東芝、CO2から燃料。人工光合成技術で飛躍か!?

 日本経済新聞が、「東芝 人工光合成、世界最高の変換効率1.5%達成  20年めど実用化」と報じました。

 記事によると、半導体と金の触媒を組み合わせ、そこに太陽光を当てると水から酸素と水素イオンが発生し、この水素イオンと二酸化炭素から一酸化炭素を得ることができるという。この還元された一酸化炭素からは、既存の処理でメタノールなどの燃料を作ることができる。
 今回達成された世界最高の変換効率と表現された1.5%という数字は、これまで最高とされている、パナソニックの窒化物半導体の光電極による人工光合成の数字0.3%を大幅に上回る。さらに記事では、この数字は植物の藻類に匹敵するという。
 本当なら、すごいな。こうした技術は2020年代に実用化を探るとされてきた技術。少なくとも数年、高く評価すれば、10年以上スケジュールを前倒しする展望をもたらすものになるのかもしれない。
 詳細は、淡路市で24日から開催される人工光合成国際会議2014での報告で明らかになる模様。

関連
東芝 人工光合成、世界最高の変換効率1.5%達成 ~20年めど実用化-----日経スマートシティコンソーシアム、2014/11/21(日本経済新聞 電子版)

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東芝が開発した技術は、半導体と金の触媒を組み合わせた。半導体に太陽光を当てて水から酸素と水素イオンをつくり、触媒でCO2と水素イオンから一酸化炭素(CO)を得る。COを処理すればメタノールなどの燃料が作れるという。太陽光エネルギーを燃料エネルギーに変換する効率は1.5%で植物の藻類に匹敵する。これまではパナソニックの電子材料が0.3%で最高だった。

 実用化には10%の変換効率が必要だが、東芝は改良を進めれば実現できるという。長期間使っても効率を保つよう耐久性も克服する。成果は24~28日に兵庫県淡路市で開く人工光合成の国際学会で発表する。
.......... "

CO2をエネルギーに! 東芝「人工光合成」の大望-----矢来町ぐるり、2014/11/26

"..........「私どもは半導体と、ナノ技術で加工した金の触媒とを組み合わせました。半導体はアモルファスシリコンで、通常の太陽光電池として使われているものです。半導体で太陽光エネルギーから変換した電気エネルギーを使い、ナノ金触媒でCO2を一酸化炭素(CO)に還元するのです」(東芝)
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「火力発電施設や工場で発生するCO2を、エネルギーに変えていくことを想定しており、そのためには変換効率が10%は必要だと考えています。今後はさらに効率を高め、長期間CO生成を行なっても効率が落ちないような方法を開発していきます」(同)

 効率10%となると、自然を大きく超える数値。東芝はこれを2020年をメドに実用化するという――。
(週刊新潮 2014年12月4日号 掲載)
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追加情報
世界で最も効率よく人工光合成 東芝が技術発表-----NHK、11月27日

"..........
東芝が開発した技術は
 東芝が開発した技術は、まず水の中に入れた特殊な半導体に太陽光を当てることで水を酸素と水素イオンに分解し、電子を取り出します。
 次に、この電子のエネルギーを使って、二酸化炭素を表面加工を施した金の触媒で一酸化炭素に変換する仕組みです。
 こちらの映像は、東芝の実験のうち、二酸化炭素を金の触媒で一酸化炭素に変換するところを撮影したものです。
 金色の触媒の表面から出ている泡が一酸化炭素です。
 東芝によりますと、従来の技術では太陽光を利用するのに酸化チタンなどの材料を使っていました。
 しかし、これらの材料では太陽光エネルギーのうち紫外線しか利用できないため、エネルギーへの変換効率を高めることが難しかったというこです。
 このため東芝は、今回、シリコンやゲルマニウムを重ね合わせた特殊な半導体を使うことで、紫外線以外の可視光も含めて、太陽光をより効率よく活用できるようになったとしています。
さらに、表面に微細な加工を施した金の触媒を使うことで化学反応を促進させ、二酸化炭素を一酸化炭素にする効率も高めたということです。
この結果、太陽光エネルギーを燃料の原料になる一酸化炭素に変換する効率は、藻類に匹敵する水準の1.5%に達したということです。
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"P5-08 Solar-to-CO conversion efficiency by wired PV cell system with cobalt oxide and gold nanoparticles catalysts Yoshitsune SUGANO, Akihiko ONO, Ryota KITAGAWA, Jun TAMURA, Yuki KUDO, Eishi TSUTSUMI, Masakazu YAMAGIWA, Satoshi MIKOSHIBA (Toshiba Corporation) "-----「ICARP2014 List of Poster Presentation(PDF)」より


