環境省、風力発電のバードストライク問題に対応するための手引きを公開
環境省は、風力発電施設における鳥類等の衝突、バードストライク問題について、施設の計画段階から与える影響を軽減できるように、配慮すべき情報などをまとめた「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」を公開しました。
風力発電事業者や風力発電事業に関わるコンサルタント会社を主な利用者と想定し、鳥類やコウモリ類(以下「鳥類等」)の保護の観点からまとめたれたということです。全体の量が多く、読んでいる途中ですが、国による我が国初の鳥と風力発電施設に関する総合的な情報をとりまとめた手引きとして評価できます。
ただ、総論的な情報にとどまるので、風力発電機設置のための手続きでの情報のとりまとめに関しては、全国的な日本全体の縦覧的なデーターベースの公開を環境省が取りまとめるなど、有効に活用されるためのさらなる情報の充実などが期待されるものだと感じました。
プレスリリース / 環境省、平成23年1月7日
-----image : 同リリース、添付資料 手引き概要[PDF 682KB]「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」について」より
・鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引きについて
" 環境省では、風力発電施設における鳥類等の衝突(バードストライク)について、施設の計画段階から鳥類等に与える影響を軽減できるよう、配慮すべき各種知見・資料、防止策等を「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」として取りまとめました。
主に風力発電事業者や風力発電事業に関わるコンサルタント会社の皆様が、風力発電施設の計画段階から利用することを想定し作成しましたので公表いたします。
地球温暖化対策について、我が国は、中長期的には温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比25%削減する目標を掲げており、長期的には、2050年までに1990年比80%削減することを目指すこととしています。風力発電を始めとする再生可能エネルギー導入の促進についても求められている一方で、風力発電施設の設置については、鳥類が風車のブレードに衝突し死亡する事故(バードストライク)が生じていますが、これに対応する手法等が整備されていないため風力発電施設設置の適否判断が長引く問題が生じているところです。
環境省では、平成19年度から平成21年度まで実施した「風力発電施設に係る適正整備推進事業」において、風力発電施設におけるバードストライクの各種防止策を検討しその効果の実証を行い、専門家による検討会を開催して、立地適正化のための手引き案を作成しました。平成22年9月16日から平成22年10月15日まで手引き案についてパブリックコメントを行い、その結果を踏まえ、今回手引きを公表するものです。
手引きの内容は、計画段階の立地選定時に把握すべき情報(関係法令や渡り鳥の経路や希少鳥類などの鳥類の保護上重要な区域、衝突リスクの高い地形等)を示すとともに、衝突リスクの解析や衝突リスク評価のための鳥類調査手法、保全措置等についてとりまとめています。添付資料
手引き概要[PDF 682KB]
第01章[PDF 942KB]
第02章[PDF 576KB]
第03章[PDF 3,659KB]
第04章[PDF 234KB]
第05章[PDF 2,575KB]
付表A[PDF 706KB]
付表B[PDF 2,208KB]
付表C[PDF 996KB]
付表D[PDF 2,878KB]
.......... "
関連
・鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引きに関する意見の募集(パブリックコメント)について-----環境省、平成22年9月16日
・風車への野鳥衝突防止に手引 風力発電拡大にらみ環境省-----asahi.com,2011年1月9日
コメント続き
日本の鳥と風力発電のために、その共存のための有効な今後の取り組みに期待したいです。以下、項目、目次をピックアップしておきます。
手引き概要[PDF 682KB]より
「<手引きの概要> *全体構成
第1 章 風力発電事業における環境影響評価、対策の基本的な方向
1-1 風力発電事業における環境影響評価
1-2 対策の基本的な方向
1-3 参考文献
第2 章 鳥類等に係る風力発電施設の環境影響評価の実施のポイント
2-1 風力発電事業の実施プロセス
2-2 ポイントの解説
2-3 参考文献
第3 章 参考とすべき事項
3-1 既存文献等による生息概況把握
3-2 配慮すべき重要な地域
3-3 衝突リスク
3-4 衝突リスクの高い地形条件
3-5 衝突リスク評価のための鳥類調査手法
3-6 衝突リスク解析[計画時]
3-7 保全措置
3-8 事後調査手法
3-9 その他の配慮が望ましい事項
3-10 参考文献
第4 章 今後の課題
4-1 今後の課題
第5 章 参考資料」
第01章[PDF 942KB]より
「目次
はじめに
第1章 風力発電事業における環境影響評価、対策の基本的な方向
1-1 風力発電事業における環境影響評価 ・・・1-1
1-1-1 環境影響評価法 ・・・1-1
1-1-2 環境影響評価条例等 ・・・1-2
1-1-3 風力発電のための環境影響評価マニュアルについて ・・・1-5
1-2 対策の基本的な方向 ・・・1-7
1-2-1 風力発電所の設置に伴う環境影響要因 ・・・1-7
1-2-2 調査内容 ・・・1-10
1-2-3 予測の基本的な手法 ・・・1-10
1-2-4 事後調査と順応的管理および鳥類に関わる有識者の役割 ・・・1-13
