WWF、2050年までに100%再生可能エネルギーは実現可能とするエネルギー・レポート The Energy Report 2011 を発表
WWF、および世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、2年の歳月をかけてまとめた、2050年までに100%再生可能エネルギーは実現可能とするエネルギー・レポート The Energy Report 2011 を発表しました。
WWFは、気候変動およびエネルギー問題に早くから取り組んでいることで知られています。クリーンエネルギーがやがて基幹産業になっていくことを指摘し、各国政府に制度や資金の整備を積極的に菜たらきかけてきました。
・WWF、クリーンエネルギーは2020年には第三の産業になる! Clean Economy, Living Planetリポートを発表-----ソフトエネルギー、2009/12/18そして、今回のエネルギー・レポート The Energy Report 2011では、2050年までにエネルギー消費を減らし、再生可能エネルギーにより100%を代替する道筋を示してくれます。現在、再生可能エネルギーにより100%を賄うことができるとする、リポートは、研究機関などにより複数報告されています。2050年の世界のあり方を、予測するだけでなく、積極的に選び実現する方策を創り上げていくことの重要さが示されています。
プレスリリース / WWF,2011年2月3日
・WWF『エネルギー・レポート』を発表 2050年までに100%再生可能エネルギーは実現可能!
" 2011年2月3日、WWFは、2050年までに世界のエネルギー需要をすべて再生可能エネルギーで供給することが経済的にも技術的にも可能であるという研究結果を『エネルギー・レポート~2050年までに再生可能エネルギー100% :The Energy Report - 100% Renewable Energy By 2050』として発表しました。
The Energy Report - 100% Renewable Energy By 2050
英語版:オリジナル全文 (PDF形式:15MB)
日本語版:要約(PDF形式/1.7MB)
化石燃料への依存を現在のまま続ければ、気候変動による悪影響、エネルギーの価格高騰と枯渇など、ますます困難な状況に直面することは間違いありません。それを回避するために、WWFは「2050年までに100%再生可能エネルギー社会へ移行する」というビジョンを掲げました。既存の技術のみで、このビジョンがどこまで達成できるか、エコフィス(世界有数の気候・エネルギーに関するコンサルタント企業)に分析を委託し、2年間の歳月をかけて完成したのが、本レポートです。100%再生可能エネルギー社会のシナリオを示し、その実現に向けた行動を社会に呼びかけています。シナリオでは、2050年までに
(1)世界全体および各部門でエネルギー需要をどこまで減らすことができるか
(2)その需要に見合ったエネルギーを、持続可能な形で供給することができるか
をそれぞれ順に検討しました。その際、重要なポイントとして、以下を考慮しました。
省エネルギー策の徹底により、世界のエネルギー需要を減らす
需要側の各部門(産業、建築物、運輸)で電化を進める
持続可能な再生可能エネルギー源でまかなう
電化が難しい部分(熱、燃料用途)は、その他の再生可能エネルギー源でまかなう(太陽熱等)
バイオマスエネルギーは最後の手段とし、他の再生可能エネルギー源でどうしてもまかなえない部分に利用する
その結果、エネルギー需要については、2050年には2005年よりも15%削減が可能であることが示されました。これは、これまで発表されたどのシナリオよりも野心的な数値です。現在ある技術をベースに、その需要に対して、95%を再生可能エネルギーで供給することが可能であるという結果が得られました。残りの5%は今後誕生する新たな技術にゆだねていますが、化石燃料や原子力、旧来型バイオマス(薪炭材など)は、太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスといった多様な再生可能エネルギー源を組み合わせることによって、ほぼ完全に代替することができるのです。また、これにより世界のエネルギー由来のCO2の排出量は、2050年に80%以上削減されるという結果になりました。このシナリオは、国連の人口増加の予測(2050年90億人超)を反映し、現在電気のない生活をしている14億人を含む、世界中のすべての人に電気を供給できることを想定しています。また将来の燃料価格や技術コストなど、全般的に比較的控えめな想定に基づいています。初期の設備投資は必要ですが、長期的には、燃料費が下がることで運用費も低減され、2040年以降は正味でコストの節約となります。
WWFはこのシナリオで示された、100%再生可能エネルギーの実現を確実にするために、社会が次の5つの重要事項を選択する必要があると考えています。
重要な選択その1:エネルギー効率と再生可能エネルギーの追求
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重要な選択その2:土地利用と土地管理(持続可能な方法で得られたバイオ燃料を担保する政策)
..........
