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イヌワシ飛来、衝突懸念 朝来、宍粟の風力発電に影響 / クリッピング 神戸新聞

" 兵庫県中部の朝来、宍粟両市で進む国内最大級の風力発電施設計画で、建設予定地周辺に国の天然記念物で環境省のレッドデータブックの絶滅危惧(きぐ)種(1B類)にもなっているイヌワシが飛来していることが、十七日までの県などの調査で分かった。県は「風車に衝突する可能性がある」として、開発業者に慎重な姿勢を要望。一方で朝来市はすでに計画同意書を出し、今年度中の着工が予定されており、業者の対応が注目される。 "-----神戸新聞、 2005/10/18

コメント
 計画では、2メガ弱の大型発電機が22基立ち並ぶことになっているようです。できあがれば壮観でしょう。
 しかし、イヌワシのことを考えると気持ちが変わります。風車はどんどん普及してほしい、しかし、”絶滅”と言われれば、かなり建設に対してマイナスのイメージがあります。

 
 風力発電機の設置が検討されている風況のいい地域は、イコール、人里離れた自然の豊かな場所であることが多いです。人間は平地にどんどん進出し造成し、森を伐採し、人工物を建設し続けてきました。これまで、”利用価値が少なかった”おかげで、かろうじて残された山奥や辺境の土地が、風力発電で、新たな利用価値をもつようになった。これは、人間にとっては都合がいいことです。しかし、かろうじて生き残ってきた鳥たちの住処を、さらに奪うことになるのはあまりにも過酷で、残念です。
 
 記事のイヌワシは、”絶滅危惧1B類 (EN) IA類ほどではないが、近い将来に絶滅の危険性が高い種”にレッドデーターブックで分類されていました。

参考サイト
生物多様性情報システム / 絶滅危惧種検索

 残念ながら、イヌワシを近くで見たことはありません。自然エネルギーの仕事で山奥や田舎に行くことが多いので、トンビや小さな鷹などの猛禽類の飛ぶ姿をよく見てきました。海辺で、トンビにサンドイッチを取られたこともあります。あまりにみごとな”飛翔”だったので、サンドイッチを食べられなかったことより、ただただ感心しました。アメリカを旅行したときに、ネイティブアメリカンの絵描きさんに、きみの守護神は鷹だよと教えられました。冗談だと思っていたら、いろいろなところで、おなじ符号が見つかるのです。誕生日からマヤ歴をみてもらうと、”鷹”。そんなことがあって、つい双子の子どもたちにちなんだ名前を付けてしまいました。そしたら、かれらのマヤカレンダーのマークも”鷹”でした。そらに、飛んでいる夢を何回かみたことがありますし、、、猛禽たちのこと、気になります。
 
 上の参考サイトによると、
”タカ目 タカ科 絶滅危惧IB類(EN) 和名 :イヌワシ
形態
 全長オス約81cm、メス約89cm、嘴峰長38〜44mm、翼開長168〜213cm、A蹠長96〜107mm、尾長310〜347mm。オスよりメスの方が大きい。全身がほぼ黒褐色で、後頭部は金色、尾羽はやや灰色を帯び、先端に幅の広い黒帯、中央に2〜3本の不明瞭な黒帯がある。若鳥では尾羽の基部と翼の風切羽の基部が白いが、年齢とともに白色部分は小さくなる。嘴は先が黒く、基部は黄色、脚も黄色で、目は褐色である。
生物学的特性
 険しい山岳地帯に雌雄2羽で生活し、季節による移動はあまりないが、飛翔力が大きいため、平地や海岸に現れることもある。つがいごとに広い行動圏(約20〜60km2)を持ち、その中に営巣・採餌場所を含んでいる。岩棚で営巣するのが普通だが、高木の枝上の例もある。一腹産卵数は1〜2卵で、抱卵日数は44〜47日、育雛期間は70〜94日で、通常1羽だけが育つ。食物はノウサギが多いが、テン、ヤマドリ、キジバト、シマヘビ等も捕らえる。”とある。さらに詳しい記述がありました。
 大きな鳥で、いかにも肉食の大型の猛禽類。いや、文字情報を読んだだけでも数が少なそうですね。
 
 さて、風力発電。我が国の風力発電は、急速に設備容量をのばしているとはいえ、緒に着いたにすぎないと思っています。今年3月の時点でのNEDOの発表では、全国で924基、その総設備容量は、926,575kWに達しているが、これは定格設備容量。実発電容量から考えると、かなり小さな数字となるはず。全新エネルギーなどを加えても、総発電量に占める割合は、0.1%に満たないといわれていて、将来的には少なくとも数パーセント。自然エネルギー関連の推進的な立場(わたしも含めて)にいる人たちの間では、2050年までに8 - 10%を自然エネルギーなど再生可能エネルギーで賄うことを希望している声があがっています。
 となると、推進されて行けば、最終的な風車の数は、少なくとも数千。おおければ、万に届く数になるはずです。
 (このあたりの数字は、今調べ直して勉強中なので、参考になるサイトがありましたら、是非教えてください。)
 
参考サイト
NEDO 新エネルギー・産業技術開発機構 /// 日本における風力発電設備・導入実績

 繰り返しになりますが、風力発電は、これからも増やして、自然エネルギー利用を促進し、全体で是非10%程度の割合を確保できる発電事業に育ってほしいと思っています。そして、風力発電などの利用をうまくできる社会は、環境コンシャスで、人間が人間としてのびのびと生きることを促進する社会であってほしいとも思っています。となると、当然他の生物への配慮も十分すぎるほど十分にする必要があると思います。
 対策、対応について調べてみるつもりです。
 
