欧州連合 EU、再生可能エネルギーと二酸化炭素貯留技術 CCS に10億ユーロの助成

 欧州委員会 EUは気候変動対策として、全欧規模で実施される再生可能エネルギーと二酸化炭素貯留技術など、革新的実証プロジェクト19件に対し、10億ユーロの助成金を拠出することを公表しました。10億ユーロといえば、現在のレートで、約1365億5千円(1ユーロ =約136.5円換算 )です。

 具体的には、

クロアチア 地熱発電 14.7 百万ユーロ(1.35億円換算で、約19.8億円)

キプロス 太陽熱発電 CSP 60.2 百万ユーロ(約81.3億円)

キプロス スマートグリッド 11.1 百万ユーロ(約15.0億円)

デンマーク バイオエネルギー 39.3 百万ユーロ(約53.1億円)

エストニア バイオエネルギー 6.9 百万ユーロ(約9.3億円)

エストニア バイオエネルギー 25 百万ユーロ(約33.8億円)

フランス 地熱発電 16.8 百万ユーロ(約22.7億円)

フランス 海洋エネルギー 72.1 百万ユーロ(約97.3億円)

アイルランド 海洋エネルギー 23.3 百万ユーロ(約31.5億円)

イタリア 太陽熱発電(CSP) 40 百万ユーロ(約54億円)

イタリア スマートグリッド 85 百万ユーロ(約114.8億円)

ラトビア バイオマス発電(熱分解) 3.9 百万ユーロ(約5.3億円)

ポルトガル 太陽光発電 8 百万ユーロ(約10.8億円)

ポルトガル 海洋エネルギー 9.1 百万ユーロ(約12.3億円)

スペイン 風力発電 33.4 百万ユーロ(約45.1億円)

スペイン 風力発電 34 百万ユーロ(約45.9億円)

スペイン バイオエネルギー 29.2 百万ユーロ(約39.4億円)

スウェーデン バイオエネルギー 203.7 百万ユーロ(約275.0億円)

イギリス CCS 300 百万ユーロ(約405.0億円)

 となっています。最大のプロジェクトはイギリスの二酸化炭素貯留技術実証プロジェクト(CCS)で、約405.0億円の資金が投じられます。これは、EUにおける最初の大規模な二酸化炭素貯留技術プロジェクトとなるものです。今回の助成は、NER300プログラムの第2期選定分です。NER300プログラムは、欧州県内の新規参入者用排出枠分売却による収益による50%の共同融資プログラムの2012年実施の第一回(23件、12億ユーロ)に続く、第二弾となるものです。
 これにより、欧州県内の気候変動対策におけるエネルギー分野の具体的な対策がここに盛り込まれることになります。
 今回意外だったのは、海洋エネルギー関連が、3件あったことです。2030年代に実用化する技術として、予算的な限界がある中で、手厚く育てようとしている様が見えます。この3件については、具体的に日をあらためてみていきたいと思います。


プレスリリース / EUROPEAN UNION, 8 July 2014
Climate action: Commission uses polluters' revenues to fund clean energy projects across Europe

" The European Commission today awarded €1 billion funding to 19 projects to fight climate change under the second call of the so-called NER 300 funding programme. The funding for the projects comes from revenues resulting from the sale of emission allowances in the EU Emissions Trading System. This makes the polluters the driving force behind developing new low-carbon initiatives.

The funding will be used to demonstrate technologies that will subsequently help to scale-up production from renewable energy sources across the EU as well as those that can remove and store carbon emissions. The projects awarded co-financing today cover a range of technologies − bioenergy, concentrated solar power, geothermal power, photovoltaics, wind power, ocean energy, smart grids and, for the first time, carbon capture and storage (CCS).

Connie Hedegaard, EU Commissioner for Climate Action, said: "With these first-of-a-kind projects, we will help protect the climate and make Europe less energy dependent. The €1 billion we are awarding today will leverage some additional €900 million of private investment. So that is almost €2 billion of investment in climate-friendly technologies here in Europe. This is a contribution to reducing Europe's energy bill of more than €1 billion per day that we pay for our imported fossil fuels."
..........
NER 300
The NER 300 programme is so-called because it is funded from the sale of 300 million emission allowances from the new entrants' reserve (NER) set up for the third phase of the EU emissions trading system (EU ETS).

In its recent Communication: 'A policy framework for climate and energy in the period from 2020 to 2030', the Commission outlines the possibility of exploring an expanded NER 300 system in the post-2020 climate and energy framework. This could be a means of directing further revenues from the EU Emissions Trading System towards the demonstration of innovative low-carbon technologies in the industry and power generation sectors.
.......... "

関連
Questions and Answers on the outcome of the second call for proposals under the NER 300 programmeEUROPEAN UNION, 8 July 2014

欧州投資銀行、CCSプロジェクト資金を調達-----Global CCS Institute,29 Apr 2014

"EUのCO2排出枠3億単位の売却で調達された20億ユーロ以上の資金で、欧州における革新的な再生可能エネルギー実証プロジェクト及びCO2回収プロジェクトが恩恵に与ることになる。このことは、排出枠売却の第2フェーズが成功裏に完了した後、欧州投資銀行によって発表された。この売却は、欧州委員会、欧州投資銀行及びEU加盟国が共同で管理している資金調達手段であるNER300プログラムの一環として行われた。
......... "

EU 再生可能エネルギー・二酸化炭素貯留技術実証プロジェクトに10億ユーロの助成を決定-----EICネット、 2014.07.08


追加情報
仏 Akuo Energy、西インド諸島マルティニークに16MW浮体式海洋温度差発電所"NEMO"建設へ-----ソフトエネルギー、2014/08/20

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NEC、イタリア大手電力会社に欧州最大クラスの大容量 2MWhリチウムイオン蓄電システムを納入

