NEDO、チュニジアと5MW規模の集光型太陽熱発電とガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の複合発電プラント建設に合意。またモロッコとも系統安定化技術を重点に太陽エネルギー分野における共同プロジェクト推進へ
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、今年の7月に発表した日本政府がチュニジア政府と結んだタワー式太陽熱発電に関する共同プロジェクトの実施に関して、具体的にチュニジア政府関係機関と、フィージビリティスタディ(FS-実現可能性を検証する作業)の開始に関する協力協定(MOU)を締結したと発表しました。これにより「チュニジア・ソーラー・プラン」が、両国の手により進められることになります。順調に進めば、チュニジア国エルボルマ地区に、5MWe規模の集光型太陽熱発電(CSP)と20~40MWe規模のガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の複合発電プラントが建設されることになりそうです。
また、NEDOの発表によりますと、モロッコ王国とも太陽エネルギー分野における共同プロジェクトに関する包括的な協力を推進することに合意したとも発表しました。
プレスリリース / 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2010年12月13日
・太陽熱発電に関するチュニジア共和国との共同プロジェクトの開始に合意
-----image(”太陽熱複合発電のイメージ”) : 同リリースより
" NEDO・チュニジア政府による太陽熱複合発電プロジェクト
大畠経済産業大臣、村田NEDO理事長は、第2回日本・アラブ経済フォーラム※1において、ジュイニ・チュニジア開発・国際協力大臣、シェルビ・チュニジア産業技術大臣と合意した太陽熱発電の共同プロジェクトの開始に関する共同声明を発表しました。本プロジェクトの開始にあたり、NEDOは、チュニジア開発・国際協力省(MDIC)、産業・技術省(MIT)と、フィージビリティスタディ(FS)の開始に関する協力協定(MOU)を締結しました。
また、本FS事業は、NEDOからの委託を受けて、三井造船株式会社と大成建設株式会社が実施します。
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1.共同プロジェクトの概要チュニジア国エルボルマ地区に、5MWe規模の集光型太陽熱発電(CSP)と20~40MWe規模のガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の複合発電プラントを建設します。
NEDOは、太陽熱発電設備の提供と試運転の実施とともに運営、保守のノウハウを提供し、MDICとMITは、NEDOに協力して設備の運営、管理、保守等を行います。
NEDOは、CSPのFS業務を三井造船と大成建設に委託し、MDICとMITは、GTCCのFS業務をチュニジア電力ガス公社再生可能エネルギー局に委託します。
MDICとMITは免税等の必要な協力を行うとともに、現地の法と規制に従い、当CSP実証プロジェクトの遂行に必要な許認可等を与えます。
今後のプロジェクト遂行スケジュールとしては、CSPのFS事業について2011年上期を目処に取りまとめる予定です。2.背景と経緯
本プロジェクトは、チュニジア政府が進める再生可能エネルギー導入計画「チュニジア・ソーラー・プラン※2」(TSP)の一環として実施するもので、海外では初めてとなる大規模な太陽熱発電(タワー型ISCC※3)に関するナショナルプロジェクトです。
2010年7月23日、松下副大臣は、ジュイニ・チュニジア開発・国際協力大臣とプロジェクトの実施に関する共同声明を発表しました。また、NEDOとMDIC、MITは、2010年7月23日付けで本共同プロジェクトを含む再生可能エネルギーに関する2国間協力の合意書(LOI)を締結しました。
第2回日本・アラブ経済フォーラムにおいて、村田NEDO理事長とジュイニ・チュニジア開発・国際協力大臣、シェルビ・チュニジア産業・技術大臣との間でMOUが署名されました。また、FSの実施者を三井造船株式会社と大成建設株式会社とすることについて決定しました。
NEDOは、豊富な日射量を有するチュニジアで実証に取り組むことで日本の優れた太陽熱技術の海外展開を後押しするとともに、世界的なエネルギー問題の解決に貢献することを目指します。
