大阪ガスと積水ハウス、燃料電池・太陽電池・蓄電池を設備したスマートハウスの実証実験を開始
大阪ガスと積水ハウスは、燃料電池・太陽電池・蓄電池を設備し次世代の家庭用エネルギー管理システム、HEMS(Home Energy Management System)により、将来のスマートグリッドや低炭素社会における家庭のエネルギー利用のさまざまな組み合わせにおける管理などを実証実験するスマートハウスを大阪に建設し、その実証実験を開始するということです。
アメリカ、イギリス、そして世界のさまざまな地域でスマートグリッド、スマートメーターという次世代の発電から消費までをIT技術を屈指して消費量を把握したり、コントロールしたり、さらには総合的な需給調整などを可能にするといわれる次世代の技術の研究が進んでいます。世界の取り組みや進捗に比べると、国内では世界最高のIT家電や電子制御機器の開発能力をもちながら、地域や国レベルの具体的な導入と、それによるメリットやデメリットの評価はこれからという状況です。この分野にガスという別のアプローチにより取り組むことも可能な今回の実証実験には注目したいです。
プレスリリース / 大阪ガス、2009年12月14日
・大阪ガスと積水ハウスは、燃料電池・太陽電池・蓄電池を組み合わせたスマートハウスの実証実験を開始します
-----image(”スマートハウス実証実験のイメージ”) : 同リリースより
" 大阪ガス株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:尾崎 裕、以下大阪ガス)と積水ハウス株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:阿部 俊則、以下積水ハウス)は、低炭素社会の実現に向け、家庭用燃料電池と太陽電池を組み合わせた「W(ダブル)発電」に、さらに蓄電池を組み合わせることにより省エネルギー性を一層高めたスマートハウスの実証実験を開始いたします。
スマートハウスとは、..........さらに、将来の低炭素社会のエネルギーシステムとして注目されているスマートグリッド※1やスマートエネルギーネットワーク※2に対応した実証実験にも取り組みます。
なお、本取り組みは、平成21年度経済産業省の委託事業である「スマートハウス実証プロジェクト」を受託した、株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:田中 將介)からの再委託を受け実施するものです。実証実験での具体的な取り組み内容は以下の通りです。
(1)住宅内の機器類を一元管理できるシステムの構築
..........
(2) 燃料電池・太陽電池・蓄電池の最適活用によるCO2排出量の最小化とエネルギーの有効利用
..........(3) 低炭素社会における新たな省エネルギーサービスの可能性検証
低炭素社会における省エネルギーサービスとして、HEMS(Home Energy Management System)※3が注目されておりますが、エネルギー使用量の見える化だけでは、ユーザーがいつどのような省エネルギー行動をとれば良いのか判りにくいという問題があります。そこで今回の実証実験では、住宅内のエネルギー使用状況を常時監視し、エネルギー使用量が多いとアラームで警告するなどユーザーにタイムリーに省エネルギー行動を喚起する新しいサービスの可能性を検証します。
(4) スマートグリッド/スマートエネルギーネットワークを想定した技術実証
天候により出力が不安定な太陽電池が、戸建住宅へ大量に導入された際に懸念されている電力の需給バランスの崩れを抑制するため、太陽電池の発電量が減少した場合には、燃料電池の発電量を増やし、蓄電池から放電するなどの制御を行い、電力系統へ流れる電力量の安定化を図ります。その際に燃料電池から発生する熱も無駄にすることなく住宅内で有効に活用します。
また、スマートグリッドなど地域全体での電力供給の不足や余剰が発生した場合を想定し、戸建住宅における燃料電池の発電量の増減制御や蓄電池の充放電制御により、影響の緩和を図る実証も行います。
上記の実証実験については、来年1月下旬から2月下旬まで大阪ガスの酉島実験場(大阪市此花区)および積水ハウス総合住宅研究所内の戸建住宅「アネックスラボ」(京都府木津川市)にて行う予定です。
※1情報技術を駆使し、太陽電池などの再生可能エネルギーを含めた地域全体の電力エネルギーの利用の最適化を図る構想
※2情報技術を駆使し、電力エネルギーだけでなく、コージェネレーションから発生する熱エネルギーの利用も含め最適化を図る構想
※3家庭でのエネルギー使用量等を計測・表示してユーザーに省エネルギーを喚起するなど、エネルギー消費量の抑制効果が期待されている技術 "
関連
・大阪ガスと積水ハウスは燃料電池・太陽電池・蓄電池を組み合わせたスマートハウスの実証実験を開始します-----積水ハウス、平成21年12月14日
・火力、風力、太陽光発電-マイクログリッドを東京ガスが実用化へ-----ソフトエネルギー、2009/01/08
コメント続き
スマートグリッドがうまくその社会のエネルギーおよび気候変動問題に対応し、市民生活にプラスの効果をもたらすかどうかについての議論で、最も気になるのは、これは管理の技術であり、管理は管理するものに都合がいい形態に変化していくということです。また、自由で民主主義な社会においては、その弊害が常に是正されていくのに対して、不自由な管理社会においては、弊害が是正されるどころか、管理上のメリットのみが強調されるあまり、市民生活が窒息してしまうという可能性があるという点も気になっています。現状、家庭や仕事場でのエネルギーの消費における見える化は、省エネやユーザー自らがエネルギー量とそのエネルギーを使ってどんな仕事を行うかという賢い選択をもたらす助けとなる可能性もあることも理解でき、”スマート”といわれる無駄の少ない合理的なシステムを見てみたい、使ってみたいという気持ちは強いです。
さらに、今後エネルギー制約といった状況に陥ったときに、それまで市民にとっても賢かったシステムが、いきなり為政者や企業に有利なシステムへと変わってしまうという可能性もあります。
これらの技術については、単に技術優先、世界標準規格の競争という側面だけではなく、スマートなユーザーとその意志が合理的に反映できる社会システムが必要という点で、他の技術とまったく同じ、メリットやデメリットを備えたものである点は忘れてはならないという気がします。導入された機器やシステムが正しく動作するのか? セキュリティは? これらの設置や整備計画に要する経費は誰が負担するかなど、スマートグリッドと言われる技術は、実に多くの課題を抱えています。(t_t)
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