参考エントリー
パナソニック、植物並み高効率0.2%の人工光合成をシステムを開発-----ソフトエネルギー、2012/07/31


コメント続き
 東芝からの正式の一般向けリリースがまだないようなので、今後の情報を待つしかないが、この技術は、コストと効率しだいで、水素の製造方法としても当然注目されるわけです。MITが太陽エネルギーと触媒により水素を得るという研究が、世界のエネルギー、特に個人住宅のありかたを一変させるだろうという予測を出して注目されたことがあります。その時の期待感にも似たものを味わった、東芝の発表でした。

参考
・Twilog @greenpost : 光合成

・東京工業大学太陽光によって炭酸ガスを資源化する

"要約
 本学理工学研究科化学専攻の石谷治教授を中心とする研究グループは,太陽光を利用して炭酸ガス(二酸化炭素)を効率良く一酸化炭素に変える技術を開発した.二酸化炭素は工業的に利用することが難しいのに対し,一酸化炭素は化学工業の原料となる.地球温暖化ガスである二酸化炭素を減らすとともに,化石燃料の枯渇によるエネルギーや炭素資源不足を補うことを狙った研究の一環である.
.......... "

- Light-harvesting: Mimicking photosynthesis with man-made leaves-----Tokyo Institute of Technolog,November 14, 2014

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AWEAのリポート、アメリカの2012年度の風力の実績は、単年度13,124 MW、累積では60GWに

 米国風力協会(AMERICAN WIND ENERGY ASSOCIATION, AWEA)は、2012年度の全体の実績を含む、報告書、Wind Industry Fourth Quarter 2012 Market Reportを公開しました。

 2012年度のアメリカ合衆国の風力発電の導入実績は、13,124 MWで、単年度としては最大の実績となったとのことです。大統領選挙とエネルギー政策の行方をにらんでの年度内のかけこみ設置ということがあったようなので、今年度以降の数字も気になるところです。4期目が8,380 MWですから、どんな勢いであったのかが数字でもわかります。

 そして、驚くべきことに累積では60GW(60,000MW)に達したそうです。ちょっと前の記録で、2009年度の単年度が10,000 MW(10GW)、累積が35GW(35,000MW)だったことを考えると、3年でこれだけ積み上げることができたことに感心しました。
 この間、政治的にもさまざまなことがありましたが、ペースをまもり積み上げてきたこの取り組みが、評価されはじめています。
 これでアメリカ合衆国の風力発電機の数は45,100機となり、1470万世帯分の電力を供給することができます。この電力は、14基の原子力発電所か、53基の石炭火力発電所に相当する電力の供給力を意味するとのことです。


AWEA Releases 4Q 2012 Results----AMERICAN WIND ENERGY ASSOCIATION(AWEA),January 30, 2013

Awea2012q4reportcover
-----image : AWEA U.S. Wind Industry Market Reports / Fourth Quarter(Executive Summary of the AWEA U.S Wind Industry Fourth Quarter 2012 Market Report,PDF)カバー

"AWEA releases the AWEA U.S. Wind Industry Fourth Quarter 2012 Market Report, including fourth quarter and year end results on January 30, 2013. .......... The complete AWEA U.S. Wind Industry Fourth Quarter 2012 Market Report will include: Installed U.S. wind capacity through 2012, by state New U.S. wind capacity installed during 2012, by state A list of all wind projects completed during 2012 Wind projects under construction Project details of turbine manufacturer, power offtaker, project developer and owner Map of all U.S. wind projects All PPAs and requests for proposals (RFPs) signed or released during the year Analysis and breakdown of power off-take agreements .......... "

関連
AWEA U.S. Wind Industry Market Reports / Fourth Quarter(Executive Summary of the AWEA U.S Wind Industry Fourth Quarter 2012 Market Report,PDF)

"Contents
Summary 3
Reaching 60 GW 4
U.S. Annual and Cumulative Wind Power Growth 5
U.S. Wind Power Capacity Installations by Quarter 6
U.S. Wind Power Capacity Installations, Top States 7
U.S. Wind Power Capacity Installations by State 8
Wind Project Locations 9
Wind Power Capacity Under Construction"