 NECは、イタリア大手電力会社 ENEL Distribuzione社(エネル ディストリビュゾーネ社)に欧州最大クラスとなる、大容量 2MWhのリチウムイオン蓄電システムを納入しまいた。カラブリア州キアラバッレ変電所において、次世代スマートグリッドの運用に寄与する予定です。具体的には、ENEL Distribuzioneは、本システムにより、ピーク時の電力供給(ピークシェービング)、電力需給バランス調整、電力・電圧安定化のための周波数調整など、今後予想される電力網への新たな規制に対応するための革新的な配電網制御や電力品質調整(アンシラリー)サービスの実証を行います。

 またNECは、中国万向集団が2012年の経営危機の際に取得したA123 Systems社の蓄電システム事業を買収したと発表しました。これによりNECは、電力会社向け蓄電システム事業で世界トップクラスとなりました。
 A123 Systemsのバッテリーは、2011年にIHIが、東京消防庁の都内の消防署33か所に一括納入したことがあります。結構コストが安く性能が高いと評判だったようです。
 NECの電力会社向け蓄電システム事業については、また改めて情報を集めてみたいと考えています。(情報ありましたらコメント欄に是非お寄せください。)


プレスリリース / NEC、2014年4月2日
NEC、イタリア大手電力会社に欧州最大クラスの大容量リチウムイオン蓄電システムを納入

020101
-----image(”カラブリア州キアラバッレ変電所に設置された蓄電システム”) : 同リリースより

" NECは、イタリア大手電力会社ENEL SpAの関連会社でイタリア最大の配電事業者ENEL Distribuzione社(エネル ディストリビュゾーネ社、注1)に、次世代スマートグリッドに向けたリチウムイオン蓄電システムを納入しました。本システムは、リチウムイオン電池を用いた蓄電システムとして欧州最大クラスとなる出力2MW、容量2MWhを実現するものです。
 本システムは、気象状況の影響を受けやすい風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーが広く導入されているイタリアのカラブリア州にあるキアラバッレ変電所に設置され、ENEL Distribuzioneの配電網に接続されました。ENEL Distribuzioneは本システムを用いて、再生可能エネルギーなどで変動する配電網の電力の最適化について実証実験を行います。

 NECは、中国万向集団・A123 Systems社の大規模蓄電システムSI事業部門を買収し電力会社向け蓄電システム事業で世界トップクラスとなります。本部門は、6月から新会社「NECエナジーソリューションズ」として事業を開始予定です。

 今後もNECは、北米、欧州を始め世界各地の大手電力事業者に蓄電システムを提供し、スマートエネルギー事業を拡大していきます。

背景
 再生可能エネルギーによる発電は、日照や風量など天候による変動が大きく、潜在的に電力網の信頼性の問題を引き起こす可能性があります。例えば、再生可能エネルギーによる発電電力量が、その地域の現在の消費電力量を大きく超えた場合、高電圧の送電電力網に太陽光発電所や風力発電所からの電力が逆方向に流れ込み、送電電力網の安定性や品質管理などの面で問題となります。電力網においては、常に電力の需要と供給のバランスをとる必要があり、バランスが崩れた場合は、電圧や周波数が不安定になり停電を引き起こしたり、電気機器などが破損したりしてしまう可能性もあります。

本システムの概要
 ENEL Distribuzioneは、本システムにより、ピーク時の電力供給(ピークシェービング)、電力需給バランス調整、電力・電圧安定化のための周波数調整など、今後予想される電力網への新たな規制に対応するための革新的な配電網制御や電力品質調整(アンシラリー)サービスの実証を行います。
 本システムは、ENEL Distribuzioneの配電網とイタリア全土を繋ぐ送電網の間を流れる電力量の制御に使用されます。ENEL Distribuzioneは、一次変電所から送電網に流れこむ電力量を予測し、送電事業者に計画値を提出します。本システムは、再生可能エネルギーの発電量の変動により、本計画値と実際の電力量の差が想定量を超えた場合に、蓄電システムから柔軟に充放電を行い、電力量の差を最小化します。
本システムは、最終的には、家庭・オフィス・工場などでのスマートメーターの利用や、ビッグデータ分析や革新的なITシステムによる電力需要情報の双方向・リアルタイムな活用を実現するENELのスマートグリッドインフラと統合されていきます。
.......... "

参考
NEC、中国万向集団からA123社の蓄電システム事業を買収-----NEC、2014年3月24日

" 世界トップクラスの蓄電SIとICTを融合し、グローバル市場へ本格展開
NECは、中期経営計画の注力領域であるスマートエネルギー事業の中核となる蓄電システム事業強化のため、中国万向集団グループ・A123 Systems社の電力会社向けおよび企業向け大規模・大容量蓄電システムのシステムインテグレーション(SI)事業部門(A123 Energy Solutions)を買収します。
買収金額は約1億米ドルで、6月からNECのもと新会社「NEC エナジーソリューションズ」として、事業を開始する予定です。

本買収によりNECは、電力会社向け蓄電システム事業で世界トップクラスとなり、顧客のニーズにあったシステムを構築するA123 Energy Solutionsの蓄電SI力と、NECのICTにおけるグローバルかつ総合的なSI力やリチウムイオン電池のコスト競争力を組み合わせることで、蓄電システム事業を強化します。
また、A123 Energy Solutionsが持つ電力会社および企業の顧客基盤とNECの通信事業者、企業、官公庁などの顧客基盤を融合することにより、スマートエネルギー事業の広範かつグローバルな展開を強力に推進します。
.......... "

IHI、東京消防庁の都内の消防署33か所にA123 Systemsのリチウムイオン蓄電システムを一括納入-----ソフトエネルギー、2011/11/21

・Twilog : @greenpost A123(A123システムズ関連の情報)