参考情報
・風力発電導入マニュアル(平成8年度)199703報告書R5200H08-1210526 環境省
・風力発電のための環境影響評価マニュアル(pdf) http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/150604_2/manual.pdf-----「風力発電のための環境影響評価マニュアル(案)」へのパブリックコメント募集の結果について----- NEDO 新エネルギー導入促進部、平成15年6月4日

 風力発電導入マニュアルに関しては、”現状に即して改訂すべき”という意見や、さらに鳥などの棲息環境に配慮した改訂を望む声があるようだ。
 
要望書 風力発電導入マニュアル見直し等についてのお願い-----日本野鳥の会東北ブロック協議会、2001年11月30日( 環境省 環 境 大 臣川口順子宛)
「国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会」で意見発表-----日本野鳥の会、2003.10.20

風力発電の鳥類に与える影響に関する評価----- 企画・編集・レイアウト: 財団法人日本野鳥の会 自然保護室
発行日: 2004年3月31日

参議院議員岩佐恵美君提出風力発電の鳥類に与える影響(バードストライク)の防止に関する質問に対する答弁書-----答弁書 答弁書第三四号 内閣参質一五九第三四号  平成十六年七月十三日 内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎 参議院議長 倉 田 寛 之 殿

参考文献
・「風力発電の立地プロセスにおけるアクターの参加の場と意思決定手続き」
,68 馬場 健司, 木村 宰, 鈴木 達治郎
社会技術研究会 / 論文集 / 3)「社会技術研究論文集Vol.2,Oct.2004」 /
http://www.shakai-gijutsu.com/ronbun2/68.pdf

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 風車は、飯の種の一つ(とはいえ、大きくとも数kwの小さな小さな風車が仕事ですが)だし、壊れたりしても、それをうまく運用していく”技術の総体”が自然エネルギー利用の妙だと思っています。まあ、ロマンなんだろう。ロマンが発展して、大きな産業となっていこうとしている現在。技術の総体としての質を問い続けることができるかが、この技術に求められていると思う。しかし、正直悩ましい問題です。とはいえ、風車がどんどん建設されても、基幹のエネルギーソースには当分なりようがない。ということは、安全保障的な議論はしなくてもよい。ちょっと気が楽かなぁ、、、(t_t)

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追加情報
・イベント 11/4 風力発電施設が鳥類に与える影響に関する国際シンポジウム
http://www.eic.or.jp/event/?act=view&serial=10393

http://www.wbsj.org/info/event/shusai/furyoku.html

参考
・福井県あわら市・北潟湖西岸の風力発電施設建設計画に対して申し入れを行いました -----日本野鳥の会、平成18年5月26日
http://www.wbsj.org/info/press/060526-2.html

投稿: 追加情報 野鳥の会が11/4にイベントを開催 | 2006/11/02 00:46

追加情報
・風車衝突死の鳥増加、環境省が調査-----Nikkei Net,2006/5/4
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060504AT1G0201V03052006.html

投稿: 追加情報 環境省、調査開始 | 2006/05/07 15:19

追加情報
・風力発電「イヌワシに影響」 県が建設中止要請へ-----神戸新聞、2006/04/14
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000018590.shtml

投稿: 追加情報 県が建設中止要請へ | 2006/04/17 11:51

追加情報
・危惧種オジロワシ、相次ぎ風車に衝突死 環境省が調査へ-----asahi.com,2006年03月03日
http://www.asahi.com/life/update/0303/003.html

投稿: 追加情報-危惧種オジロワシ、相次ぎ風車に衝突死 環境省が調査へ | 2006/03/06 11:43

追加情報
・オオタカ保護指針策定調査の結果について-----プレスリリース / 環境省、平成17年12月19日
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6660
" 概要 : 平成12年度から環境省が実施していたオオタカ保護指針策定調査について、生息分布、繁殖個体数等の結果が取りまとめられたので、その概要をお知らせします。 "

投稿: 追加情報 | 2005/12/19 23:07

追加情報
・バードストライク問題について その1
http://www.ge-aomori.or.jp/windmill/blog/sb.cgi?eid=1
・バードストライク問題について その2
http://www.ge-aomori.or.jp/windmill/blog/sb.cgi?eid=3
・バードストライク問題について その3-----NPO法人 グリーンエネルギー青森、2005/12/12 Mon
http://www.ge-aomori.or.jp/windmill/blog/sb.cgi?eid=5

コメント
 市民風車事業を行っているグリーンエネルギー青森さんがバードストライクについて触れておられます。こちらは、古い記事ですが、トラックバックを送らせていただきました。風車の写真がたくさん掲載されている風車日記
 http://www.ge-aomori.or.jp/windmill/diary_w.html
 は、大型風車のようすを見ることができて参考になりました。(t_t)

投稿: 追加情報 | 2005/12/13 13:44

追加情報
・環境保護団体が風力発電に反対運動(上)-----HOT WIRED / Technology,2005年10月28日
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20051028305.html
・環境保護団体が風力発電に反対運動(下)-----HOT WIRED / Technology,2005年10月31日
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20051031307.html

投稿: 追加情報 | 2005/11/08 15:48

追加情報
・ イヌワシ飛来地 風力発電 県が全国初の指針 ----- 神戸新聞、2005/10/27
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/00043146sg200511271000.shtml

投稿: 追加情報 | 2005/10/30 22:56

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 悩ましいといっていてもしょうがないのでそろそろ本題に入ります。 風力発電の立地について、特に議論が分かれるのは、・景観・鳥類への影響・生態系への影響の3点です。これらは、完全な事前予測が難しく、かつそ...... [続きを読む]

受信: 2005/12/16 17:16

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