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【用語解説】1.日本・アラブ双方の閣僚とビジネスの代表が一体となり、貿易、投資、エネルギー、科学技術、人的資源開発などの幅広い分野で、日本とアラブ諸国との経済関係の強化の具体的方策を議論するため、2009年に日本とアラブ連盟との間で設立されたもの。第2回となる今回はチュニジア国チュニスにおいて12月11~12日に開催されました。
2.2010年から2016年までの太陽エネルギーの利用を中心とした全40事業からなる、チュニジアの再生可能エネルギー導入計画です。
3.タワー型太陽熱・複合ガス発電(ISCC:Integrated Solar Combined Cycle)のことです。
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プレスリリース / 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2010年12月13日
・モロッコ王国政府と協力覚書を締結
" 太陽エネルギー分野における共同プロジェクト
経済産業省とNEDOは、モロッコ王国エネルギー・鉱山・水利・環境省、太陽エネルギー庁、電力公社との間で、第2回日本・アラブ経済フォーラム(※)の機会に、太陽エネルギー分野に関する協力覚書(MOC)を締結しました。本協力覚書では、両国間の太陽エネルギー分野に関する包括的な協力を推進することに合意しました。NEDOは、基幹プロジェクトとして、太陽エネルギー発電を大量導入する際に必要となる系統安定化技術等に関する共同プロジェクトを進めていく予定です。
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特に大量の太陽エネルギーを導入する際に課題となる系統の不安定化への対応として、日本の系統安定化技術等に関する技術協力を実施します。
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関連
・太陽熱発電に関するチュニジアとの共同プロジェクトのFSを開始-----NEDO,2010年7月23日
・北アフリカで太陽熱利用プロジェクト NEDO-----MSN産経ニュース、2010.12.13
・日本とチュニジア、政府レベルでタワー式太陽熱発電に関する共同プロジェクトの実施に合意-----ソフトエネルギー、2010/08/04
参考エントリー
・チュニジア共和国の無電化村500世帯へ円借款で初、太陽光発電システムの設置 / プレスリリース 京セラ-----ソフトエネルギー、2008/02/01
・太陽熱発電 / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/12/15
追加情報
・日本のインフラ輸出直撃 チュニジアで太陽熱発電事業が中断-----MSN産経ニュース、2011.2.2
" 関係者からは「前政権への不満からプロジェクトが見直し対象になる恐れもある」との指摘 "
・Twitter greenpost : 日本のインフラ輸出直撃 チュニジアで太陽熱発電事業が中断-MSN産経 http://bit.ly/gKnybN 参考-ソフトエネルギー('10/12/15) http://bit.ly/i56PB5 #renewtunisia #solarthermal #renewsolar
コメント続き
三井造船は、環境、エネルギー、再生可能エネルギーに積極的に取り組んでいますね。太陽熱発電に関して、どんな形で具体化するのか楽しみです。エコ船はもちろん、海洋発電、バイオマス、太陽熱、風力発電などへの取り組みをこれまでクリッピングしてました。
これらの分野への日本企業の技術的なストックと力はこんなものではないはずです。世界での日本の再生可能エネルギーの技術の存在感の向上は、結果世界の気候変動およびエネルギー問題の解決への取り組みに寄与するところ大だと思います。(t_t)
参考エントリー
・三井造船、デンマークのDong Energyからのライセンス技術を得て、東南アジアでセルロース系エタノール生産を計画-----ソフトエネルギー、2010/03/08
・波力発電のオーシャンパワー・テクノロジー Ocean Power Technologies、三井造船と出光興産、日本風力開発などと波力発電所建設計画に合意。日本初の本格的な海洋エネルギー発電プラント、2012年には登場か!?-----ソフトエネルギー、2009/10/15
・三井造船、太陽熱発電事業を本格展開-----自然エネルギー、2009/09/14
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