理化学研究所、シロアリ腸内共生系の高効率木質バイオマス糖化酵素を網羅的に解析。将来のセルロース系バイオ燃料の製造にも光
理化学研究所は、シロアリの腸内に存在し共生関係にある共生原生生物が共通して持つ消化分解酵素の働きを研究し、将来食料と競合しないバイオ燃料の製造技術の基礎となる解析を行ったと発表しました。今後は、高効率化などの研究を続け、セルロース系のバイオ燃料の開発にもつなげたいということです。
プレスリリース / 理化学研究所、平成22年1月20日
・シロアリ腸内共生系の高効率木質バイオマス糖化酵素を網羅的に解析
-----image(”図1 日本で最も広く分布するヤマトシロアリ(左上)とその共生原生生物群”) : 同リリースより
" -各種シロアリ腸内共生系に共通した酵素群特定とその特異な進化過程を解明-◇ポイント◇
各種シロアリ腸内共生系に共通するセルラーゼ遺伝子を網羅的に取得
バクテリアから共生原生生物への遺伝子水平伝播が、高効率糖化システムを実現
食糧と競合しない強力なバイオマスリソース利用基盤技術としての実用化へ期待独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、各種のシロアリ腸内に生息する共生原生生物が共通して持つ特異的な「セルラーゼ※1」群遺伝子を網羅的に取得し、この遺伝子群による高効率なバイオマス糖化※2システムの実現には、シロアリ腸内微生物複合系※3(シロアリ腸内共生系)のバクテリアと共生原生生物間の遺伝子水平伝播※4が関係していることを明らかにしました。
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1.背景
現在、地球温暖化対策や持続可能な社会構築の必要性が叫ばれ、バイオマス利用に関する研究を加速させる機運が高まっています。バイオマス利用に関係する酵素群のうち、セルロース系バイオマスを糖化し、バイオ燃料やバイオプラスチックの製造原料に転換するセルラーゼは、第二次世界大戦中に発見された菌類(Trichoderma reesei)のセルラーゼが主に使用されています。このTrichoderma reeseiの持つセルラーゼは非常に優秀な酵素群ですが、セルロースを発酵の原料であるグルコースまで分解し糖化を進めるためには、ある種の酵素を別途大量に添加する必要があります。そのため、自然界の生物多様性の中から有用なリソースを新たに開発・利用して、糖化までのステップを単純化し、高効率化することが望まれています。
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-----image(”図2 シロアリの系統樹と今回用いたシロアリ(赤字) シロアリは、高等シロアリと下等シロアリに分かれ、このうち下等シロアリが高効率のバイオマス分解系を持つ。本研究ではこの下等シロアリ全科の共生系を対象に解析を行った。”) : 同リリースより
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コメント続き
シロアリのセルロース分解能力については、以前から研究が進んでいるという話を聞いていましたし、世界でも注目されているということです。現在のバイオ燃料には作物系のものが多用されています。しかし、食料不足や耕地の競合という意味で、作物由来のバイオ燃料の限界は明らかです。将来的には、草や木質系セルロースの分解によりバイオ燃料を製造する技術の確立が世界的に期待されています。その中で、強力なセルロース分解能力をもつシロアリが研究されるのは、素人目にも妥当なものに写ります。さらなる研究が進み、シロアリとその共生関係にある原生生物の働きが解明されることに期待をもちたいと思います。伊豆で、ちょっと古くなった家の土台にシロアリの巣をよく見つけました。かれらの能力には驚かされました。あの力を借りることができる日がくるかもしれませんね。(t_t)
参考エントリー
-----カテゴリー : 木質、森林/バイオマス-----
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