Awea2012q4reportus_wind_power_capac
-----image :「Executive Summary of the AWEA U.S Wind Industry Fourth Quarter 2012 Market Report」からU.S. Wind Power Capacity Growth

Awea2012q4reportus_wind_power_cap_2
-----image :「Executive Summary of the AWEA U.S Wind Industry Fourth Quarter 2012 Market Report」からU.S. Wind Power Capacity Installations, Top 20 States


A Record Year for the American Wind Industry-----Energy.Gov,January 31, 2013

Wind energy top source for new generation in 2012; American wind power installed new record of 13,124 MW-----GWEC, January 30, 2013

AWEA、2009年風力発電産業に関するリポートを公開。それでも加速するアメリカの風力発電-----ソフトエネルギー、2010/04/27


初出
週刊GreenPost 58号 2013/1/28-2/1日版 しなやかな技術研究会 p.2


コメント続き
 オバマ政権で再生可能エネルギーを含むエネルギーの可能性を追求していたスティーブン・チューエネルギー省長官が政治的な責任を取る形で辞任することが発表されました。わかりやすい政策を発表する人だったので、残念な気がします。オバマ政権で次のエネルギー長官がだれになるのか? 他人の国ながら、そんなことが気になります。日本もそんな政治家、人に興味がわくような方が大臣に座ってくれる日は、いつくるのかな、、、

Letter from Secretary Steven Chu to Energy Department Employees Announcing His Decision Not to Serve a Second Term -----Energy.Gov、February 1, 2013

 アメリカの風力エネルギー業界については、昨年末には連邦生産税控除が期限切れを迎える危機が報じられたが、1月1日にはホワイトハウスがきっちりと延長を確約。1月初旬には、延長問題が決着した。

What You Need to Know About the Bipartisan Tax Agreement-----The White House,January 1, 2013.

 この補助制度が延長されたことで、アメリカの風力発電の終焉とまで言われた問題に決着がつき、いまではこれまで同様、それ以上の発展を期待する状況になっています。

 日本と比べてとなると、人口比、面積、ポテンシャル比と並べるのが正当な比較に思えますが、、、。とりあえずの数字としては、累積導入量では、1,887基 431発電所で設備容量は、2,614MW。つまり2.6GW強。単年度実績としては、2012年1月-12月の単年導入量は、32基12発電所で78MW(7.8万kW)という数字があがっています。累積もですが、2012年の単年度の比較なんかみると圧倒的な差ですね。

2012年単年度風力発電機導入実績比では、実に168倍。%では、0.59%となります。

 アメリカ合衆国 : 日本 = 13,124 MW : 78MW

 条件が違うので単純な比較では話にはなりませんが、資源国アメリカが再生可能エネルギーにかける力が、圧倒的に日本とは違っている、という認識はもつ必要があるのではないでしょうか。


参考
・Wikipedia : スティーブン・チュー

Renewable Energy Tax Credits Extended-----EERE News,January 09, 2013

Facing expiring tax credit, wind industry posts record year-----The HIll, 01/30/13

日本風力発電協会は、2012年末風力発電導入実績(3月末年度末推定値)などを発表しました-----ソフトエネルギー、2013/01/09

"..2012年12月末の導入実績は、累積導入量では、1,887基 431発電所で設備容量は、2,614MW..2012年1月-12月の単年導入量は、 32基 12発電所で78MW(7.8万kW)となりました。例年の新設比で約30%と低調となったとのことです。.."


おすすめエントリー
週刊GreenPost 59号 2013/2/4-8日版 しなやかな技術研究会

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豊田工業大学、太陽光発電を中心に新エネルギーを総合的に研究する「スマートエネルギー技術研究センター」を設立

 トヨタ自動車が1981年に設立した社会人大学である豊田工業大学は、太陽光発電を中心に新エネルギーの生成から変換、貯蔵、制御に関する技術を総合的に研究する「スマートエネルギー技術研究センター」を設立したと発表しました。
 これまでに、NEDO等の事業などにより培ってきた超高効率太陽電池、超薄型結晶シリコン太陽電池などを研究開発を核として、エネルギーの『生成』『変換』 『貯蔵』 『制御』に関する統合的研究に取り組むということで、生成分野では、半導体研究室、量子界面物性研究室を、変換・貯蔵分野としては、表面科学研究室、電磁システム研究室、機械システム分野研究室を設置。さらに、制御分野の制御システム研究室という6分野が発表になりました。