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千代田化工、伊Archimede Solar Energyと共同で、溶融塩トラフ型太陽熱発電デモンストレーションプラントを建設

千代田化工は、イタリアのArchimede Solar Energyと共同で、溶融塩トラフ型太陽熱発電デモンストレーションプラントを建設していました。それがこのほど完成したとのことです。7月3日に、現地イタリアのマッサマルタナで、デモプラントの開所式が行われ、実証運転が開始されました。

 これまでの一般的な溶融塩を使って熱の管理や蓄熱を行う発電所の場合には、いったん太陽熱で油を熱し、それを熱交換し、溶融塩の熱ループを稼動させるものでした。しかし、今回は直接溶融塩を熱することで、全システムを溶融塩のみで動かすことにより熱交換器が不要となり、プラントをよりシンプルに構成でき、より高い温度で蒸気発生器を加温することが可能になります。

 出力規模が千代田化工、Archimede Solar Energyのリリースに記載されていないのですが、見つけしだい詳細を追加したいと思います。
 日本では、見込みのない太陽熱利用の発電方式ですが、赤道付近の国にとっては、とてもおおきな潜在力をもった発電方法です。イタリアやスペイン、北西アフリカなどが適地とされています。今後は、アジア、南北アメリカ大陸でも発展しそうです。

 パラボラミックトラフ式の太陽熱発電と集熱チューブについては、過去の記事をご覧ください。

 パラボラミックトラフ式の太陽熱発電は、レンズ集光型の太陽熱発電などと同じ、集光型太陽熱発電(CSP : Concentrating Solar Power)に分類されます。今回のでもプラントは、溶融塩を利用した熱循環および蓄熱システムを擁する、溶融塩トラフ型太陽熱発電(MSPT-CSP : Molten Salt Parabolic Trough – Concentrated Solar Power)と表現されています。


プレスリリース / 千代田化工、2013年7月4日
溶融塩トラフ型太陽熱発電デモンストレーションプラント完成

Chiyodacorp_csp
-----image : 同リリースより

" 当社が、イタリアのアルキメデ・ソーラー・エナジー(ASE)社と共同で進めてきました溶融塩トラフ型太陽熱発電(MSPT-CSP*)のデモンストレーションプラント(デモプラント:実証装置)が完成、7月3日イタリアのマッサ・マルタナにて盛大に開所式が執り行われ、実証運転を開始することになりましたのでお知らせいたします。

 本デモプラントは、イタリアの集熱管製造技術と日本のエンジニアリング技術の融合により生まれた、太陽熱発電における新システムを世界に紹介する場であると共に、更なる技術革新に向けた技術開発の拠点ともなります。

当社とASE社は、実証運転を通じ、溶融塩のハンドリング技術の確立とともに、技術的・経済的に最適化されたプラントシステムの構築により、夜間も含めた安定的なグリーン電力の供給を目指します。
.......... "

関連
・ Archimede Solar Energy : On July the 3rd 2013 Archimede Solar Energy (ASE) and Chiyoda Corporation ground break the most advanced concentrated solar power installation with thermal energy storage

・千代田化工 : 太陽熱発電所

"..........
溶融塩・トラフ型太陽熱発電

千代田が技術開発を進める「溶融塩・トラフ型太陽熱発電」は、熱媒を合成オイルから溶融塩に変えることにより、運転温度を550℃まで上げることができるようになります。溶融塩を熱媒として使用する主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

熱媒を合成オイルから溶融塩に変更することで、従来型より高温のスチームを供給することができる。これによって、発電効率の上昇と発電コストの削減が期待できる。
従来型と比べ、溶融塩を熱媒として使用したシステムでは蓄熱タンクの容量をより小さくすることができる。
従来型(熱媒:合成オイル)は、蓄熱媒体として溶融塩を使用しているため、合成オイルと溶融塩の熱交換が必要であったが、全システムを溶融塩のみで動かすことにより熱交換器が不要となり、プラントをよりシンプルに構成することができるようになる。
.......... "


Technology_solarenergy_img1
-----image : 上記サイトより

再生可能エネルギーの問題を解決する「溶融塩太陽熱発電」が稼働開始!-----Wired,2013.7.17

"..コストは非常に優れていて、kWhあたり8〜10セント.."

ENEA WebTV - Archimede Solar Energy celebra il primo impianto a sali fusi

(ENEANEWS,2013/07/11)

関連エントリー
千代田化工建設、イタリアの太陽熱受容チューブメーカーのArchimede Solar Energyに15%出資-----ソフトエネルギー、2012/10/19

イタリアのEnel エネル、太陽熱発電施設とガス-コンバインドサイクルの複合発電所、アルキメデス ARCHIMEDE をシチリアに完成-----ソフトエネルギー、2010/07/27


コメント続き

IEA、太陽電池(PV)と集光型太陽光発電システム(CSP)により、2050年には世界の20-25%の電力を得ることができるという試算を公開-----ソフトエネルギー、2010/06/23

 集光型太陽光発電システム(CSP)については、大きな潜在力が指摘され、赤道付近の国にとっては、大きな希望になっています。とはいえ、大きな投資が必要ということで、その普及にはクエスチョンがついた時期もありました。とはいえ、最近また注目されるようになっている印象もあります。


参考
集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP) / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2011/01/29

太陽熱発電 / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/12/15

-----Google GreenPost関連サイト内検索 : CSP-----

[ カテゴリー : 太陽熱利用 ]

・Wikipedia : Parabolic trough

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EUは、再生可能エネルギー実証プロジェクト合計23件に12億ユーロ(1400億円超)の助成を決定