重要な選択その3:低炭素な生活スタイルを受け入れる
先進国においては、企業行動や経済政策、個々人の生活スタイルなど、全てにおいて、エネルギー多消費行動を改めていく必要がある。途上国においては、人々の生活が改善され、健全な生活スタイルへと変化していく過程で、公共・産業・個人あらゆる部門で廃棄を最小化し、最も高いエネルギー効率基準を達成すべきである。世界の富裕層に対しては、現在極度の貧困の中で暮らす数十億人と資源を公平に分配するために、何らかの成長制限が求められるであろう。重要な選択その4:資金と投資
..........
重要な選択その5:研究開発の支援
..........日本は再生可能エネルギーの普及拡大を
日本では現在、発電量に占める再生可能エネルギーの割合は3%程度に留まっています。WWF気候変動プログラムの池原庸介は「気候変動問題の解決とエネルギー安全保障を見据え、全量固定価格買取制度などを適切なかたちで早期に導入し、再生可能エネルギーの大幅な普及拡大を図っていく必要がある」とコメントしています。
The Energy Report - 100% Renewable Energy By 2050
英語版:オリジナル全文 (PDF形式:15MB)
日本語版:要約(PDF形式/1.7MB)
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-----image&コメント: 同リリース要約版より。「..........現在 14 億人が電気のない生活 2 をしているが、このシナリオでは地球上すべての人口が電気にアクセスを可能とした上の結果である。これで世界のエネルギー由来のCO2 の排出量についても 2050 年に 80%以上削減される。なお、残りの 5%のエネルギーについては、今後誕生する新たな技術にゆだねている。
シナリオは、国連の人口増加の予測(2050 年 90 億人超)を反映し、また将来の燃料価格や技術コストなど全般的に比較的保守的な想定に基づいている。
このシナリオの達成に必要なグローバルな設備投資額は、長期的には、燃料費の削減や消滅などによる運用費の削減によって完全に回収され、利益が生じるまでになる。設備投資額と運用費の削減額の両方を考慮した正味のコストは、2050 年までの期間全体を通じて年当たりGDPの 2%を超えることはない。そして、2025 年前後をピークとしてやがて減少し、2040 年以降は正味で節約となることが判った。仮に、シナリオのコスト分析の中で、気候変動の悪影響回避によるコスト削減まで考慮した場合、節約額はさらに大きくなり、節約時期も 2040 年よりもさらに早まることとなる。」『エネルギー・レポート~2050 年までに再生可能エネルギー100%』要約版 The Energy Report - 100% Renewable Energy By 2050 2011 年 2 月 3 日
要約:WWFジャパン
.........."
関連
・100% Renewable Energy by 2050?-----WWF
-----image : 「The Energy Report - 100% Renewable Energy By 2050」(2011,p.256,PDF-16MB)表紙
・Influential voices support WWF’s 100% renewable energy vision-----WWF,11 February 2011
・Brave new world fuelled by clean economical energy possible and imperative by 2050-----WWF,03 February 2011
・OMA / 3 February-WWF and AMO launch groundbreaking report describing a world 100% reliant on renewable energy by 205
・100% renewable energy possible by 2050, say OMA & WWF-----Footprint,February 3rd, 2011
参考動画
AMO - The Energy Report
AMO - The Energy Report from OMA on Vimeo.
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