研究分野と研究課題:

生成分野として、
・超薄型結晶シリコン太陽電池・材料の研究開発(半導体研究室)
・高効率集光型太陽電池・材料の研究開発(半導体研究室)
・次世代太陽電池・材料の研究開発(量子界面物性研究室)
・太陽光を用いた水分解光触媒の開発(量子界面物性研究室)

変換・貯蔵分野として、
・高効率電池開発に向けた電極触媒素材の微視的研究(表面科学研究室)
・半導体・磁性材料の融合による電力貯蔵・変換技術(電磁システム研究室)
・エネルギー高効率利用のための熱解析・熱設計(機械システム分野研究室[熱エネルギーシステム])

制御分野として、
・次世代型Beowulfクラスタ計算機による電力ネットワークの制御系設計(制御システム研究室)

 さらに、学内の関係研究室のみならず、産業界および海外機関との連携・協力体制も取りつつ実戦的な研究を推進していくということです。

 次代のエネルギー関連技術を担う研究機関としての活躍を期待しております!
 

プレスリリース / 豊田工業大学、2012/11/14
ニュース一覧 / 11月14日 スマートエネルギー技術研究センター設立(TTI プレスリリース vol.139 2012 年 11 月 13 日, PDF)

Toyotaticlean_energyins2
----image(”◇研究組織 ”) : 同リリースより

"スマートエネルギー技術研究センター設立
~エネルギーの『生成・変換・貯蔵・制御』に関する統合的研究~

 学校法人トヨタ学園 豊田工業大学(略)では、本学の次世代構想具体化 の一環として『クリーンエネルギー』の有効活用をめざした『スマートエネルギー技術研究センター』(センター長:山口真史 特任教授)を設立いたしました。
 これまでに、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等の事業などにより培ってきた超高効率太陽電池、超薄型結晶シリコン太陽電池などを研究開発を核として、エネルギーの『生成』『変換』 『貯蔵』 『制御』に関する統合的研究に取り組むものです。
 研究の推進にあたっては、学内の関係研究室のみならず、産業界および海外機関との連携・協力体制も取りつつ研究を推進するものです。

◇研究目的:
 次代を担う太陽エネルギーを中心に統合的研究の推進による新産業の創製、新たな社会基盤の構築、低炭素社会実現を通じて人類文明の維持発展への貢献をめざす。

◇研究センター設立の意義と独自性:
1)太陽エネルギーをはじめとする新エネルギーの生成から変換・貯蔵、制御までを統合的に研究
2)超高効率の追究、実用太陽電池の開発
3)共同研究センターとしての産官学および海外機関との連携
4)若手研究者等の人材育成
..........
◇ 研究分野と研究課題:


Toyotaticlean_energyinssub1
-----image : 上下とも、同リリースから-----

Toyotaticlean_energyinssub2
.......... "

関連
豊田工業大学 : 教育プログラム

豊田工大、太陽光発電核に新エネルギーの総合研究拠点-----日本経済新聞、2012/11/13

"太陽電池では京セラや三菱電機、パナソニック、トヨタ自動車、大同特殊鋼など、エネルギーの利用・制御ではNTTや東芝などと共同研究する。"


参考
日経Automotive Technology 2011年11月号 Cover Story トヨタが電力事業者になる日-----日経Tech-On!、2011/09/29

-----GoogleでGreenPost関連サイトを横断検索 : トヨタ 太陽電池-----

おすすめエントリー
週刊GreenPost 48号 - しなやかな技術研究会 2012/11/12-16日版

ホンダ Honda、超小型EV「マイクロコミュータープロトタイプ」の実証実験を来年より開始-----しなやかな技術研究会、2012/11/14

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パナソニック、植物並み高効率0.2%の人工光合成をシステムを開発

 パナソニックは、世界最高の効率0.2%で有機物を生成窒化物半導体の光電極による人工光合成システムを開発したと発表しました。この太陽光のみで二酸化炭素と水から有機物を生成する、人工光合成システムは、太陽光を照射する光電極に窒化物半導体を使用し、有機物を生成する電極に金属触媒を使用し、これまで不要なものとして排出されていた二酸化炭素を原料として、有用な有機物(化学原料、燃料など)を生成することが可能となる、実用化されれば、まさに夢のような技術です。