 EU、欧州委員会(European Commission)は、昨年末に再生可能エネルギー実証プロジェクトに対して合計23件に12億ユーロの助成を決定しました。このプログラムの名前は NER300 funding programmeで、今回決定されたのはバイオマス(フィンランド、イタリア、ポルトガル、フランス、オランダ、スウェーデン[2件]、ドイツ、)、浮体式洋上風力発電(フランス、ポルトガル)、風力発電(スウェーデン、オーストリア)、太陽熱発電(キプロス、ギリシャ[2件]、スペイン)、スマートグリッド(ベルギー)、地熱発電(ハンガリー)、潮流発電(イギリス[2件])、波力発電(アイルランド)、洋上風力発電(ドイツ[2件])という内訳で、内容は調査、実証、新設・運用など様々な内容に対する助成となっています。(参考

 ちなみに、12億ユーロは、今日の参考レートでは、約1千400億円です。プロジェクト一件に対する助成の割合は50%。今回の第一回選定プロジェクトは、再生可能エネルギーに回ったが、第二回には、CCS(二酸化炭素回収貯留)技術に対して2億7500万ユーロが予定されています。

 この助成により、雇用が生まれ、産業が興り、ヨーロッパ全体の技術力の向上にもつながり、それがやがては輸出にもつながる。欧州の希望も感じる手当てだと思いました。


プレスリリース / European Commission(欧州委員会),18/12/2012
Climate action: Commission awards EUR 1.2 billion to kick-start 23 innovative

Dv791028
-----image : 関連記事より

"The European Commission today awarded over €1.2 billion funding to 23 highly innovative renewable energy demonstration projects under the first call for proposals for the so-called NER300 funding programme. Projects will be co-financed with revenues obtained from the sale of 200 million emission allowances from the new entrants' reserve (NER) of the EU Emissions Trading System.

The projects cover a wide range of renewable technologies - bioenergy (including advanced biofuels), concentrated solar power, geothermal power, wind, ocean energy and distributed renewable management (smart grids).
..........
Collectively, the award winning projects will engage several thousands of full-time workers during the construction phase (next 3-4 years). Once operational, about a thousand full-time workers will be engaged for the next 15-20 years to keep the installations running. Positive growth and employment effects are also intended along the supply chain feeding the sector.

NER300 funding will provide up to 50% of the 'relevant costs' of the project, a term in essence meaning the additional costs compared to existing, proven technologies; the rest will be covered by private investment and/or additional national funding. NER300 funding will be made available on an annual basis, based on proven performance (the amount of green energy produced) and the meeting of knowledge-sharing requirements.
.......... "

関連
European Commissio - Climate Action : NER300
/ Questions and Answers on the outcome of the first call for proposals under the NER300 programme(助成決定リストがここに掲載されています。*)
- NER300 - Large-scale Stirling dish power plants with solar to electric efficiency of over

*)当初、助成決定先をドラフト版を参照して書いてしまったので、以下のリストには、太陽熱関連のところと助成金額に混乱があります。暇を見て直します。正確な対象とリストは、上のQ&Aを参照してください。

NER300 - Finance for installations of innovative renewable energy technology and CCS in the EU / First call - Award Decision(NER300第一弾助成決定内容ドラフト版)

EU 再生可能エネルギー実証プロジェクト23件に12億ユーロの助成を決-----EICニュース、 2012.12.18

First call for proposals under the NER300 programme-----EU Business,20 December 2012

Renewables set to get bulk of NER300 funding-----EWEA, 21 Dec 2012

Four CSP projects awarded by EU with €203.3 M under the NER300 programme-----CSP World,19 December, 2012


コメント続き

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千代田化工建設、イタリアの太陽熱受容チューブメーカーのArchimede Solar Energyに15%出資

 千代田化工建設は、イタリアの太陽熱受容チューブメーカーであるアルキメデ・ソーラー・エナジー(Archimede Solar Energy : ASE)社に15%出資したと発表しました。アルキメデ・ソーラー・エナジー Archimede Solar Energy社(以下、ASE)は、溶融塩パラボリックトラフ型太陽熱発電(MSPT-CSP)用の核となる技術である溶融塩集熱管を製造できる世界で唯一のメーカーであるとのことです。ちなみに、残りのASEの株式の85%を保有しているのは、Angelantoni Groupです。

 千代田化工建設は、ASE社と共同で進めている高温溶融塩を熱媒とした次世代型太陽熱発電により、イタリア国内における再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を利用した太陽熱発電事業における展開を足がかりに、将来的には、中東と北アフリカを合わせたMENA地域への事業拡大を図るということです。

 溶融塩パラボリックトラフ型太陽熱発電(Molton Solt Palabolic Trough - Concentrating Solar Power : MSPT-CSP)という技術を使った発電所の情報については、2010年に5MWのアルキメデス ARCHIMEDE発電所を紹介した記事をアップしています。世界初のガス併用可となったこの5MWのアルキメデス ARCHIMEDE発電所にも、ASE社の技術は使われています。

イタリアのEnel エネル、太陽熱発電施設とガス-コンバインドサイクルの複合発電所、アルキメデス ARCHIMEDE をシチリアに完成-----ソフトエネルギー、2010/07/27

 溶融塩集熱管 Archimede Solar Receiver Tubeは、筒状の半円形の鏡により集められた太陽の光のエネルギーを照射される金属製の管です。内部を550度にまで加熱された溶融塩 Molton Solt が流れます。この溶融塩の循環サイクルにより、発電が連続して行われます。溶融塩 Molton Soltを利用するメリットとしては、タンクに熱エネルギーとして蓄えることができるので、効率化し均一的な発電状況jを維持できることです。

