三洋電機、世界最高レベルの変換効率22.8%の厚み半分の超薄型HIT太陽電池セルを開発
三洋電機が、従来の厚みの半分の98μmでも高効率で発電する、同社独自のHIT太陽電池セル(結晶系)を開発したと発表しました。結晶系太陽電池においては、できるだけ無駄がでない加工方法でいかに薄いセルを開発するかが大きな開発競争となっています。それにより、資源とコストの両面から、他社との競合力を得ることができるからです。さらに、薄型にすると一般的には、変換効率が下がるそうですが、今回の技術は22.8%という高い変換効率を維持することにも成功したということです。
プレスリリース / 三洋電機、2009年09月18日
・厚み半分で省資源、超薄型HIT太陽電池セルにて 世界最高レベルの変換効率22.8%を達成
" 三洋電機株式会社(以下、三洋電機)は、この度研究レベルのHIT太陽電池※1において、今年5月に発表した実用サイズ(100?以上)世界最高効率23.0%に肉薄するセル変換効率22.8%を、従来の半分以下※2のセル厚み98μmにて実現しました。
HIT太陽電池など、結晶シリコン系太陽電池においては、発電層であるシリコンウェハの薄型化とエネルギー変換効率の両立が、太陽光発電システムの低コスト化にとって最も重要な課題です。
一般に、省資源・低コスト化のためシリコンウエハを薄型化することは、光吸収量の減少などにつながり、変換効率が低下する要因になります。この度、高いエネルギー変換効率が特長のHIT太陽電池セルにおいて、培ってきた高効率化技術を踏襲しつつ、さらにセル薄型化において課題であった性能低下を大幅に抑制できる技術を開発しました。その結果、従来の高効率太陽電池の半分以下のセル厚み(98μm)の超薄型HIT太陽電池にて、世界最高レベル※3の実用サイズ変換効率22.8%※4を研究レベルにて達成しました。
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高効率化とセル薄型化の両立を可能にした要素技術の概要
①高電圧接合技術
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②光閉じ込め効果の改善
HIT太陽電池では、セルの母材であるシリコンウェハが光を吸収し発電層として機能します。そのため、従来はセルを薄型化すると、発電層であるシリコンウエハも薄くなるため、光吸収量が減少し、短絡電流(Isc)※8が低下しておりました。本課題に対して、Si表面の凹凸構造の改善と、a-Si層および透明導電膜層における光吸収損失低減技術の改善により、Siウェハへの光閉じ込め効果を向上させることに成功し、従来37.3mA/cm2(セル厚み85μm時の自社測定結果)であったIscを、セル厚み98μmの超薄型HIT太陽電池において38.8mA/cm2へと大幅に増加することができました。
-----image : 同リリースより
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コメント続き
結晶系太陽電池の世界では、100um以下の厚みのセルを目指して開発が進んできましたが、昨年末に、Silicon Genesis社が50umのセルを実験室レベルでは目処をつけたということが発表されました。数ミリから10数マイクロミリの薄膜太陽電池の世界には及びませんが、厚さでもより薄く信頼性の高い結晶系の太陽電池がうまれ、そのあなどれない実力により、結晶系の太陽電池は、まだまだ現役です。(t_t)
・太陽電池は薄くなる! Silicon Genesis社の125mm角150um厚セルの登場-----ソフトエネルギー、2008/11/12
参考
・低価格で有望な「薄膜太陽電池」:大規模契約続く-----Wired Vision,2009年9月11日
・Applied Materials Working on Slicing Solar Silicon for Less-----earth2tech,September 21st, 2009
・世界で初めてワイヤ放電加工で太陽電池用ウエハーをスライス / プレスリリース 三菱電機-----ソフトエネルギー、2007/02/19
・Silicon vs. CIGS: With solar energy, the issue is material / クリッピング CNET News.com (シリコン系 vs CIGS 薄膜系太陽電池の戦い)-----ソフトエネルギー、2006/10/09
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