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電動バイクが、太陽電池など再生可能エネルギーの家庭での利用の巾を広げる?

 電動オートバイといえば、ヤマハのパッソルLかな? メーカーのスペック表によれば、1充電での走行距離は、42kmで、家庭用の100Vで充電でき、の一回の充電時間は、”80%まで約5時間/100%まで約6時間”といった感じだ。オプションの急速充電器を使えば、100%充電までおよそ3.5時間。
 お値段は、¥209,790(専用充電器込み)(本体価格¥199,800)だというから、先行車のEC-02とほぼ同じスペックだ。スタイルで選べばいいということだ。通勤に使うなら坂道もあるだろうから、片道で15kmといった感じだろうか?

ヤマハ発動機 : Passol-L
Pic_004
-----image : ヤマハ発動機 : Passol-L スタイリングより

 今、アメリカではヤマハのスポーツ車を改造したハイスペックで高速走行も可能な電動バイクが話題になっている。その記事を見る前に、この”パッソルL”をもう少しみてみよう。バッテリーは、25V-24Ahのリチウムイオンバッテリーだ。
 放電深度を60%程度と考えると、
負荷容量は、25V * 24AH * 0.6 / 0.75 = 480Whにより、480Wh /dayと計算しました。
(0.6 : 深度、0.75 : 損失率)
 これを毎日賄うためには、標準的な日射条件で国内なら200Wp程度の設備容量の太陽電池をもっていれば、大丈夫だと思います。一般家庭用の太陽光発電システムであえれば、標準サイズは、3から4.5kWpですから、二十分の一ぐらいの負荷になります。独立系ならば、24V系で150AH程度のバッテリーバンクを設置して、いったん電気をバッテリーバンクに蓄え、充電器を経由して夜間に充電するという方法もあります。

 さて、200Wpの太陽電池で、なんとか通勤の足が確保できました。日本の都市部なら使えそうですが、アメリカではより航続距離の長い、パワフルな電動バイクが求められていました。

日本には、アスクルのSUMOモータがありますが、今回アメリカで話題になっているのは、ヤマハの1000CCの市販スーパースポーツバイクYZF-R1の改造エレクトリックバイクです。

クリッピング / San Francisco Chronicle,July 1, 2007
Solar-power electric gets zero emissions

" ..........
The idea behind Lightning Motors is to make a bike that's electric and zero-emission, courtesy of solar power.
..........
a bike like his R1 conversion, which uses about 8 kilowatts of power to travel 80 miles at an average speed of 65 mph. "
----------

 この電動バイクはプロトタイプであり、でか過ぎて趣味に合わなかったので、これまで紹介してこなかったが、上の記事を読んで気が変わりました。”オフグリッド”、つまり商用電源を使わない生活、独立系とも言われるオフグリッドの太陽光発電システムと組み合わせて生活することで、一般家庭のゼロエミッションを強調している記事だったから。前々から、プラグイン・ハイブリッド車をのぞむアメリカとカナダの熱狂的なPlug-In Hybrid車の支持者たちの間では、家庭に通常の数倍の太陽電池を設置することで、電力と移動用のエネルギーを自前でやってしまうことの可能性をめぐって盛んな議論がされていて、非常に興味があった。電線網の整備された日本では、ピンとこないかもしれないが、人里はなれた地で農場でもやっていた場合、災害やテロにより電力がダウンしたり、石油がなんらかの理由で高騰したりする一般家庭のエネルギー安全保障は自分で考え、可能ならば手当てする対象なのだ。そのために、モーターでも走行できるトヨタのハイブリッド車にバッテリーを多く搭載し、家庭のコンセントから充電できるシステム、太陽光発電や水力などの身近なエネルギーでそれを賄う可能性については、コスト計算などが真剣に議論されているのだ。
 このことは、日本でも家庭におけるエネルギー安全保障を考えるときに、一つの移動するためのエネルギーも自給できる可能性の一つとして検討すべきだと考えていたのです。

 ここで、登場するバイクの能力は、スタートして3秒で時速100km近くになるスーパーバイク。上の記事では、このバイクを時速100キロで、128km走行させる場合の負荷容量を8kWと見積もっています。さらに、これをまかなうのに必要な太陽電池を1.2kWpとしています。たぶんこれ計算間違いかミスリードです。下の別の記事によれば、搭載されているリチウムイオンバッテリーは、90 amp-hours at 3.2 volts のバッテリーを28台搭載しているといいます。一台あたり6ポンドですから、2.7kgで28個でリチウムイオンバッテリーだけで、75.6kgにもなります。車体重量は、400 poundsですから、180kgです。バッテリーの合計容量は、
 3.2 * 90 * 28 = 8064Wh に達します。
 先のパッソルLは、25V * 24AH = 600Whにすぎないことを考え、航続距離や速度も考えると太陽電池の設備容量1.2kWでは、計算があいません。かってな試算では、5kWp以上になるのですが、、、、
 まあ、プロトタイプですからいいかな。こんなスーパーバイクを5kWの太陽電池で、毎日100kmの通勤に使って5kWの太陽電池で賄える可能性があるということだけでも、個人的には驚きです。将来、バランスがよくなった電動バイクが登場するまでには、リチウムイオンバッテリーと蓄電池の違いなども含めて、もう少しこの分野の知識を高めていこうと思っております。(t_t)

関連記事
Lightning Lithium Superbike: No Emissions-----TreeHugger,06. 1.07

参考エントリー
英国製エレクトリック・バイク £1345なり-----しなやかな技術研究会、2006/08/30

高効率電動モータ『SUMOモータ』の最新バージョンが完成 / プレスリリース アスクル-----しなやかな技術研究会、2006/04/11
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