギー、2009/07/23
" 5番目は、世界最大級の太陽熱発電所 "カリフォルニア モハベ砂漠のソーラー One".....ACCIONA - Nevada Solar One video "
・eSolar、ニューメキシコで太陽熱発電所の電力会社との契約をまとめ本格稼動へ-----ソフトエネルギー、2009/07/10-----[ GreenPostサイト横断検索 : eSolar ]
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