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IEEE、スマートグリッドにおける二次電池やフライホィールなどのエネルギー貯蔵技術に関するガイドラインの検討を本格化

通信・電子・情報工学に関する権威のある学会、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)がスマートグリッド向けのバッテリー、キャパシター、フライホィールなどのエネルギー貯蔵技術に関するガイドラインを策定するための作業グループ、IEEE 2030での活動を本格化させるようです。

・スマートグリッド向けエネルギー貯蔵システムのガイドラインをIEEEが策定へ-----EETimes Japan,2010/11/02(リンク元消滅 www.eetimes.jp/news/4369 )
" 複数の貯蔵技術を組み合わせることが重要.....新しいガイドラインには、2次電池や大容量キャパシタのほか、角運動量としてエネルギーを貯蔵するフライホイールや圧縮空気貯蔵といった項目が含まれる。..... "

 上の報道が伝えるところでは、いずれの技術も確立されたものではなく、まさにこれからの技術だということで、議論や検討の行方が注目されます。

 日本では、再生可能エネルギーの技術が端緒に付く以前から、そもそも論として風力発電や太陽光発電などを系統につなぐことに対して、希薄であり、天候、日・季節変化に変動するとしてバッテリーなどの高価な機材の導入が必要という議論がありますが、海外ではまず再生可能エネルギーの大型化、導入が進んでその問題点があきらかになってきてから、蓄電池などのエネルギー貯蔵技術の具体的な検討へと進んできています。実際に、大型風力発電所が陸から洋上へと大きく展開、太陽光・太陽熱発電の大型化が進むなかで、多くの経験を積み上げてきている中での取り組みです。
 さらに、数割までなら風力や太陽光は特別な蓄電施設がなくとも、発電源として系統に接続してもなんら問題がないという研究もあります。需給調整こそスマートグリッドの真骨頂であり、金のかかる蓄電設備への投資は最小限にしたいという要請がその背景にはあります。

 ポイントは、複数の貯蔵技術を組み合わせること、、、例えば大型の冷蔵・冷凍施設などで実験が行われている夜氷などのシステムも有効な手段になりえます。今回のIEEEの議論でどんな技術がどんな評価を受けるのでしょうか?

関連
IEEE P2030 Draft Guide for Smart Grid Interoperability of Energy Technology and Information Technology Operation with the Electric Power System (EPS), and End-Use Applications and Loads-----Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE),6/14/1

" .....Purpose
This standard provides guidelines in understanding and defining smart grid interoperability of the electric power system with end-use applications and loads. Integration of energy technology and information and communications technology is necessary to achieve seamless operation for electric generation, delivery, and end-use benefits to permit two way power flow with communication and control. Interconnection and intra-facing frameworks and strategies with design definitions are addressed in this standard, providing guidance in expanding the current knowledge base. This expanded knowledge base is needed as a key element in grid architectural designs and operation to promote a more reliable and flexible electric power system.
.......... "

参考エントリー
関西電力、大阪府堺市に10MWの太陽光発電所を建設し、合わせて大型ニッケル水素蓄電池を組み入れた電力需給制御システムの研究を開始-----ソフトエネルギー、2010/02/03

日本ガイシ、メガソーラーと風力発電用NAS電池を仏で約150MWの大型受注 300億-400億円-----自然エネルギー、2009/05/08

米国立再生可能エネルギー研究所 National Renewable Energy Laboratory、電力網は従来の研究よりも不安定化の恐れなく大量の再生可能エネルギーを受け入れることができるという研究成果を発表-----ソフトエネルギー、2010/07/09

米エネルギー省、2030年に電力の20%を風力で賄うことができるとのリポート、”20 Percent Wind Energy by 2030”を発表-----ソフトエネルギー、2008/05/14

コメント続き

 これまで、ソフトエネルギーでみてきた二次電池以外の技術としては、

 [フライホィール]
Beacon Power社のフライホィールという”蓄電”システム-----ソフトエネルギー、2005/03/24

Beacon Power社のフライホィールという”蓄電”システム 2-----ソフトエネルギー、2009/08/07

 [夜氷]
CALMAC社、オフピークの電力で作った夜氷で、昼間に建物を冷やす空調システム IceBank(R)16基をフロリダの高校に導入し10%の省エネを実現-----ソフトエネルギー、2010/04/01

風力発電で発電し、"冷やす"= 電気の削減 オランダの「大型冷蔵システム運用プロジェクト」-----ソフトエネルギー、2007/03/08

 [キャパシター]
風力発電電力安定化装置用スーパーパワーキャパシターシステムの発売を開始 / プレスリリース 日産ディーゼル-----ソフトエネルギー、2005/11/14

 [V2G]
洋上風車などの再生可能エネルギーの開発、そして電気自動車を都市作り電力供給計画にまで活用するVehicle-to-Grid (V2G)が米デラウェア州ニューアークで開始-----ソフトエネルギー、2009/01/21

Vehicle-to-Grid (V2G)への展開は? ・アメリカ、デラウェア州ニューアークの電気自動車の蓄電池を利用した電力平準化実験の続報-----自然エネルギー、2009/02/01

日産自動車、日立製作所そしてオリックスおよびオリックス自動車のV2Gプロジェクト-放電対応EVを用いたEMS、NEDOの蓄電複合システム化技術開発に採択-----ソフトエネルギー、2010/09/03

 などの技術をクリップしてきました。今後の蓄電技術がどの方向に動いていくのか? 日本における再生可能エネルギーの未来にどんな影響があるのかに注目していきたいと思います。(t_t)



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