棄てる熱から発電 セラミックス材料で実用可能な高温用熱電発電モジュールを実現 / プレスリリース 産業技術総合研究所
" 空気中、800℃で作動させても全く性能劣化が無いセラミックス製熱電発電モジュールを開発した。これまで800℃の高温、空気中で作動可能な熱電発電モジュールはなく、さらに、このモジュールを構成している材料には、毒性元素や稀少元素が全く使用されていないため、経済性に優れるだけでなく、安全性でも従来より遥かに優れたモジュールを作製することができた。このモジュールをゴミ焼却場や工業炉、自動車などに用いると、大量に廃棄されている未利用熱エネルギーからの発電が可能となる。これは省エネルギーや地球温暖化問題の緩和に貢献するものとして大いに期待できる。さらに出力密度が高いため、熱源しかない災害地での緊急電源や携帯機器用電源としても応用できるものである。
膨大な未利用の廃熱
石油の産出量は2010 - 2020年頃にピークを迎えると予測されている。そうした状況でわれわれは、経済成長を維持しながら、エネルギーの安定供給と地球環境問題の解決を迫られている。日本では年間に、原油換算で数億klもの一次供給エネルギーを消費しているが、その70%近くが未利用のまま廃熱として棄てられている。この廃熱エネルギーの総量は莫大であるため、これを回収し、有効利用する技術への関心は非常に高い。しかし、廃熱エネルギーは総量は莫大でも、個々の熱機関(例えば自動車一台)から棄てられる熱量は少量である。このような希薄な廃熱エネルギーを効率良く、しかも安価に回収することは非常に難しい。ここで紹介する熱電発電は廃熱回収を可能にする数少ない技術の一つとして期待されている。 "-----産業技術総合研究所、ユビキタスエネルギー研究部門、2005年8月1日
コメント
以前、ソフトテクノロジーでもふれたことがあるのだが、誤って捨ててしまった過去記事の中にTOSHIBAの熱電モジュールgigatopaz(TM)の情報がありました。この素子は、従来は300度以下までしか利用できなかったものを、利用温度を500度まで使用できるため、”対象分野が広い”とアピールされていた製品でした。そして、今回の産総研の発表したモジュールは、”空気中、800℃で作動させても全く性能劣化が無いセラミックス製熱電発電モジュール”ということで、最新のTOSIBAの800度熱電素子であるbluetopaz(TM)に並ぶ素子です。さらに熱電対による発電の利用範囲を広げる可能性が高い製品となり、さらに大型の発電にも対応することが可能ということで、排熱回収・利用などの分野での利用が期待できます。
参考サイト
・世界最高の耐熱性を持つ高温ペルチェモジュール、bluetopaz(TM)-----TOSHIBA EnergyFort
関連記事
・クルマの廃熱で電力不足解消——東芝の熱電モジュール-----ITmedia ライフスタイル、2004/05/20
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コメント
ぽんちゃん
さまへ
コメントありがとうございます。
熱電素子は、これまでは企画倒れで、東芝のものも含めて、実際の使用経験なしに等しい状態です。まだ可能j性のある企画は、木ガス発電時の廃熱も回収しようとする試みですが、こちらも予算が少ないので、実現するかどうかわかりません。
実際の利用例みたいなもの、どなたでも結構ですぜひ、教えてください。
t_t
投稿: t_t | 2005/12/19 15:49
産総研の素子はスケルトンという中身むき出しタイプなので大気中800℃で持つというのは信じがたい。
熱電素子自体がもっても、電極などの金属部がもつはずがないと思う。
産総研はいつもTOSHIBAの後追いモノマネしてますから要注意。
投稿: ぽんちゃん | 2005/12/17 22:54