1-2-5 国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方について ・・・1-14
1-3 参考文献 ・・・1-16
第2章 鳥類等に係る風力発電施設の環境影響評価の実施のポイント
2-1 風力発電事業の実施プロセス ・・・2-1
2-2 ポイントの解説 ・・・2-4
2-3 参考文献 ・・・2-10
第3章 参考とすべき事項
3-1 既存文献等による生息概況把握 ・・・3-1
3-1-1 国、自治体の関係法令 ・・・3-1
3-1-2 鳥類の保護上重要な区域(既存の鳥類関係情報) ・・・3-1
3-1-3 その他の既存資料 ・・・3-16
3-2 配慮すべき重要な地域 ・・・3-17
3-2-1 渡り経路 ・・・3-17
3-2-2 ガン類・ハクチョウ類の主要な集結地 ・・・3-32
3-2-3 ガン類の集結地における飛翔高度 ・・・3-34
3-2-4 人間活動に伴う鳥類の誘引 ・・・3-35
3-3 衝突リスク ・・・3-36
3-4 衝突リスクの高い地形条件 ・・・3-443-4-1 水際線・断崖線 ・・・3-44
3-4-2 山稜線 ・・・3-46
3-5 衝突リスク評価のための鳥類調査手法 ・・・3-48
3-5-1 対象事業実施区域の特性に基づく調査手法の選定 ・・・3-48
3-5-2 鳥類調査の対象、手法および結果の整理 ・・・3-51
3-6 衝突リスク解析[計画時] ・・・3-63
3-6-1 衝突リスク解析 ・・・3-63
3-6-2 衝突確率モデルを用いた衝突数の解析 ・・・3-63
3-6-3 飛翔頻度の高い地域、衝突リスクの高い地形条件の把握 ・・・3-64
3-7 保全措置 ・・・3-72
3-7-1 風車の配列 ・・・3-72
3-7-2 風車ブレードの彩色 ・・・3-74
3-7-3 ライトアップ ・・・3-83
3-7-4 弾力的な運用管理 ・・・3-86
3-7-5 案山子・反射テープ ・・・3-89
3-7-6 植生および環境管理 ・・・3-90
3-8 事後調査手法 ・・・3-91
3-8-1 回避行動調査 ・・・3-91
3-8-2 死骸調査 ・・・3-94
3-8-3 衝突リスク解析[供用時] ・・・3-104
3-9 その他の配慮が望ましい事項 ・・・3-106
3-9-1 翼手(コウモリ)類 ・・・3-106
3-10 参考文献 ・・・3-110
第4章 今後の課題
4-1 今後の課題 ・・・4-1
4-2 参考文献 ・・・4-2
第5章 参考資料
資料(1) 鳥類保護対策の現状 ・・・5-1
資料(2) 助成制度 ・・・5-9
資料(3) 鳥類は人工物にどの程度衝突しているのか? ・・・5-11
資料(4) 国内における希?猛禽類の傷病要因 ・・・5-13
資料(5) タカ類の最大出現数の補正 ・・・5-14
資料(6) 小鳥の渡りの地域による違い ・・・5-15資料(7) 断崖における飛翔特性 ・・・5-17
資料(8) 渡り個体と繁殖/越冬個体の飛翔特性 ・・・5-19
資料(9) 船舶レーダの特性について ・・・5-20
資料(10) 気流シミュレーション ・・・5-22
資料(11) ガンカモ類の衝突確率モデル ・・・5-25
資料(12) 飛翔軌跡調査を用いた衝突率推定の試み ・・・5-30
資料(13) 鳥類の風車回避率について ・・・5-35
資料(14) 統計モデルによる飛翔マップの作成 ・・・5-37
資料(15) 荒天条件で発生したライトアップ風車の衝突事象 ・・・5-46
資料(16) アルタモントにおける風車群の停止 ・・・5-48
資料(17) アルタモントにおける衝突リスク低減案 ・・・5-50
資料(18) 国内における猛禽類(イヌワシ)飛来頻度低減(案) ・・・5-51
資料(19) 野外実験による死骸の発見率・残存率の推定 ・・・5-53
資料(20) 仮想の風力発電事業地における衝突数の推定 ・・・5-54
資料(21) 衝突を感知するシステム開発 ・・・5-56
資料(22) 供用時における衝突リスクポテンシャルマップ ・・・5-58
第5章の参考文献 ・・・5-63
付表編
付表 A 2 次メッシュレベルにおけるイヌワシ、クマタカおよび風車の分布
付表 B 2 次メッシュレベルにおける猛禽類の渡り情報
付表 C 2 次メッシュレベルにおけるガンカモ類の集結状況
付表 D ウィンドプロファイラによる鳥エコー出現状況」
参考エントリー
・環境省、Google Earthを使って閲覧できる再生可能エネルギーの導入ポテンシャルマップのデーターを公開-----ソフトエネルギー、2011/01/12
・平成21年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査調査報告書-環境省 / 自然エネルギー資料-----自然エネルギー、2010/08/02
・日本風力発電協会、風力発電長期導入目標とロードマップV1.1 を発表-----ソフトエネルギー、2010/01/29
参考エントリー / 海外
・EU(European Union)、風力発電の開発と生物多様性を確保するための環境ガイドラインを発表-----ソフトエネルギー、2010/11/11
・Wind energy developments and Natura 2000 / 資料-風力-----自然エネルギー、2010/11/12
・NRDCとGoogle、今度は風力などのアメリカの再生可能エネルギーマップRenewable Energy for Americaをネットに掲上-----ソフトエネルギー、2009/06/16
・自然環境と再生可能エネルギーの開発。わたしたちはどこを守り、どこを開発するのか?-----ソフトエネルギー、2009/04/08
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