« ベルギーのゼロエミ南極基地Princess Elisabethの風力発電機、Proven Energy社のProven 6 | トップページ | 小水力発電ニュース、サイトオープン! 全国小水力利用推進協議会の小水力情報ポータル »

産総研、風力、太陽光など分散電源の大量導入を可能にする新しい電力素子を開発

 産業技術総合研究所が、風力、太陽光など分散電源の大量導入を可能にする新しい電力素子を開発したと発表しました。今後、さまざまな再生可能エネルギーが送電網に接続される際には、さまざまな問題の発生が予想され、その問題の克服のために世界中で研究が進められています。
 このほど産総研で開発された技術、超電導薄膜限流素子モジュールにより事故電流を瞬時に抑制する技術もそうした技術の一つであるということです。

プレスリリース / 産業技術総合研究所,2009年5月11日
分散電源の大量導入を可能にする新しい電力素子を開発
Fig5Fig6
-----image(”左 : 図5 500 V/200 A 級超電導薄膜限流素子モジュール。 右 : 図6 短絡発電機を用いた限流試験結果”) : 同リリースより

" -低コスト・コンパクト・低損失で、事故電流を素早く抑制する超電導薄膜限流素子-
ポイント
・過電流により超電導状態から常電導状態に転移する現象を利用して、電力網での短絡(ショート)時などの事故電流を瞬時に抑制
・20 cm長の大面積超電導酸化物薄膜と高抵抗率の金銀合金層で、500 V/200 A級素子を実現
・出力が不安定な風力発電などの分散電源を、電力網に大量導入するための基盤技術として期待

概要
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)エネルギー技術研究部門【研究部門長 長谷川 裕夫】超電導技術グループ 山崎 裕文 研究グループ長らは、分散電源が数多く導入された時に発生する恐れのある事故電流(短絡(ショート)など)による電力関連設備の破損防止の対策として有望な限流器の実現に向けて、超電導酸化物薄膜を用いた独自方式の限流素子を500 V/200 A 級に大容量化することに成功した。

 超電導薄膜限流素子は、産総研が開発した塗布熱分解法(MOD 法)で作製した超電導薄膜を用いており、通常時は電気抵抗がゼロの大面積超電導薄膜に高抵抗率の金銀合金層を付けることにより、同じ長さの従来素子(純金層利用)の4倍以上の電圧をかけることができる。このため、高価な超電導薄膜の必要量が1/4以下となり、大幅な低コスト化が期待できる。
..........
開発の社会的背景
 近年、風力など自然エネルギーを利用した分散電源(中小規模の発電設備)が各地に建設されつつある。このような分散電源が既存の電力網に数多く接続(連系)されると、万一の短絡(ショート)事故時に電力網に流れる電流が増大するため、電力関連設備が破損するような事態が生ずる恐れがある。それを未然に防ぐ有効な対策として、瞬時に事故電流を抑制する限流器の導入が期待されている。また、自家用発電機を有する需要家が商用電力系統に連系している場合に、事故時の瞬時電圧低下対策として限流器を導入する例もある。

 今後、風力発電のように気象条件で発電量が左右される不安定な電源をこれまで以上に既存電力網に接続するには、過大な事故電流に対する対策が極めて重要な課題となる。なお、風力発電の場合、常時供給できる出力と発電機の最大容量との乖離が大きいが、短絡事故電流は発電機の最大容量を基準として計算するため、事故電流の増大の問題は、火力発電よりも大きな課題となると予想される。

 超電導薄膜を用いた限流器は、通常時はゼロ抵抗で、臨界電流以上の過電流が流れた時には高抵抗となって過電流を抑制する機能を持つ。すなわち電力網の事故電流を瞬時に抑制することのできる新しい電力機器であり、分散電源の導入を促進する立場から、低コストかつ高信頼性の超電導限流器の実現に対する社会的な要請は非常に高い。しかし、超電導限流器に用いられる超電導薄膜が高価であることが実用化のボトルネックとなっている。
..........
用語の説明
◆分散電源
電力会社の大容量電源(発電設備)と対比させて用いられる言葉。中小規模の発電方式で、その多くは、送電のための設備や損失が少なくて済むため、需要家近くに設置される。太陽光発電、風力発電等の自然エネルギー型、あるいはコジェネレーション等の省エネルギー型の電源が多いため、その大量導入が低炭素化社会の実現にとって重要な課題である。[戻る]

◆事故電流
電力網では、発電所から需要地へ電力を輸送する時、送電ロスをできるだけ小さくするため、数千~数万ボルトといった高い電圧を用いている。このため、例えば雷が落ちて送電線同士が触れたりすると、短絡(ショート)事故が生じて、電力網に大きな電流が流れ、それを事故電流という。[戻る]
.......... "

コメント続き
 これだけ専門的な内容になると、ソフトエネルギーでは扱う必要がないかと考えていたのですが、送電網に関する海外の動きを見ていると、大事な技術なんだということで紹介していかないといけないのだと思いなおしたしだいです。スマートグリッドについても勉強を始めていますが、細かいところはチンプンカンプンです。まあ、これも勉強のひとつと考えておりますが、、、むずかしいですね。

 
時流超流【技術フロンティア】エコ支える“賢い送電網”-----日経ビジネス ONLINE,2009/4/15

賢い送電網 新エコ政策-----アスパラ aサロン 科学面にようこそ、2009/03/16

“賢い送電網”って何? オバマ環境政策「成功のカギ」 日本企業参画やいかに…-----NSJ日本証券新聞、2009/1/26

 ちょっと検索しただけで、興味深い記事のヘッドラインが並びます。このサイトでもスマートグリッドという単語で検索した結果たどりつく方が増えています。自然エネルギー、再生可能エネルギーの大規模な導入にともなって必要とされる、送電と給電の技術の重要性が認識される今日この頃です。
 ただ、無人の荒野のつらなる広大な土地をもち人が分散して暮らすアメリカと、比べて極度の集中した人口密度の地域に多くの国民が集中して暮らす日本と同じ技術というわけにもいかないでしょう。日本の風土にあい、そして地方の自立、自治と環境と農業基盤も維持できる総合的な独自のプラニングが必要です。日本向き、独自の賢い電力の発電、送電、給電の方法を是非考えていただきたいと思います。(t_t)

参考
All Smart Grid Score Cards-----Smart Grid News,Mar 2, 2009

スマートグリッド とりあえずの情報集積場 / ブックマーク-----自然エネルギー、2009/05/30



ブログランキング・にほんブログ村へ

ブログ村ランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。





しなやかな技術研究会のタイムライン3Ico_rss --- グリーン・ポストのおすすめ”本”(amazon.co.jpインスタントストア)-----しなやかな技術研究会のGoogleマップ-----はてなのブックマーク-----

-- [ バックナンバー、しなやかな技術研究会のタイムライン1しなやかな技術研究会のタイムライン2]--



[テーマ別インデックス]


[PR GreenPostの商品案内のサイトへ PR]

|

« ベルギーのゼロエミ南極基地Princess Elisabethの風力発電機、Proven Energy社のProven 6 | トップページ | 小水力発電ニュース、サイトオープン! 全国小水力利用推進協議会の小水力情報ポータル »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 産総研、風力、太陽光など分散電源の大量導入を可能にする新しい電力素子を開発:

« ベルギーのゼロエミ南極基地Princess Elisabethの風力発電機、Proven Energy社のProven 6 | トップページ | 小水力発電ニュース、サイトオープン! 全国小水力利用推進協議会の小水力情報ポータル »