 人口光合成、光触媒による、有用有機物の生成の分野は、2030年ころには、”モノ”になると期待される分野だそうです。これまでも光触媒効果を利用し、水を電気分解して水素ガスを発生させる研究はされてきました。今回は、さらに金属触媒により水素と二酸化炭素から、ギ酸(HCOOH)を高い効率で得るという一連の技術を確立したとうことで、実用化へと大きな歩みを進めた可能性があります。


プレスリリース / パナソニック、2012年7月30日
世界最高の効率0.2%*)で有機物を生成窒化物半導体の光電極による人工光合成システムを開発

Jn12073031
-----image(”開発した人工光合成システムの構成図”) : 同リリースより

" 【要旨】
 パナソニック株式会社は、世界最高の太陽エネルギー変換効率(以下、効率)[1]で、太陽光のみで二酸化炭素と水から有機物を生成する、人工光合成[2]システムを開発しました。

 本システムは太陽光を照射する光電極に窒化物半導体[3]を使用し、有機物を生成する電極に金属触媒[4]を使用することで、効率0.2%(主生成物:ギ酸[5])を実現しています。この効率は、バイオマス[6]で使用される植物と同程度であり、植物に代わって、本システムにより、これまで不要なものとして排出されていた二酸化炭素を原料として、有用な有機物(化学原料、燃料など)を生成することが可能となりました。

【効果】
 地球温暖化および化石燃料枯渇の問題を同時に解決できる夢の技術として、太陽光のみを使って人工的に二酸化炭素を吸収し資源化する、人工光合成の研究に注目が集まっています。本開発により、植物と同等の効率で二酸化炭素を吸収し有機物を生成する、人工光合成システムが実現し、来るべき循環型エネルギー社会に向け大きく前進しました。

【特長】
 本開発は以下の特長を有しています。

 バイオマスで使用される植物と同等(0.2%)の効率を実現。しかも生成される有機物の量は太陽光量に比例して増加。
 金属触媒や反応環境を最適化することにより、生成される有機物の種類を選択可能。
 光合成システムを無機材料のみで構成することに成功し、単純な構造を実現。

【内容】
 本開発は以下の新規要素技術により実現しました。

(1)窒化物半導体を用いて、太陽光から二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態を作り出す光電極技術
(2)有機物を生成する電極において、有機物を効率よく、しかも選択的に生成することを可能とする無機材料による触媒技術

【従来例】
 これまでは、太陽光から二酸化炭素が反応するエネルギーを得るために、異なる材料の光電極を複数組み合わせて使用しなければならず、構造が複雑でした。また、二酸化炭素の反応には特殊な錯体[7]が使われていますが、一般的に照射光の強度を増やしても反応電流量が追随せず、太陽光の強度を十分に利用できないという課題がありました。
..........
【内容の詳細説明】
(1)窒化物半導体を用いて、太陽光から二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態を作り出す、光電極技術
二酸化炭素を反応させるには、光で電荷を高いエネルギー状態にまで持ち上げることが必要です。我々は、LED照明などに使われている窒化物半導体で、電荷を二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態まで高めることができることを初めて見出しました。さらに、半導体プロセスを駆使して薄膜を積層した、電荷分離構造を設けることで、高い変換効率を実現しました。

(2)有機物を生成する電極において、有機物を効率よく、しかも選択的に生成することを可能とする無機材料による触媒技術
太陽光のエネルギー利用率を高めるためには、照射光量に素早く追随できる、早い反応速度を実現することが必要です。窒化物半導体で生成した高エネルギーの電荷の移動を妨げないよう、有機物を生成する電極に金属触媒を用いました。
こうした全て無機材料で構成される電極により、二酸化炭素の反応速度を高めることができます。さらに、金属触媒の材料を設計することにより、生成する有機物の種類を変えることも可能です。
..........
Jn12073032
-----image{”開発した人工光合成システムの動作写真[写真左:光電極 右:金属触媒]
(金属触媒容器中の渦状の変色部が二酸化炭素の反応を示している)1”} : 同リリースより
.......... "


参考
東京理科大、窒化物半導体の光触媒効果で水を電気分解し水素ガスを作製-----日経BPネット、2005年12月7日


おすすめエントリー
GreenPost - しなやかな技術研究会 2012/7/30-日版

ドイツ連邦環境省、2050年再エネ80%達成のために、貯蔵技術に関する研究プロジェクトを推進!-----再生可能エネルギー GreenPost、2012/7/30

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