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NEDO は EU と共同で、世界最高水準となるセル変換効率45%以上を目指した集光型太陽電池の技術開発に着手

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、 EU と共同で世界最高水準となるセル変換効率45%以上を目指した集光型太陽電池の技術開発に着手すると発表しました。2014年度までの約4年間、日・EUから計6カ国の産学官の研究機関が共同で技術開発を行うということです。日本の研究開発責任者は、豊田工業大学の山口真史教授。豊田工業大学以外の参加は、シャープ、大同特殊鋼、東京大学、産業技術総合研究所など。

 集光型太陽光発電については、以下のエントリーにまとめてみました。是非ご覧ください。

集光型太陽光発電 / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/07/15

 集光型太陽光発電は、日本でという技術ではなく、赤道近くの国に普及することで、世界全体のエネルギーの供給基地をそれこそ世界規模のネットワークで作れる可能性が高い技術だと考えています。しかし、ジャスミン革命と隣接地域全体の安定がゆらいでいることの影響は悪化しているようにも見えます。赤道近くの国々の政治的な不安定化が懸念されています。少し、世界政治は、世界規模のエネルギープロジェクトの可能性の可能性をみるためにも、安定化への動きを加速していただく必要があります。デザーテック DESERTECなどについても最新のニュースを集めたいと思います。

プレスリリース / 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2011年5月31日
世界最高効率の集光型太陽電池を開発へ

" NEDO はEUと共同で、世界最高水準となるセル変換効率(※1)45%以上を目指した集光型太陽電池(※2)の技術開発に着手します。これは、日・EUエネルギー技術協力(※3)に基づく最初の共同プロジェクトです。
 この共同プロジェクトは、気候変動問題への対応およびエネルギー安全保障の確保に向け、長期的視野に立って日本とEUが戦略的に連携して実施するもので、2014年度までの約4年間、日・EUから計6カ国の産学官の研究機関が共同で技術開発を行います。

 この共同プロジェクトは、気候変動問題への対応およびエネルギー安全保障の確保に向け、長期的視野に立って、日本とEUの技術・知見を結集し、戦略的に連携して世界最高水準となるセル変換効率45%以上の高効率な集光型太陽電池の実現を目指し技術開発を行うものです。具体的には、新材料・新構造の開発、セル・モジュールの開発・評価、さらには集光型太陽電池の測定技術に関する標準化活動等を行います。

 本プロジェクトでは、日・EUから計6カ国の産学官の研究機関が共同で技術開発を行います。日本側は山口真史 豊田工業大学教授を研究開発責任者とし、シャープ(株)、大同特殊鋼(株)、東京大学、(独)産業技術総合研究所等が参加します。また、EU側は、アントニオ・ルケ マドリッド工科大学教授(スペイン)を研究開発責任者として、フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ドイツ)、インペリアルカレッジロンドン(イギリス)、イタリア新技術・エネルギー・環境庁(イタリア)、BSQソーラー(スペイン)、PSE(ドイツ)、CEA国家太陽エネルギー研究所(フランス)が参加します。

 本技術開発は、2014年度までの約4年間実施され、予算規模は日本側が4年間で総額6.5億円程度、EU側は4年間で総額500万ユーロ(約6億円)程度が見込まれています。

1.セル変換効率
 セル(太陽光パネルを構成する最小単位)一枚に当たった太陽光がどれだけ電気に変換されるかを数値化したもの。
2.集光型太陽電池
 太陽光をレンズや鏡を使って小面積の太陽電池に集光することにより、高い変換効率を実現する太陽電池。小面積で済むことから、少ない材料で高効率に発電することができるメリットがある。現在、さらなる変換効率の向上とコスト低減に向けた技術開発が進められている。
3.日・EUエネルギー技術協力
 日・EU間でのエネルギー技術協力の強化について、日本とEUの閣僚級(経済産業大臣およびEU科学・研究担当欧州委員)で合意。これを受け、エネルギー技術開発を推進するNEDOと、第7期枠組みプログラム(FP7)を通じて研究開発を推進する欧州委員会との間で、エネルギー技術協力を進めることとし、今回の太陽光発電分野が初の技術協力となる。
.......... "

