産業技術総合研究所、太陽光発電パネルごとの発電状況をモニタリングできる通信技術を開発
産業技術総合研究所は、1枚1枚の太陽電池の発電状況をモニタリングできる通信技術を開発した。これにより一旦取り付けられた太陽電池の不具合の発見も可能になるし、発電の常時モニターが可能になることから、太陽光発電の発電量の把握から施工管理まで幅広く利用できる。さらに、産業技術総合研究所は、最大電力を取り出す際に用いる高効率電力変換回路も開発、この機器を組み込むことで最大出力追尾型の制御が可能になり、システムの信頼性がさらに向上しそうです。
ユーザーの立場からも、自宅の太陽光発電システムの信頼性が向上することが期待できます。産業技術総合研究所は、量産時で200 円以下を目標とし安価なユニットの開発を進めているということです。
プレスリリース / 産業技術総合研究所、2010年6月14日
・太陽光発電パネルごとの発電状況をモニタリングできる通信技術を開発
-----image(”図 太陽光発電パネルからの直流電力線を通信に利用する新方式”) : 同リリースより
" パネルの不具合を検知して電力ロスを削減するスマートグリッド技術
ポイント
直流電力線を用いた通信により、パネル単位での発電状況をモニタリング可能
パネルごとに最大電力を取り出す際に用いる高効率電力変換回路も開発
パネルの不具合の容易な検知と、パネルごとの高効率な発電が可能に概要
.....太陽光発電パネルからの直流電力線をそのまま通信線に利用する通信技術を開発し、試作機による原理実証に成功した。この通信技術により、太陽光発電パネルごとの発電状況をモニタリングして、容易にパネルの不具合検知やメンテナンスができるようになる。今回試作した通信装置の子機は小型で、太陽光発電パネルの端子箱に収納でき、安価(量産時で200 円以下を目標)に生産できる。また太陽光発電パネルからの直流電力線をそのまま通信に使うので、新たな配線工事を必要としない。さらにパネルごとの発電状況の推移を親機の画面に表示できるので、これまでよりパネル不具合の検知が容易になる。一方、太陽光発電パネルごとに最大電力を取り出せるようにするための分散型MPPT(最大電力点追従)に用いる高効率な電力変換回路方式も開発した。これにより発電パネル全体での日照条件などの影響を軽減できる。また、この回路により直流―直流の電力変換で98 %もの高効率を達成した。
このような太陽光発電向けスマートグリッド技術により、低コストで太陽光発電パネルを不具合のない状態で高効率に稼働できるので、太陽光発電システムの普及を加速し、低炭素社会実現に貢献すると期待される。
本技術については2010年6月16日から東京ビッグサイトにて開催される「スマートグリッド展2010」 において通信装置の試作機を展示する。
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開発の社会的背景
低炭素社会実現のための再生可能エネルギー導入において、太陽光発電の普及は極めて重要である。太陽光発電パネルの寿命は一説には20年といわれるが、工業製品である以上、その期間中の不具合の発生を皆無にすることは困難である。加えて現状の太陽光発電システムでは、パネル単位での不具合を発見することが難しい。このため、太陽光発電パネルの価格上昇や通信工事の手間の増加を招くことのないモニタリング手段が望まれているが、現状では適切な手段がない。
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研究の内容
太陽光発電パネルごとに通信機能を与えることは価格の上昇につながるため、国内では行われていなかった。本研究では直流電力線を通信に利用し、CDMAを応用したノイズに強い通信方式を開発して、図1に示すように太陽光発電パネルの端子箱の中に小型の通信子機を実装した。これにより、各太陽光発電パネルの電圧、電流、温度等の情報を直流電力線を通じて、一括してパワーコンディショナー側の通信親機に伝送できる(図2)。
コメント続き
アメリカには、Enphase Micro-Inverterという一枚一枚の太陽電池に取り付けることでインバーターと最大出力点の追尾機能と各太陽電池の発電容量の把握が可能なシステムがあり、中国のSunTechが一部採用したということで話題になりました。
・Suntechが選んだマイクロ・インバーター Enphase Micro-Inverter-----ソフトエネルギー、2009/04/17
日本ではすでに太陽電池、パワーコンディショナーという組み合わせでの販売施工が一般化しています。そんな中で一枚一枚の太陽電池の発電量を把握できる技術が安価に開発されれば、太陽光発電への信頼性の向上というだけでなく、責任施工と管理の中で、より高い設計姿勢が要求されるなど良い影響が考えられます。世界的にも同種の技術の開発が進んでいます。太陽電池にそれらの機器を搭載することで、スマートパネルと呼びかえる動きもあります。安価で信頼性が増す、それが実現できるか期待したいです。
おそらく、この技術が開発される中で、さらなる制御という話もでてくると思います。個別の太陽電池から地域全体の太陽電池の発電量を把握できる技術が開発され、消費パターンや天気のデーターと結びつくことで、地域のスマートな送電網の質が一段も二段もあがる可能性があります。(t_t)
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