アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド IHIMU、低動揺型洋上風力発電浮体を開発。2.5MWクラス洋上風車、フローティングシステム対応
アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドは、低動揺型洋上風力発電浮体を開発。2.5MWクラスの洋上風車に対応できるフローティングシステムの開発に目処をつけたと発表しました。
・IHIグループ、2015年の実用化をめざし浮体式洋上風力発電の開発へ-----ソフトエネルギー、2011/04/12
上のエントリーのIHIグループの浮体式洋上風力発電の開発の具体的な形をさらにみせてくれる開発となりました。現段階は構想ということですが、かなり具体的で研究開発は、東京大学の大学院新領域創成科学研究科 鈴木英之教授との共同研究により進められ、喫水を50m程度に抑えることで、設置状態(垂直状態)での建造・輸送を可能とするなど施工・メンテナンス性の向上、設置可能海域の拡大を実現することができるということです。
世界の浮体式(フローティング)風力発電システムは、日本より数年から十年先行し、開発の製造、組み立て、搬入の各段階にかかわる作業の進め方やかかわる産業のプランが具体化してきています。日本も3.11以前も取り組んではきましたが、スピード感はなく、世界の動きにかなり遅れていました。今回の原発関連企業でもある、IHIグループの浮体式風力発電システムの開発の本腰度については、大いに期待し、エネルギーのシフトをより企業姿勢として明確化してほしいところです。
とはいえ、わが国のエネルギー政策において原発中心の動きは、まだまだ、かなり強いのが実情です。日本の風土、海洋を生かした自然エネルギー、再生可能エネルギーの開発の動き、さらにお知らせしていきたいと考えています。
プレスリリース / アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド、2011.04.19
・低動揺型洋上風力発電浮体を開発 ~東京大学との共同研究で動揺低減に成功~
" 株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHIMU、所在地:東京都港区、社長:蔵原 成実)は、このたび、東京大学(大学院新領域創成科学研究科 鈴木英之教授)との共同研究により、低動揺洋上風力発電浮体を開発し、概念設計を完了しました。
この浮体は、今後国内外での温室効果ガス削減に向けて大規模な導入が期待されている、沖合での洋上風力発電に用いられます。主な特長は以下のとおりです。
【特長】
・ これまでIHIMUとIHIが開発を進めてきた「2点波なし形状(COB:Column Outer Belt)」などの動揺低減技術を応用すると共に、東京大学が保有する「動揺低減フィン」の技術と最先端のシミュレーション技術を適用することにより、浮体動揺を低減。
・ 喫水を50m程度に抑えることで、設置状態(垂直状態)での建造・輸送を可能とするなど施工・メンテナンス性の向上、設置可能海域の拡大を実現。
・ 大型化が進む風力発電装置を支え、また風荷重による傾斜を最小限に抑える安定性(スタビリティ)を保持。
・ これまで、1年中波がある日本周辺海域での風力発電装置の設置、メンテナンス作業の実施可能日数が課題でしたが、今回開発した浮体では「COB」部に沖合で作業船と結合する機構を設けることにより、実施可能日数の増加を可能。
・ 動揺低減技術の効果を確認するため、約1/50スケールでの水槽実験をIHI技術開発本部内の水槽で実施し、その効果を確認。今回開発した浮体は2.5MWクラスの発電装置を想定したものですが、これからさらに大型化される風力発電装置に合わせた対応が可能です。
IHIMUは、今後、浮体式洋上風力発電の実現に向けて、引き続き研究開発、詳細な設計検討を進めていきます。
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関連
・海洋空間計画研究室(Ocean Space Planning Laboratory) / 研究 - 1.浮体式洋上風力発電に関する研究
・東京大学大学院・海洋技術環境学専攻 : 研究室情報 - 海洋資源エネルギー工学分野鈴木 英之 教授
・東京大学大学院工学系研究科 環境海洋工学専攻 : 鈴木英之のホームページ
コメント続き
浮体式 floating 風力発電システム、どれぐらいの深さまで対応できるかで、日本のように急激に海が深くなる地域では、利用可能な場所の広さが大きく変わります。
具体的な数字は、まだみつけていませんが、上の関連の項目をざっと拝見した限りでは、少なくとも数百メートル。さらに技術的にはさらに深い深度まで対応できそうです。
技術資料としては、National Renewable Energy Laboratory (NREL)の「Dynamics Modeling and Loads Analysis of an Offshore Floating Wind Turbine
Technical Report NREL/TP-500-41958 November 2007
www.nrel.gov/docs/fy08osti/41958.pdf-Google検索」がさまざまな専門家も参照しているので有名ですが、むずかしいのと長いのでずっと積読状態です。
国内の資料としては、
・新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO / NEDO再生可能エネルギー技術白書
" 風力発電の技術の現状とロードマップ(3.91MB) "
・環境省 : 平成21年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査調査報告書
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第4章 風力発電の賦存量および導入ポテンシャル [PDF 246KB]
4.1 既存調査レビューと課題整理
4.2 調査実施フロー
4.3 風力発電の賦存量の推計
4.4 風力発電の導入ポテンシャルの推計
4.5 風力発電の賦存量および導入ポテンシャル(まとめ)
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上の環境省のポテンシャル調査では、陸上 14 億 kW、洋上 77 億 kW と推計され、海の可能性が示唆されているが、具体的な海域(深度、風況)を考えた精密な利用可能量の試算もこれからという状況のようです。
数字的にはかなりの可能性があり、期待できる分野です。今後の展開に、海外組みが日本市場に乗り込んでくれるかも含めてみていきたいと思います。(t_t)
関連エントリー
・環境省、国内初の浮体式風力発電の実証地として五島沖を選定、実証実験へ。2016年の実用化を目指す-----ソフトエネルギー、2010/12/24
・浮体式洋上風力発電 Floating Wind Turbine / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/12/24(おまとめサイト)
・京都大学、佐世保重工業など、浮体式洋上風力発電プラットフォームの10分の1モデルの実海域実験を実施-----ソフトエネルギー、2009/09/09
・洋上風車建設にむけて、国内そして海外での動き-----ソフトエネルギー、2008/07/18
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