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気候ネットワークと環境エネルギー政策研究所、日本型買取制度の問題点を指摘、国会主導の再生可能エネルギー拡大のための法律を提案

 連日報じられる、太陽光発電への政府のテコ入れ策、しかし長期の研究開発計画には金が回っていないとか、国と都の補助などが矢継ぎ早に発表される中で、生産や営業の現場では市場拡大どころかすさまじい競争と系列化的な市場再編が起こっているなど、問題が噴出しています。業界再編の荒波は中小の事業者に大きなしわ寄せと不安感すらもたらしています。

 国が2010年から打ち出した太陽光発電の日本型買取制度もなぜ太陽光発電だけなのか? なぜ、一度やめた一般住宅用太陽光発電の政策を十分な検討をせずに再度開始しようとするのかなど、多くの疑問を感じる今日このごろでありました。まずは、経済産業省が募集を開始した関連のパブリックコメント、締め切りは2009年4月17日です。みんなの意見を訴えましょう!

『太陽光発電の新たな買取制度』について」に対する意見の募集について-----経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー新エネルギー部新エネルギー対策課

 そして、気候ネットワークと環境エネルギー政策研究所が、日本型買取制度の問題点などを指摘、国会主導の将来に禍根を残さない再生可能エネルギー拡大のための法律を提案するプレスリリースを発表しました。タイムリーな動きに同調し、この機会にわが国の再生可能エネルギーのあるべき姿について、真剣に考えたいと思います。

プレスリリース / 飯田哲也(環境エネルギー政策研究所 所長)、気候ネットワーク代表 浅岡 美恵、2009年3月24日
「エネルギー供給構造高度化法案」は抜本修正が不可欠将来に禍根を残さない再生可能エネルギー拡大の法律を「国会主導」で

" 1 将来に禍根を残さない再生可能エネルギー拡大の政策の導入を

環境エネルギー政策研究所(ISEP)及び気候ネットワークは、気候保護法の制定を求め、その中で、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入及び石炭から天然ガスへの燃料転換などを求めているところである。
 2月24日、二階経済産業大臣の閣議後記者会見で突如、太陽光発電電力の「日本型買取制度」について言及し、3月10日にはその根拠となる法律とされる「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の利用の促進に関する法案(エネルギー供給構造高度化法案)」が慌ただしく閣議決定された。この法案は、再生可能エネルギーの利用だけでなく、原子力をあわせ「非化石エネルギー」としてその利用についてと、化石燃料の有効な利用を促進するための措置を構ずることを目的とするものである。また、今回の経済産業省による「日本型買取制度」提案は、上記法案に直接の法的根拠は何らなく、経済産業大臣の判断に委ねるとするものにすぎず、国民・消費者がその費用を負担していく問題について情報提供も議論も不十分である。
 以下にその問題点を指摘し、国会において抜本的修正を求める。

2 「エネルギー供給構造高度化法案」の問題
..........
3 「日本型買取制度」の問題

このように、本法案では何ら明らかにされていないが、経済産業大臣の閣議後記者会見等によれば、法案による措置として、家庭用の太陽光発電設備による発電電力のうち自家消費にかかる電力を除く余剰電量について現在の2倍程度の価格で(但し、既設設備も対象とし、買取価格は将来にわたって逓減)10年間買取ることである。このスキームは、

第1に、買取の対象が家庭用の太陽光発電電力のみであり、風力やバイオマスなどその他の再生可能エネルギーによる発電は含まれていない。
 第2に、家庭用の太陽光発電についても、自家消費分を除いた余剰電力のみである。
 第3に、その結果、家庭用太陽光発電についても、10年の買取期間では投資回収はできず、自治体による補助がある場合でも15年を要することになる。
 第4に、世帯当たり50円~100円の価格転嫁とされているが、既設者への買取りを含めた負担であり、将来的な設置拡大による負担額との区分を明らかにする必要がある。

4 将来の発展性のある再生可能エネルギー買取制度が必要
..........
よって、本法案は、以下のとおり修正されるべきである。

(1)法の目的に、再生可能エネルギーの拡大を明記すること
(2)再生可能エネルギーの種類と対象を明記して、電力供給事業者の買取義務を明記すること
(3)買取条件についての細部についての決定は、設置者及び電力消費者の権利義務の内容にかかるものであり、国民的な議論の上に、国会の承認を要するものとすること
(4)太陽光発電電力については、余剰電力ではなく全発電量とし、買取価格を現状の2倍程度として、20年買い取るとすること
(5)化石燃料の利用においては、国際的削減義務と整合し、石炭から天然ガスへの燃料転換を含むCO2排出削減を基本とするものであること
(6)化石燃料及び再生可能エネルギー、原子力の利用についての政策については環境大臣と経済産業大臣の共管とすること
以上 "

参考
プレスリリース / 資源エネルギー庁、平成21年3月18日
「ソーラー・システム産業戦略研究会」報告書を取りまとめました ~ 「未来型エネルギー社会システム」の実現を目指して ~

やるぞ!日本! : 自然エネルギーニュース

新エネ部会-----壊れたら直そう日記、2009/3/26

コメント続き

 国のエネルギー政策は、国民の生活と安全保障、国土の保全など多くの利害と意見を集約したものである必要があります。さらに、気候変動とエネルギー問題はセットで機能する必要があります。産業構造などの経済的な動き、国の環境行政、国の農業政策、国民の生活など多面的な視野と限られた時間と資金の集中的な利用を必要としています。
 しかしながら、日本の縦割り、省庁間格差と障壁により私たちの時間と資金は有効に立体的に複合的に活用されることはありません。この弊害を取り除くことができるのは、国民の代議員たる政治家による国会しかありません。
 気候変動とエネルギー問題で世界の中で、まったく姿が見えなくなってしまった日本、現在日本にできること求められることは、世界の流れに最低限度追従し、局面によっては国益を損なわずに、将来の日本人の生活の基盤をより豊かで安心できるものにする果敢で機敏な動きが必要です。今の政治情勢を考えると世界を大局で主導ということは考えられないにしろ、最低限度やっていただかないと困る仕事があると思います。そのためにも、私たちの意見を反映させるために、パブリックコメントなどの機会も利用したいと思います。(t_t)



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コメント

GEIN事務局さん

 コメントありがとうございます。
 自然エネルギーの利用拡大のために、政治も含めた社会にアピールできる活動のためのさまざまな協力が必要ですね。今後ともよろしくお願いいたします。
 今回のイベントには参加できませんが、次回またご案内ください。

 グリーン・ポスト 
 しな研 つねとうとうじ

投稿: t_t | 2009/04/02 01:33

GreenPost様

トラックバックありがとうございます。ここ3年間での200万人の雇用対策というより大きな政策の1部として、自然エネルギー政策も重要な1翼を担うと思うのですが、実質は、まだまだ未定ですので、私たちがしっかり声を伝えていくことがすごく大切だと思います。

4月5日(日)やるぞ!日本!キャンペーンのイベントもございますので、ぜひ、いらしてくださいませ。

イベント詳細については、コチラ↓
http://yaruzo.weblogs.jp/report/2009/03/post-42c9.html

投稿: GEIN事務局 | 2009/04/01 10:43

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