 こうした太陽のエネルギーを鏡やレンズで集めて、発電に利用する CSP : Concentrating Solar Powerについては、太陽光発電よりも効率がよく安価ということで大いに期待されている論調が2010年前後には見られましたが、ここにきてあめり目立たなくなりました。ということで、今後の新たなプロジェクトが開始された際にさらなる情報を集めたいと思います。


プレスリリース / 千代田化工建設、2012年10月15日
ニュース / 太陽熱エネルギー事業分野強化へ ASE 社に資本参加(PDF/123KB)

Foto_archi
-----image : Angelantoni Group : Archimede Solar Energyより

関連
Parabolic
-----image :上下とも、Archimede Solar Energy : Parabolic troughより-----
Parabolic_trough1

 そして、太陽熱受容チューブとは、太陽熱発電所で使われるこんなパーツなのです。

Tecnologia
-----image(”Archimede Solar Receiver Tube - HEMS11”) : Archimede Solar Energy : Archimede Solar Receiver Tube - HEMS11より

- Archimede Solar Energy : Archimede Power Plant – ENEL - Priolo Gargallo (SR)

Enel6
-----image[上下とも”Archimede Power Plant – ENEL - Priolo Gargallo (SR)”] : 上記サイトより-----
Priolo2_b
(上は、太陽熱発電施設とガス-コンバインドサイクルの複合発電。そのシステム概念図となります。)

Chiyoda and Archimede Solar Energy Sign Cooperation Agreement to Develop CSP Plant Projects in MENA Region-----Chiyoda Corporation,June 20, 2011


追加情報
千代田化工、伊Archimede Solar Energyと共同で、溶融塩トラフ型太陽熱発電デモンストレーションプラントを建設-----ソフトエネルギー、2013/07/23


参考
集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP) / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2011/01/29

太陽熱発電 / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/12/15

IEA、太陽電池(PV)と集光型太陽光発電システム(CSP)により、2050年には世界の20-25%の電力を得ることができるという試算を公開-----ソフトエネルギー、2010/06/23

-----Google GreenPost関連サイト内検索 : CSP-----

[ カテゴリー : 太陽熱利用 ]

・Wikipedia : Parabolic trough


おすすめエントリー
週刊GreenPost 44号 - しなやかな技術研究会 2012/10/15-19日版

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欧州風力エネルギー協会(EWEA)、EU圏の風力の設備容量が累計100GWに達したと発表

  欧州風力エネルギー協会 European Wind Energy Association(EWEA)がまとめたところによると、EU圏の風力の設備容量が累計100GWに達したととのことです。同時に公開されたグラフを見ると、1995年の統計開始から、累計50GWに達するまで、2007年までの、12年が必要であったのに、残りの50GWを積み増すのにたった、5年しかかかっていないことがわかります。風車も大型化し、効率よく配置できるようになったことがわかります。

 100GWは、日本的表現では容量1億キロワットに相当し、5700万世帯分の電力消費量をまかなうことができるとのことです。仮に1基を2.5MWとすると4000基に相当します。また、原子炉の39基分、石炭火力発電所62基分、ガス火力発電所にして52基分に相当するそうです。

 また同時に公開された、トップ10の風力発電所ランキングリストでは、

No.1 Fantanele and Cogealac(Romania) 600MW(GE 2.5MW機*240基)
No.2 Whitelee(UK) 539MW(Siemens 2.5MW機*215基)
No.3 Viking(UK) 371MW(Siemens 3.6MW機*103基)

 となどが発表されました。リーマニアにあるFantanele and Cogealac風力発電所が地上としては、最大規模と初めて知りました。


プレスリリース / European Wind Energy Association(EWEA),27 September 2012
EU reaches 100 GW wind power milestone

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-----image(”Cumulative wind power installations in the EU (GW)”) : 同リリースより

"The European Union has passed the milestone of 100 gigawatt (GW) of installed wind power capacity, according to the European Wind Energy Association (EWEA).
100 GW of wind power can generate electricity over a year to meet the total consumption of 57 million households, equivalent to the power production of 39 nuclear power plants.
It took the European wind energy sector some twenty years to get the first 10 GW grid connected. It only needed 13 years to add an additional 90 GW. Half of the total European wind power capacity has been installed over the past six years.

"It would require burning 72 million tonnes of coal annually in coal fired power plants to match Europe's annual wind energy production. Loading that amount of coal on trains would require 750,000 wagons with a combined length of 11,500 kilometres - the distance from Brussels to Buenos Aires, Argentina," said Christian Kjaer, CEO of EWEA.

"Despite only utilising a tiny fraction of Europe's vast domestic wind energy resources, wind power is having a substantial impact on Europe's energy security and environment, and benefits us hugely in creating green jobs and technology exports", said Kjaer.

Recent wind turbine installations contributing to the 100 GW milestone include:

•Anholt offshore wind farm, 400 MW developed by DONG off the coast of Denmark;
•Linowo, 48 MW developed by EDF Energies Nouvelles Polska in Poland;
•Ausumgaard, 12 MW developed by a private landowner in Denmark (west Jutland);
•Akoumia, 7.2 MW developed by Greek power company PPCR on the island of Crete.

For a list of Europe's largest onshore wind farms see here.
[ http://www.ewea.org/fileadmin/ewea_documents/
documents/publications/statistics/
Ten_biggest_wind_farms_in_Europe.pdf ]

2012_ten_biggest_eu_windfarms
-----image(”a list of Europe's largest onshore wind farms”) : 同リリースより
..........
100 GW of wind power can produce the same amount of electricity over a year as:

• 62 coal power plants, or
• 39 nuclear power plants, or
• 52 gas power plants.

