日本学術会議は、シナリオA:脱原発再生可能エネ推進からF:原子力推進まで、いずれも選択可能とする6つのシナリオを公表
日本学術会議は、東日本大震災対策委員会 エネルギー政策の選択肢分科会より、提言「日本の未来のエネルギー政策の選択に向けて―電力供給源に係る6つのシナリオ―」を公表しました。
日本学術会議は、日本の学会の多くが所属し、”我が国の人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野の約84万人の科学者を内外に代表する機関であり、210人の会員と約2000人の連携会員”を要する団体です。
その日本学術会の選択肢は、
シナリオA:速やかに原子力発電を停止し、当面は火力で代替しつつ、順次再生可能エネルギーによる発電に移行する。
というものから、
シナリオF:より高い安全性を追求しつつ、原子力発電を将来における中心的な低炭素エネルギーに位置付ける。
まで、段階的な脱原発度と年数により、幅をもたせたA-Fまでの6つのシナリオを検討していることを明らかにしました。
今回の地震・津波・福島原子力発電所の過酷事故および核汚染という、一連の未だ続き、収束がまったく見えない段階で、この段階であるからこそ、学術団体を束ねる組織としてもう少し、さらに日本の安全保障への技術および学術分野からの踏み込んだ提案があってほしかったのですが、、、
それでも、
「 今回の調査では、世界の再生可能エネルギー産業が 3 年間で 5 倍という急速な伸びで、20 兆円を越える大型産業にすでに成長してきていること、また、日本は海外の旺盛な市場開拓努力の中で、技術的には低コストの太陽電池、曲げ可能な有機太陽電池、メンテナンスフリーの洋上風力発電機の開発、あるいは多くの優れた省エネルギー機器など、高度な技術水準を維持していることが確認された。」
とし、この分野が世界で焦眉の問題、産業分野として驚くべきスピードで取り組まれていることに触れ、今後は、最新で正確な国内外の情報により、定量的なデータに基づいて供給の安定性、環境への影響、経済性などの多面的な観点を充実、引き続き調査検討を進め提言としてまとめるということです。今後の情報と最終的な判断に期待したいところです。
プレスリリース / 日本学術会議、平成23年6月24日
・ホームページ / 提言「日本の未来のエネルギー政策の選択に向けて―電力供給源に係る6つのシナリオ―」の公表について(PDF)より
" 日本学術会議/東日本大震災対策委員会/エネルギー政策の選択肢分科会東京電力福島第一原子力発電所の事故は、国の内外に大きな衝撃を与えた。事故は、住民の避難生活、飛散する放射性物資による被ばくや汚染の脅威という国民生活上の深刻な困難を産み出している。この中であらためて、国内外においてエネルギーの選択を巡る議論が活発に行われている。日本学術会議は、特に、電力供給源の選択をめぐる議論に際して、学術的な根拠に基づき、総合的な判断を可能にすることに資するために、東日本大震災対策委員会の下にエネルギー政策の選択肢分科会を設置し、データを収集し、調査検討を進めている。
そこにおいては、下記に示す 6 つの選択肢の各々につき、供給の安定性、環境への影響、および経済性などの指標について、国民の生活への影響はどの程度か、国民の安全がどのように保護されるか、産業経済への影響はどのようになるか、社会はどの程度の投資速度で転換を進めていく必要があるか、などの論点に沿って、現在の国民の議論に供する定量的な分析を試みている。
分析の中間的なまとめによれば、どの選択肢も採用が可能であり、また、これらの選択肢を踏まえつつ、他の組み合わせも可能であろう。ここで指摘しておかなければならないのは、いずれの選択肢においても、気候変動問題に対する低炭素化という日本の国際約束を果たしていくためには、国民の努力や必要な負担への理解を要するということである。例えば選択肢Aのように、直ちに原子力発電の停止を図ると、電力不足などにより国の経済には大きな負担がかかり、そのための経済対策を講ずる必要が生じうる。また、原子炉の廃止に伴って生ずる多量の高レベル放射性廃棄物の処分地を探さなくてはいけないと
いう問題がさらに深刻になる。選択肢Bのように、5 年以内に速やかに原子力を再生可能エネルギーと省エネルギーで代替するには、大規模な投資によって、大型新産業を作り上げていくことが必要になる。この場合には、一定程度の電気料金の負担増が見込まれ、A、Bについては、原子力代替エネルギーのコストをどの程度負担できるのかが判断の分岐点となろう。他方、選択肢Fのように、原子力発電を増加させるシナリオを選ぶと、温室効果ガス排出量の削減目標を果たすにはコストの面からは有利である。しかしながら、安全性の確保についての不安が解消されていない可能性がある。さらに、C、DおよびEの選択肢はその中間的なものである。今回の調査では、世界の再生可能エネルギー産業が 3 年間で 5 倍という急速な伸びで、20 兆円を越える大型産業にすでに成長してきていること、また、日本は海外の旺盛な市場開拓努力の中で、技術的には低コストの太陽電池、曲げ可能な有機太陽電池、メンテナンスフリーの洋上風力発電機の開発、あるいは多くの優れた省エネルギー機器など、高度な技術水準を維持していることが確認された。
日本学術会議は、「エネルギーの選択肢をめぐる国民的な議論が、世界の状況及び技術レベルが急速に変化している中、最新で正確な国内外の情報を踏まえ、定量的なデータに基づいて供給の安定性、環境への影響、経済性などの多面的な観点から、総合的に、開かれた形で進められるべきこと」を提言し、この提言の実現のために、引き続き調査検討を進め、国民に必要なデータを提供することとする。
<記> 調査検討の対象としている選択肢
A 速やかに原子力発電を停止し、当面は火力で代替しつつ、順次再生可能エネルギーによる発電に移行する。B 5年程度かけて、電力の 30%を再生可能エネルギー及び省エネルギーで賄い、原子力発電を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
C 20 年程度かけて、電力の 30%を再生可能エネルギーで賄い、原子力発電を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
D 今後 30 年の間に寿命に達した原子炉より順次停止する。その間に電力の 30%を再生可能エネルギーで賄い、原子力による電力を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
E より高い安全性を追求しつつ、寿命に達した原子炉は設備更新し、現状の原子力による発電の規模を維持し、同時に再生可能エネルギーの導入拡大を図る。
F より高い安全性を追求しつつ、原子力発電を将来における中心的な低炭素エネルギーに位置付ける。
.......... "
コメント続き
政策や現実の選択肢、日本で生きるすべての市民にとって、有意義な判断のデーターが本当に必要な時です。Aに脱原発、再生可能エネルギーをもってこられたわけです。中間的な選択を現実として提示することよりも、地震国日本で地震の予測、制御が不可能な以上、素直にそのことを認めて、Aにいたる、現実的なシナリオの作成に全力を尽くしていただきたいです。
リリースにあるように、基本的なたたき台となる資料を多くの人が求めています。(2t)
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