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国の今後5年間の方向を定める、第4期科学技術基本計画が8/19に閣議決定

 3.11、福島原子力発電所が地震・津波を被災し、それが過酷事故となり、現在でも事故処理、核汚染、ともに終息の兆しすら見えない状況が、今後の国の科学技術の方向性の見直しにどんな影響を与えるのかが注目された科学技術基本計画。
 国は、2011年から2015年までを対象とする今後5年間の科学技術の方向を定める、第4期科学技術基本計画を8/19に閣議決定しました。
 菅直人首相を議長とする総合科学技術会議は、震災前の文案にあった「原発の利用拡大に向けた取り組みを推進」との記述を削除し、「エネルギーや原子力政策の方向性を見据えつつ研究開発を実施」(下記、毎日新聞、2011年7月29日)としました。

総合科技会議:原発推進の記述削除 第4期基本計画-----毎日.jp,2011年7月29日

" 原子力については、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故を受け、震災前の文案にあった「原発の利用拡大に向けた取り組みを推進」との記述を削除し、「エネルギーや原子力政策の方向性を見据えつつ研究開発を実施」との表現にとどめた。 "

 具体的には、「3.グリーンイノベーションの推進」 の中で、

「ⅰ)安定的なエネルギー供給と低炭素化の実現  我が国全体のエネルギー供給の安定性、経済性、持続可能性と整合をとった形で、再生可能エネルギーの普及の大幅な拡大に向けた革新技術の研究開発、分散エネルギーシステムの革新を目指した研究開発等の取組を促進する。 太陽光発電、バイオマス利用、風力発電、小水力発電、地熱発電、潮力・波力発電等の再生可能エネルギー技術の研究開発については、これまでの技術を飛躍的に向上させるとともに、例えば、宇宙太陽光発電、藻類バイオマスなど新たなブレークスルーとなり得る革新的技術の獲得を目指し、戦略的に必要な取組や検討を進める。さらに、これらの技術の温室効果ガス排出削減ポテンシャルを最大限に活かし、それぞれの技術の特徴や地域の特性に応じた海外展開を図る。 また、分散エネルギーシステムの革新を目指し、燃料電池や蓄電池等のエネルギーの創出、蓄積システム、製造・輸送・貯蔵にわたる水素供給システム、超電導送電の研究開発、さらに基幹エネルギーと分散エネルギーの両供給システム及びエネルギー需要システムを総合的に最適制御するスマートグリッド等のエネルギーマネジメントに関する研究開発及び自律分散エネルギーシステムの研究開発を促進し、これらの海外展開を図る。  さらに、基幹エネルギー供給源の効率化と低炭素化に向けて、火力発電の高効率化、高効率石油精製に加え、石炭ガス化複合発電等と二酸化炭素の回収及び貯留を組み合わせたゼロエミッション火力発電の実現に向けた研究開発等の取組を推進する。原子力に関する研究開発等については、東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証を踏まえるとともに、今後の我が国のエネルギー政策や原子力政策の方向性を見据えつつ実施する。ただし、原子力に係る安全及び防災研究、放射線モニタリング、放射性廃棄物や汚染水の除染や処理、処分等に関する研究開発等の取組は、これを強化する。 」

 となっています。再生可能エネルギーの利用を拡大することは、多くの国民の願うところでもあり、国会、政府組織でも積極的な議論は、3.11以前よりは増えたことは間違いありません。それでも、具体的な内容はすべて、方針も含めてすべてこれからです。
 重くのしかかる、大気、大地、海洋への核汚染の拡大とその責任。それは、国際的な技術を集めても、困難な仕事であることの事実。いまこそ、本来の科学技術のありかたを反省し、足元から見直し、国際的にも真摯な取り組みを行うことを表明すべきだと思いますが、この期におよんでも、どこか上の空に思えます。

 日本人として、残念な内容です。

発表 / 文部科学省、平成23年8月19日
科学技術・学術に関する基本的政策 >科学技術基本計画

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-----image : 同リリース「第4期科学技術基本計画の概要 (PDF:217KB)」より-----
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" 科学技術基本計画は、平成7年11月に公布・施行された科学技術基本法に基づき、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画であり、今後10年程度を見通した5年間の科学技術政策を具体化するものとして、政府が策定するものです。

第4期科学技術基本計画について

 第4期科学技術基本計画は、平成23年8月19日に閣議決定されました。この基本計画は平成23年度から27年度までの5年間を対象としています。この第4期科学技術基本計画に基づき、我が国の科学技術イノベーション政策の振興が図られます。
(通常、基本計画は前年度末までに策定されますが、今回は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災を踏まえ、その内容の再検討を行ったことにより、策定時期が遅くなりました。)

第4期科学技術基本計画の概要 (PDF:217KB)
第4期科学技術基本計画 (PDF:715KB)
.......... "

関連
総合科学技術会議 / 科学技術基本計画 / 第4期科学技術基本計画-第4期科学技術基本計画の策定プロセス

第4期科技計画が閣議決定 再エネ・分散型に重点-----電気新聞、2011/08/22

政府、第4期科技計画を8月までに見直し-----日刊工業新聞、2011年05月09日

"政府内部では、「30年までに原子力発電所を14基新設する目標は(福島第一原発事故の影響を考えると)あり得ない」(玄葉光一郎国家戦略相)としており、原発の電力分をカバーするための再生可能エネや配電システム高度化、省エネ技術の開発支援を強化していく。"

コメント続き

 この政治状況の中では、原子力政策、核汚染・除染対策、被災地の具体的な復興計画などより具体的に盛り込むことは無理としても、文字面がただ、だーと流れる官僚ペーパーの域をでないところが、たたただ残念です。

 3.11を経て、それ以前と以降で科学技術に求めるところが大きく変わったと思うのですが、これを国に訴える必要性は、国民一人一人の声であり、その必要性がますます重要となる事は、以前にも増して大きくなってきます。
 当ソフトエネルギーブログ的には、再生可能エネルギーとして、「太陽光発電、バイオマス利用、風力発電、小水力発電、地熱発電、潮力・波力発電等」と潮力・波力発電が入ったのが、ちょっと前進かと思います。いずれにしろ、具体的には外国の技術を積極的に研究、取り入れられる仕組みを作ってほしいです。時間が勝負のところもありますから。競争しているのは、世界の経済と化石燃料の現実の状況です。

 8月26日、再生エネルギー特別措置法案が参院審議を経て8/26日にも成立する見通しです。
しかし、主力新聞の半分の主張は、未だ負担の公平さ、産業界への配慮の一点張りです。過去のエネルギー政策の究極のツケ、将来の国民への負担である、事故の収束、除染、廃炉、その他の国策原子力政策の未だ浪費し続ける技術開発予算には、過去の責任を問う姿勢さえ放棄しているこれらの新聞の姿勢には怒りを通り越した、むなしさを感じます。

 国のエネルギー政策、過去の反省も含めて、厳しい態度で臨まなければ、被災地の復興、核汚染と健康被害の拡大阻止、福島原子力発電所の事故の終息なども、いずれもあまりに大きな問題です。まだ、その具体的な対策、そしてなによりもヴィジョンさえもが未だ失われたままなのだと感じます。状況は、かなり厳しいです。しかし、考えること、感じることを辞めず、政治もあきらめず、日々をあきらめず、前に進むしかないようです、、、、(2t)

参考エントリー
再生エネルギー特別措置法案審議入り-----ソフトエネルギー、2011/07/14

政府 経産省、「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」などの新成長戦略を公開-----しなやかな技術研究会、2010/07/02



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