To produce the same amount of electricity as 100 GW of wind turbines in a year you would have to:

• Mine, transport and burn 72 million tonnes of coal, at a cost of €4,983 million, and emit 219.5 Mt of CO2, or
• Extract, transport and burn 42.4 million cubic meters of gas, at a cost of €7,537 million, and emit 97.8 Mt of CO2.
.......... "

関連
EU reaches 100 GW wind power milestone----- Global Wind Energy Council(GWEC),27 September 2012

EU風力発電、容量1億キロワットに-----日本経済新聞、2012/9/27


参考エントリー
米オレゴン州に日本企業も参画し845MWのShepherds Flat風力発電所が完成-----ソフトエネルギー、2012/09/26

世界風力エネルギー協会 GWEC、リポート Global Wind Statistics 2011 を公開。全世界では、+21%-----ソフトエネルギー、2012/02/13


おすすめエントリー
週刊GreenPost 42号 - しなやかな技術研究会 2012/10/1-5日版

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デザーテック DESERTEC、2016年にチェニジアの2GW集光型太陽熱発電(CSP)で発電し、高圧直流送電線(HVDC)でイタリアに送電する計画を発表

 北アフリカの地中海沿岸国で再生可能エネルギーを使って発電した電力を、高い効率の送電網も整備し、ヨーロッパに電力を送ろうとする壮大な計画を推進するデザーテック DESERTEC Foundation が具体的なタイムスケジュールを発表しました。

デザーテック DESERTEC がヨーロッパでいよいよ始動。エネルギーは、北は洋上風車から、南は地中海を超えて砂漠からやってくる!-----ソフトエネルギー、2010/01/28

 デザーテック DESERTEC Foundationが最初に選んだ国は、チェニジア Tunisia。地中海に面し、西でアルジェリア、東にリビアと接する、昨年のジャスミン革命で世界から注目された国です。そして、選ばれた技術は、ここ数年で大きく進歩と実績を積んだ集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP)と効率良く長距離を送電することができるとされる高圧直流送電線(HVDC)です。集光型太陽熱発電(CSP)は、825,000枚の太陽を自動追尾し集光する鏡(ヘリオスタット)で中央のタワーに太陽のエネルギーを集めるもので、出力は2GWだということです。このプロジェクト名「TuNur」は、2014年から開始され、2016年からヨーロッパの700,000の家庭に電力を供給する計画だということです。

 この遠大な計画の成功を占うもうひとつの要素は、おそらくこの計画により、チェニジアの国民が受け取ることが計画されている、新しい産業、新しい仕事、賃金が実際に同国の国民を潤し、計画が歓迎されるものとなるかということです。これを成功させ、さらに北アフリカの他の国や地域へと再生可能エネルギーの発電ネットワークを広げていきたいと考えるデザーテック DESERTEC Foundationにとっては、最大の課題といえるかもしれません。

プレスリリース / DESERTEC Foundation,24Jun.2012
Tunisian Sun Will Light European Homes by 2016

Desertec2012slide03
-----image : 同リリースより「As part of the project, a new High-Voltage Direct Current (HVDC) low loss transmission line is to be laid across the Mediterranean seabed, linking North Africa to Europe. Electricity will be carried from Tunisia to Italy and onwards into Europe, enabling TuNur to deliver electricity to power up to 700 000 European homes on demand day and night.- Image source: DESERTEC Foundation」

" In the sands of North Africa, the DESERTEC Foundation’s vision for a future where the world's deserts supply clean and sustainable energy to the whole of humankind is beginning to take shape. That future begins in the Saharan deserts of Tunisia with a project called "TuNur".

Using thousands of mirrors to track the Tunisian sun to use its heat to generate electricity, the TuNur Concentrating Solar-thermal Power (CSP) plants will ultimately produce 2 Gigawatts of electricity, roughly double the average nuclear power plant. Project developer Nur Energie and its Tunisian partners, led by Top Oilfield Services, plan to construct the project in several phases. The first phase is expected to begin in 2014 and the first electricity exports are set to reach Europe by 2016 via a new low-loss transmission line to Italy. The project has been designed to reduce water requirements to a bare minimum by using a dry, air-based cooling system.

The DESERTEC Foundation is endorsing TuNur and believes that it can serve as a blueprint for the development of further wind and solar projects in the Sahara. The reasons for this are:

The project will focus on maximizing local value creation in Tunisia. It provides the country with the opportunity to begin building a new industrial sector, bringing investment, jobs, and thus economic development. Investment will mainly benefit the southern and interior parts of the country, which look set to become a priority area for development for the Tunisian government. The number of jobs created directly and indirectly over the project’s construction and operational period will come to around 20,000. As well as relying on local partners and management for project development and local engineering firms, the project will also create new manufacturing industries. For example, around 825,000 flat plate mirrors and steel structures known as heliostats will be needed for the 2 Gigawatt project and can be manufactured locally.

TuNur demonstrates DESERTEC’s conviction that investing in renewables where those energy sources are most abundant is the most effective way of protecting the climate. In Tunisia, space is more abundant and the solar radiation is up to three times that of Central Europe. Plants built in such optimal locations produce more electricity and have the potential to replace more conventional, carbon-intensive forms of power. TuNur can provide predictable power production to electricity grids with fluctuating energy sources such as photovoltaic and wind power. Using heat storage tanks, TuNur can produce electricity on demand day and night, delivering enough clean electricity to power 700 000 European homes. TuNur could also supply Tunisians with electricity in the future and is open to discussions about feeding electricity from the TuNur project into the Tunisian grid. At the moment, Tunisian law prevents any company other than state electricity supplier from selling electricity in the country.