関連エントリー
IEA、太陽電池(PV)と集光型太陽光発電システム(CSP)により、2050年には世界の20-25%の電力を得ることができるという試算を公開-----ソフトエネルギー、2010年6月23日

大同特殊鋼の集光型太陽光発電システム-----自然エネルギー、2009/06/08

シャープの集光型太陽電池と自動追尾する架台-----ソフトエネルギー、2006/07/21

集光型太陽電池の可能性-----ソフトエネルギー、2006/06/09

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コメント

 内燃機関シンポジウムの境界潤滑現象の本性におけるボールオンディスクの考え方は大変参考になりました。

投稿: ラマン分光かぶれ | 2019/11/25 20:50

 辛口ですまんが、東北大学の久保百司は何のために存在しているのか分からない。もう十分有名になっただろう。次にやるべきことがあるはずだ。

投稿: ダマスカスカーボン | 2019/02/21 21:04

 開発者の久保田邦親博士はダイセルに移籍して播磨・姫路あたりで新理論の開発拠点を構築中らしい。

投稿: 自動車部品メーカー | 2018/05/06 21:51

 色々部品があるが金属や鉄鋼材料同士が油を介して摩擦し合うのが、いまも昔も機械の実態。こういった技術をトライボロジーというのだが、そのなかでも境界潤滑技術というのが理論は確立せず摩擦損失の主な元凶であるにもかかわらず、研究者も少なく、理論がないため色々な材料同士を実験的に摩擦させるだけ。しかも実機試験とラボ実験の乖離などもあり、無用の長物扱いをされかねない中途半端な技術分野ともみられていた。
 材料技術が無いとティアワンの資格がないというが、その材料技術とはという問いを抱いて、玉ねぎの皮むきのようなことを何層にもわたり中心部分にはトライボロジーという、無気力な技術者がいるというのが実態だ。
 この形勢一変する、島根大学客員教授の久保田博士らが
提出した炭素結晶の競合モデルというのはこの事態を一変させるもので、「半世紀に渡りトライボロジストが見続けていた夢」とまで評されている。今後の活躍が大いに期待される。

投稿: CCSCモデルファン | 2016/12/18 23:43

 まあSLD-MAGICが普及する方向は歴史の必然だから、流れに逆らったものが少し損するのは仕方がない。

投稿: マシュマロ | 2015/06/11 23:16

 まあこれは革新的ハード開発ですね。

投稿: プリンキピア | 2015/03/02 00:47

 久保田博士の理論とお見受けしました。機械屋ですが、油を少しでもつけたときの潤滑性の向上には流体潤滑理論はたとえEHLだとしてもおかしいと長年思ってきました。素晴らしいです。

投稿: トライボケミカル新次元 | 2014/11/14 22:25

 それにしてもオイルコーティングのトライボケミカル新理論、CCSCモデルは反響がデカイ。国産エンジンのダウンサイジング化が急務ってことか?

投稿: 黄金特殊鋼 | 2014/11/06 19:26

 それにしても日立金属製の高性能冷間工具鋼SLD-MAGIC(S-MAGIC)の自己潤滑性の評価が高い。塑性加工金型のカジリを防ぐメカニズムが最近わかったようで、摩擦面に精度良くかつ自動的にナノベアリング状の結晶が生成されるとのこと。耐かじり性の指標であるPV値も通常の鉄鋼材料の6倍と世界最高水準と報告されている。
 これはどういうことかというと、例えば自動車のエンジンや動力伝達系部品のしゅう動面積を1/6にすることを意味し、大幅な軽量化による低燃費化が期待できることを意味している。

投稿: トライボマエストロ | 2014/05/12 20:04

 なんか風力発電のベアリングをつくったら良いかもしれませんね。

投稿: 鍛造冶金屋 | 2014/04/29 06:50

 島根県安来市に巨大な工場を構える日立金属が開発した新型工具鋼 SLD-MAGIC(S-MAGIC)は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応を誘導する合金設計となっている。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命というものもある。
 このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。

投稿: 熱処理プレス | 2012/11/05 21:22

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