Desertech2012slide06
-----image : 同リリースより「The TuNur project will transmit clean and inexhaustible energy from the heart of the desert to European homes whilst, at the same time, bringing jobs, economic development, and export
revenue to Tunisia. TuNur is going to be the blueprint for projects to come. - Image source: BrightSource」
.......... "

関連
・Wikipadia : チェニジア-----ジャスミン革命

DESERTEC Foundation: The TuNur Project -- Tunisian sun will light European homes by 2016

(DESERTECChannel,2012/01/24)

PROSOL and Desertec Seek Green Energy Future for Tunisia-----Tunisia Live,08 November 2011

"..........
DESERTEC, the world’s most ambitious solar power project, will start building its first power plant next year, a 500-megawatt (MW) facility in Morocco costing up to 2 billion euros ($2.8 billion). The first phase of the 12-square-kilometre Moroccan complex will be a 150-MW facility costing up to 600 million euros that will take two to four years to build.

Tunisian has joined the DESERTEC project. According to Bernd Utz, the head of the Project Desertec Initiative of the Renewable Energy Division within Siemens, Tunisia is the leader among the countries bordering the Sahara to take advantage of the project and will provide significant contributions in terms of skills.
.......... "

Desertec: Tunisia or Morocco? Foundation or Dii?-----solarnovus.com,13 FEBRUARY 2012-----(参考- April 2011 Masen (Moroccan Agency for Solar Energy) and the industrial consortium Dii agree on a co-operation project)

追加情報
Asian Super Grid For Renewable Energies Desertec Foundation Signs Memorandum Of Understanding-----DESERTEC Foundation,10 March 2012

ソフトバンク、モンゴルで風力発電 韓国公社などと-----日本経済新聞、2012/3/10

"..ソフトバンクは10日、モンゴルで風力発電事業を開始するため、モンゴルの投資会社ニューコムや韓国電力公社と建設事業の推進で基本合意したと発表.."

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三洋電機のHITパネル採用のイタリアの約7.6MWの自動追尾架台式大規模太陽光発電所、完成

 昨年5月、三洋電機がイタリアのメガソーラーに太陽電池を供給したニュースをお伝えしました。このほど、この約7.6MWの自動追尾架台式 - Open land, single-axis tracker - の大規模太陽光発電所が完成したということです。

三洋電機、イタリアの約7.6MWの大規模太陽光発電所に自動追尾架台とハニカム構造セル採用太陽電池を納品へ-----ソフトエネルギー、2010/05/27

 上の記事でもふれましたが、このシステムは、ドイツ銀行が主催する投資家によるコンソーシアムが建設するもので、三洋電機のHITパネルが採用された理由は、三洋電機が欧州での生産拠点(ハンガリー)をもつこと、さらには同工場で生産されるハニカム構造のセルを採用した最新の1枚235Wpの太陽電池が高い性能評価を受けたことによるということです。欧州では、ドイツが資金調達し、日射条件のいい場所--今回はイタリアイ南東部のプーリア州 ブリンディジ県--に太陽光発電所を建設するという形での開発も普通に行われているようです。今回のプロジェクトを主宰するドイツ銀行がかかわっている太陽光発電所建設プロジェクトの総合計容量は、世界50プロジェクトで85MWに達するということです。

 リリースによれば、トラッキング(太陽追尾の駆動式架台)採用のの太陽光発電所としては、欧州最大規模ということです。写真が公開されています。壮観です。大規模な基礎なしに、これだけの(25平方メートルの太陽電池取付面積)の太陽電池を取り付けることができることにもびっくりです。

プレスリリース / 三洋電機、2011年07月01日
イタリア南東部に大規模太陽光発電所が完成
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-----image(”完成した大規模太陽光発電所”) : 同リリースより-----
Sanyo110701_hit235hde4_1w640

" HIT(R) 太陽電池モジュール搭載システムとして世界最大

三洋電機のHIT(R) 太陽電池が採用された、イタリア南東部(プーリア州 ブリンディジ県)の大規模太陽光発電所が、このほど、完成しました。
本大規模太陽光発電所は、高い発電効率を持つHITR太陽電池モジュール(HIT-235HDE4)が32,202枚搭載(約7.6MW分)された、HITR太陽電池の納入案件としては、世界最大のシステムとなります。また、発電量を増大させるためにトラッキング(太陽追尾の駆動式架台)が設置されており、トラッキングシステムの太陽光発電所としては、欧州最大規模を誇ります。
この太陽光発電所建設プロジェクトは、ドイツ銀行資産運用部門が主導するコンソーシアムにより実現したもので、長期の投資効果を重視し、HITR太陽電池の設置面積当たりの発電量の多さと品質の高さが、採用の決め手となりました。発電効率の高さから小・中規模システムを中心に強い競争力を誇るHITR太陽電池が、今回の大規模太陽光発電所に採用されたことで、大規模システムにおいてもHITR太陽電池に優位性のあることが認められたことになります。
.......... "

関連
Deutsche Bank facilitates the construction of a large photovoltaic power plant in southern Italy-----Deutsche Bank,June 29, 2011

" Deutsche Bank, together with the companies EST ? Energie & Solar Technik GmbH, dean Solar GmbH and Sanyo, today officially celebrated the start of operations of one of the largest photovoltaic power plants in Italy in the presence of all the project participants and numerous representatives from Italian politics and society. The photovoltaic project in Torre Santa Susanna (in the region of Apulia) has a capacity of 7.56 megawatts which is equivalent to the electricity consumption of 3,300 four-person households.
.......... "

Deutsche Bank facilitates construction of a large photovoltaic power plant in southern Italy-----Solar Server,2011-07-01

BIZ BRIEF: Sanyo heralds completion of tracking solar plant in Italy-----asahi.com,2011/07/02

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イタリア、国民投票で原発再開に否。94.61%が脱原発を支持し確定。投票率は、56.75%

 イタリアで原発再開を目指していたベルルスコーニ首相に対して、国民投票の結果が出て、投票した人の実に94.61パーセントが原発再開に否をつきつけて、脱原発路線は堅持されることになりました。50%以上で国民投票は成立するということでしたが、投票率は、56.75%に達したということです。

 質問は、「核エネルギーの利用を許す新しい法律の廃止について」あなたは賛成ですか? 反対ですか?

 ”Abrogazione delle nuove norme che consentono la produzione nel territorio di energia elettrica nucleare

Ref03
-----image : 投票用紙、上記サイトより

 賛成 94.61パーセント 反対 5.39パーセント(投票率 56.78パーセント)

関連
Ministero dell'Interno : Referendum del 12 e 13 giugno 2011

イタリア、脱原発を選択=福島事故後で初、9割超が反対-国民投票-----時事ドットコム、2011/06/14

Italy renewable shares boosted by nuclear vote-----Reuters,Jun 13, 2011

Nuclear Power: Italy a unique case-----eronews,2011/05/12

 これにより、3.11の福島原子力発電所の事故以来、欧州での脱原発への動きは、スイス、ドイツ、そしてイタリアへと広がってきました。

参考エントリー
ドイツ、全原発廃止を閣議決定。7月の上下院審議でも通過の見通し-----ソフトエネルギー、2011/06/07

スイス、稼動中の5つの原子力発電所を更新せず順次廃炉へ。新設もなし、2034年までに脱原発の方針を決めた-----ソフトエネルギー、2011/05/31

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シャープ、イタリア現地合弁会社初となる5MWの太陽光発電所を建設。欧州、中東、アフリカへの展開を強化

 シャープは、イタリアのエネル・グリーン・パワー社と設立したの現地合弁会社Enel Green Power & Sharp Solar Energy S.r.l.(ESSE)による、初めての5MWの太陽光発電所を建設したことを発表しました。同ESSE社により、欧州、中東、アフリカへの足がかりを得、2016年末までに累計500MW以上の太陽光発電プロジェクトを推進するということです。

 建設された、南イタリアのカラブリア州アルトモンテ市セラジュメンタ地区の景色はこんな感じ(Googleマップリンク:地点までは特定できてません)です。

 シャープ関連の最近のクリッピングには、下のようなものがありました。年500MW体制へ拡張中です。

・Twitter : シャープ、英ソーラーパネル工場の能力を2倍近くに拡張へ-----Reuters http://bit.ly/firDpI "300人の雇用が創出..500メガワットに拡張" #renewsolar #pv #sharp

プレスリリース / シャープ、
シャープおよびエネル・グリーン・パワー社による南イタリアにおける太陽光発電所の建設完工について-----Sharp and Enel Green Power Complete Construction of Power Generation Plant in Southern Italy January 20, 2011

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-----image : 同リリースより

" シャープおよびエネル・グリーン・パワー社※1(以下、EGP)が2010年7月に設立した太陽光独立発電事業(IPP※2)の合弁会社「Enel Green Power & Sharp Solar Energy S.r.l.(以下、ESSE)」が手掛ける太陽光発電所の第一号案件が、この度南イタリアのカラブリア州アルトモンテ市セラジュメンタ地区において建設完工しましたので、お知らせいたします。

 今回建設完工した太陽光発電所の太陽電池の設置容量は5MW(シャープ製単結晶太陽電池モジュールを使用)、年間予測発電量は、イタリアの一般的な家庭の年間消費電力量の約2,800世帯分に相当する年間750万kWhです。また、これにより、年間5,800tの二酸化炭素排出量と化石燃料約630tを削減することになります。

 なお、ESSEは、今後2016年末までに累計500MW以上の規模となる複数の太陽光発電所の建設を予定しています。当社、EGP、STマイクロエレクトロニクス社※3の3社が推進している薄膜太陽電池の生産事業について、2011年後半から生産工場の稼動開始を予定していることから、工場稼動以降は、主に本工場で生産される薄膜太陽電池を使用し、地中海地域を中心に、欧州、中東、アフリカで発電事業を展開してまいります。

※1 イタリア最大の電力会社エネル社のグループ会社。イタリアおよび世界各国の再生可能エネルギーの発電事業を展開している。

※2 IPP(INDEPENDENT POWER PRODUCER)とは、発電施設を設置して発電した電気を販売すること。

※3 欧州を代表する半導体メーカー。1987年に設立。

<太陽光発電所の概要>
■ 事業主:Enel Green Power & Sharp Solar Energy S.r.l
■ 所在地:イタリア共和国カラブリア州アルトモンテ市セラジュメンタ地区
■ 設置容量:5MW
■ 設置面積:12ha
<Enel Green Power & Sharp Solar Energy S.r.l. の概要>
■ 社名:Enel Green Power & Sharp Solar Energy S.r.l.
■ 所在地:イタリア共和国ラツィオ州ローマ市
■ 設立日:2010年7月22日
■ 出資比率:EGP 50%、シャープ 40%、シャープエレクトロニクスイタリア※4 10%
■ 事業内容:太陽光発電所の設計、建設、運営
■ 発電所予定地:地中海地域を中心とした欧州、中東、アフリカ
■ 発電所規模:2016年末までに累計500MW以上

110120a_1
-----image : 同リリースより(Googleマップ
.......... "

関連
ENEL GREEN POWER AND SHARP COMPLETE THE SERRAGIUMENTA PHOTOVOLTAIC PLANT IN CALABRIA-----ENEL GREEN POWER,January 20th, 2011

シャープ、イタリアEnel greenpowerなどと薄膜太陽電池の生産事業および地中海における太陽光発電事業の合弁会社設立の契約締結へ-----ソフトエネルギー、2010/01/06

追加情報
シャープ、イタリア現地合弁会社で5ヶ所の合計約14.4MWの大規模太陽光発電所を稼動-----再生可能エネルギー GreenPost、2012-04-12

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